ある日の平沢家

憂「あああああっ!!」

唯「!?」

唯「ど、どうしたの憂、おっきな声だして!」

憂「アイスがないっ! 昨日買った分みんな!」

唯「みんなって、全部? ほんとに!?」

憂「ほんとにって、お姉ちゃんが食べたんでしょ!」

唯「わ、私じゃないよ! 今回ばかりは違うって!」

憂「じゃあ他に誰が食べるの。お父さんたち3日前からいないよ?」

唯「そ、それはそのぅ……泥棒さんとか!」

憂「アイスを盗んでいく泥棒がどこにいるの?」

唯「しらないけど……私は食べてない。ほんとだよ」

憂「うーん……そういえば確かに、勝手に食べてたらゴミ箱に殻があるはずだし」

唯「ほらね、誤解だよ」

憂「そうだね……ごめん。でもアイスはどこ行っちゃったんだろう?」

唯「さあどうなんだろう……というか、今日のアイスはまさか、無し?」

憂「そういうわけには……ん?」

 フワッ

唯「紙飛行機だ!」

憂「どこから……」

唯「中っかわに文字が書いてあるみたい。開けてみるよ」

憂「う、うん」

 ガサッ ペラッ

唯「親愛なる平沢憂よ」

憂「!?」ドキッ

唯「そなたが姉のため買ったアイスはすべて、我々がいただいた」

唯「返してほしくば我々の要求を飲むべし」

唯「もし断れば、アイスは二度とそなたらのもとへは渡らぬものと思え」

唯「怪盗アズニャン&ジュンより」

憂「アイス泥棒……」

唯「まさに怪盗だねぇ」

憂「二度と私たちのもとには渡らない、って、買ってもまた盗みに来るのかな」

唯「むー、卑劣だね」

憂「毎日買いに行くのも大変だし、アイスを返してもらうためにも要求を飲む?」

唯「でもあれだよ、こういうのって1000万とか要求されるんだよ」

憂「……ところで、要求ってどこに書いてあるの?」

唯「ほえ」ペラッ ペラッ

唯「……書いてない」


憂「ほんとに? 見落としてない?」

唯「うん、どこ見てもないよ」

憂「あぶり出しとか……」

唯「透かしてみてもなんにもないよ」

憂「変だなぁ……」

 フワッ

唯「ん? 紙飛行機2号だ」

憂「……まさか」

 カサガサ

唯「先ほどは失礼しました」

唯「要求は【平沢憂のおっぱいを平沢唯が愛情たっぷりにむしゃぶること】」

唯「要求を飲めない場合は、そなたたちの想像した通りである」

唯「怪盗ジュン&アズニャンより」


憂「……なんかかわいい泥棒さん達だね」クスッ

唯「う、うん? あぁ、え、そだね」

憂「で、要求ってなんだっけ? 聞いてなかった」

唯「あ、あぁえっと……【平沢憂のおっぱいを平沢唯が愛情たっぷりにむしゃぶること】だって」

憂「……はへ?」

唯「【平沢憂のおっぱいを平沢唯が愛情たっぷりにむしゃぶること】だってさ」

憂「ひ……ぇ」カーッ

唯「憂! アイスのためだよ、がんばろう!」ガシッ

憂「ひゃっ、やあっ! なんで乗り気なの、お姉ちゃん!」

唯「えー、だって書いてあったじゃん」

唯「要求を飲めない場合は、私たちの想像した通りだって」

唯「アイスが一生食べられないってことでしょ、これ」

憂「う、確かに……」

唯「憂だって一生アイスが食べられないなんてイヤでしょ?」

憂「……うん」

唯「だったら要求を飲みましょうぜ」

憂「うん……って、ダメッ!」

唯「あぁ、惜しい!」

憂「惜しいじゃなくて、やめてよねお姉ちゃん」

唯「えー? なんでそんな怒るの……」

憂「姉妹でそんなの絶対ダメッ!」

唯「憂のおっぱいを丹念に愛情たっぷりに、」

