○ お風呂 ○

≪ちゃぽんっ シャァーッ≫

純「…………」

憂「…………」

純「……えっと」

憂「う、うん……」

純「な、何かちょっと恥ずかしいねっ」

憂「……うん」

純「温泉とかならまだしも、家のお風呂に二人で入るっていうのは……アレだねっ」

憂「うん……」

純「あ、あはは」

憂「…………」

純「…………」

≪ちゃぽんっ シャァーッ≫

純「えと……」

憂「…………」

純「そ、それにしても……今日はジェットコースターにでも乗ってる気分だよ」

憂「……ジェットコースター?」

純「うん」

憂「どういうこと?」

純「ほら、急に雨が降ってきたり……その帰りに車に水かけられたり……でもって憂の家に転がり込んだら、和先輩とエンカウントしたり」

憂「うん」

純「それだけでも珍しいことなのに、今はこうやって憂と一緒にお風呂入ってたりとか」

憂「確かに今日は色々あったね」

純「でしょ? だからジェットコースターみたいに慌しいなぁ……って」

憂「そう言われると、確かにそんな気もする……かな」

純「うんうん……まぁ、楽しいからいいんだけどね♪」

憂「水かけられたのも?」

純「アレは冷たかった……」

憂「……ごめんね?」

純「何で憂が謝るのよ」

憂「だって、アレって……わたしのこと庇ったせいでしょ?」

純「…………」

憂「だよね?」

純「そこは気付かないでほしかったデスヨー」

憂「ご、ごめん」

純「あー……えっと、うん……気にしないでよ。あたしが勝手にやったことだしさ」

憂「…………」

純「ほら、位置的にさ? どうやったってあたしは濡れちゃっただろうし、気がついたら反射的に動いてたんだって」

憂「…………」

純「だから、庇ったとかそんな大袈裟なものじゃないんだって」

憂「……うん」

純「…………」

憂「…………」

純「あ~……だったらさ」

憂「?」

純「『ごめん』じゃなくて……『ありがとう』にしてくれない?」

憂「え?」

純「あたしは友達に謝らせるのは嫌だし……でも、憂も何か言わないと気に病んじゃうでしょ?」

憂「うん……」

純「だから『ごめんなさい』じゃなくて『ありがとう』」

憂「…………」

純「これもあたしの我侭だけどね」

憂「…………」

純「駄目?」

憂「……うぅん……わたしもそっちの方が良い……」

純「そっか。よかった♪」

憂「じゃぁ、純ちゃん……助けてくれてありがと♪」

純「いえいえ、どーいたしまして~♪」

憂「うん……ありがと」

純「二回も言わなくていいってば♪」

憂「えへへ♪」

純「あははっ」

憂「純ちゃんって……何か凄いね♪」

純「そう?」

憂「うんっ」

純「よく分かんないけど、素直に褒められておくよ♪」

憂「ふふっ♪」

純「えへへ~……あ、そうだ。話は変わるんだけどさ」

憂「うん」

純「憂、気がついてる?」

憂「え? 何が?」

純「やっぱ気がついてなかったか」

憂「?」

純「なら、言わない方がいいかなぁ」

憂「そんな言い方されたら気になるよ~」

純「……言ってもいい?」

憂「う、うん」

純「なら言うよ? よぉ~っく聞いてね?」

憂「……うん」

純「実はね……」

憂「うん」

純「さっきから丸見えだよ」

憂「……へ?」

純「胸……というか、身体全部」

憂「…………」

≪ちゃぽんっ シャァーッ≫

純「ホントに成長著しいねぇ」

憂「…………」

純「あれ? 実は別に恥ずかしくなかったとか?」

憂「……き」

純「き……きなこボール?」

憂「きゃぁーっ! きゃぁっきゃぁっ!? きゃぁ~~っ!!」

≪シャーッ! シャァーッ!≫

純「ぅわっ!? こ、こらっ シャワーこっちに向けるなーっ!」

憂「だってだってだってぇ~っ!」

≪シャーッ! シャァーッ!≫

純「わっ……ぷっ! ごめっ 黙ってたの謝るから止めてぇっ!」

憂「う~っ」

純「ふぅ……びっくりした」

憂「恥ずかしいよぉ~」

純「恥ずかしがることないって。十分立派なんだから」

憂「あぅ……」

純「いやぁ~、間近で見ると迫力あるねぇ」

憂「言わないでよぉ~」

純「だがしかぁしっ……憂よ、これだけは言いたい」

憂「?」

純「やっぱりちょっとは運動した方がいいかもよ?」

憂「…………」

純「いや、触り心地良さそうでいいんだけどさ?」

≪キュッキュッ ジャァーッ!≫

純「ぉわぁっ!? ちょ、冗談だって……わっぷ……がぼっ!?」

≪キュッキュッキュッ ジャァーッ! ジャジャァーッ!!≫

純「シャワー強すぎ……ストーップッ! やめぶふぉっ! げほげほっ! は、はだにはいっだ……おでがいやべでぇっ!」

憂「もぉっ もぉ~っ!」

≪ジャーッ! ジャジャァーッ!!≫

純「げっほげほっ! がふっ ごべ……ごべんだざいっ! ずびばぜんっ! ごほっ! もういわだいがらーっ!」

憂「純ちゃんの馬鹿ーっ!」


・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・

≪ちゃぽんっ シャァーッ≫

憂「ぶくぶくぶくぶく……」

純「もう機嫌直してよぉ」

憂「ぶくぶくぶくぶく……」

純「ゴメンってば」

憂「ぶくぶくぶくぶく……」

純「そんなに気にしてるとは思わなかったんだよぉ」

憂「ぶくぶく……気にしてるとかはないんだけど……」

純「そーなの?」

