Episode.26
《ワンダーブリッジ》
紬「ここが“ワンダーブリッジ”ね~♪」
梓「はい。どんな衝撃もやわらぐように最先端の技術でデザインされた橋…だそうです。
イッシュで一番安全性に優れた橋ですね」
紬「へ~。“スカイアローブリッジ”は見たけど、ほかの橋も見てみたいわね」
梓「そうですね…。
では、渡りましょうか」
………
……
…
梓「もうすぐ出口ですね」
紬「あれ? あれは何かしら…」
おとこのこ「……」
梓「ずいぶんと橋の端に立ってますね…」
紬「ま、まさか…!
あの子…!!」
梓「え、縁起でもないこと言わないでくださいっ!!
とりあえず話かけてみましょう!!」
タタッ
梓「あの、君…」
おとこのこ「……」
おとこのこ「」スッ…
梓「!?」
紬「き、消えた!?」
梓「ム、ムギ先輩! き、消えちゃいましたよ?!
なにが起こって…!」
紬「お、落ち着いて、梓ちゃん…」
梓「さ、さっきのは…まさか幽霊!?」
紬「研究者である梓ちゃんの口からその単語が出るなんて珍しいわね」
梓「でもいきなり消えて…!」
「幽霊なんかじゃないぞ!」
紬梓「……」
梓「…えっ?」
「さっきのニンゲンはオイラだったんだぞ!」
紬「ポケモン…?」
梓「…“へんしん”でもしたって言うの?」
「ちょっと違うけど、そうだぞ!」
梓「そんな…、メタモンじゃあるまいし…」
「信じてないな? なら、見せてやるぞ!」
ポン!!
梓?「どうだぞ!!」
梓「わ、私!?」
紬「梓ちゃんだわ~♪」
梓「って、尻尾がついてますけど…」
紬「かわいい~♪」
梓?「これで信じてくれるな?」
梓「ま、まあ…」
紬「ごめんね?」
梓「ていうか、私の姿から早く戻って!」
ポン!!
「そうだ、まだ名乗ってなかったぞ!
オイラの名前は…」
「ゾロアですね」
ゾロア「…!」
紬梓「!!」
「わるぎつねポケモン、ゾロア。
そして、思わぬゲストも…」
紬梓「ゴヨウさん…!!」
ゴヨウ「“やりのはしら”以来ですね」
梓「どうしてあなたがイッシュに!!」
ゴヨウ「まあ、そう熱くならないでください」
ゾロア「ゴヨウ! 今日はなにを持ってきてくれたんだぞ!?」
ゴヨウ「“モーモーミルク”ですよ。どうぞ召し上がれ」
ゾロア「ありがとうなんだぞ!」ペロペロ
紬梓「……」
ゴヨウ「…私はね、今“ブラックシティ”というところで修行をし、頭を冷やしています。自分がしてきた過ちを悔いてね」
梓「…そうなんですか」
ゴヨウ「……。よろしければ、“ブラックシティ”にどうぞ。なかなかいいところですよ。
では私はこれで…」
ゾロア「オイラも行くんだぞ!」
ゴヨウ「ええ、大歓迎ですよ」
タッタッ…
紬梓「……」
紬「私たちも行きましょうか」
梓「そうですね…」
梓(ゴヨウさんは自分のした事の重大さを分かってるのかな…。ちょっとやそっとじゃ罪は償えないぐらいなのに…。
……それを確かめるためにも、行かなくちゃ)
………
……
…
《15ばんどうろ》
ザアアッ!!!!
