○ 憂の部屋 ○

純「着替え終了~……パジャマに着替えると気が抜ける~」

梓「それは言える」

憂「ふにゃ~……ってなっちゃうよね」

純「あたしは、だら~……かな」

梓「私はグッタリ……かな」

純憂梓「…………」

純「ま、ようするに気が抜けるってことだよね」

梓「それさっき言った」

純「猫語」

梓「ふにゃぁっ」

憂「あ、布団どうしようか」

純「憂がベッドでいいんじゃない?」

梓「でもそうすると、憂が一人で寝ることになるよね」

純「そうだけど……しょうがないんじゃない? どうせ誰か一人はベッドになっちゃうんだし」

憂「ねぇ……お布団に三人で寝るっていうのは、どうかな?」

純「それって狭くない?」

梓「大丈夫でしょ。よほど寝相が悪くなければ……だけど」

純「……それ、あたしに言ってる?」

梓「さぁ?」

純「むぅ……」

憂「だめ?」

純「駄目ってわけじゃないんだけど、ベッドがもったいなくない?」

梓「うー……にゃ~、にゃぁにゃぁっ」

純「な、何? 突然」

梓「にゃぅ~」

憂「……わ、わんわんっ」

純「憂まで……」

梓「にゃぁ?」

憂「わふぅ?」

純「…………」

梓「…………」

憂「…………」

純「はいはい、分かりましたー。三人一緒に寝よう」

憂梓「やった♪」

純「ホントに、今日の二人はテンションおかしいね」

梓「そういう日もあるんだよ」

憂「うんうん♪」

純「我侭な犬猫を持つと、飼い主は大変だよ」

梓「ペットのために尽くすのは、飼い主の義務なんだにゃぁ」

純「逆じゃない?」

梓「そうかな?」

憂「じゃぁ、電気消すよー」

純梓「はぁい」

≪カチッ≫

純「ぅわっ 真っ暗」

梓「せめて、カーテン開けておけばよかったね」

憂「暗くて何にも見えない~」

純「こっち来れる?」

憂「な、何とか……」

≪よろよろ こけっ≫

憂「わっ!?」

純「え……ぉわぁっ!?」

梓「に゛ゃっ!」

≪ドタバタッ どすんっ≫

純「ぁいったぁ~っ」

梓「うぅ……鼻打った……」

憂「ご、ごめんね、純ちゃん。梓ちゃん」

梓「私は大丈夫~」

純「あたしもなんとか……憂は平気? どっか打ってない?」

憂「わたしも平気だよ。何かやわらかいモノがあって……枕かな?」

≪むにむに≫

憂「やわらかくて……あったかい?」

純「いや、それ、あたしの胸だから」

憂「…………」

純「…………」

梓「…………」

≪むにむに≫

純「揉むなっ」

憂「ご、ごめんなさいっ」

梓「何やってんだにゃぁ……」

憂「くぅ~ん……」

純「まぁ、いいけどさ」

梓「いいんだ」

純「さすがに不可抗力でしょ。そんなことより、早く布団に入ろうよ」

梓「だね。風邪とか引いたら嫌だしね」

純「うん」

憂「ゴメンね? 純ちゃん」

純「いいってば」

梓「純、布団取りすぎ。寒いよ」

憂「わたしの方も、ちょっと寒いかも」

純「二人がもっとこっち来れば良いんだ……よっ」

≪ぐいぐいっ≫

憂「わっ」

梓「にゃっ」

純「えへへ~♪ 暖かぁ~い」

梓「くっつき過ぎ。寝づらいよぉ」

憂「ぁ……ぅ……」

純「だいじょぶだいじょぶ♪」

梓「もう……にゃっ!」

≪ぺしっ≫

純「……梓、叩きすぎ」

梓「だって猫だし」

純「猫って、そんなに猫パンチしないよ?」

梓「え、そう?」

純「うん」

梓「…………」

純「ふふん♪ 梓の猫レベルも、まだまだだね」

梓「にゃぅ~」

純「それに比べて、憂の犬レベルの高いこと」

憂「そ、そう?」

純「まぁ、犬って飼ったことないから、イメージだけど」

梓「私も犬にしておけばよかった」

純「それは駄目だよ。梓は猫っぽいし」

憂「それは言えてるかも」

