唯「とりあえずあずにゃん、なにが一番早く手っ取り早く死ねるかな?」

梓「飛び降り自殺じゃないですか?」

唯「飛び降りかあ」

梓「あんまり苦しいやつはイヤですから、それにしません?」

唯「じゃあ飛び降り自殺に決定」

……
…………
………………

唯「学校の屋上って思いのほか、簡単に入れるんだね」

梓「ええ。わたしも屋上に来たのは初めてなんで少しビックリしました」

唯「……けっこう高いね」

梓「屋上ですからね。最上階ですもん」

唯「……」

唯「……いざ死のうと思うと怖いね。なんだか足が震えてきちゃった……」

梓「わたしもです。
  でも、死なないとわたしたちは結ばれないんです」

唯「悲しいね、あずにゃん」

梓「悲恋っていうんですよね、こういうの」

唯「ヒレン、かあ」

梓「唯先輩」

唯「なあに?」

梓「大好きです」

唯「だから、もっと早く言ってほしかったな」

梓「ごめんなさい。わたしのせいで結果的に死なないといけなくなってしまって」

唯「ホントだよ」

梓「……ごめんなさい」

唯「冗談だよ。あずにゃん、告白してくれてありがとう。
  わたしもあずにゃんが大好き」

梓「唯先輩……」

唯「えへへ、そろそろいこっか?」

梓「そうですね。早くしないと決心が鈍ってしまいますもんね」

唯「じゃあせーので飛び降りよっか……」

梓「はい……」

唯「せー」

梓「の!」


……
…………
………………

唯「……ん?
  あれ? ここどこだろ? ていうかなんでわたしってば生きてるんだろ?」

唯「…………」

唯「学校の廊下……だよね、ここ。
  わたしってば死んだのになんで学校にいるんだろ?」

唯「はっ!? まさか悪い子だから天国に行けなかったのかも……」

唯「ど、どうしよ!?」

ガヤガヤ ザワザワ


唯「……にしてもみんな普通に学校いるけど、今日は休日のはずじゃ……」

梓「唯先輩!」

唯「あ! あずにゃん!」

梓「よかったー! 唯先輩に会えてホッとしました」

唯「わたしも安心したよーあずにゃーん」ダキッ

梓「ちょ、ちょっと廊下で抱き着かないでくだ……」

唯「あずにゃん、それは言わない約束だよ?」

梓「す、すみません……」

梓「でも、とりあえず状況整理したいんではなれてもらっていいですか?」

唯「しかたないなあ」

梓「わ、わたしだって……本当は寂しいんでしよ?」

唯「えへへ、わかってるよ」

梓「……それで、唯先輩。わたしたち、たしか自殺しましたよね?」

唯「うん、そうだよ。そのはずだよ……」

梓「たしかにわたしたちは屋上から飛び降りたはずなのに……」

唯「どうして生きてるんだろ……」


 「あ、お姉ちゃん」


唯「あ、憂」

憂「お姉ちゃん、これから部活に行くところ?」

唯「……部活?」

憂「だから軽音部に行くのって」

唯「んん? ……えっと、憂。なんで憂がここにいるの?」

憂「わたし? わたしは今日日直だったからちょうど今から職員室に行こうとして……」

唯「そうじゃなくて……」

梓「……憂」

憂「……はい?」

梓「はい、って……」

憂「え、ええと、たしか……一緒のクラスの……」

梓「……?
  なに言ってるの、わたしだよ?」

憂「……お姉ちゃんのお友達だったりするのかな?」

唯「憂ったらどうしたの? あずにゃんはわたしの軽音部の後輩だよ?」

憂「そ、そうなんだ……」

梓「憂……なんだかまるでわたしを知らないみたいだけど……」

憂「同じクラスだから知ってはいるけど……こうして話すのは初めてだよね?」

梓「え?」

唯「ん?」

憂「あれ? ち、ちがったかな? わたしの記憶ではたぶん、初めてお話しするはずなんだけど……」

唯「ちょ、ちょっと待って。憂、あずにゃんだよ。
  憂とも仲良しのあずにゃんだよ?」

憂「あずにゃん? あずにゃんっていうのはあだ名?」

梓「…………」

梓(……もしかして)

