でも、自分のことなんだ…やはり、自分で見なきゃ…でも怖い…でも見たい…
憂「お姉ちゃんの意気地なし!それじゃ、和さんに見捨てられるよ!」
唯「………」
憂「私のことは良いとしても、和さんに対して申し訳ないと思わないの?」
憂「ほぼ毎晩つきっきりで勉強を教えてもらったじゃない!自分の勉強時間を惜しんで!」
憂「和さんがどうしてそこまでしてくれるのか分かる?お姉ちゃん」
唯「あ…あ……」
憂「お姉ちゃんと一緒にいたいからなんだよ!」
唯(そうだった…大事なことを忘れてた…いつも和ちゃんに自分が言っていたことだったのに……)
唯「憂……ありがとう……お陰で目が覚めたよ…」
唯「すーはー」パンッパンッ
唯(どうか和ちゃんと合格していますように…)
唯はそっと目を開き自分の番号を探し始めた。
唯(1057…1057…)
唯(1038…1039…1040…1046…1047…1048…)
唯(1051…1053…1054…)
唯(うぅ…怖い…目をつぶってしまう…)
チラッ
心配そうに見つめる憂
唯(うぅ…このまま帰りたい…)
唯(1056…1057…1059…1062…あれ?何番だったっけ?)
唯(え~と…1057だから…)
唯(1051…1053…1054…1056…1057…1059…)
唯(1057…!受験番号も1057!)
唯(受かったんだ…ついに!和ちゃんと同じ学校に!)ウルウル
ポンッ
唯「ふぇっ?」
憂「おめでとう!お兄ちゃん…じゃなくて、お姉ちゃん!」
唯「う…憂~~」ギュー
憂「く、苦しいよおね…おに、お姉ちゃん!」
唯「そうだ!和ちゃんに知らせないと…!」
prrrr
唯「もしもし?和ちゃん合格発表見た?」
和『……うん……』
唯(あれ?)
唯「の…和ちゃん…?」
和『合格よ…』
唯「な、何だ~驚かさないでよ~」
和『合格でも補欠合格なの…』
唯「………」
和『唯は合格したみたいね…』
唯「う、うん……」
和『おめでとう。この数ヶ月の努力のお陰ね!桜ヶ丘に……行って……頑張ってね!』ツーツー
唯「和ちゃん!和ちゃん!」
げんじつ!は残酷である。
…
唯(どうしよう…)
一番お世話になった人が困っているというのに何も出来ないでいる自分が実に腹立たしかった…
もし、逆の立場だったら、和は適切な方法で唯を慰めるに違いない。
唯は和をどう救ってあげられるか皆目検討がつかない…
憂「和さんどうしたの?まさか…」
電話での唯の様子から容易に憶測ついた憂は心配そうである。
唯「憂…私どうしたら…」
憂「お姉ちゃんが思いつく限りのことをやればいいよ…」
正しいかどうか分からないがやるしかない!
……
唯「和ちゃーん!和ちゃーん!」タタタッ
唯(ダメだ…携帯はもうつながらないし…)
学校、家を転々と探しても見つからない……
残る場所はあの公園しかない!
