男1「あの~、すみません」

紬「はい……って、きゃっ」

男2「ちょっと道聞きたいんすけどー」

紬「は、はい(昔のさわ子先生みたいな格好……これがメタルの人……)」

男1「この地図の場所に行きたいんですけど~」

紬「ちょっと見せてください(格好は怖いけど、礼儀正しい人たちなのね)」

男2「すみません、この辺初めてなんすよ」

紬(ど、どうしよう。ただでさえ地図って苦手なのに、わかりにくい地図だわ)

紬「えっと……この公園がここで、そこのコンビニがここで……あ、ライブハウスのある裏道かしら?」

男1「! そうそう、そうなんですよ!」

男2「俺たち、そのライブハウスに行きたいんす!」

紬「良かった、それならわかります。えーとあの信号を右に曲がって……」



いっぽう!

唯「お菓子はポッキーで良かったかなー」

唯「!? ムギちゃんがなんか怖い人たちと一緒にいる!?」



紬「……で、そこがこの道になります。ライブハウスの看板は小さいので気をつけてくださいね」

男1「ありがとうございます! 良かったぁ~」

男2「助かったっす!」

唯「待て~~~~~!!」ババッ

男1男2「は?」

紬「唯ちゃん?」

唯「ムギちゃんをいじめたら、私が許さないんだから!!(うわぁ、やっぱり怖い人だぁ~)」

男1男2「は?」

紬「ゆ、唯ちゃん、ちが」

唯「ムギちゃんは私のお姫様なんだから! だから私が守るんだから!(ひぃ~、近くで見ると怖過ぎるよ~)」ガタガタ

男1「いや、あの、違う」


紬「唯ちゃん、落ち着いて」

唯「うぅ~! うぅ~!(怖いよぉ~、怖いよぉ~……でもムギちゃんを守らなきゃ…)」ガクブル

男1「ど、どうしたらいいんだ?」オロオロ

男2「にっ、逃げようか?」

紬(唯ちゃん……震えてるのに、私を必死でかばって……)キュン

唯「ムギちゃんは私が守って……まも……う……うぅ……うえぇぇぇぇぇぇん!!」

男1「ひぃ!?」

男2「ほらぁ、泣いちゃったよ」

男1「飴ちゃん! 飴ちゃんは持ってねーのかよ!?」

男2「おばちゃんじゃあるまいし、持ってねーよ! いいから逃げようぜ!」ダッ

男1「まっ、待ってくれぇ~~~!!」ダダッ

紬「に、逃げちゃった……(あの人たちに悪いことしちゃったわね)」

唯「うっ…ぐすっ……よ、良かったぁ、怖かったよぉ~」ヘナヘナ

紬「よしよし、もう大丈夫だから(唯ちゃん……)」キュン


……………

紬「唯ちゃん、落ち着いた?」

唯「うん……ぐすっ」

紬(可愛過ぎる……もうどうにかなってしまいそう)ナデナデ

唯「ごめんね、ムギちゃん。ちゃんと守ってあげられなくて」

紬「何言ってるの? 唯ちゃんはちゃんと私を守ってくれたじゃない!(勘違いだったけど)」

唯「え~、でもぉ、怖くて泣いちゃったしぃ…」グス

紬「泣きそうな程怖かったのに、私を守ってくれたのよね?」

唯「う、うん。だってムギちゃんは私のお姫様だもん……」

紬「唯ちゃん……」キュン

紬(ああ、ここが外じゃなければキスしちゃうのに…)

唯「ムギちゃんは怖くなかった?」

紬「そ、そうね。最初は怖かったけど、唯ちゃんが来てくれたから大丈夫だったわ(ああ、メタルの人たちごめんなさい。本当のことが言える雰囲気じゃないです…)」

唯「そっか、良かった!」ニコ

紬「ゆ、唯ちゃん……(自分も怖い思いをしたのに……)」キュン

唯「えへへへへ」

紬(駄目、可愛過ぎて我慢できない。唯ちゃんとぴったりひっつきたい。いちゃいちゃいたい。いっぱいキスしたい!)

唯「? ムギちゃん?」

紬「唯ちゃん……あのね」

唯「うん? どうしたの?」

紬「今、唯ちゃんととってもキスしたい気分なの…///」

唯「ふぇ!?///」

紬「///」ドキドキ

唯「えーと……(外はまずいよ……でも、そんなこと言われたら私だってキスしたくなっちゃうよ///)」

紬「ご、ごめんなさい。変なこと言って…」

唯「ムギちゃん、デパートのトイレに行こうか?」

紬「えっ?」



でぱーと!

紬「な、なんか…個室に2人で入るのって、変な感じね」

唯「えへへ。でも、2人きりだね……」

紬「そ、そうね」ドキドキ

唯「そ、それじゃ…」

紬「うん…」

ちゅ…

紬(唯ちゃん唯ちゃん唯ちゃん…)

唯(4回目のキスだぁ…)

紬(唯ちゃんは私のものなんだから。もう誰にも渡さないんだから…)

唯「んっ…(あ、なんか唇の裏側と裏側が合わさると気持ちいい)」

紬(! 唯ちゃんの声……///)

ちゅ、ちゅ…

唯(抱き合ってるとムギちゃんのおっぱいが当たって気持ちいいな……)

紬「んっ(どうしよう…ディープキスしたい……唯ちゃん、嫌がらないかな……)」

唯(私、ちっちゃくて、ムギちゃん不満だったらどうしよう?)

