=平沢家=


憂「じゃあ、私お風呂の用意してくるから、お姉ちゃんと純ちゃんはリビングに行ってて」

純「うん、わかった」

唯「ありがとう、ういぃぃ」



=リビング=

エアコン「ガーーーー」

唯「こたつあったかいね・・・」

純「・・・はい」

唯「肩まで入っておけば、あずにゃん寒くないかな?」チラッ

梓「・・・・モグモグ」zzz

唯純「(なにか食べてる・・・・)」

純「あの・・・」

唯「・・・・なにかな?」

純「先輩、エアコンとか苦手って憂に聞いたことあるんですけど・・・」

唯「うん、苦手だよ」

純「つけて大丈夫なんですか?」

唯「大丈夫じゃないけど・・・純ちゃんと、あずにゃんが風邪ひくほうが困るから・・・」

純「・・・・優しいですね」

唯「・・・・・」

唯「優しくないよ」

唯「うん、本当・・・私、優しくなくて、やになっちゃう」ハハハ

唯「あずにゃんに言われたんだ『卒業しちゃうくせに、一人にするくせに』って」

純「めっちゃストレートに言われましたね・・・」

唯「うん・・・私・・・なにもいえなかったや」

唯「・・・・本当のことだもん」

唯純「・・・・」

純「・・・・わたし」

純「今日ちょっと、梓にひどい態度とっちゃったんで・・・・」

純「・・・私のやり方が悪いのはわかってるけど、あまりにも梓が頼ってくれないから・・・・」

純「梓が感情的になってたの・・・私が悪いのかもしれません」

唯「・・・・・」

唯「・・・・むずかしいね」

純「・・・・・はい」

梓「」zzz


唯「純ちゃん」

純「はい、なんでしょう」

唯「あずにゃんのために、私はなにもできる気がしないよ」

唯「・・・無力なんだ・・・ほんとうに・・・・」

唯「どうしたら・・・」グスッ

純「・・・・」

純「(私が・・・たった一言『けいおん部入るよ』って梓に言えばいいだけなのにな・・・)」

純「(でも、それを今梓に言ったところで、解決になるのかな・・・・?)」

純「(・・・・わからない)」

憂「お姉ちゃん」

唯「うい・・・・」

憂「お風呂入ったからお姉ちゃん入ってきたら?身体冷たいでしょ?」

唯「でも・・・・あずにゃん・・・」

憂「お姉ちゃんが風邪ひいたら梓ちゃん悲しむと思うよ?」

唯「あ・・・、う、うん。わかった。入ってくる」

憂「あと、梓ちゃんの家の人に電話したら
  『今日は地方に出てて来られない』ってことだから家に泊めるね?」

唯「うん、わかったよ」

純「じゃあ、・・・私はそろそろ帰ります」スッ

憂「ご飯食べていかない?4人分くらいは材料あるよ?」

純「ううん、ごめん。今日は帰るよ」

憂「そっか・・・・」

唯「純ちゃん、今日はありがとうね」

純「いや、私はなにもできてないんで・・・・」

憂「気をつけてね?」

唯「風邪ひかないでね」

純「先輩も。それじゃ、うい、また明日」

憂「うん、また明日ね、純ちゃん」

純「あ・・・・、梓にも『また明日』って言っといて」

憂「うん、わかったよ、純ちゃん」

純「・・・・じゃあ」


―――

憂「それじゃあ、おねえちゃんはお風呂ね」

唯「ん、わかったよ」トタタタタ

憂「ゆっくりあたたまるんだよー」

唯「はーい」トタタタタ

憂「さて・・・・」フム

トタトタトタ

憂「梓ちゃん」

梓「」zzz

憂「おはよう」

梓「・・・・おはよう・・・ございますです・・はい・・」モゾモゾ

憂「もう夜なんだけどね」クスッ

憂「大丈夫?気分悪いとかない?」

梓「うん・・・大丈夫、あ、ティッシュもらえるかな?」

憂「うん、どうぞ」スッ

梓「ありがとう」ズズズズ

梓「はぁ・・・・」

憂「目腫れちゃってるね」

梓「うん・・・・たくさん・・・泣いたから・・・・」ハハハ

憂「すっきりした?」

梓「・・・・ちょっとだけ」

憂「さっき聞いてたと思うけど、今日はうちに泊まってってね」

梓「うん・・・・ありがとう」

梓「いろいろ・・・迷惑かけて、ごめん・・・・」

憂「いいよ~」ヘヘヘ

憂「・・・・」

梓「・・・・」

憂「梓ちゃん」

梓「ん?」

憂「純ちゃんのこと・・・許してあげてね?」

梓「・・・・」

憂「いつも梓ちゃんのこと、からかってばかりいるんだけど」

憂「純ちゃん、いつも梓ちゃんの心配してるんだ」

梓「でも・・・・今日のは・・・・」

憂「うん・・・・それを含めて、純ちゃん、心配してるんだ、梓ちゃんのこと」

梓「・・・・」

憂「ちょっと・・・、てか、かなりやり方が不器用というか・・・・」

憂「空回りしてるし、梓ちゃん傷つけちゃってるんだけどね」ハハハ

梓「・・・・」

憂「・・・・」

梓「・・・ねぇ、うい」

憂「うん?」

梓「わたしって・・・・周りの人、・・・頼ってないのかな・・・?」

憂「・・・頼ってないっていうより、ちょっと1人でがんばりすぎちゃうのかな、梓ちゃんは」

梓「そっか・・・」

憂「・・・・」

憂「・・・・詳しく言うと、純ちゃんに怒られちゃうから言えないんだけど」コホン

