律「(こいつはどうして人の肩に頭乗っけて寝てるもんかね)」

律「(優等生気取ってるみたいで楽しくないみたいに見えてたけど)」

律「(最後らへんは楽しそうに笑ってたなぁ)」

律「(澪のあんな笑顔は久しぶりに見たかもな…)」

律「……」

律「つーかさ…」

律「いつまで寝たフリしてんだ?澪」

澪「」

澪「」

澪「」

律「いや、固まらなくていいからはよ起きれや」

澪「すまん///」スクッ

律「あたしの肩はよく眠れましたか澪ちゅわ~ん」テヘペロ

澪「くっ///」

澪「(事実が事実だけに私がキレてはいけない状況だからこそ律の態度がものすごくイラつく…!!!!)」

澪「いっ、言っとくけど!!」

律「うん?」

澪「私のほうが律より先に目が覚めたんだからなっ!」クハッ

律「うんうん、それで?」

澪「」イラッ

澪「(堪えろ私!)」

澪「わ、私が起きた時にはすでに律の肩の上に私の頭はのってて」

澪「離れようとしたら、律が起きちゃったから…///」

律「寝たフリをしたと(なんとまぁ、ビミョーなタイミングで起きてしまったんだ私は)」

澪「」コクン

律「」

律「そっか…」

律「じゃあ…まぁ、いいよ…(今の頷き、かわいかった///)」

澪「す、すまん(意外とあっけなく許してくれた)」

澪「(もっと色々言われるかと思ってたけど…)」

律「………」

澪「………」




律澪「(会話続かねぇ~~)」

澪「(ハッ!)」

澪「(せっかく久しぶりに律と2人で話せてるんだからなにか話を…!!!!)」

澪「え、えっと」アセアセ

律「ん?」

澪「あ、梓は元気か!?」

律「」


律「え、あ、うん。多分元気だと思うけど…」

律「つか、澪もほぼ毎日部活で会ってるじゃん(なんでよりにもよってその話題を選ぶ!?)」

澪「いや、そうだけど。修学旅行中こっそり電話したりメールしたりしてた相手って」

澪「・・・・梓・・・だろ?(しまった…!!自分できまづくしてしまってる。そして後にひけない…)」ハハハッ

律「(バレとるがなー!!)」

律「あぁ、ええと、うん!!元気だったぞ?(こういうことって普通聞きたくないんじゃないのか?)」

澪「そ、そうか(聞きたくないけど、聞いてしまった…てか、本当に梓だったか…)」ハハハッ

律「お、おう(はずいな、おい!)」ハハハッ

澪「それはよかった(こういうことを言いたかったんじゃなくて…え~っと)」ムムム

澪「ふふ、ふふふふ。ふふ、ふだんは、梓とどんなこと話してるんだ?」ニコッ

律「(…何をパニクってんだ、こいつは)」

律「なにって言われてもな…普通に部活のこととか」

澪「部活のこと?」

律「うん。まぁ、主に私が梓に怒られるんだけどな。『明日はもっと真面目に部活してください』とか」ハハハッ

澪「(楽しそうに話すなぁ~)」ショボン

澪「てか、『してください』って、もしかして梓は律に対してまだ敬語か?」

律「え?そうだけど?」

澪「2人のときもか?」

律「う、うん。えっ?おかしいかな?」

澪「お、おかしいってか、普通付き合ったらタメ口でいいんじゃないか?」

律「」

律「マジか!?」ガーーン

澪「いや、そんな驚かれても困るんだけどな・・・・」

澪「まぁ、梓が敬語がいいなら敬語でいいと思うけど…そういうのは2人のもんだいだし…な…って聞いてるかー?おーい」

律「(梓が…)」

律「(タメ口…!!)」

律「(ちょっといいかも)」ドキドキ

律「(よし、帰ったら梓にいってみよう!)」テテーン

律「澪!!」

澪「うぉ!?」ビクッ

律「サンキューな!!」ニコッ

澪「」

澪「あぁ…うん(よくわからんがなんか感謝された///)