梓「……きっと唯先輩のせいだ」

純「それ、違くない?」

梓「そんなことないにゃぁ」

純「そーかなぁ」

梓「そーだよっ!」

憂「ふふっ♪」

純「それにしてもさー? よく、こんな変なこと思いついたよね」

憂梓「変なこと?」

純「犬と猫の真似」

梓「あぁ」

憂「やっぱり嫌だった?」

純「全然? 最初は、これってどうなのよ? とか思ったけど、結構楽しかったよ」

憂「そっか♪ よかった」

純「ていうか、梓……何かあったの?」

梓「へ?」

純「だって、こんな変な事やろう……何て言い出すんだもん。梓らしくないなぁ、って思ってね」

梓「いや……」

純「ん?」

梓「私じゃないよ?」

純「何が?」

梓「だから、犬と猫の真似しようって言い出したの、私じゃない」

純「…………」

梓「…………」

憂「…………」

純「憂?」

憂「…………てへ♪」


・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・

純「くー……かー……」

梓「ふぅ……純、やっと寝た」

憂「うん」

梓「それにしても……今日は恥ずかしかったよ」

憂「ゴメンね? 梓ちゃん」

梓「いいよ。私も、それなりに楽しかったし」

憂「よかった♪」

梓「じぃ~」

憂「?」

梓「憂は、すごぉ~く楽しそうだったね?」

憂「ぁぅ」

梓「で、どうだった? ……純に甘えてみて」

憂「え、えと……その……」

梓「…………」

憂「……えへへ~♪」

梓「はいはい、ごちそーさま……っていうか、普段から甘えちゃえば良いのに」

憂「そ、それはっ その……恥ずかしいっていうか……純ちゃんに迷惑がかかるっていうか……ごにょごにょ」

梓「そう? 純なら大丈夫だと思うけど」

憂「どっちにしろ、難しいよぉ」

梓「はぁ……そんなんじゃ、いつまで経っても進展しないよ?」

憂「う」

梓「ま、何かあったら言ってよ。こんなのでいいなら、いつでも協力するからさ」

憂「うん、ありがと」

梓「いえいえ」

憂「梓ちゃんも、何かあったら言ってね? わたしで出来ることなら、協力するから」

梓「どちらかというと、今まで色々してもらったから、私は協力したんだけど……ね」

憂「ん?」

梓「うぅん、何でもない。何かあったら、その時はお願いするよ」

憂「うんっ」

梓「じゃぁ、そろそろ私達も寝ようか」

憂「そうだね」

梓「……おやすみ、憂」

憂「おやすみなさい、梓ちゃん」

梓「…………」

憂「…………」

純「くー……かー……むにゃ……」


・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・

          ○ 憂の部屋(翌朝) ○

≪ぴぴぴぴっ ぴぴぴぴっ≫

憂「……ん……ん~っ」

梓「ふぁ~……なに~?」

純「くー……かー……」

憂「ぁふぅ……ごめ~ん。目覚まし、かけっぱなしだったみたい~」

梓「あぁ、そっか。でも、いいよ。休みだからって、ダラダラ寝るのも何だしね」

純「むにゃ……くー……かー……」

梓「……純、寝てるし」

憂「ふふっ 寝顔、可愛いよね~」

梓「それ、起きてる時に言えば?」

憂「む、難しい……」

梓「だよね」

純「ぁ……んんっ あふぅぁ~……なぁにぃ~? うるさいなぁ~」

梓「あ、起きた」

憂「純ちゃん。朝だよ?」

純「ふあぁぁ~……あさ?」

憂「うん。おはよう♪」

梓「年頃の女の子として、大口の欠伸ってどうなの?」

純「ん~……ん? 朝?」

憂「うん」

純「…………」

憂「?」

梓「どうしたの? まだ寝ぼけてる?」

純「ふふっ♪」

憂「?」

梓「ど、どうしたの?」