梓「?」

憂「今度、純ちゃんに会ったら、左手を見てあげてくれないかな?」

梓「ひだり・・・て?」キョトン

憂「うん、左手。チラっとでいいから・・・」

梓「(・・・・純の左手って・・・どんなだっけ・・・・?)」

梓「(憂の指ならさっき夢でモグモグしたんだけどなぁ・・・)」

憂「あと、これ言ったの、純ちゃんに内緒にしてね?」

梓「・・・うん、わかったよ」

憂「それと、私もエゴ押し付けしちゃうんだけど」ヘヘヘ

梓「?」

憂「私、今キーボードの練習がんばってるんだ!!」

梓「・・・・」

憂「まだ、紬さんみたくうまく弾けないんだけどね」

梓「・・・・・そか・・・・憂が・・・キーボード・・・・」

憂「うん、そうなんです」フンスっ

梓「(あぁ・・・・そうなんだ・・・だから)」

梓「(だから・・・・ムギ先輩・・・・・憂に楽譜を・・・・)」ウルッ

梓「(それに・・・・・純と澪先輩も・・・・)」

梓「(私・・・別に仲間はずれにされてたわけじゃなかったんだ・・・)」グスッ

梓「(いや・・・・、むしろ・・・・ちゃんとあったんだ)」グスッグスッ

梓「(私からふれようとしたら・・・・私がほしいもの・・・・ちゃんとそこにあったんだ・・・・)」ポロポロポロ

憂「あ、あずさちゃんっ!?」

梓「・・・・ずずっ・・・・」ポロポロ

梓「・・・・ご、ごめん・・・うい・・グスッ・・・・・」ポロポロポロ

憂「だ、大丈夫?」

梓「うん、大丈夫・・・・今のは・・・うれしくて泣いたんだよ・・・グスッ・・・」

憂「うれしくて・・・・?」

梓「うん・・・うれしくて、だよ」ポロポロ

憂「そっか・・・・」

梓「でも・・・・私、そしたら・・・・唯先輩にも、純にも悪いこと言っちゃったなぁ・・・ズズズッ・・・」

憂「梓ちゃん」

梓「うん?」ズズッ

憂「また明日があるから、大丈夫だよ」

梓「また明日?」

憂「うん。純ちゃん帰り際に『また明日って梓にも言っといてくれ』って」

憂「だから、大丈夫だよ」ニッコリ

梓「そっか・・・また・・・明日か・・・・」グシグシ

憂「うん、また明日なんだよ」

梓「うい・・・」

憂「ん?なにかな、梓ちゃん」

梓「ありがとう」ニッコリ

憂「どういたしましてだよ」ニッコリ

トテテテ

唯「ういーーあがったよーーー」ホカホカ

憂「あ、おねえちゃん!ちゃんとあったまった?」

唯「うん、ご覧のとおり、ユデダコです」ホカホカ

憂「お姉ちゃん、私、晩御飯の準備してくるから梓ちゃんお願いね!」タタタタ

唯「・・・・」ホカホカ

梓「・・・・」

唯「あ・・・」チラッ

梓「・・・・どもです」

唯「あずにゃん・・・・」ホカホカ

梓「ゆい・・・せんぱい」

唯「・・・・座っていいかな?」

梓「あ、はい!!」

唯「・・・・では」ストン

梓「・・・・」セイザ

唯「・・・・」セイザ

唯梓「「あ、あのっ・・・・・ごめんなさいっ!!!!」」ドゲザ

唯「あ・・・・!」

梓「あ・・・・!」

唯「今謝ったタイミング一緒だった・・・?」

梓「・・・・ですね」

唯「一緒に謝ったら、どっちが悪いのかな?」

梓「・・・・わかりません」

唯「・・・・」

梓「・・・・」

唯「・・・あずにゃん」

梓「はい・・・・」

唯「私、あずちゃんを1人にしちゃう、そのことにはなにもできない」

梓「・・・・・」

唯「寂しい思いを・・・・させてしまって・・・・本当にごめんなさい・・・・」ペコッ

梓「・・・・せんぱい・・・」

唯「でも・・・、これからのことは・・・何もできないわけじゃないって・・・今さっき思ったんだ」ジー

梓「・・・・?」

唯「あのさ・・・・いつもみたく、ギュってしていい?」

梓「えっと・・・・は、はい。いい・・・・ですよ・・・」

唯「へへへ・・・・あずにゃん・・・」ギュッ

梓「・・・・ゆいせんぱい・・・」

唯「あずにゃん・・・ひゃっこーい」ギュー

梓「せんぱいは・・・・あったかいです」

唯「あのね、あずにゃん」

梓「はい」

唯「あずにゃんに、私の3年間をプレゼントするよ」ギュ

梓「3年間・・・・ですか?」

唯「うん、そうだよ、私が、3年間ずっとがんばってきたこと」フヘヘ

唯「みんなで、・・・・澪ちゃんと、ムギちゃんと、りっちゃんとで、プレゼントするから」

唯「だから・・・・待っててね?」

梓「はい・・・・待ってます」

梓「ゆいせんぱい」

唯「ん?」

梓「ありがとう・・・ございます」ギュッ

唯「おぉ~~、!?あずにゃんからだきしめられたよーー!!」ウッヒョーー

梓「そ、そんなに喜ばれると・・・・なんだか・・・恥ずかしいです・・・・///」

唯「あずにゃんにふれたら、それだけでしあわせになれるんだよ」アッタカアッタカ

唯「ありがとう!あずにゃん」ギュ




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最終更新:2011年04月05日 18:47