Episode.3




「……」スタスタ

澪「……」テクテク

澪(すごい広いところだな…。童話に出てくるお城みたい…)

「さあ、腰掛けてください」ガタッ

澪「あ、ありがとうございます…」スタッ

「いきなりですみませんが、あなたの名前とどこから来たのかをお教えください」

澪「えと…私は秋山澪で……」

……………
…………
………
……

「なるほど…。謎の光を浴びて、気づいたらここにいた…と」

澪「はい…」

「しかし、あなたは気を失っていたのでしょう? でしたら何故、光を浴びたと分かったのですか?」

澪「それなんですけど…私、一度起きたんです」

「ほう」

澪「でも、起きた直後に光を浴びて、また気を失って…」

「…そうですか、分かりました。
それであなたはどうしたいですか?」

澪「どうって…」

「話によれば、一緒にいたお友達がいたのでしょう? もしかしたら、その方々も謎の光を浴びたのやもしれません。
そうなると…お探しになられた方がよいのでは?」

澪「…そうだ……。唯…、律…! シルバー君!」

「ふふ、決定ですね。
私も捜索に協力しますよ」

澪「ありがとうございます…!
あ、名前をまだ聞いて…」

「いえ。まだ名乗るべき時ではない…」

澪「?」

「そんなことより、まだ歓迎の言葉を言っていませんでしたね…、」

「ようこそ、我らの城へ」

……………
…………
………
……

《1ばんどうろ》


律「よし、まずはカラクサタウンってところに行って、ポケモンセンターに行こう!」

唯「ポケモンセンターに行くの? なんで?」

律「タウンマップをもらいに、だ。あった方が便利だろ!」

唯「そうだね。私達、イッシュ地方のタウンマップは持ってないからねえ。それにイッシュのこと何も知らないし…」

律「そういうことだ! さあ、急ぐぞ!」タッ

唯「あ! 待ってえ、りっちゃん!」

………
……

《カラクサタウン・・・ポケモンセンター》


受付「これがイッシュ地方のタウンマップです!」 タブンネ「タブンネー」

律「ありがとうございます!」

唯「なんだろう、このポケモン?」ピッ

ポケモン図鑑『タブンネ、ヒヤリングポケモン
みみの しょっかくで あいてに ふれると しんぞうの おとで たいちょうや きもちが わかるのだ。』

唯「へえ~」

律「なにしてんだ、唯。さっさと行くぞ~」グイッ

唯「あ~ん」

ウィーン

ザワザワ……

律「ん?
なんだ? 人が大勢集まって……、なんかあったのか?」

ザワザワ…

律「あの…なにかあったんですか?」

おじさん「ん? なにか演説が始まるみたいなんだよ」

唯律「演説?」

「……」スタスタ

「どうも皆さん、こんにちは」

ゲーチス「ワタクシの名前はゲーチス。プラズマ団のゲーチスです。
今日、みなさんにお話しするのはポケモン解放についてです」

おにいさん「ポケモン解放? なんだそりゃ?」

ゲーチス「われわれ人間はポケモンとともに暮らしてきました。
お互いを求め合い必要としあうパートナー…。そう思っておられる方が多いでしょう。
……ですが、本当にそうなのでしょうか?」

ザワザワ…

おにいさん「どういうことだ…?」

ゲーチス「われわれ人間がそう思い込んでいるだけ……そんなふうに考えたことはありませんか?」

おじさん「バ、バカな! ポケモン達だってわし達とこうして一緒にいるじゃないか!」

ヨーテリー「テリテリ!」

ゲーチス「…そうですかねえ?
トレーナーはポケモンに好き勝手命令している……、仕事のパートナーとしてもこき使っている……、そんなことはないと誰がはっきりと言い切れるのでしょうか」

おじさん「そ、それは…」

ゲーチス「いいですか、みなさん。
ポケモンは人間とは異なり、未知の可能性を秘めた生き物なのです。われわれが学ぶべきところを数多く持つ存在なのです」

唯律「……」

ゲーチス「そんなポケモンたちに対しワタクシたち人間がすべきことはなんでしょうか?」

おにいさん「ポケモンを…」

ゲーチス「そうです! ポケモンを解放することです!!
そうしてこそ人間とポケモンははじめて対等になれるのです!!」

ゲーチス「みなさん、ポケモンと正しく付き合うためにどうすべきかよく考えてください。
…というところでワタクシ、ゲーチスの話を終わらせていただきます。ご清聴感謝いたします」

スタスタ…

おじさん「……今の演説…、わし達はどうすればいいんだ?」

おにいさん「ポケモンを解放するとか、ありえないでしょ!」

唯律「……」

律「どう思う? 唯」

唯「ふぇ?」

唯「今の人、どこかで会った気がするよねえ」

律「…今の演説のことだよ」

唯「う~ん…難しい話はよく分からないけど…」ボム!

チー太「チー!」ピョン!

唯「よーしよし、今ご飯あげるからね~」

チー太「チー!」

律「……」

唯「ポケモンを解放する…とか。よく分からないけど…、」

唯「私はこうしてポケモンにご飯あげたり、遊んだりするのが好きだよ」

律「なんだそりゃ…答えになってないだろ」

唯「え~?」

律「でも……そうだな! その通りだよな!」

唯「うん! ポケモンといると楽しいよ!」

律「へへ…。んじゃあ、次の街に行くか」

唯「うん!」

ヒュウウッ!

「……」ザッザッ

律「!」

「君のポケモン、今話していたよね?」

唯「えっ…?」

「……。そうか、君には聞こえないのか……かわいそうに」

律「…お前、誰だ?」

N「僕の名前はN。
…僕もトレーナーだが、いつも疑問でしかたない。ポケモンはモンスターボールに閉じ込められて幸せなのかって」

唯「閉じ込めるなんて…」

N「君、さっき言ったよね。『ポケモンといると楽しい』って…」

唯「う、うん…」

N「でも、楽しいのは人間だけなんじゃないのかな」

唯「え…」

N「ポケモン自身は、楽しくないのかもしれない…」

唯「そんな…こと…」

N「…モンスターボールに閉じ込められているかぎり……ポケモンは完全な存在にはなれない。
僕はポケモンという友達のため世界を変えねばならない…」

N「…」クルッ

ザッザッ…

律「なんだったんだ…?」

唯「なんか恐かったね…」

律(N…、どこかで聞いたような名前だな…)

唯「りっちゃん?」

律「ん?」

唯「もう行く?」

律「あ、ああ…」

唯「じゃあ行こっか! チー太!」

チー太「チー!」

タタタッ


律「……」

律(ポケモン解放……プラズマ団ゲーチス……N………、か…)

律「ん~…」ポリポリ

律「私も難しい話は分かんねえや!」

唯「りっちゃあん! 置いていくよ~!!」

律「待~てよ! 唯!!」ダッ




Episode.3 fin



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最終更新:2011年04月04日 03:03