純「えぇ~……あ、そだ。唯先輩も教えてくれるならいいですよ?」

唯「むむっ!?」

純「こーいう話はお互い言い合うのが鉄則ですからねぇ」

唯「じゃぁ、わたしが好きなのは……憂に和ちゃんでしょ~? あずにゃんでしょ~? それにりっちゃんと澪ちゃんとムギちゃんでしょ~……」

純「ブッブ~ッ 駄目でーす……っていうか、その好きでいいなら、私は憂と梓とジャズ研の先輩と後輩と~……って言いますよ?」

唯「むぅっ ガードが固い」

純「当然ですっ」

唯「軽音部ではこーいう話ってほとんどしないから、純ちゃんとなら出来ると思ったのに~」

純「えっへっへ~♪ だからと言って、ただで教えるつもりはありませんよ。たとえ先輩と言えどもっ」

唯「ぶーぶーっ」

純「そんな顔しても駄目で~す♪」

唯「むぅ……あ、そーだ。憂?」

憂「なぁに? お姉ちゃん」

唯「憂は? 憂は好きな人いる?」

憂「わ、わたしっ!?」

唯「や~……姉としては、妹の『れんあいじじょー』とかに興味があるし」

純「それって単なる好奇心じゃ……でも、あたしも興味あるかなぁ。憂に好きな人がいるかどうか」

唯「だよねっ だよねっ! で、いるの? そーいう人」

憂「え? えぇ~……その……」

純唯「うんうんっ」

憂「……い……いない……よ?」

純唯「……え」

憂「え?」

唯「いるのっ!?」

純「ホントにっ!?」

憂「い、いない……いないよ? いないって言ったよね?」

唯「それ嘘だよね? 絶対に『いる』って顔してたもんっ」

純「ですよねっ 私もそー思いました」

憂「いないもんっ ホントにホントにいないもんっ!」

純唯「怪しい~♪」

憂「そうだっ 純ちゃんさっき言ったよね? こういうのはお互い言い合うのが鉄則だって。だったら二人とも言わないと駄目なんだよ?」

純「じゃぁ、あたしが言ったら教えてくれるの? だったら言っちゃうよ?」

唯「あ、だったらわたしも言おうかなぁ」

憂「え? あ、あの……その……あ、あれ?」

純「ふっふっふっ♪ そこで困るってことは、やっぱり好きな人がいるってことだよね?」

唯「うんうん♪」

憂「ぁ……うぅ……」

純「もう観念しちゃいなよ~♪」

唯「そうだよっ お姉ちゃんに全てを話すんだよっ!」

憂「だ、だって……いない……もん……」

純「あたしも知ってる人? 中学の同級生とか?」

唯「それとも学校以外で知り合ったとか? 年上? 年下?」

憂「うぅ……」

純唯「お~し~え~て~よ~♪」

憂「うーっ」

純唯「じぃ~~~♪」

憂「いないったらいないのっ! もうっ 二人の意地悪っ!」

≪ガバッ たったったったっ ガチャバタンッ!≫

純「…………」

唯「…………」

純「いじめ過ぎちゃいましたかね」

唯「うん」

純「でもあの反応は絶対いますよっ」

唯「だよねぇ~♪ う~ん……誰だろ?」

純「唯先輩は心当たりとかないですか?」

唯「ないかなぁ……そーいう純ちゃんは?」

純「私もないです」

唯「じゃぁさ、もし分かったらわたしに教えてよっ」

純「OKですっ 唯先輩も分かったら私に教えてくださいね?」

唯「おっけ~♪」

≪かちゃり こそこそ≫

憂「…………」

唯「あ、戻ってきた」

純「憂~? もういじめないから戻っておいでー」

憂「…………」

唯「そんなとこにいると寒いし、炬燵入んなよ~」

純「ホントにごめんってば。もう言わないからさ」

憂「……うん」

≪ぱたんっ とてとてとて もそもそ≫

純唯「おかえり~」

憂「……ただいま」

純「ほらほら。そんなに俯いてたら可愛い顔が台無しだよ?」

唯「お茶でも飲んで元気をお出しよ」

憂「二人のせいなのに……」

純「…………」

唯「…………」

純唯「ごめんなさいっ」