唯「いやらしく甘噛みしたりしながらむしゃぶるのってそんなにダメ?」

憂「連呼しないの。なんか増えてるし」

唯「……じゃあ、どうするのさ」

憂「え、何が?」

唯「アイス。食べられないってわけにはいかないでしょ」

憂「うーん……」

唯「うーい。そこ悩むとこじゃないよ。はい、服の前上げて」

憂「……どうしてもやらなきゃだめかなぁ?」

唯「どういうこと?」

憂「怪盗さんと交渉できないかな、って。私たちの話、聞いてたみたいだし」


憂「聞いてますよね?」

 フワッ

唯「わ。今度は逆から飛んできた」

憂「窓閉めてるのに、どこから……」

 ガササッ

唯「交渉の余地はない。ただちに実行しなければ、要求を拒否したものとみなす」

憂「……だめかぁ」

唯「憂、あきらめようよ」

憂「……なんかニヤニヤしてる」

唯「そんなことないよ。とっても真剣」

憂「……」

唯「うい……イヤ?」

憂「イヤっていうか、ダメ」

唯「ちょっとおっぱい吸うだけだよ?」

憂「でも……」

唯「子供のころやったでしょ? お母さんごっこ。あれと変わんないよ」

憂「子供のころとは事情が違わないかな……」

唯「ないよー。そんなに気にしなくっても大丈夫だよ」

唯「憂はぼーっとしてて。すぐ済ませちゃうからさ」

憂「……噛まないでね?」

唯「噛まないよ。さっきのは冗談だから」

憂「じゃあ……わかった」

唯「うん、いい子」

憂「前上げるから、あっち向いてて?」

唯「……憂、身構えすぎだよ。そんなだから、変なふうに考えちゃうんだよ」

憂「けど、だって、恥ずかしいんだもん」

唯「もう……しょうがないな」サササ

憂「ご、ごめんね?」

 ゴソゴソ

憂「ん、しょっ」プチ

唯「……」

 ススッ

憂「ふぅ」パサッ

唯「ブラ外したの?」

憂「うん。外さないほうがよかった……?」

唯「いや、別にそうじゃないけど、やる気満々だねって思ったの」

唯「ちょっと口に入れるぐらいなんだから、ずらすんでいいんじゃない?」

憂「……いいの。アイスがかかってるんだから、真面目にやらないと」

唯「まぁうん、そうだね」

憂「……」

唯「……」

憂「……」

唯「うい?」

憂「へっ? なぁに?」

唯「もうそっち向いても平気?」

憂「あ、うん……」

唯「へへっ、では」サササ

唯「……ういー」

憂「いや、だって……やっぱり恥ずかしいよ」

唯「うーん……どういう風にするならいい?」

憂「どうって、できれば何もしないのが」

唯「それは出来ないって何度も言ってるでしょ」

憂「だよねぇ~。……ふぅ」

唯「んじゃあ、わかった。憂は目閉じてて」

憂「? こう?」ギュッ

唯「そうそう……で、手は後ろについてて」

憂「ん……」

唯「もうちょっと後ろのめりに」

憂「……」スッ

唯「それじゃ、じっとしててね」

 スリッ

憂「ひゃっ!?」

 ゴソッ

憂「ちょ、ちょっとぉ……」

唯「はいはい、動かない」ガシッ

憂「や、やだっ、ねぇ目開けていい?」

唯「そのほうがいい?」

憂「うん、怖いよ……服の下、顔入れてるの?」

唯「えへへ。ちょっと伸びちゃうけど、パジャマだしいいでしょ?」

憂「目開けても大丈夫?」

唯「いいよ。見ても変わんないと思うけど……」

憂「……」

唯「どうする?」

憂「……このままでいいや」

唯「ん、了解。じゃもうちょっと進むよ」

 スス……

憂「……くすぐったい」

唯「ごめんねー。すぐ済ますよ」

唯「ふ、よいしょっ」スリッ

