アットウィキロゴ
憂「えっ!?本当なのお姉ちゃん!?」

唯「………」

憂「お姉ちゃん!!!」

唯「…本当だよ。正確にはクビになったんだ」

憂「っ!そ、そんな…!なんで黙ってたの!?」

唯「そんなこと…憂に言えるわけないじゃん」

憂「……馬鹿…」ぽろぽろ

梓「憂…」

憂「お姉ちゃんの馬鹿っ!!」

唯「…ごめん」

憂「もうしらない…。どっかいってよ…」ぽろぽろ

唯「でもね、憂…。私…憂に心配掛けたくなくて…」

憂「うるさいっ!!どっかいってよ!!」

唯「…わかったよ。ごめんね憂…」


律「お、おい唯!どこ行くんだよ!」

唯「…どっか」

律「はぁ!?ガキみたいなこと言ってんなよ!!おい唯!唯!!」

唯「ついてこないでよ!」

律「っ!」

澪「おい律!追いかけるぞ!」

律「で、でもあいつ…」

澪「いいから!」


…結局憂にばれちゃった。あの時りっちゃんたちが何も言わなければこんなことにはならなかったのに…。
憂怒ってたなぁ。はは…、当たり前だよね。こんな大切なこと黙ってたんだから…。
…なんで憂に真っ先に話してあげなかったんだろ…?悪いことしちゃったな…。

唯「はぁ…。」

澪「唯!まてよ!」

律「唯~!とまれって!」

唯「りっちゃん…澪ちゃん…」


澪「はぁはぁ…。唯、帰るぞ」

唯「……うん」

律「なんだ?やけに素直だな?帰らない!っとかいうと思ったのに」

澪「お前は余計なこと言うな!さぁ、帰ろう」

唯「…わかった」


律「おーい。帰ったぞ~」

紬「おかえりなさい」

澪「憂ちゃんは?」

梓「何とか落ち着きましたけど…でも…」

澪「でも?」

憂「お姉ちゃんとなんか喋りたくありません…」

梓「ずっとあんな調子です」

唯「憂……」


唯「憂…ごめんね?こんな大事なこと憂に話さないで…」

憂「………」

唯「憂……お願いだよ。私の話を聞いてよぉ…」

憂「……お姉ちゃんとは喋りたくない」

唯「そんなぁ…。許してよ憂…」

憂「…うるさい。話しかけないでよ」

唯「…!」

紬「唯ちゃん…。今日はもう…」

律「…そっとしておいた方がいいんじゃないか?」

澪「そうだな…。唯。今日はそっとしといてあげよう」

唯「…うん」

結局あれから憂は口を聞いてくれることはなかった。
私はどうしたら憂が許してくれるのかとずっと考え続け、
その答えは私がまたちゃんと就職することだと思った。

唯「う~…。仕事がみつからないなぁ…。
 やっぱり就職活動は面倒くさいや…。疲れたぁ…」
唯「…ってダメダメ!1日でも早く憂と仲直りするためにも頑張らなくっちゃ!」



それから数日後

―ピリリリリリリリッ 

電話?…この前面接に行った○○会社だ…。また不採用かな? 

ピッ

唯「はいもしもし平沢です。…はい。はい。…はい。えっ!?」
唯「本当に採用ですか!?…はい!…はい!ありがとうございます!」
唯「…わかりました!よろしくお願いします!失礼します!」

やった…。ついにやった…!
これで憂とも仲直りできる!!

唯「~~~!!やった~~!!!」

早く憂に報告しなくちゃ!憂…。憂…!早く憂の喜ぶ顔が見たいよ!

唯「憂~!聞いて!私ねぇ、やっと就職先が決まったんだよ!!」

憂「………ふぅん」

あれ?なんで…?なんで喜んでくれないの…?

唯「憂……?」

憂「…また前みたいに1年もしないで辞めちゃうんじゃないの?」

唯「そ、そんなことないよ…。次は頑張るよ…」

憂「次はがんばる?なら前の仕事は頑張ってなかったの?」

唯「違うよ…。そういう意味じゃ…」

憂「そういう意味だよ。いつも辞めたいってばっかり…。
 やっぱりやる気がなかったんだよね?次の仕事もいつまでもつんだか…」


なんで…?なんでそんなこと言うの…?なんで喜んでくれないの…?
前みたいに私をほめてよ…。一緒に喜んでよ……!