憂「……うん」

純「憂はこーいう話は苦手だったか。からかってゴメンね?」

≪なでなで≫

唯「憂は恥ずかしがり屋さんだからね~。よしよし」

≪なでなで≫

憂「もう、やだよ?」

純唯「は~い♪」

憂「うん……だったら、もういいよ」

純「んじゃ、憂の機嫌も直ったことだし……ちょっと一息入れますか」

唯「そだね~♪ んくんく……憂~、お代わり頂戴?」

憂「うん。純ちゃんもお代わりいる?」

純「こくこく……うん、お願い」

≪こぽこぽこぽっ≫

憂「二人とも、はいどうぞ♪」

唯「ありがと~♪ ……あちちっ」

純「さんきゅ♪」

唯「でもさ~……純ちゃんって面白いよね~」

純「そうですか?」

唯「うん♪ りっちゃんっぽい感じがしてノリも良いしっ」

純「むむぅ……律先輩ですか」

唯「ぅん?」

憂「ふふっ 澪さんっぽいって言われたかったんだよね?」

純「言われたら嬉しいな……かな?」

唯「澪ちゃんキレイでカッコいいもんね~」

純「はぁ……ホント、何食べたらあんなにカッコよくなれるんだろ」

唯「甘いものとか?」

純「太っちゃいますよぉ」

唯「ん~……わたしはいくら食べても太らないからなぁ」

純「くぅ~……羨ましすぎる」

憂「ふふっ♪」

唯「……ふむぅ」

純憂「?」

唯「ぅむむむむぅっ」

憂「お姉ちゃん?」

純「どうしたんです? 突然」

唯「あのね? 本物の純ちゃんは、あずにゃん情報と違うなぁ~って思ってね~」

純「ほ、本物って……というかあずにゃん情報ってなんです? っていうかまた話が飛びましたね」

唯「えっとね……あずにゃん、時々純ちゃんのこと話してくれるんだけど……」

純「あぁ、それと今の私が違う……と」

唯「そそ」

純「……ちなみに梓……私のこと何て言ってました?」

唯「えっとね~……マイペースで~……我侭で~……」

純「…………」

唯「ちょっとだらしなくて~……変なことばっかし考えてて~……」

純「…………」

憂「あ、あはは……」

唯「そうだ……髪留め取ると頭がボンバーするって言ってた……ボンバーって何?」

純「よし、許さんっ」

≪がさごそ ピッピッピピピピッ≫

唯「携帯?」

憂「何するの?」

純「ちょっと待ってて……梓にメールで文句言ってやる」

≪ピピピッ ピッピッピッ≫

純「よしっ」

唯「終わった? ……で、ボンバーって何?」

純「ぅぐっ」

唯「時々思い出して気になってるんだよ」

純「なら、すぐに忘れるでしょうから気にしないで下さい」

唯「今、気になってるんだよっ だから教えてっ!」

憂「お姉ちゃん? あんまりしつこく言っちゃ駄目だよ?」

唯「だってぇ~……このままじゃ気になって寝られないよぅ~。じゅ~ん~ちゃ~ん~」

純「……はぁ~……分かりました。教えますよ。だからそんな、捨てられた子犬みたいな目をしないで下さい」

唯「やった♪」

純「えっとですね……私すごい癖っ毛なんです。だから髪留め取ると……」

≪もそもそ ほどきっ ぶわっ≫

唯「ぅわっ!?」

純「こうなるんです」

唯「すごい……頭が爆発してる……」

純「うぅ」

憂「髪、纏めるの手伝おうか?」

純「もういいよ。このままでいる」

唯「ふぇ~……ねぇ、触ってもいい?」

純「どぞ」

≪わさわさ≫

唯「おぉ~……朝とか大変そうだね~」

純「大変ですよぉ。髪をセットするのに早起きしなきゃいけないんですから」

唯「あ~、分かる分かる。わたしも癖っ毛だからね~」

純「癖っ毛……じぃ~」

唯「触る?」

純「はい」

≪さらさら ふわ~≫

純「うわ……さらさらで柔らかい」

唯「そぉ?」

純「何という手触りの良さっ」

唯「あ、憂の髪は?」

憂「触る?」

純「うん」