憂「……それに、お姉ちゃんの息が湿っぽいな」

唯「うへ。暑くなってきた……」

憂「ご、ごめん」

唯「いや、しょうがないよ。頑張るから、ねっ」グイグイ

 ポヨン

憂「あっ」

唯「おっ」

憂「……お、お姉ちゃんやっぱり」

唯「ここまで来ちゃったらもう一緒だよ、憂」

憂「そ、そうかなぁ……」

梓「怪盗あずにゃん参上!」

律「………中野、お前人んちで何やってんの?」

梓「ち、違いますよ!私は怪盗あず」

ベギィ!

律「はいはいー。話は警察でな」

梓「うぅぅ…」ポロポロ

唯「よらっ」ズリッ

憂「っ……お姉ちゃん、ちょっと伸びちゃう」

唯「んー、でもそしたらもう……」

憂「なに?」

唯「憂の……に、顔を押しつけちゃう形になるけど……いいの?」

憂「……も、もうここまで来たら一緒だよ!」

唯「そ、そう? ……じゃあ、吸っちゃうよ?」

憂「……うんっ」

唯「暗くてよく見えないなぁ……」ムニムニ

憂「お、お姉ちゃん……わざと?」

唯「いや、全力……ほえ、これ?」ツン

憂「はうっ、う……うん、それ」

唯「それでは……」

唯「あー……んっ」

 チュ…

憂「……っ」

唯「……」

 チュウゥ……ピチャ

憂「ふ、ぅ……」

唯「ん、ぁむ。んちゅぱ」

 チュプッ

憂「……はあぁ。ぅ、ふー」

 チュピ チュチュリ

憂「っ、ちょ、お姉ちゃんっ」

唯「んー。ぷぇ。なぁに?」

憂「な、なんでもないけど……」

 ゴトンッ

憂「!?」ビクッ

唯「なに、今の音!?」

 ササッ バタンッ

憂「なにか黒い影が……」

 モゾモゾ

唯「ぷは。もしかして、怪盗さん?」

憂「多分……逃げられたけど」

唯「うーむ。……ん?」

 フワッ……カサ

憂「また紙飛行機だよ」

唯「もしかして……」ガサガサ

唯「ご苦労であった。約束通りアイスは全て返す」

唯「少し溶けてしまった詫びに、ハーゲンダッツもつけておいた。……だってよ、憂!」

憂「ほんとかなぁ……」

唯「確かめてみようよ、ねっ」トタタ

 ガラッ

唯「……わっ、4つも入ってるよ! 太っ腹!」

憂「すごい、怪盗さん……やっぱりお金持ちなんだ」

唯「これだったら、もっと怪盗がきてくれたらいいね!」

唯「ええっと、ジュンさんとアズニャンさんか。覚えた」

憂「あれ? それ、まだ何か書いてない?」

唯「ほえ? ああほんとだ。また会える日を楽しみにしている……って」

憂「……え」


――――

 「ねージュン、ほんとにあれだけでよかったの?」

 「いやー、よくないよ。さすがにあれぐらいじゃ揺らがないでしょ」シュタッ

 「えっ?」スタン

 「あれはジャブだって。妹のほうの抵抗感がけっこうあるし、ゆっくりやらないと」

 「外堀から埋めるってこと?」

 「そうそ。2日後、またやるよ」

 「うー、めんどくさい……」

 「文句言わない。百合の世界を実現するためなんだよ!」

 「お金のためじゃなかったの!?」

 「あはは。……だって、ねぇ。アズニャン」

 「もう。すっかりクライアントに毒されちゃって」

 「む……なんとでもお言いなさい。さあさ、次のトコいくよ!」バッ

 「はいはい……よっ」シュバッ

 そして二人は夜の闇に消えた。

 彼女たちがどこへ向かうかは人知れず。

 がんばれアズニャン、百合の世を築くため。

 がんばれジュン、巨万の富を築くため。


   お  わ  り



最終更新:2011年04月01日 21:05