唯「そうだよ。あずにゃんは猫耳カチューシャが似合ってそれで……」

梓「唯先輩」

唯「なに、あずにゃん?」

梓『ひょっとしたらなにかとんでもないことが起きたのかもしれません』ゴニョゴニョ

唯『ひゃっ……あずにゃん、耳に息かけないでよ。
  ……って、とんでもないことってたとえばなに?』

梓『それはわかりませんよ』

唯『ダメじゃん』

梓『とにかく一旦軽音部に行きましょう。なにかわかるかもしれません』

唯『うん、そだね』

憂「お姉ちゃん?」

唯「憂、ごめん。ちょっと軽音部に急いで行かないといけない用事思いだしたから行ってくるね」

憂「そう?」

梓「そういうことだからじゃあね、憂」

憂「うん?」

……
…………
………………

唯「……で、とりあえず部室の前まで来たけどさ」

梓「はい」

唯「そもそもわたしはもう卒業してるし」

梓「ええ」

唯「だいたい今日は休日のはずなんだけど……」

梓「たしかに……」

唯「いてもトンちゃんしかいないんじゃ……」

梓「でも憂とかほかの生徒とかはいましたよ?」

唯「二年生はでしょ?」

唯「うう……なんか入るのがイヤだなあ」

梓「なんでですか?」

唯「よくわかんないんだけど、なんだかイヤな予感のようなものを感じるんだよね……」

梓「大丈夫ですよ……ん?」

唯「どうしたの? あずにゃん……って、人の気配がするね」

梓「もしかしたらほかの先輩たちかも。とりあえず、はいってみましょうか」

唯「うん……」


キイイィ……


 「お、唯がようやく来たな」

 「遅いぞ、唯」

 「今日は唯ちゃんの大好きなケーキを持ってきたのよ」

唯「……みんな」

律「どうしたんだよ、呆然としちゃって?」

唯「な、なんでみんな部室にいるの?」

澪「なんでって……今日は普通に部活あるだろ?」

紬「あら? 唯ちゃんの隣にいる女の子は誰?」

梓「!」

梓(……まさか)

律「もしかして新入部員か!?」

唯「新入部員? ちがうよ。ていうかなに言ってる……」

梓「ええと、もしかしなくても皆さんはわたしのことを知りません……よね?」

紬「……? たぶん、そうだと思うけど」

澪「見学に来た子でもないよな?」

唯「え? ええ? みんないったいなにを言ってるの?」

梓(……これはもしかして……)

梓「あの、先輩方は今何年生なんですか?」


律「ん? 二年生だけど?」

梓「……」

唯「へ?」


梓(やっぱり。これは俗に言うアレだ)

唯「み、みんななに言ってるの? わたしたちつい最近……」

梓「先輩ちょっと先生に呼ばれてたんで今すぐ職員室に行きましょう!」

唯「あ、あずにゃん!?」

梓「すみません、またすぐに戻ってきます!」


澪「唯、どこへ行くんだ?」

律「ていうかあの子は新入部員かなにかかな? 唯の知り合いみたいだけど」

紬「どうかな。軽音部にはいってくれるといいけど」


……
…………
………………


唯「あ、あずにゃん、急にダッシュしてどうしたの?」

梓「……ここならとりあえず、誰もいなさそうだ」

唯「ていうか、なんで校舎裏になんかわたしを連れてきたの?」

梓「二人きりになりたかったんです」

唯「え……?」

梓「唯先輩、大事な話があります」

梓(今ここでわたしたちに起きていることを話しておいたほうがいい。   あくまで憶測だけど )