澪「(律の笑顔はやっぱりいいなぁ・・・)」

澪「(梓はいいなぁ…)」シュン


ムギ「…スゥスゥ」

ムギ「(澪ちゃん…なんて健気な子)」ウルッ

唯「和ちゃん…メガネがバーローみたいだよ」ムニャムニャ

和「唯……寝顔もなんてキュートぅなの…!!」パシャシャシャ

和「…っち!もうメモリー残量がないなんて!!!」

唯「……スゥスゥ(の、のどかちゃん…さすがに私でも盗撮は気づいてるよぅ)」

唯「(恥ずかしから寝返りしちゃえ)」ゴロン

和「(あっ!寝返りしたら寝顔が見れない…!!)」

和「(神は死んだ)」


律「(なんか後ろ側から視線を感じる…)あ~もう修学旅行も終わるんだな」

澪「うん。…楽しかったな(さっきまでデジカメのシャッター音がしてたけどなんだったんだ?)」

律「おぉ~楽しかったな~猿も金閣寺も見れたし」ニシシ

澪「…」

澪「…あ、あのさ…!!」ズズイ

律「ん?」

澪「お願いがあるんだけど…きいてくれるか?」ドキドキ

律「なんだよ、お願いって。神様じゃあるめーし。出来る範囲なら別にいいけど」

ムギ「(な、なにかしら…!!)」ドキドキ

澪「あ、あのな…」ドキドキ

律「うん…(え、なんだろ…)」


澪「い、いいいっしょしょしょしょしょしょにしゃしゃしっしんっととってくだしゃっっしゃいっっ!!!!」

律「」ポカーン

澪「」ポカーン

ムギ「(wwwwww)」プゲラ

律「えっ…と…」

澪「…」

律「なんて?」

澪「(めっちゃ噛んだ///今なら死ねる!!!!!)」

ムギ「(緊張しすぎて何言ったかわかんなかったわwww)」

ムギ「(ダメ!!ダメよ紬!!笑ったらダメよ!がまん、我慢よwwwwww)」


澪「」マッシロ

律「いや、噛んだの恥ずかしかったのはわかったからちょっと戻ってこーい」

澪「ハッ!」

澪「私は一体…」

律「やれやれ…で、なんだよ、頼み事は?」フゥ

澪「あ、そうだった!り、律!!」

律「はいよ。ちゃんと聞くから今度は落ち着け、な」

澪「う、うん。ありがとう。そ、そのな…」ゴクッ

律「おう」

澪「わ、私と一緒に写真撮って…ください///」

律「……」

律「それだけ?」

澪「」コクン

律「(ちょっとよからぬお願い事を想像していた私は相当汚れてるな~)」

律「いいよ!撮ろうぜ~」

澪「い、いいのか!?」パアァ

律「いや、写真ぐらい別にいいだろ」

澪「よ、よかった」ホロッ

律「いやいやいや、泣くことじゃないだろ!?」

律「てか、新幹線の中でいいのか?なんで京都とかで言わなかったんだよ!?」アセアセ

澪「だっ、だって…」グシグシ

律「うん」

澪「あ、梓に悪いから…」

律「」

澪「でも、律とやっぱり2人で写真撮りたいって思っちゃったら…なんかダメで…」グスングスン

律「(たしかに、言われてみたらこの3日間のうちで唯とムギとは2人で写真写っても澪とは写ってないや…)」

律「(気を使わせてたのか…)」


唯「(う~ん、なんだかうるさいよ~起きちゃったよ)」

ムギ「(澪ちゃん………あ、ダメだwwwさっきの思いだしちゃたwww耐えろ耐えろwww)」プクッゥ

唯「(あれ?澪ちゃん泣いてる?てか、今ムギちゃん寝ながらオナラした?)」

唯「(えっ?なんか気まずいふいんき?どうしよう)」

唯「………」

唯「(寝よう!)」シャキーン

澪「律、ごめん」グスングスン

律「いや、澪は悪くないだろ…私もなんというか」

律「澪が気を使ってくれてるのわかってなかったからその」

律「ごめん」ナデナデ

澪「うん…。写真、撮ってくれる?」ナデナデ

律「うん、いいよ。撮ろうぜ!!」ナデナデ

澪「ありがとう…ていうか」ナデナデ

律「うん?」ナデナデ

澪「頭撫でられるの恥ずかしいんだけど…///」ナデナデ

律「」ハッ