紬(唯ちゃん、お願い、受け止めて)

ちゅ、にゅる…

唯(! これ、大人のキスだぁ///)

紬「ふっ(唯ちゃん…)」

唯(ムギちゃん、今日はすごい積極的だね。もしかして、さっきよっぽど怖い目に遭ったのかな?)

紬(! 拒否されてない! 唯ちゃん唯ちゃん!)

唯(私が忘れさせてあげなきゃ! 上手にできるかなー)

ちゅむっ、ちゅるっ…

紬「ん…んんっ(ああ、もうどうにかなっちゃう)」

唯{んっ…(なんか胸の先っぽに電気走ったぁ)」

紬「んんっ!(ああ、凄い。唯ちゃんと凄いことしちゃってる///)」

唯(なんか凄い。体の中が全部ムギちゃんになっちゃう)

紬「ん…(体の中が唯ちゃんのこと好きって気持ちで一杯になっちゃうの)」


ちゅぱっ…

紬「ゆ、唯ちゃん…」ハァハァ

唯「ムギちゃん」ハァハァ

紬「唯ちゃん、愛してるわ///」

唯「うんっ、わたしも///」

紬(唯ちゃん、顔真っ赤。きっと私もよね)

唯(ほっぺた赤くなったムギちゃん、可愛い)

ちゅっ

紬「さ、行きましょう」

唯「うんっ(5回目のキスだぁ)」



帰り道!

紬「それじゃ、唯ちゃん。また明日学校でね」

唯「うん! あ、あと…」

紬「なあに?」

唯「今日は怖い思いさせちゃって本当にゴメン! これからデートするときは、ずっと一緒にいようね」

紬「ゆ、唯ちゃん……(メタルの人たち本当にごめんなさい!)本当のこと言うと、唯ちゃんが来てくれるって信じてたから、私は全然怖くなかったのよ」

唯「む、ムギちゃん…///」

紬「だって唯ちゃんは、私の王子様だから」

唯「えへへ~、照れちゃうよ~」

紬「…大好きよ、唯ちゃん」

唯「…うんっ、私もムギちゃんが大好き!」



それから!

律「いや~、今日も練習したな~」

澪「唯のボーカル、最近ぐっとよくなったね」

唯「え~、そうかな~」テレテレ

紬「そうね、歌声に艶が出てきたみたい」

唯「えへへ、やっぱり恋を知って成長したんだね、私!」

紬「ゆ、唯ちゃんったら///」

澪律(え~~~、これでお2人とも隠してるつもりなんですか~~~?)ゲッソリ

唯「ムギちゃんのお陰だよ…」

紬「唯ちゃん…」

律「って、やっぱお前ら隠すつもりないだろ!」

唯「へ? 何が?」

澪「やめろ、律。疲れるだけだ」

紬「まぁまぁまぁまぁまぁまぁ」

唯「これでまた武道館に近づいたね!」

律「そうだな、コンチクショー!(絶対陰で『天然バカップル』って呼んでやる!)」

澪「ヤケになってる…」

紬「うふふ///」

唯「やるぞー!」



ムギちゃんと一緒にいれば、私は何でもできそうな気がするの。

だって私は、ムギちゃんの王子様なんだから!

大好きだよ、ムギちゃん。

―fin―





おまけ

唯「おもいつき!」

おひる!

憂「梓ちゃん、軽音部は馴れた?」モグモグ

梓「うん。先輩たち、いい人ばっかりだし」モグモグ

憂「ウチのお姉ちゃんはどう?」

梓「う~ん、ちょっとのんびりしてるけど、やるときはやってくれる人だよね」

憂「そう言うんじゃなくてさ、ウチのお姉ちゃん、異常でしょ?」

梓「はっ!? 何言ってるの?(そりゃ、ちょっとは変わってるけど…)」

憂「だってお姉ちゃん、異常なんだもん」

梓「(ムカッ)私は別にそう思わないけど?」

憂「嘘。はっきり言ってもいいんだよ? お前のお姉ちゃんは異常に可愛いって!」

梓「」

憂「お姉ちゃんが尋常じゃない可愛さなのは、妹の私が一番知ってるもん」

梓「」

憂「私ね、お姉ちゃんは地上に舞い降りた天使なんじゃないか、って疑ってるの」

梓「……」

憂「でも……それだと、私と血がつながらないことになっちゃう……やだよ、お姉ちゃん……」ウルウル

梓「……………」パクパク

憂「だけど、お姉ちゃんの奇跡的な可愛さを合理的に説明するのには、その考えが一番現実的なんだよね……」

梓「……(やっぱりアスパラベーコン巻きはお弁当の王様だなぁ)」モグモグ

憂「梓ちゃんはどう思う?」

梓「どうでもいいと思う」

―fin―



最終更新:2010年12月08日 15:25