梓「律先輩、そろそろ練習始めますよ！」
律「まあ待て、今日は時間割が苦手な教科ばっかで疲れてんだよ、もう少し休憩させてくれ」ダルン
澪「好きな教科なんてまともにないくせに」
唯「まあまあ、文化祭も終わったんだし、ゆったりいこうよ。あ、ムギちゃんお茶おかわり～」
紬「はぁ～い♪」
律「ま、そういうことだ。目的がないからやる気なんて出ねーし」
梓「目的がないとか関係ないです！ここは部室で、私たちは部活中なんだから、今は練習するべきなんです！」
律「か～っ、お堅いねえ。お前には疲れた後のこの優雅なティータイムの素晴らしさが理解できないのかねえ。」
梓「先輩の場合はティータイムしかしてないじゃないですか！」
澪「おい、2人ともその辺にしとかないと…」
梓「…大体、あなたのその姿勢は前から気に入らなかったんです。」
律「へっ？」
唯「あ、あずにゃん？」
梓「何かと理由を付けて、練習さぼってお茶飲んで…あなたはここに部活しに来てるんですか？それともお茶を飲みに来てるんですか？」
律「だから、後からやるって言ってんじゃん」
梓「信用できないです！」
律「おいおい、部長の言うことが信用できんのかぁ～お前は？」
梓「あなたみたいな人、部長なんかじゃないです！」
唯「ちょ、ちょっとあずにゃん！」
律「…おい、今何て言った？」
梓「あなたみたいな責任感の欠片も感じられないような人に、部長なんか務まらないって言ったんですよ。」
澪「おい待て梓！」
律「…そうか、お前は私のことそんな風に思ってたんだな。」
紬「りっちゃん…？」
律「…出ていけよ。」
梓「…！」
律「私のやり方が気に入らないってんなら、今すぐここから出ていけよ。」
唯「ちょ、ちょっと2人とも落ち着いて！」
梓「…先輩のバカ！もう知らない！」ダッ
澪「梓！」
ガチャン!
律「…」
紬「ちょっとりっちゃん、今のは言いすぎなんじゃない？」
澪「律、どうすんだよ」
律「…ごめん、後輩にあれこれ言われてると、なんか無性に腹が立ってさ」
澪「律、前も同じこと言ってただろ。もう二回目だぞ」
唯「あずにゃん、今度は戻ってくるかな…」
律「…ごめん、私梓に謝ってくるわ」
紬「じゃあ、私たちも梓ちゃんを探しに…」
律「いや、私1人でいいよ。元は私が悪いんだし。お前らはここで待っててくれ」
紬「そう…わかったわ」
律「んじゃ、行ってくる」
バタン
澪「…」
唯「あずにゃん、戻ってくるかな…」
紬「りっちゃんを信じるしかないわよ。それに、前のときだって連れ戻してきたじゃない」
唯「…そうだね！りっちゃんなら 大丈夫だよね！というわけでムギちゃんお茶～」
澪「お前はもう少し心配しろよ」
紬「うふふ、今入れるわね♪」
……
数時間後！
ガチャン
律「よっす」
澪「律！」
唯「あ、あずにゃんだ～！」
梓「…お騒がせしてすいませんでした。」
紬「ううん、戻ってきてくれたのならそれでいいわ」
律「よし！じゃあ今日は解散な！」
澪「はぁ！？」
律「いや、だってもう6時過ぎてるし…もうじき先生が見回りに来るぞ」
澪「うぅ…仕方ないな」
律「じゃあみんなまた明日な～」
唯「また明日～」
二日後！
梓「律先輩！いい加減にしてください！」
律「昨日しっかり練習したじゃん。だから今日は休む日なの」グテ
梓「そんなルールないです！」
澪「またか…」
唯「もう三回目だね…」
梓「いいから早く立つです！練習しますよ！」
律「っだぁぁぁぁぁ！」
唯・澪「！？」
律「うるさいんだよいつもいつも練習しろ練習しろって！」
梓「なっ…逆ギレじゃないですかそれ！」
律「うるさい！大体お前後輩のクセに生意気なんだよ！」
梓「後輩だからとかそんなの関係ないです！ていうか先輩がしっかりしてくれればそもそもこんなこと言う必要もないんですよ！」
律「もういいよ！うっとうしいんだよ！いいから今すぐ出ていってくれよ！」
澪「おい2人とも！」
梓「…っ！」ダッ
バタン!