律「す、すまん///ちょっと、その…くっ癖で///」

澪「うん(気持ちよかったからいいんだけどな…癖か…梓)」


律「ムギと唯が起きたらめんどいからさっさと撮っちゃおーぜ」

ムギ「スゥスゥ(残念!私起きてる!!)」

唯「クゥクゥ(私も寝れなくて起きてる!!)」

律「あ、入りきれてねぇよ、澪、もうちょっとこっちだ」

澪「え・・・あ、う、うん////」

律「じゃあ、いいか?」

澪「う、うん」

律「ハイ、チーズ」

澪「・・・・ず」

パシャッ





最後に2人 律と梓の場合



律「うっひょ~~~!!!!見てみろよ、梓!!海がキラキラしてるぞ~~~!!!!!!」

梓「……そうですね…」

律「ん?なんだよ、お前が乗りたいって言ったんだぞ」

梓「え?いや、はい。海、きれいですね…!!ほんと、遠くにある船までみえるなぁーっと」

律「なんだ、その棒読みは」

梓「スルーでお願いします」

律「ん?まぁ、いいか。しっかし、ほんと、きれいだなぁ~!あと、敬語戻ってるぞ!!」

梓「……そんなにきれい?」

律「うん」

律「きれいだよ。梓もそう思うだろ?」

梓「……」

梓「うん、そうだね。こんなきれいな海は」

梓「…久しぶりかもしれない」

律「きれいだ…ほんと、きれい。言葉じゃ表せないよ」

律「あえて言葉にするなら…」

律「人がゴミのようだ」

梓「言うと思った」

律「人はちっぽけだなー」

梓「なー」

律「梓」

梓「はい」

律「この景色、忘れないよ」

梓「どうかなぁ…」

律「いや、忘れないって!!」

梓「そうですか」

律「うん。写真は撮らないけど、こんだけきれいなんだ」

律「きっと、いつだって思い出せるよ」

梓「そんなに?」

律「うん。そんなにだよ」

梓「…なら」

律「ん?」

梓「乗って、よかった」

律「うん」

梓「もうてっぺんだね」

律「だな」

律「登るのが一定の速度なら降りるのも一定の速度のはずなのに、てっぺんこえるとなんか違うよな」

梓「もう、さっきの高度からの景色を見ることができないね」

律「ほんの1秒前がもうすごく遠いな…」

律「さっき、同じ高さからの景色、見たはずなのにな…」

梓「…」

梓「でも、まだ全然きれいだよ、景色」

律「…うん、きれいだな。夕陽がちょうど射し込んで、少し眩しいけど」

梓「…」

律「…」

梓「また乗れば、同じ景色が見れるから大丈夫」

律「うん、そうだね」

律「でも」

梓「うん?」

律「今と同じものを同じように梓と見れるわけじゃないからさ…」

律「今は、この景色だけ覚えておくよ」

梓「そっかぁ」

律「うん」

梓「もう陽が沈むね」

律「はやいね」

梓「空も船も遠くなって…」

律「まるでゴミのようだ」

梓「それはちょっと違うと思うな」

律「そっかぁ」

梓「もうすぐ終わるね」

律「意外と早かったな、1周」

梓「律」

律「ん?」

梓「私も忘れないから」

律「うん」

梓「律はどんどん忘れていいよ」

律「・・・・」

律「…私の記憶力はニワトリか!?」

梓「写真に撮らないと人の記憶なんて曖昧だから、さ」

律「…写真に残すことが正しいわけじゃないさ」

梓「そう思う?」

律「思うよ。写真はどんどん色褪せるけど」

律「記憶はどんどん美化されてきれいなままだからな」

律「・・・・むしろ今見てる景色以上にきれいになるかもしれない」

梓「それ、ダメじゃん」

律「ダメじゃありません!」

梓「…ニワトリ」

律「…やかまし」

梓「あ、…もう下ついちゃった。本当に早かったな、1周」

律「降りるぞ。気をつけてな」

梓「はーい」

律「あずさ」

梓「?」

律「好きだぞ?」

梓「私もです」







おわり



最終更新:2011年04月20日 03:46