梓「すごい雨ですね…」
紬「本当…。歩くのがやっとね…。これが異常気象ってものかしら」
梓「早く通り抜けちゃいましょう」
タタッ
「……」ヒュッ
ゴロゴロ……
「……」スッ……
………
……
…
《ブラックシティ》
梓「着きました! “ブラックシティ”です!!」
紬「ビルが建ち並んで……るけど、お花も咲いてるわね」
梓「? 人工の花でしょうか?」
トレーナー「バルチャイ、今日はここでご飯にしようか」
バルチャイ「バルチャ!」
梓「あ、君!」
トレーナー「ん?」
梓「“ブラックシティ”の人だよね?」
トレーナー「そうだよ。なにか用かい?」
紬「ゴヨウさんって人を知ってるかしら?」
トレーナー「ああ、ゴヨウさんね…。知ってるぞ。
最近、この“ブラックシティ”に自然を増やそうという企画を立てて、資金を自ら出してるんだ」
紬「自然を?」
トレーナー「ああ。『自然を増やせば、ここも住み心地がよくなり、昔のように人々が平和に暮らせる場所になるだろう』ってね。
この街のために色々やってくれてる。いい人だよ、あの人は」
梓「いい人…」
紬「……」
「やあ、ご両人。“ブラックシティ”にようこそ」
梓「!」
紬「ゴヨウさん!」
ゴヨウ「どうぞ、私の家へ上がってください。立ち話もなんですからね」
紬梓「……」
ガチャッ
ゾロア「お帰りなんだぞ!」
ゴヨウ「ええ、ただいま」
紬梓「……」
ゴヨウ「…」
梓「なぜゴヨウさんが…」
ゴヨウ「……。先程言ったとおり、シンオウでの自分の罪を償おうとね」
紬「自然を増やすことでですか」
ゴヨウ「…それについては事情がありまして」
梓「?」
ゴヨウ「…プラズマ団と呼ばれる組織をご存知ですか?」
紬梓「!!」
ゴヨウ「ふふ、やはりご存知でしたか。あなた方は悪をくじくべき宿命を背負っているようですね」
紬「……」
梓「今度はプラズマ団に転向ですか?」
ゴヨウ「はは、そんな恐い顔をなさらないでください。
プラズマ団に所属するなんてとんでもない。むしろプラズマ団は私の仇です」
紬梓「仇…?」
ゴヨウ「そうです。私は直接的には関わっておりませんが、実はここ“ブラックシティ”はですね。昔は今よりももっと自然が溢れる、“ホワイトフォレスト”と呼ばれる森だったのですよ」
紬「それがどうしてこんな都会に?」
ゴヨウ「まあ時代が変わるにつれ、都会になっていったのですが…それよりも明確な理由があるのですよ」
梓「…なんですか?」
ゴヨウ「“ホワイトフォレスト”は美しい自然が溢れ、多くのポケモンが住んでいた。しかしプラズマ団により、そのすべてが破壊されたのです」
紬梓「!!!」
ゴヨウ「私もそのことはここに住みはじめた時に初めて知りました。
そしてフツフツと怒りが込みはじめた…。かつてのここの写真を見てね。
私は誓いました。償いではなく、ただ純粋にこの街…いえ昔の森を取り戻したいと!
確かに私は悪事を働いた。しかし、この気持ちは本物なのです!!」
紬「…ゴヨウさん」
梓「……」
ゾロア「ゴヨウは本当にこの街のためにやってくれてるんだぞ!」
梓「ゴヨウさん、あなたは…」
バアアン!!!!
紬梓ゴヨウゾロア「!!?」
「「プラーズマー!!」」
下っ端1「ここがゴヨウの家であってるな!?」
紬梓「プラズマ団…!」
ゴヨウ「私がゴヨウです!
私に何の用で…」
スッ
下っ端2「お前に用はねえよ」
ゴヨウ「!?」(いつの間に移動した…!?)
ガシッ!!
ゾロア「うああっ!」
梓「ゾロアが…!」
下っ端2「へへ、用があるのはこいつだよ」
紬「ゾロアを放しなさい!!」
下っ端2「おっと! なにを言おうと構わねえが、近付いたらゾロアがどうなるか…分かってるよな?」
紬「う…」
下っ端1「よし、行くぞ!」
下っ端2「おう!」
ダダッ!
ゴヨウ「く…!」
梓「追いかけましょう!」
紬「もちろんよ!」
………
……
…
《まよいのもり》
下っ端1「ふう、奴ら追ってくるかな?」
下っ端2「そりゃあな…。まあその前にコイツをゲーチス様に差し上げて、解放させてもらえば任務完了だ」
ゾロア「は、放すんだぞ…!」ジタバタ
下っ端2「暴れるんじゃねえよ、うぜえな!!」ドガッ!
ゾロア「…ッ!」
下っ端2「おとなしくしてろ」
下っ端1「…にしても、ここ隠れる場所がないなあ。森だというから逃げてきたのによ」
「“まよいのもり”という名称だけで判断したようですね」
下っ端たち「…!」
ゴヨウ「この森は構造自体は複雑ではないのに、何故か迷いやすいと言われているのですよ」
下っ端1「もう追いついたのか!」
ゾロア「ゴヨウ!!」
ゴヨウ「今助けます!
エーフィ!!」ボム!
エーフィ「フィー!」
ゴヨウ「サイコキネ…」
パアアアン!!!
エーフィ「…!?」
ゴヨウ「なんです!?」
下っ端1「ククク…」
ゴヨウ「…!」
下っ端1「なにが起こったか分からないか?」
下っ端2「ククク…、分からないから驚いているんだろォ?」
下っ端1「ククク、そうだな」
紬梓「ゴヨウさん!!」タタッ
ゴヨウ「! 梓さん、紬さん、来てはいけません!!」
パアアアン!!!!
紬梓「うわあっ!?」
ゴヨウ「ああっ!」
紬「なに…!?」
梓「そこの草陰になにかいます!
さわちゃん、“みやぶる”!!」ボム!
さわちゃん(サワムラー)「ダーイライ!」
キイイン!!!
ガサッ!
梓「正体を現せ!!」
「チムー!」 「チミルー!」
紬「あのポケモンは…?」
最終更新:2011年04月05日 23:23