~最終章 別れ、そして祈り~
紀美「状況は?」
和「今のところ、全滅かと・・・」
紀美「なぜお前は残念そうな顔を浮かべている・・・?」
和「い、いえ・・・」
紀美「所詮、機械は機械ということか。一度壊れたら手に負えない・・・」
兵士「大佐、生存と確認できるモノ、一体を確認しました!」
紀美「・・・なんだとっ!?」
兵士「おそらく、首謀者の【ZERO】であるかと思われます」
和(・・・っ!?)
紀美「まだ生きているんだな?」
紀美「フンッ・・・さすがだな。お前の人形は」
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律「私たちは・・・硝煙したんだ・・・」
ギギギギ・・・・
律「この戦争に・・・誰が敵で、誰が味方なんてない・・・」
律「私たちは・・・ただ、この醜い争いを終わらせたかった・・・」
ギッ・・・ギギギッ・・・
律「早く・・・休みたかったんだ」
律「私の名前は、【ZERO】」
ギギッ・・・・
律「第四独立“機械化”遊撃部隊の隊長であり」
律「“ニーベルゲンの死神”と恐れられた、ただの・・・」
ギッ・・・
律「ただのサイボーグだ」
私たちが律のもとに到着した時、彼女はもう以前の姿を留めていなかった。
手足は無残なまでにも引きちぎれ、そこからは無骨な金属がむき出しになっている。
和(りつ・・・)
その場で崩れ落ちたかった。
だが、河口大佐の憎たらしい声が私にそうさせなかった。
紀美「こいつ・・・まだ動くのか?」
兵士「はい。生体反応がまだあります」
紀美「そうか。まだ動けるのか・・・」
そういって、大佐は律の隣へと腰かけた。
紀美「逃げられると思ったか?」
そう言いながら、タバコを取り出して、火をつける。
紀美「お前たちはただの飼い犬だぞ?」
紀美「人形だ」
律の肩に腕を回し、そして・・・
紀美「鉄クズのな」
コンコンッと、もう片方の手の指でライターを突きながら、彼女はついにそう言い放った。
紀美「どうした?仲間が死んで辛いか?」
更に言葉を続けていく・・・
紀美「泣いてみろ」
紀美「人間のようにな」
そして、律の耳元で、そう呟いた。
紀美「フンッ。 機械には無理か・・・」
ギギギギッ・・・・
律が機械音を鳴らしながら、大佐の方へと顔を向ける
紀美「もういい。殺せ」
和「っ・・・!?」
それを知ってか知らずか、大佐は吐き捨てるようにそう言い、立ち上がった。
律に、一斉に短機関銃の銃口が向けられる。
律「私たちの方が・・・よっぽど・・・」
律が口を開く。
和(お願い・・・もうやめて!)
律「人間らしいぜ」
紀美「・・・っ!? このっ・・・!!」
大佐は傍にいた兵士から短機関銃を奪い取り、容赦なく律に銃弾の雨を浴びせる。
ダダダダダダダダダダダダ・・・・・・・・・!!
銃口から発せられた弾は、機械と化した律のカラダに当たり、弾け飛んでいく。
ダダダダダダダダ・・・・・・!!
銃弾を受けた律のカラダは、その衝撃を受け、上下に激しく揺れ動く。
ダダッ・・・・カチッ・・・カチッ・・・・
そして、その激しい銃弾の雨が止んだ時、律のカラダはすでに動かぬものとなっていた・・・
紀美「・・・何一つ残すな。こいつらの痕跡をな!!」
兵士たち「Yes, sir!!」
紀美「何が人間らしいだっ・・・」
そう呟きながら、大佐は本部へと歩いていき、
他の兵士たちも【GHOST】達の証拠を隠蔽する作業に取り掛かり、
その場に残ったのは私と・・・律だけになった。
和「人間・・・らしいか」
私の意思に関わらず、私は膝から崩れ落ち、そう呟いていた。
和「私は・・・私はとんでもない事をしてしまった・・・」
目から大粒の涙が流れ落ちていく。
そんなことをしても許されはしない罪だと分かってはいるけれど。
和「ごめんねっ・・・ごめんねっ・・・!!」
その後、私は彼女に何度も何度も謝り続けた・・・
たとえ自由を奪われても、最後まで人間らしく生き続けた彼女に。
この子が人間だった証を。
この子たちがいつまでも仲間だと誓い合ったあの日の写真を。
和「あなたの・・・記憶の・・・カケラよ」
あの日、無残にも2つに引き裂き、この子達から奪い去ってしまったあの日の写真を、
律の手に、そっと握らせた。
和「ごめんねっ・・・ホントにごめんねっ・・・・」
そういって、私はこれ以上耐えられなくなり、その場から駆け出した・・・・
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重火器の激しい爆撃を受け、無残に焼け散った街・・・
その中で、手足の捥げた悲しき運命の少女の目が・・・
一度は光を失ったその目が再び・・・少しずつ輝き始めた。
律(和・・・)
視線が写真の握られた・・・彼女の四肢の中で唯一残った右手に向けられる。
律(これは・・・?)
その手の中には、かつてのように笑いあう彼女たちの姿が・・・
永遠に続くであろうその姿があった。
律(あの日の・・・)
機械と化した彼女の目から涙が・・・
使い古したオイルのような白く濁った色ではあったが、
この世のどんなモノよりも美しい涙が流れ落ちた。
律(最後のカケラが・・・埋まった)
彼女の中から、楽しかったあの日々の思い出が、走馬灯のように溢れ出してくる。
そして、今度こそ永遠に・・・しかし今回は静かに、彼女の目は光を失った。
~Epilogue~
戦争が終わり、街に少しずつ静けさが戻ってきた現在、私と憂は、かつての友達の墓の前にいる。
和「みんな・・・あなた達の思い焦がれていた、戦争のない世界がもうすぐ、始まろうとしているわ」
和「正直・・・私なんかがこの世界を生きていていいのかって思うけど・・・」
憂「そんなこと言っちゃだめだよ、和ちゃん。
お姉ちゃん達はきっと、元気になった和ちゃんに、この世界を生き抜いてほしいと思ってるはず」
憂「あの日、澪さんに届いたあの手紙にも、そう書いてあったよ」
『なあ澪・・・どんなことがあっても、私たちはずっと仲間だからな? もちろん、和も』
『私たちがこの戦争を終わらせて帰ってきたら、みんなで和に説教してやらないとな』
『そして、あいつにも笑顔を取り戻してやらないと・・・』
憂「だから『めっ!』だよ和ちゃん。 そんな顔してちゃ」
憂「ほら見て和ちゃん。 このお花さんたち、お姉ちゃんたちみたい。」
そこには寄り添って咲く、美しい5輪の花があった。
憂「仲良しさんだね~」
和「そうね・・・きっと唯たちも、天国でこうして仲良く笑ってるに違いないわ・・・」
長かった私の戦争も、かけがえのない友人たちのおかげで、ついに終焉を迎えた。
律・唯・澪・紬・梓『この世界にいつか、戦争のない平和が訪れることを』
律・唯・澪・紬・梓『心から祈っています』
Fin.
最終更新:2011年04月13日 23:24