唯「う…ういの…ぐすっ……憂のばかぁ!」

もう憂なんて知らない……。


それから私は、自分から憂に話しかけることもなくなってしまった。
新しい仕事は意外にも私にあっていたらしく、周りからも期待されていた。
前の職場とはまるで逆だな…。

唯「まさか私にデスクワークが向いていたなんて…。自分でもびっくり…」



それから数カ月後…

上司「平沢君…。ちょっといいかな…?」

唯「はい。どうしました?」

あれ…。なんだろこの感覚…?前にも同じようなことが…。
…!まさか…!またクビ!?そんなぁ…。こんなのってないよ…。

上司「…平沢君?聞いているのかね?」

唯「!はいっ!?」

上司「…まぁそういう話だから考えといてくれないか?」

唯「い、嫌です!」

上司「…え?」

唯「お願いですっ!!私をクビにしないでください!
 今クビになったら私…わたし……」グス

上司「クビ?だれもそんな話はしとらんが…」

唯「…え?」

上司「君の仕事熱心ぶりには周りや私も驚いているんだよ」
上司「それに仕事に対する集中力も素晴らしい」

唯「えへへ…。ありがとうございます」

そういえば和ちゃんも唯の集中力はすごいってよく言ってたなぁ。
私はただ机に向かって淡々と仕事をしていただけなんだけど…。
まさかこんなにも周りに評価されているなんてね…。

上司「それでなんだが…。君を本社に送り出したいと思ってな」

唯「はぁ…。本社ですか…」

上司「そう。一度社長に君の話をしたら是非とも本社で使ってみたいとおっしゃってね」

唯「はぁ…。そうですか…」

上司「それでだ…。君も本社で働いてみる気はないか?」

唯「…ちなみに本社ってどこにあるんですか?」

上司「東京だ」

唯「そうですか……ん?」

…………東京?

…ってことは私上京して一人暮らし?
…上京したらみんなにも全然会えなくなっちゃうんだよね?
なんかそれは嫌だなぁ…。でもこんなチャンス逃したら2度となさそうだし…。

唯「あ…あの!少し考えさせてください!」
唯「その…。家族とも少し相談したいので」

上司「…わかった。返事はなるべく早くな」

唯「はい…。失礼します…。」


私はまず家で両親に相談した。二人ともやりたいようにやりなさいって言うけど…。
それが決められないから相談してるんだけどな…。
次に私はりっちゃん達にも相談した。みんなは、寂しいけど唯がその気なら応援するって言ってくれた。
えへへ、寂しいだって…。ちょっと嬉しい。
そして最後に相談する相手、それは…。


唯「憂…?ちょっといいかな?話があるんだけど…」


憂「…何?」

唯「憂…私ね?もしかしたら東京に行っちゃうかもしれないんだ…」

憂「!………」

唯「今働いてる会社の社長さんが、私のこと気に行ってくれたみたいでね?
 本社まできて働いてみないかって…」

憂「…それでお姉ちゃんはどうするの?」

唯「…うん。まだわかんないや。みんなと離れるのも寂しいしね」

憂「………」

唯「…それにやっぱり憂と離れるのが一番寂しいから。…やっぱり断ろうかな?」

憂「…呆れた。まだそんなこと言ってるんだ」

唯「…え?」

憂「早く東京にでもなんでもいっちゃいなよ。私はその方がせいぜいするんだけど?」

唯「…なにいってるの…?ねぇ…憂?」


…まさか、憂がそんなこと言うはずがない…。きっと聞き間違いだよね?

唯「ねぇ憂…?今何ていったの?」

憂「……」

唯「こたえてよぉ!」ぽろぽろ

憂「…だから東京にでもどこにでも行けばいいんだよ!」

唯「っ!!」

今度は聞き間違いなんかじゃない…。だって、憂はこんなにも大きな声で言ったじゃないか。
そうか…。私はあの日からずっと憂に嫌われてたんだ…。そんなの今までの態度を見ていればわかる筈なのに。
私は心のどこかでそんな筈がないって、ちょっとだけ期待してたんだ。

唯「…わかったよ。そうする」

憂「…そうしてよ。もう顔も見たくない」

唯「うん…。…憂。本当にごめんね」ぽろぽろ

私はもうこれ以上ここにはいれない…。憂にもっと嫌われてしまうから。



……

上司「本当にいいんだね?」

唯「はい。どこまで役に立てるかわからないですけど…よろしくお願いします」

上司「わかった。よく決断してくれたな」
上司「では詳しい話は後日にでも…」

それから後の話はよく覚えてないや…。

私はずっと憂のことを考えていたから。



数日後

律「唯~!あっちにいっても頑張れよ!」

澪「応援してるぞ」

紬「がんばってね♪」

唯「えへへ、みんなありがとう!私頑張るね」

梓「……唯先輩。ちょっといいですか?」

唯「なーに?あずにゃん」

梓「憂のことなんですけど…」

憂?憂がなんだろう?

