Episode.19




《ゆめのせかい・・・???》


タッ!

律「ふう…、ここが『ゆめのせかい』か…?」

律「……」キョロキョロ

律「…なんか、のどかな場所だなー。木がたくさんあるな…、森みたいだ」

おにいさん「君、ここは初めてかい?」

律「あ、はい…。えと、ここはなんていう所なんですか?」

おにいさん「“ホワイトフォレスト”さ。癒しの森、人々の憩いの場さ」

律「へえ…」

律(さっきいた場所とは雰囲気がだいぶ違うなあ…)

律「あの…この近くに黒いビルが立ち並んでる街ってありません?」

おにいさん「え? ビルが…? そんな場所あったかなあ…。“ヒウンシティ”が一番の都市だけど、最近発展したばかりだし、ビルはあまりなあ…」

律「……え?」

おにいさん「?」

律(まさか…)

律「その…、おかしいことを聞きますけど……今って西暦何年ですか…?」

おにいさん「え? 2XXX年だけど…」

律「な、なんだって~!?」

律(ってことは…ここは10年前の世界か!?)

おにいさん「…?」

律(タイムスリップしちまったってことか…)

おにいさん「…あ、あの。じゃあ僕はもういくよ」タタッ

律「……」

律「待てよ…、ここが過去の世界なら、カトレアが言っていた『ある人を助けて』って…ある人がまさか死………。
いや、今はなにも考えず私の役目を果たすか…」

タタタッ

おとこのこ「待てよ~! バルチャイ~!」ヨチヨチ

バルチャイ「バルチャー!」パタパタ

タタタッ

律「…にしても、ここ平和だな~。本当に誰かを助けなきゃいけない場面に出くわすのかよ」

ザッザッ…

「…ここが“ホワイトフォレスト”か」

律「ん? なんだ、あのオッサン」

「きゃつらめ…。ここを襲撃するとは真か?」

律(襲撃…?)

「…プラズマ団め」

律「…!!」

「しかし、まだきゃつらはいな…」

律「ちょっとすみません!!」

「…ん? なんだ、お嬢さん。
今立て込んでいるから、遊ぶならお母さんと…」

律「プラズマ団って言いました?」

「…!」

律「プラズマ団を知っているんですか?」

「……。知っていたらなんだ?」

律「私はプラズマ団を倒すためにポケモンを鍛えているんです。私は奴らのことを知りたい!」

「プラズマ団を倒す…? ふん、おぬしのような子供になにができる!
カブルモ!!」ボム!

カブルモ「ルモー!」ダッ!

律「…ボルト! “ニトロチャージ”!!」ボム!

ボルト「シマー!!」ボウッ!

ドガン!!

カブルモ「!?」

「…!!」

律「子供じゃない…、トレーナーだ!!」

ボルト「シマー!」

「……。戻れ、カブルモ」シュウウッ

「その気持ちは本当のようだな。おぬしの名は?」

律「…田井中律です」

アデク「わしはアデク。いいだろう…、プラズマ団のことを教えよう。おぬしとなら一緒に戦えそうだ」

律「ありがとうございます。
…それで、さっき言っていた襲撃というのは?」

アデク「うむ。その通り、プラズマ団はこの“ホワイトフォレスト”を襲撃するつもりだ」

律「…! やっぱり…」

アデク「わしはそれを阻止するためにここへ来たのだ」

律「…でも、アデクさんはどこでそのことを知ったんですか?」

アデク「…それは言えぬ」

律「そうですか…、でもやる事ははっきりしている!
一緒にプラズマ団を止めましょう!!」

アデク「ああ!」

アデク「襲撃はおそらく今日の深夜だ! それまでに森の住人の避難や…」

ギュオッ…

律「…!?」

アデク「む! どうした!?」

律「身体が引き寄せられ…!!」

ギュオオッ!!!!

………
……


ドサッ!

律「うっ!」

ゴヨウ「お帰りなさい。大丈夫ですか?」

律「あれ…?」

ゴヨウ「驚かせてすみません。実は『ゆめのせかい』にいられる時間は『3時間』までという制限があるんですよ」

律「それを早く言ってくれよ…」

ゴヨウ「すみません」

唯「でもりっちゃん! こっちも頑張れば、いられる時間を長くすることもできるって!」

律「唯!」

カトレア「わずかな時間だけですがね…」

律「カトレア…」

カトレア「それで、向こうでは誰かとお会いしました?」

律「ああ…、アデクさんって人に」

ゴヨウ・カトレア「…!」

律「あと、10年前からプラズマ団っていたんだな…。
って! 先に言っといてくれよ!! 過去に行くってさ!!」

ゴヨウ「ふふ、それではお楽しみがないではないですか」

律「いらねえから、そんなの!」

唯「過去…?
なんで過去なんか…」

ゴヨウ「ええ、未来を変えてほしいのですよ。ある人を助けてね…」

唯律「!!」

律「だから、ある人って誰なんだ!?」

ゴヨウ「それは言ってはいけないのです。我々からヒントを与えてしまっては『ゆめのせかい』の効力が薄まり、未来はそのままになってしまいます。
なので極力、なにも言わないで行ってもらったのです」