≪ふんわり さらさら~≫

純「うわぁ……お風呂入った後だとやっぱ違うねぇ」

憂「えへへ~。ちょっとくすぐったい♪」

純「うぅ……ズルイ……」

唯「でも純ちゃんの髪も個性的で良いと思うけどな~」

憂「うんうんっ」

純「個性なんて無くていいから、さらさらした髪が良かったよぅ……」

≪メ、メールダニャーン メールダニャーン≫

純「お、梓からメールだ」

唯「なに今のっ!? あずにゃんの声っ!?」

純「えへへ~♪ ちょっと前に、梓に録音させてもらったんですよ~」

≪ピッピッピッ≫

憂「ちょっと強引だったけどね」

純「賭けに負けた梓が悪いんだよ」

唯「いいな~、いいなぁ~」

純「後でデータあげましょうか?」

唯「いいのっ!?」

憂「でも梓ちゃん、人にあげちゃ駄目って言ってなかったっけ?」

純「唯先輩なら大丈夫でしょ」

憂「そ、そうかな。むしろ余計嫌がるんじゃ……」

唯「大丈夫だよっ こんなに可愛いんだもんっ!」

純「軽音部の先輩方にも、聞かせてあげるといいですよ」

唯「うんうん。そーするっ」

憂「もう、純ちゃんってば」

純「へーきへーき♪」

≪コトッ≫

憂「返事、返さないでいいの?」

純「いいのいいの」

唯「可哀相じゃない?」

純「一、二回返信しなかったらかけてきますよ。それにちょっと考えがあるんです」

≪メ、メールダニャーン メールダニャーン≫

純「またきた……ふむふむ……っと。次あたりかけてくるかなぁ」

唯「ふぉ~……何回聞いても可愛い~♪」

純「憂ヴァージョンもあるんだよね」

憂「アレは恥ずかしかったよ……」

唯「どんなのどんなの?」

純「えっとですね……あ、これだ」

≪メールダワン メールダワーン≫

唯「わん?」

純「憂って何か犬っぽいイメージあったもんで」

憂「純ちゃんヴァージョンは猫だよね……えっと……あ、これこれ」

≪メールダニャーッ ニャーニャーッ≫

唯「ぅおっ!? こっちも可愛いっ」

純「えっへへ~♪」

憂「三人で録音し合ったんだよね♪」

≪デンワダニャーン デンワダニャーン≫

純「お、きた」

唯「で、電話ヴァージョンっ!?」

純「こっちも後であげますよ」

唯「やったっ♪」

純「その代わりと言っては何ですが……私の代わりに電話に出てくれませんか?」

唯「へ? 純ちゃんの代わりに? わたしが?」

純「ですです♪」

唯「なんで? …………はっ!」

純「にひっ♪」

唯「にゅふっ♪ にゅふふふふっ♪ ……お主も悪よの~♪」

純「いえいえ、お代官様こそぉ♪」

憂「ん?」

≪デンワダニャーン デンワダニャーン≫

純「はい、お願いします……あ、周りに聞こえるようにして下さいね」

唯「ほいほい……このボタンだね? ……にゅふっ♪」

純「最初は返事しないで、しぃ~……ですよ」

唯「了解♪」

≪ぴっ≫

梓『ちょっと純っ! 出るの遅いよっ!』

純憂唯「っ!?」

純「……声でか」

梓『いつもだったらすぐ出るくせに……そもそも最初のメール何っ!?』

純唯「…………」

憂「純ちゃん……」

純「しぃーっ 静かに」

梓『ちょっとっ!? 何で黙ってるのっ! 聞いてるっ!?』

唯「……ぷっ」

純「くくくっ」

憂「もう、二人とも~?」

梓『大体さっ! この超高校級幼児体型ってどーいう意味よっ!』

憂唯「ぶっ」

純「ぷふっ く……くくくっ」

梓『ちょっと純っ! 返事しなよっ!?』

唯「ぷふっ……お、OK?」

純「どぞ♪」

梓『おーいっ じゅーんっ! 返事しろーっ!』

唯「ご、ごめんなさいっ」

梓『……え?』


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最終更新:2011年04月13日 23:11