唯「…憂がなに?」

梓「まだ時間ありますよね?今から憂に会いに行ってくれませんか?」

唯「…でも、憂は私のことが…」

梓「…本当にそう思うんですか?だとしたら私は怒りますよ」

唯「………」

梓「はぁ…。いいですか?憂は――」

憂「…お姉ちゃんそろそろ飛行機に乗る時間だよね」

憂「…見送りに行かなくてごめんね、お姉ちゃん」

憂「…………」

憂「…………」

憂「……はぁ」

ばたん!

唯「憂~!!」

憂「えっ!?」

唯「憂~!!ごめん!ごめんねぇ!!」ぎゅぅ

憂「お、お姉ちゃん!?なんでここに…!それに時間は大丈夫なの!?」

唯「そんなのいいよ!それにあずにゃんから聞いたんだ…ごめんね憂…」

憂「な、なんのこと!?それよりはなれてよ!!」

唯「嫌だ…嫌だ…」グス

憂「はやく…、離れてよ…!」

唯「いやだ……」ぽろぽろ

憂「お願い…だから……私から…離れてよ…」



梓『いいですか?憂は仕事を辞めたのを隠していたことに対しては怒っていないんですよ』
梓『むしろ今は自分に怒っているんです』

唯『?どういうこと…?』

梓『憂はあの後言っていました。お姉ちゃんがクビになったのは私のせいじゃないかって』

唯『なんで…?憂は関係ないのに…。私のせいなのに…。』

梓『…私がお姉ちゃんを甘やかしすぎたから、もしクビになっても何とかなるって…。お姉ちゃんはそう思っちゃうのかなぁ』

唯『…!憂はそんなことを……?な、なんで…?』

梓『…唯先輩は隠し通そうとしてたじゃないですか。どうせ、憂にばれないようにこっそり仕事を探そう!とか思ってたんですよね?』

唯『うっ!図星…』

梓『はぁ…。唯先輩は憂に心配かけないようにと思ってやったんでしょうけど…。憂にはそれが憂に対する甘えに思えたんですよ』

梓『だから憂は自分に甘えないようにとずっと冷たくしていたんです』

唯「憂…絶対はなれないから…」

梓『本当は唯先輩のことが大好きなのに。話したいことだっていっぱいあるのに』

憂「………はな…して…」

梓『憂はずっと自分を押し殺してきたんです。唯先輩の為を思って』

唯「………」ぎゅぅ

梓『だから唯先輩、今すぐ憂のところにいってあげてください』

憂「……お姉ちゃん…」

梓『そして、いつもみたいに抱きしめてあげてください』


梓『それが、憂の今の望みだと思います』

憂「………おねぇちゃああん…!寂しいよおお…!」ぽろぽろ



数日後


律「結局唯は東京に行かなかったな」

澪「だな。でも私は正直うれしいよ」

律「私も!実は唯がいなくなるのさ、ほんとは寂しかったんだ」

澪「確かにな…。でもよかったな。あの二人」

律「唯と憂ちゃんか?まぁな。でも憂ちゃんも行ってほしくなかったらそういえばいいのにな」

澪「ばーか。私達ですら言えないのに。憂ちゃんにはもっといい辛いだろ」

律「ははは、まあな。でも唯は幸せもんだぜ。あんな姉思いの妹持ってさ」

澪「何言ってんだ。お前の家にだって姉思いの弟がいるだろ?」

律「はぁ?どこが姉思いなんだよ?お前だって知ってるだろあいつのこと…」

澪「知ってるよ。まぁ私の知る限りでは姉思いのいい弟に変わりはないけどね」

律「はいはい…。でもまぁ世界中のどんな姉妹や兄弟も、あの平沢姉妹には敵わねぇよ」


___

―ジリリリリリッ!

唯「う~ん…うるさい……」ピッ
唯「……ふぁぁぁぁ…」

がちゃ

憂「お姉ちゃん朝だよ!」

唯「もう朝か…」ボリボリ

憂「ほらお姉ちゃん!早く布団からでて!」

唯「う~ん…。えへへ~、うい~」

憂「…?」

唯「…おはよう♪」

憂「…おはようお姉ちゃん♪」


                            おしまい




最終更新:2010年01月09日 02:29