唯(殺人……私なんかで本当ににいいのかな)
男1(殺人かよ、面倒そうだな…)
検察官「被告人は持っていたナイフで被害者のAさんを刺殺しました」
検察官「これは紛れもない事実であります」
裁判長「被告人は今の検察官の意見に対し何か言いたいことはありますか?」
被告人「確かに僕はAさんを殺してしまいました」
被告人「でもそれは、自分の身を守るためだったんです」
唯(えーっと、こういうのって正当防衛っていうんだっけ?)
唯(あ…でも相手が死んじゃってるし正当防衛とは限らないかも)
被告人「Aさんに殺されるかと思って、自分の身を守るために……」
裁判長「詳しく聞かせてください」
弁護人「ではお願いします」
被告人「はい、僕はあの日電車に乗ってました」
被告人「かなり混んでいたので、入口付近に立っていたAさんにぶつかってしまったんです」
被告人「そしたら、電車に乗ってる間ずっと僕のことを睨んできて……」
弁護人「あなたは睨まれたことに恐怖を感じましたか?」
被告人「はい、なにしろずっと睨まれましたから……」
唯(ふんふん)
被告人「電車を降りて階段を下りてたら後ろからAさんに声をかけられたんです」
弁護人「なんと言われたんですか」
被告人「えっと……待てよ!って」
弁護人「それでいきなりAさんが襲ってきたと」
被告人「いえ、口論になって」
被告人「そのあとAさんがカッとして僕に襲いかかってきたんです」
被告人「僕は階段から転がり落ちて……」
弁護人「Aさんはそれでもあなたを殴り続けたんですか?」
被告人「はい……」
唯(うわー、ひどい)
弁護人「こちらからは以上です」
裁判長「では、本日の評議はここまでとします」
裁判長「明日も本日と同じ時間に評議を行います」
唯「うわー、緊張したー」
唯「早く帰って憂のご飯食べたいな~」
裁判官「私達でこれから本日の評議を行いますので評議室に来てください」
唯(えー、まだ帰れないの……)
―評議室―
裁判長「ただいまより評議を行います」
裁判長「まず、本日の法廷を終えて何か気付いたことはありますか? 平沢さん」
唯「え? えーっと…」
唯「確かに被告人は人を殺したけど、被告人だけを責めるのはちょっと気がひけます……」
男2「人を殺したことには間違いないんだからさっさと有罪にしたほうがいいと思いますけどね」
女1「私は早く終わるならなんでもいいやー」
裁判長「そうですか、わかりました」
裁判長「今回皆さんには被告人に正当防衛が適用するかどうか
執行猶予つきの判決にするかの2点を重点的に考えてもらいます」
裁判長「では、本日はここまでにしましょう、明日もよろしくお願いします」
唯(やっと終わった……)
―家―
唯「ただいまー」
憂「お帰りー、どうだった?」
唯「なんかどっと疲れちゃった、ご飯できてる?」
憂「できてるよー、食べよう」
唯「わーい♪」
…
唯「でさー、憂はどう思う?」モグモグ
憂「うーん、正当防衛は難しいと思うなー」
唯「なんで?」
憂「だって殺しちゃったんでしょ? 過剰防衛になると思うよ」
唯「そっかー」
憂「って、お姉ちゃん 内容を言ったらダメなんだよ!」
唯「はっ! そうだった……」
憂「……もう、私だったからいいけど外で言っちゃだめだよ」
唯「はーい」
唯「起きてると話しちゃいそうだからもう寝るね」
憂「おやすみ、明日も頑張ってね!」
唯の部屋
唯(はー、気が重いよ…)
―翌日―
裁判長「では、本日の評議を行います」
裁判長「まず、被告人は昨日の発言に間違いはないですか」
被告人「はい……」
裁判長「では、検察官どうぞ」
検察官「本日は目撃者の方に来ていただきました」
検察官「あなたは事件当日に二人の争いを目撃しましたね?」
目撃者「はい」
検察官「では詳しいことを教えてください」
目撃者「えっと、被告人が被害者に殴られてました」
検察官「それは被告人の命を脅かほどす激しかったですか?」
目撃者「いえ、被害者の人は被告人を殴った後、捨て台詞みたいなのを吐いてどこかに行こうとしました」
検察官「捨て台詞ですか」
目撃者「ふざけんなよ、みたいなことを言って立ち去ろうとしたんです」
目撃者「そしたら被告人が被害者に向かって行って…」
検察官「持っていたナイフで刺したと」
目撃者「はい」
検察官「立ち去ろうとした相手にナイフを刺す……これは明らかに過剰防衛ですね」
検察官「被告人、あなたの意見を聞かせてください」
被告人「……」
被告人「その日は父の一回忌だったんです」
弁護人「確認をしましたが事実です」
被告人「せっかく正装をして、前々から準備をしたのにその場に行けないほどのケガを負わされて」
被告人「それで…」
唯(なるほど……)
検察官「それとこれとは別問題だと思いますが」
目撃者「あの……」
裁判長「どうぞ」
目撃者「よく考えたんですがふざけんなよ、というのは捨て台詞になりますかね?」
目撃者「また戻ってくることも考えられるんじゃ……」
検察官「ですが被害者はその場を立ち去ろうとしたわけですよね?」
目撃者「そうですけど、あの興奮具合からいってなにをしでかすか分らなかったですし」
検察官「そもそもなぜナイフを持ってたんですか?」
被告人「父の趣味が釣りで、魚をさばくナイフを供えたかったんです」
検察官「それほど大事なお父様のナイフを刺殺に使うとは、矛盾してませんか?」
被告人「………」
裁判長「本日の評議はここまでとします」
―評議室―
裁判長「明日、判決を出さなければいけません」
裁判長「皆さんの意見を多数決で決めます」
唯「あ、あの」
裁判長「平沢さん」
唯「執行猶予をつけるべきだと思います」
裁判長「それはなぜですか?」
唯「被告人はお父さん思いだったっぽいし……」
唯「あまり重い判決っていうのも…」
女2「私もそう思うわ」
男2「そんなの演技かもしれないだろ」
男3「そうだそうだ」
男2「殺人がどれほど重い罪か知らしめるためにも、執行猶予などつけるべきではありません」
裁判長「女1さんはどう思いますか?」
女1「よくわかんないです、けど被告人がそこまで悪い人だとは思えませんでした」
裁判長「みなさんの考えはわかりました」
裁判長「では、執行猶予をつけたほうがいいと思う方は手を上げてください」
裁判長「わかりました」
…
―唯の家―
唯「ただいまー」
憂「おかえり、ご飯できてるよ」
唯「あっ、うん…」
憂(なんか元気ない……?)
唯「気が重いよ」モグモグ
憂「でも明日判決が出るんでしょ?」
唯「まーねー、あっ、もう寝るね」
憂「もう寝るの?おやすみ」
―判決の日―
裁判長「判決を言い渡します」
裁判長「主文、被告人を殺人罪で懲役5年の実刑に処する」
被告人「………」
裁判長「ただし、被告人が深く反省している点や事件当時の被告人が
いきすぎともいえる暴力を受けたことを考慮して執行猶予3年とする」
裁判長「これから3年間、まじめに更生してください」
裁判長「あなたを信じた私たちを裏切らないように」
被告人「うっうっ……ありがとうございます……」
唯「これが私たちが出した結論です 皆さんも裁判員に選ばれたら自信を持って頑張ってください!」
―完―
※細かい部分でいろいろおかしな点がありますが大目に見てやってくださいw
実刑をつけたのは完璧なミスですw
見なかったことにしてください
最終更新:2010年01月11日 00:39