純「ふっふっふっふっ♪」

憂「…………」

梓「…………」

純「にゃぁっ♪」

憂梓「え?」


・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・

          ○ リビング ○

純「ご飯ーっ 早くご飯よこせだにゃーっ♪」

≪ぺしぺしぺしぺしっ≫

梓「ちょっ!? 叩かないでよっ!」

憂「純ちゃん。はい、ホットミルク」

純「うー……熱いっ!」

憂「え?」

純「もっと、丁度良い温度じゃなきゃイヤだにゃーっ!」

憂「え、えっと……ゴメンね」

純「ふぅ~、ってやって冷まして」

憂「え、え? あのっ そ、その……えと……」

純「やってくれなきゃイヤだにゃぁ~」

憂「う、うん……ふぅ~」

純「えへへ~。そうそう♪」

梓「ちょっと、純っ 我侭言い過ぎっ!」

憂「あ、梓ちゃん、わたしは別に、その……こーいうのも……いい……かも……なんてごにょごにょ」

梓「…………」

純「……梓? それに、憂」

憂「な、なに?」

梓「何よ」

純「二人とも……まさかあたしが、やられっぱなしで終わるとは思ってないよね?」

憂「…………」

梓「…………」

純「昨日やられたお返しは、もちろんさせてもらうよ?」

梓「ちょっと待って……まさか……」

純「今日一日、二人はあたしの飼い主だからね? ちゃ~んと、世話しないと駄目だよ?」

梓「えぇ~……」

純「憂もいい?」

憂「う、うんっ」

純「さぁ~って、どんなことしてもらおうかなぁ♪」

梓「いや、ちょっと待って……」

純「にゃぅ?」

梓「くっ」

純「にひひっ♪ ほらほら、梓はあたしの朝ご飯早く作って。あ、目玉焼きは半熟ね?」

梓「調子に乗るなっ!」

純「にゃぅ~……あっちのご主人様、怖いにゃぁ」

≪すりすり≫

憂「わ、わぁっ!? じゅ、純ちゃんっ!?」

純「こっちのご主人様は優しいにゃぁ~♪ ごろごろ」

憂「うぅ~」

純「憂の膝枕って、柔らかくて気持ちい~♪」

憂「そそそう……かな」

純「ちゃんとミルク冷ましてね?」

憂「う、うん……ふぅ~……ふぅ~……」

梓「……正直、やってられない」

純「梓~? 焦がしちゃ駄目だからね~?」

梓「分かってるよっ!」

憂「あの……わたしがやろうか?」

純「憂は、あたしの世話をしないといけないんだから、こっちに居なきゃ駄目だよ」

憂「で、でも……」

梓「あ~……いいよ、憂。こっちは私が何とかするから、その我侭で気まぐれでくせっ毛な猫、よろしく」

純「くせっ毛は余計っ!」

梓「はいはい」

純「さっきだって、まとめるの大変だったのに……梓にはこの苦しみが分からないんだ……」

憂「ふぅ~……純ちゃん、どうかな? これくらいでいい?」

純「ん? どれどれ……うん、丁度いいよ♪」

憂「よかった♪」

梓「……我侭っぷりが、私と憂の比じゃないじゃん」

純「んくんく……はぁ~、美味しい~♪」

憂「……ねぇ、純ちゃん?」

純「ん?」

憂「な、撫でても……いいかな。頭」

純「いいよ~」

憂「えと……」

≪なでなで≫

憂「どう?」

純「ん~っ 気持ちいい~♪」

梓「はぁ……」

憂「ねぇねぇ♪ もっと撫でてもいい?」

純「どんどん来なさーいっ」

≪なでなで≫

純「ちょっとくすぐったい♪」

憂「あはは♪」

梓「でもまぁ……これはこれで、良しとするかな」

憂「じゃぁ、これくらいかな? なでなで~♪」

純「にゃぅ~♪」

梓「……さて、さっさと朝食を作っちゃおっと♪」





憂「えへへ♪」

純「にゃぅ~♪」

梓「よっと♪」





          おしまい



最終更新:2011年04月17日 21:20