純「今何時だっけ?」
梓「九時だね」
純「そろそろ終点に行く?」
憂「うーん。もうちょっと、三人で話そっか」
梓「そうだね」
純「梓、なんかお題出して」
梓「えー、なんで私が」
純「部長だから。別になんでもいいよ」
梓「えーと……じゃあ、桜が綺麗だね」
憂「うん!」
純「そだね」
三人「……」
梓「もっと何か答えてよ!」
純「分かったよ。憂、どうぞ」
憂「えーっと、桜……夜桜」
純「四重奏?」
梓「……」
憂「会話が続かないね」
梓「なんか、お題出した自分が恥ずかしい」
純「じゃあ次は憂。もう自分の決意とか悩みとか好きに言っちゃえ」
梓「また大袈裟な……酔ってる?」
純「お酒なんか飲んでないから」
憂「分かった。えっとね……お姉ちゃんがいなくなって寂しいです!」
純「えっ?」
梓(そう来たか)
純「酔ってる?」
梓「えっ?」
憂「こういうのじゃ、ダメかな?」
梓「……ダメじゃないよ。だって、憂の気持ち分かるもん」
純「まぁ、唯先輩が修学旅行に行った日も憂、帰って来ないって気付いたら涙目になってたもんね」
憂「あ、あれは!」
純「夏フェスの時とかどうしてたの?」
憂「あの時は、別に……も、もう寂しくないから! お姉ちゃんがいなくても平気だもん!」
純「ありゃー、拗ねちゃったか」
憂「ふーんだ!」
梓「だったら私、たまには憂の家に泊まりに行くよ」
憂「いいの!」
梓「うん。だって、軽音部の仲間じゃんか」
憂「ありがとう、梓ちゃん!」ダキッ
梓「ちょっ、憂!」
憂「梓ちゃんが来てくれたら、嬉しいよー」
梓(可愛いなぁ、おい)
純「うぅー、だったら私も泊まりに行く! 私だって軽音部の仲間だもん!
いいよね、憂!」
憂「うん。その時は、美味しい料理用意して待ってるからね」
純「了解」
梓「じゃあ、次は純だね」
純「私か……私はねぇ」
憂「うんうん」
純「みんなと楽しい思い出をたくさん、作れたらいいなぁ」
梓「思い出?」
憂「思い出かぁ」
純「三年生になったら、進路や受験とか色々あるけど、そんな中でも私は楽しい思い出を作りたいんだ」
梓「……」
純「そしてそれが、自分の宝物になるくらい大切なモノにしたい」
憂「……」
純「って、気取り過ぎかな?」
梓「ううん。そんなことないよ」
憂「私も、思い出は大切にしたい」
梓「いい考えだと思うよ」
純「そっか……だったら憂、梓。これからもよろしくね」スッ
梓「よろしく」ギュッ
憂「私も、よろしくね」ギュッ
純「ありがとう」
梓「そろそろ帰ろっか」
憂「そうだね。明日から学校だもんね」
純「じゃあ、缶を捨てて」
ヒュー!
憂「風が!」
純「ちょっと強いね!」
梓「あっ、見て」
ヒラヒラ、ヒラヒラ
憂「うわぁー、桜吹雪だよ!」
梓「綺麗だねぇ」
純「おぉー、なんかいいもん見れた気がする」
梓「明日、いいことありそうだね」
憂「クラス。一緒だといいね」
純「そうなれば最高だよ」
梓「純、今日は誘ってくれてありがとう」
憂「私もありがとう」
純「いやー、照れるなぁ」
梓「あっ、純が照れてる」
純「わ、私だって照れることくらいあるよ!」
憂「ふふっ、そうだね。じゃあ、行こっか」
純「ねぇ」
憂「何?」
純「来年また、ここの夜桜見に来ようよ」
梓「そうだね。今度入る新入部員や」
憂「お姉ちゃん達も一緒に、お弁当や飲み物持って」
純「うん」
―――
終点。
梓「じゃあ、帰ろっか」
憂「うん」
純「あぁー、しまった!」
梓「ど、どうしたの純!?」
憂「急に大きな声出して」
純「思い出作りに誘ったのに、その写真撮るの忘れた!」
梓「携帯で撮ればいいじゃん」
純「そりゃ分かってるけど、夜桜をバックに撮りたいんだよ!」
梓(また細かいことを……)
憂「二人ずつ撮るのは?」
純「三人一緒がいい!」
憂「合成する?」
純「味気ない!」
梓「我が儘だなぁ」
純「あーあ、誰かいないかなぁ。写真撮ってくれる人」
「あらあなた達、何やってるの?」
純「えっ……あー、あなたは」
梓「さわ子先生!」
さわ子「こんばんはー」
憂「こんばんは。先生は何やってるんですか?」
さわ子「私は友達と夜桜見物よ。このあと、知り合いの居酒屋に行くけど、あなた達も来る?」
梓「いえ、行きません。明日から学校ですから」
さわ子「あらそう。私も学校あるんだっけ?」
梓(おいおい)
純「さわ子先生!」
さわ子「あらえっと、鈴木さんだっけ?」
純「そうです。あの、お願いがあります」
さわ子「何かしら? お金以外の相談なら乗るわよ」
純「携帯で私達の写真を撮って下さい!」
さわ子「……はい?」
さわ子「ほら、ニッコリ笑って……梓ちゃん、もっと笑顔……そうそう。よし、いくわよ。ハイ、チーズ」
ピロリン!
さわ子「撮れたわよ」
純「ありかどうございました!」
―――
帰り道。
梓「じゃあ、私と憂は向こうだから。明日、遅れないでね」
純「分かってるよ」
梓「ベースもいるからね」
純「分かってますよ!」
憂「じゃあね純ちゃん、おやすみ」
梓「おやすみ」
純「はい、おやすみ。また明日ねー」
純「ふわぁー。さてと、帰りますか」
今日、新しい思い出が一つ増えた。
三人で夜桜見物に行けて、本当に良かったよ。
さわ子先生に撮影して貰った写真だけど、
結構、良い感じに撮れてたよ。
待ち受けしようとか冗談言ったら、梓に怒られちゃった。
さて明日から私達は三年生になるけど、梓や憂と同じクラスになれてるかな。新入部員来るかな、受験は大丈夫か!?
まぁ色々と未来に不安はあるけど、今それを考えても仕方ない。
純「とりあえず今日はぐっすり寝るぞー!!」
おしまい
最終更新:2011年04月06日 01:43