澪「…私の両親が離婚して、再婚した話は知ってるよな…?」

澪「それで…新しく来た母親が…その…私のことを、あまりいいように思ってないみたいで…」

澪「それでさ…父さんが仕事に行ってる間に、色々と……意地悪、されるんだ…」

唯「いじわる…?」

澪「……ちょっと、気持ち悪いかもしれないけど…」モゾモゾ…

唯「…澪ちゃん、なんで上着脱ぐの…?」

律「……っ」フイッ

澪「………」グイッ

紬「!これって…タバコの痕…?」

唯「!」

紬「こんなにたくさん…どうして…」

澪「あの人が気に食わないところを見つけると、その度にこうされるんだ…」

澪「部屋にこもってやり過ごそうとしても、すぐ呼び出されて…無視したらまた…」ジワ…

澪「それでも耐えてたのに…それがまた、気に入らないみたいで…」ポロポロ

澪「だんだん、エスカレート、してきて…っ…殴られ、たりっ、け、られっ、ヒクッ」ボロボロ

律「っ………」プルプル

唯「もういい、もういいよ澪ちゃあん!」ガシッ

紬「…向こうの部屋で、少し休んでくるといいわ…唯ちゃんも…」

唯「うぅぇ、ぐすっ、ひぐっ」ギュゥゥ

律「唯、澪、立って…」

澪「……っ…」ボロボロ

律「よしよし…」

パタン…

紬「二人は落ち着いた?」

律「仲良く寝てるよ…」

紬「そう…」ホッ

律「…ムギは大丈夫か?」

紬「……大丈夫、って言ったら嘘になるけど…なんとかね」

律「そっか…」

紬「…ねぇ、りっちゃんは…いつから知ってたの?」

律「二週間くらい前かな…澪の様子が変だって気付いて…聞いてみたらこんなことだった」

紬「二週間前…それで電話してきたのね?」

紬(どうりで百合センサーが反応しなかったはずだわ)

紬「りっちゃんはこれからどうするの?」

律「…澪は精神的に不安定なんだ…今の状態で一人ぼっちになったら…すごく不安がると思う」

律「澪には何度も助けられてきた…だから今度は澪を助けてやりたいんだ…」

律「なぁ…お願いだムギ!アイツのそばにいさせてくれ!」

紬「り、りっちゃん!土下座なんかしないで!」

律「頼む…いや、お願いします…!」

紬「頭を上げて…ねぇ、りっちゃん…」

律「澪のこと…守りたいんだ…お願いします…」

紬「りっちゃん…」

律「…お願いします…」

紬「………」

紬「…りっちゃん、わかったわ…チケットは二人分用意させるから」

律「……っ…」

紬「りっちゃんは澪ちゃんと一緒に北海道へ行って、後はこっちでなんとかするわ」

律「……グズ…」ポロポロ

紬「もう、りっちゃんが泣いてちゃダメじゃない…これから澪ちゃんのこと守っていくんでしょ?」ナデナデ

律「ムギぃ…」ギュゥ

紬「澪ちゃんのことよろしくね」ニコッ

律「……ごべん…あぃがど…」グズグズ



~別室~

唯「…澪ちゃん、起きてる?」

澪「……あぁ…」

唯「………」ギュッ

澪「!唯…」

唯「…ここ、いたくない?」ナデナデ

澪「大丈夫だよ…」

唯「…気付いてあげれなくてごめんね…」シュン

澪「うぅん…気付いてくれない方がよかった…学校にまでこんなこと、持ち込みたくなかったし…」

澪「それに、変に同情されるのも…なんだか嫌だったし…ありがとな、唯」

唯「………」ギュゥゥ

澪「唯…泣いてるのか?」

唯「いた、かった、よね…澪ちゃ、ごめんね、ごめんねぇ」ポロポロ

澪「唯…いいんだよ、唯の鈍感なところに、私は救われてたんだ…」

唯「うぅぅ…」ギュゥゥ

澪「だから唯が責任を感じる必要なんて全くないんだ…」ナデナデ

澪(まただ…またみんなに迷惑をかけてる…)

澪(ごめん、唯…ごめん、ムギ………ごめん、律…)