憂「その……純ちゃんに見られて、ちょっと恥ずかしかったっていうか……」

純「ちょっと恥ずかしかっただけで、あの騒ぎ様か」

憂「だって恥ずかしかったんだもん……ぶくぶく……」

純「ホントにゴメンってば。もうしないからさ」

憂「うん……ならいいけど……ねぇ、純ちゃん?」

純「あ、こっち見ちゃ駄目だよ?」

≪シャァーッ!≫

憂「わっ!? ……ズルイよぉ……ぶくぶく……」

純「だ、だって恥ずかしいもんっ」

憂「わたしだって恥ずかしかったんだよ?」

純「それは隙を見せた憂が悪い」

憂「そんなぁ~」

純「とにかくこっち見ちゃ駄目っ OK?」

憂「……うん……ぶくぶく……」

純「大体、憂はスタイル良い方なんだから、恥ずかしがること思うんだけどなぁ……っと。シャンプーシャンプー」

≪わっしゃわっしゃっ≫

憂「そんなことないよぉ……それ言ったら、純ちゃんの方がスタイル良いと思うよ?」

純「スタイルが良いっていうのは、澪先輩みたいな人のこと言うんだよ」

憂「それは確かに……ぶくぶく……」

純「いいよねぇ、澪先輩。カッコよくてさー……何食べたらあんなにカッコよくなれるんだろ?」

憂「食べ物より遺伝とかじゃないかな?」

純「うわぁ……そうなったらもう希望が持てない」

憂「純ちゃんもカッコいいと思うんだけどなぁ」

純「はいはい、ありがと」

憂「本当にそう思ってるのに……ぶくぶく……」

純「……あ、また話は変わるんだけどさ」

憂「うん」

純「憂って髪を洗う時、目を開けて洗うんだね」

憂「特に意識したことないけど……うん、そうだね」

純「どうやって開けるの?」

憂「どうって……普通に?」

純「あたし、出来ないんだよねぇ。目にシャンプーが入っちゃうから」

憂「そういえば、お姉ちゃんもそんなこと言ってたかも」

純「怖い話とか聞いた後だと、髪洗うの嫌なんだよね……何かコツとかない?」

憂「それもお姉ちゃんと同じだ♪ ……でも、コツとかは分からないかなぁ」

純「そっかぁ……残念」

憂「コツが分かったら教えるね……ぶくぶぶふっ!? ごほっ!」

純「な、なにっ!?」

憂「ごほっ! な、何でも……けほっ 何でもないよっ……こほんっ」

純「どうしたの?」

憂「うん……ちょっと咽ちゃっただけだよ……けほっ」

純「ぶくぶく沈んでるからじゃない? 憂って時々ドジだよね」

憂「あはは……そ、そだね」

純「もうちょっとで終わるから、待っててね~」

憂「ごゆっくりどうぞ」

純「何故に敬語?」

憂「何となく……だよ」

純「今日の憂は何だかちょっぴり変だ」

憂「……そうかも」

純「♪~」

憂「…………」

純「ん~……パーマかけようかなぁ」

憂「…………」

純「憂も梓も髪が綺麗で羨ましいよ」

憂「揺れた」

純「……憂?」

憂「…………」

純「ん? 憂~?」

憂「……ふぇ? あ、何っ!?」

純「どうしたの? 急に静かになって」

憂「え? あ、うん……えっと、考え事? じゃなくて、ちょっとのぼせちゃったかも」

純「何で焦ってるの?」

憂「焦ってないよっ」

純「そ、そう?」

憂「うんうんっ」

純「だったらいいけど……とりあえず、ぱぱっと終わらせちゃうね」

憂「…………」

純「?」

憂「…………」

純「ま、いっか……♪~」

憂「……ピンク」

純「よし、お~わり……っと」

≪シャァーッ≫

純「ふぅ~……お待たせ~」

憂「…………」

純「のぼせちゃう前に、さっと暖まって出よう……か……」

憂「また揺れた」

純「…………」

憂「…………」

純「……憂」

憂「ふんすっ」

純「…………」

≪キュッキュッキュッ ジャァーッ!≫

憂「きゃぁっ!? え? わっ わぁっ!?」

純「見ちゃ駄目って言ったでしょーっ!」

≪ジャジャァーッ!≫

憂「わっぷっ!? み、見てないよっ!?」

純「今、思いっきり目が合ったでしょーがっ!」

憂「い、いつの間に洗い終わったの……」

純「憂」

憂「……な、何?」

純「いつから見てた?」

憂「見てない……よ?」

純「い・つ・か・らっ……見てた?」

憂「…………」

純「…………」

憂「髪を洗い始めてちょっとしてから……」

純「…………」

≪キュッキュッキュッ≫

憂「純ちゃん待ってっ! だって純ちゃんも見たよね? だから、あのっ」

純「問答無用っ!」

≪ザーッ!!≫

憂「きゃぁっ! 待って待ってっ……わっぷっ!?」

純「憂のエッチッ!」

憂「わたしエッチじゃないもんっ」

純「一心不乱に見てたくせに何言ってんのさっ こうなったら憂のスケベ心を洗い流してやるーっ」

≪ザーッ! ザーッ!!≫

憂「わわっ!? だったらこっちだって~っ」

≪バシャーンッ≫

純「ぅわぁっ!? このぉ……負けるかぁーっ」

≪ザザーッ!≫

憂「きゃぁっ!? もう~……えーいっ」

≪バシャバシャーンッ!≫

純「洗面器ズルイー♪」

憂「シャワーの方がズルイよぉ~♪」

≪ザーザーッ! バシャーンッ!≫

純「あははっ うりゃー♪」

憂「あははっ え~い♪」

≪ザーッ パシャーンッ≫


・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・



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最終更新:2011年04月13日 23:07