唯が『絆の場所』と呼ぶ公園
……
和「………」
和「補欠合格か…」
和「これは合格じゃないのよね…あはは…」
和「唯と一緒の高校でも桜ヶ丘じゃなきゃ、意味がない…」
和「はぁ……」
「和ちゃーん!」
和「唯!どうしてここだと分かったの!?」
唯「えへへ…勘かな…」
和「全く、アンタって子は…」
唯「この場合は忘れもしないよ…」
和「そういえば、ここでアンタが男の時に私に告白した場所だったっけ?」
唯「嫌なことも良いこともここに詰まっているんだ~」
和「こんな場所にねぇ…」
和「唯が言うにはロマンチックすぐて似合わないわよ…」
唯「え~酷いよ!和ちゃん!」
唯「ねぇ、和ちゃん…あの時断られた告白を今したら、受け入れてくれるかな?」
和「えっ」
唯「女の子同志は付き合うことができないけど、今の私が男だったらどうかな?」
和「唯…?何を言っているの…?」
唯「良いから答えて!!」
和(こんな真剣な顔をした唯は初めてだわ…)
唯「和ちゃん、前から思っていたけど付き合って下さい」
唯「って前は告白したんだよね?こんなあやふやじゃダメだよね!」
唯「うーんと…」
唯「君から離れることができない。いつも一緒にいたい。そのためにここに来た。君と一緒じゃなきゃダメだ」
和「唯……」
唯「こっちが困っていたらいつも君の助けの手があった。勉強についても生活についてもいつもそうだった」
唯「君が困っているなら絶対に助けたい。君と一緒に達成したいものがある」
唯「どうしても無理ならこっちは一緒になれるよう覚悟はしている!絶対に一緒になりたい!」
和「まさか…唯…そ、それはダメよ…自分の努力を不意にしたら…」
唯「その努力は君と一緒にいたいからこそのものだ。それが達成出来ないならすぐに捨ててやる」
和「ゆ……唯……グスッ」ボロボロ
唯「でも、まだ諦めちゃダメ。和ちゃんはまだ落ちたと決まったわけじゃない」ギュー
唯「最後は自分の運を信じるだけだよ!」
和「唯ぃー!うわーん!」
数十分後
唯「和ちゃん、落ち着いた?」
和「グスッ…グスッ…ありがとう…唯…本当にありがとう……」
唯「えへへ…どうだったかな?私の告白?」
和「100点満点よ…男なら必ず付き合うわ」
唯「それじゃあ、今の私となら?」
和「親友よりも絶対に上ね…なんか良い言葉がないかしら…」
唯「『同胞』?」
和「何か違う気がする…」
唯「『相棒』?」
和「ドラマの見すぎよ…」
唯「うーん、何が良いかな?」
和「無理して当てはめる必要はないわよ」
唯「そうだね」ニコッ
和「後は自分の運を信じるのみか…」
prrrr…
唯「和ちゃんの電話、鳴っているよ」
和「あっ、本当だ。もしもし……えっ、本当!?お母さん!!うん…うん…ありがとう……」
唯「どうしたの…?」
和「ゆ・ゆ・ゆ・唯……落ち、落ち着いてき、聞いて……」
唯(和ちゃんが落ち着いた方が良いよと突っ込んではいけないのかなぁ…)
和「一人合格を辞退したから補欠合格から合格になったの!!」
唯「え!!本当!?やったじゃん!!
和「私達、桜ヶ丘高校生になれるのよ!!」
唯「おめでとう!和ちゃん!」
和「ありがとうね、唯」
唯「よ~し!今日は祝いだ~!憂に早速連絡、連絡と!」
今晩も楽しい夜を過ごせそうです。
一方…
「はぁはぁ…良いわね……」
「お嬢様…一体、何をご覧になられておりますか?」
「あら、趣きのあるものですわ」ニコッ
「さ…左様ですか…」
「それよりも、斉藤!受験番号1059を処分したかしら?」
「は、はい!警察にばれない所で処分致しました…しかし、なぜ彼女を?」
「ふん146の提案よ」
※146 よし、受験番号1059に毒盛ろうぜっ
「は?さ…左様ですか……」
こんなことがあったんだとさ/(^0^)\
唯「――そんなことがここの入学まであったんだ~」
律「へ~…………………っておい!!」
唯「どったの律っちゃん?」
律「お前は…まだ人生の半分を男で過ごしていたってことだよな…」ガタガタ
唯「そうだよ?」
律「何というカミングアウト!」
澪「キコエナーイキコエナーイ」
律「あぁ!!澪が壊れたぁぁ!!」
紬「あらあらまあまあ」
和「ま、今では良い思い出よね」
唯「だね!」
おわり
最終更新:2010年01月09日 01:31