澪「なぁ唯…悪いけど、ちょっとお願いしてもいいか?」



~商店街~

梓「それでねー、唯先輩ったら…」

憂「ねぇ、あれさわ子先生じゃない?」

梓「?…ホントだ、何してるんだろ?」

さわ子「あら二人とも!ちょうどよかった、澪ちゃんどこにいるか知らない?」

梓「いや、知らないです、どうかしたんですか?」

さわ子「保護者の方が昨日から帰ってないって心配してらしてね…どこかに心当たりはないかしら?」

梓「あー…(ムギ先輩のメール…さわ子先生になら喋ってもいいよね?)」

梓「さっきムギ先輩が家に来てってメールで言ってたんですけど…」

憂「そういえばさっきお姉ちゃんもムギ先輩の家に行くって…」

さわ子「そう…わかったわ、ありがとう!じゃあまた学校で!」

タッタッタッタッタッ

梓「…澪先輩、どうしちゃったんだろ」

憂「家出…なわけないよね…?」



~琴吹家~

律「澪ー?起きてるかー?」

澪「しーっ…今寝たところなんだ…」

律「ははっ、唯のヤツよだれ垂らしてる…写メ撮っとくかー」カシャッ

澪「もう…」

律「見ろよ澪、すげーいいのが撮れたぞ!ほらほらっ」

澪「ああ、よく撮れてるな」

律「そういえばこないだも!抜き打ちの小テストがあったんだけどさー」

澪「………」

律「唯ったら気付かないでグッスリ眠ってて、先生に叩き起こされてたんだー…」

澪「…そうなのか…」

律「うん…(……笑えよ、澪…)」

澪「……なぁ律、ほんとについてくるのか?」

律「…もう決めたんだ…」

澪「………そうか…」

コン、コン

斉藤「紬お嬢様、よろしいでしょうか」

紬「どうしたの?」

斉藤「軽音楽部の顧問の方がお見えになっております」

紬「…出かけてるって言ってもらえるかしら」

斉藤「かしこまりました」

紬(先生が動いてるってことは…もう澪ちゃんがいないことが伝わってるの…?)

ガチャ

律「ムギ、お茶もらえるか?」

紬「りっちゃん、さわちゃんが来たわ」

律「!!!…と、通したのか!?」

紬「いえ、留守にしてると言っておいたわ…りっちゃん?」

律「い、いや、ごめん、びっくりしすぎて…そ、それで?」

コン、コン

紬「先生は?」

斉藤「お嬢様が帰ってくるまで待たせてもらう、と…」

紬「そう…もしかしたら梓ちゃんに会ったのかも…憂ちゃんと出かけるって言ってたし…」

律「そっかー…梓かー…こりゃーおしおきしないとなー…」




~商店街~

梓「ッ!?」ゾクゾクッ

憂「ど、どうしたの梓ちゃん?」

梓「な、なんか寒気が…」ゾクゾク



~琴吹家~

律「なぁムギ、どれくらいで出発できるんだ?」

紬「余裕を持って行ける様に、一時間後の便を取ったんだけど…裏目に出てしまったみたいね」

律「一時間か…」

コレはないわって言われるかも

律「澪、急いで準備しろ」

澪「え…も、もう気付かれたのか?」カタカタ

律「大丈夫、私がついてるから」ギュッ

澪「……うん…」

律「荷物コレか?」

澪「あぁ、あとベースも…」

ガチャ バタン

唯「…んぅ…う~い~…今何時ぃ?」

唯「…メール…さわちゃんだぁ…?」



~琴吹家正門~

ピロリロリン♪

さわ子「!」

さわ子「…やっぱりここにいたのね…澪ちゃん…」

フゥーーー ポイ グシャ

紬「あら、起きたのね唯ちゃん」

唯「ん~…?」ゴシゴシ

紬「まだ寝ぼけてるみたいね…」

律「忘れものないな?」

澪「うん…」

コンコンコン!

紬「どうしたの?」

斉藤「先ほどの軽音楽部の顧問の先生なのですが、こちらへ向かっております」

紬「なんですって!?」

澪「…っうわあああ!!」ガタガタ

律「澪!大丈夫だ、大丈夫だから!」ギュッ

紬「(キマシタワー)斉藤、裏口に車をまわして!後はお願いね!」



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最終更新:2010年01月01日 21:37