唯「あ、あずにゃん……」

唯(大事な話……な、なんだろ……)ドキガムネムネ

梓「唯先輩、おそらくなんですけど……」

唯「あずにゃん!」

梓「……なんですか、急に大声出して……」

唯「あずにゃん、わたしを好きにしていいよ……めちゃくちゃにしてくれても……」

梓「…………」

唯「こんなとこで……その、するのは恥ずかしいけど……」

梓「あの……唯先輩?」

唯「大丈夫だよ! わたし、初めてだけど覚悟はできてるから……!」

梓「いや、べつにいかがわしいことをするために校舎裏に来たわけじゃないですから」

唯「ち、違うの?」

梓「違います」

唯「なあんだ……」

梓「それより今はわたしたちの身の回りに起きていることのほうが重要です」

唯「ああ! そうだった! 
  なんでみんなあずにゃんのこと覚えてないんだろうね?
  ていうか、みんなまだ二年生って……」

梓「ええ。これはわたしの予想なんですが……」

唯「あずにゃん」

梓「なんですか、話の腰を折らないでください」

唯「予想はよそう!」

梓「…………。
  話を続けさせてください」

唯「はい!」

梓「しつこいようですが、これはあくまで予想です」

唯「……そんなにあくまで、って言うけどそんなに突拍子もないこと言うの?」

梓「かなり電波な発言をします」

唯「なあに?」


梓「わたしたちタイムスリップした可能性があります」


唯「……」

梓「……」

唯「……」

梓「なにか言ってください」

唯「ええと、わたし馬鹿だからよくわかんないけど、タイムスリップってドラえもんとかみたいに
  タイムマシンを使って過去にいったり未来にいったりすること?」

梓「わたしも全然わからないですけど、たぶんそうだと思います」

唯「……そうなのかなあ。
  みんながただわたしたちにいたずらしてるとかじゃ……」

梓「……」ゴソゴソ

唯「なにしてるの?」

梓「ケータイ見てるんです。
  ……やっぱし。ほら、唯先輩。これを見てください」

唯「……2009年って……!」

梓「決まりです。わたしたちはいかなる理由か過去に飛ばされたみたいです」

唯「ど、ど、どどどどうしようあずにゃん!?」

梓「わかりませんよ。まさかこの時代にタイムスリップを体験できるなんて……」

唯「戻らないと……でもどうやったら戻れるのかな?」

梓「知りませんよ……」

唯「ていうか、この時点でわたしやあずにゃんが体験してた過去とちがう部分がけっこうあったよね?」

梓「そもそも、わたしと唯先輩が顔なじみの時点で全然違いますよ」

唯「うわああん、どうしたらいいの!?」

梓(……未来が変わったりしたらどうなるんだろ?
  過去次第で未来が変わってしまうって……ドラえもんで言ってたような……)

唯「ああ!!」

梓「な、なんですか? なにか思いついたんですか、唯先輩?」

唯「いいこと思いついたよ、あずにゃん」

梓「もとの世界に戻るアイディアでもあるんですか!?」

唯「ちがうよ。戻らなくていいんだよ!」

梓「?」

唯「今から始まる生活の中で、過去を変えちゃえばいいんだよ!」

梓「どういうことですか?」

唯「だからそのまま過去を変えて、わたしとあずにゃんが結ばれたことにすればいいんだよ!」

梓「ああ……なんとなくわかってきました」

唯「そうすればわたしとあずにゃんは晴れてカップルになって。
  別々の雑誌で連載、そして離れ離れなんてこともなくなるよ!」

梓「なるほど。
  わたしと唯先輩が公然のカップルとなれば、公式もわたしたちを引き裂いたりしないわけですね!」

唯「うん!」

梓「唯先輩、素晴らしいアイディアですよ!」

唯「えへへ」

梓「そうなると設定が欲しいですね。新しい設定……」

唯「うーん、幼なじみとかありきたりだけどよくない?」

梓「幼なじみ設定は和先輩の特権ですけど、あんまりややこしい設定を作るのも面倒だしなあ……」

唯「いいじゃん! あずにゃんとわたしは昔からの幼なじみカップル!
  これで決まりだよ! 決定、決定!」

梓「まあべつにいっか」

唯「よし、そうと決まればさっそく部室に行こう!」

梓「そうですね」


……
…………
………………

澪「へえ。唯と梓は幼なじみなのか」

唯「そうだよ。あずにゃんは猫耳がとっても似合って、しかもギターもうまいんだよ。
  ねー、あずにゃん?」

梓「猫耳の話はいいです」

紬「にしても梓ちゃんと唯ちゃんって仲良しなんだね。
  今でも腕なんて組んじゃって」

唯「いやあそれほどでもお」

梓「……恥ずかしい」ボソリ

……
…………
………………

律「そんじゃ、記念写真も撮ったし帰るとするか」

梓「また明日からよろしくおねがいしますね」

澪「練習がんばろうな」

梓「あんまり練習できないと思いますけどね……」

澪「え?」

梓「な、なんにもです!」

唯「ほーら、あずにゃん、早く一緒に帰ろーよー」

梓「手を引っ張らないでくださいよ」


▲ ▽ ▲ ▽ ▲


かきふらい「……うーん、大学編はどうやって展開させてみようかなあ」

かきふらい「大学大学……まずは専攻する授業の話とかかな……」

かきふらい「……」カキカキ

かきふらい「うーん、たまにはアニメを見返してインスピレーションを養うか……」

かきふらい「ブルーレイブルーレイ……お、あったあった」

かきふらい「……挿入……やっぱりけいおん!のアニメはいいなあ」

かきふらい「ちょうどここは梓が入ったばかりの頃か……あれ?」


澪『へえ。唯と梓は幼なじみなのか』

唯『そうだよ。あずにゃんは猫耳がとっても似合って、しかもギターもうまいんだよ。
  ねー、あずにゃん?』


かきふらい「……唯と梓が幼なじみ?」

かきふらい「…………」

かきふらい「……あれ?」

かきふらい「……いや、そうか。和以外にも唯の幼なじみは梓がいたか……」

かきふらい「あれ? でも、じゃあ梓と和は顔なじみ……?」

かきふらい「……まあいいか。それより大学編のネーム仕上げなきゃ」


▽ ▲ ▽ ▲ ▽


すまん、今日はここまでにする
ちょいこの後の展開を考えるわ


未完



最終更新:2011年04月01日 20:55