律「そうだったのか…」

ゴヨウ「さあて、そろそろ“ゆめのけむり”が出ますかね?
では、またお願いします」

律「…はいはい」

………
……

《ホワイトフォレスト》


シュタッ

律「ういしょっと…、二回目となると慣れるもんだな」

律「アデクさんはどこに…。………!!?」

律「な、なんだ!? 森全体が焼け野原に…!!
もうプラズマ団が襲撃してきたのか!?」

「ウオオオオオオオオオオオオオ!!!!」

律「!!
あれは…アデクさん!」

タタッ

律「アデクさん!!」

アデク「…! 律か…」

律「これ…プラズマ団が……?」

アデク「…ああ。きゃつらめ…、なんてことを…」

律「それにしても…こんなになるなんて……、どんなことをしたらこんな風にできるんだ…!?」

アデク「きゃつらが従えるポケモンがやったのだ」

律「ポケモンが…?」

アデク「ああ、そのポケモンというのは…」

「アデクさ~ん!!」

アデク「…!」

律「ん…?」

「アデクさん、大丈夫ですか!?」

律(なんか見たことある顔だな…)

アデク「カトレア! なぜここに!?」

律「えええ!? カトレア!!?」

アデク「む。律、カトレアを知っているのか?」

律「え? いや…」

カトレア「アタクシ、知らないです! こんなおでこの人!」

律(な、なんだってぇ…?)ピクピク

アデク「すまんな、律。こやつは教育が行き届いてなくてな」

律(まあ…10年前だからカトレアがいてもおかしくはないか…)

アデク「そんなことより、どうして来たのだ! 危ないからここに来るなとは言ったはずだぞ!!」

カトレア「だ、だって…アデクさんが心配だったんですもん…」

アデク「……」

「アデクししょーお!!」タタッ

律「ん?」

アデク「レンブ!? おぬしまで!!」

レンブ「はあはあ…」

律「レ、レンブ!?」

アデク「?」

律(確か七賢人の…)

レンブ「アデク師匠! ご無事で!?」

アデク「…まったくおぬし達は……」

「す、すみません。アデク様…!」タッタッ

アデク「! コクラン」

律(この人は初めて見るな)

コクラン「申し訳ございません…、私が目を離した隙に……」

アデク「コクラン、困るぞ。こやつらを守るのがおぬしの役目ぞ」

コクラン「ハッ、心得ています。では帰りましょう、カトレア様。レンブ様」ガシッ

カトレア「イヤです!!」バシッ

コクラン「!」

レンブ「俺達は師匠をお守りしたいのだ!!」

コクラン「しかし…」

カトレア「アタクシの命令に逆らう気ですか!?」

コクラン「いえ、ですが…」

アデク「カトレア、レンブ。わしもコクランもおぬし達に何かあっては困るのだ。
分かるだろう?」

レンブ「……」

カトレア「ですけど…」

アデク「いつプラズマ団がまた襲撃をしてくるか分からないのだ。だから…」

ドオオオオオン!!!!!

アデク「!!」

律「あれは…!?」

「「「プラーズマー!」」」

「“ホワイトフォレスト”…。ここはポケモンと人間が共生している自然の森か…」

「ふん、下らん」

「ですね、ポケモンと人間が共に暮らすなど……」

律「…!!」

律(“ヒウンシティ”で会った奴が二人!!)

アデク「マツブサ、アカギ、アオギリか…!!」

マツブサ「ククク…」

アカギ「……」

アオギリ「ふふ…」

律(アオギリか…、ゲーチスが言ってたな…。ってことは七賢人か…?)

アデク「コクラン!! カトレアとレンブを連れて逃げるのだ!!」

コクラン「はい!!」ガシッ

ダッ!

マツブサ「逃がさねえぞ?」

キンッ!!

コクラン「ぐあっ!
…!? 見えない壁が!!?」

アデク「…ポケモンの技か!!?」

マツブサ「クク、そうだ。なあ?」

アオギリ「ええ。私のドククラゲの“バリアー”…森一面に張っておきましたよ」

アカギ「…これで逃げられん」

アデク「ぬう…!」

カトレア「コ、コクラン…」

コクラン「大丈夫です、カトレアお嬢様」

マツブサ「ハッ! 気休めだなあ?
俺達が何を従えているか知らねえのかよ!」

律「…なにを従えてるってんだ?」

マツブサ「んん? 誰だ、お前。見たことない顔だな?」

律「誰でもいい! 森をこんな風にしやがって!!
許せねえ!! …ボルト!!」ボム!

ボルト「シマー!!」

マツブサ「ハッ! いけえ!!」ボム!

バチイン!!!

ボルト「!?」

律「ボ、ボルト!!」

マツブサ「ククク、すまねえなあ…。力の加減ができねえや…」

コクラン「あのポケモンは!?」

アカギ「……」ボム!

アオギリ「ふふ」ボム!

律「…!!」

アデク「そう、きゃつらの使うポケモンは伝説のポケモン…」

マツブサ「コバルオン!!」

アカギ「ビリジオン!」

アオギリ「テラキオン…!!」




Episode.19 fin



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最終更新:2011年04月05日 23:10