律「ハァ…ハァ…」
澪「律…お前もう三回目だぞ。いい加減学習しろよ」
唯「りっちゃん…」
律「……またやっちゃった…」
律「私、梓を探してくる！」ダッ
紬「私も行く！」
律「来なくていいから！」
紬「でも 律「来なくていいって言ってんだろ！」
バタン!
紬「あっ…」
澪「三回目…あいつ何回同じことを…」
唯「…」
紬「…私、やっぱりりっちゃん達探してくる」
澪「うん、頼むよ」
紬「任せて！」
……
紬（さて、どこにいるのかしら…）
紬（鞄は部室にあるから校外には出てないでしょうけど…）
紬（とりあえず教室を片っ端から回ってみようかしら）
……
紬（一通り1年と2年の教室を見たけど、いないわね…）
紬（…静かね。そういえば、この時期の3年って、殆ど早めに下校してるんだっけ）
紬（私達も来年はここで勉強するのよね…）カツカツ
「……ぁ…」
紬「！？」
紬（い、今のって…）
「ハァ……んぁっ…」
紬（やっぱり…これって…喘ぎ声！？）
紬（教室から聞こえる…この中に誰かいるというの？）
「…ぃ…よ」
「……ってよ」
紬（話し声…2人？）
紬（ここは女子校…人気のない教室…2人…喘ぎ声…）
紬（！）ピキーン
紬（そうよ…答えは1つしかないわ！）キマシタワァァァァァ!!!
「んあっ…くっ…」
紬（あぁ…きっとこの中では恋する2人がお互いの愛を確かめあっているのね…）ポワポワ
紬（どうしよう…百合ラーとしてこの光景は目に焼き付けておきたいけど、りっちゃんと梓ちゃんを見つけないといけないし…）
紬（それに覗きなんて趣味悪いし…）
紬（…でも、元はといえばこのために女子校に来たようなものだもんね）
紬（ちょっとくらいは…）ソーッ
紬「！！？？」
紬（ちょっと待って、あれって…）
梓「んあっ…」
律「梓…かわいいよ…」
紬（うええぇぇえぇぇええぇえ！！！！！？？？）
律「梓…今日はやけに声荒げてたじゃん…そんなに私としたかったのか？」サワッ…
梓「んあっ…そういう律だって…逆ギレなんて使って、ほとんど無理やり部室から出ていかせたじゃん…」
梓「ハァ…早くしたかったのは……そっちなんじゃ…ないの？」
律「そんな声で反抗したって、可愛いだけだぜ？」コリッ
梓「ひゃあん！」ビクン
律「ほら…もう乳首たってる…やっぱりえっちなのはそっちじゃん…」コリコリ
梓「ふぁ…ち、ちがっ…」ビクンビクン
紬（なになになに！？あの2人喧嘩してたんじゃないの！？）
紬（仲直りしたの！？それとも仲直りの最中なの！？？）
紬（あの2人の仲直りって…いつもあんなだったの！！？）
紬（……いえ、違うわ）
紬（そうよ、冷静に考えてみれば不自然なところはあったのよ…）
紬（さぼってたのは唯ちゃんだってそうだったじゃない…なのに梓ちゃんに責められたのはりっちゃんだけだった…）
紬（そして、喧嘩の最後には必ずりっちゃんの『出ていけ』…少なくとも、私の知ってるりっちゃんはあの程度では『出ていけ』なんて言わないわ…）
紬（どうやって3年の教室の鍵を手に入れたのかはちょっと疑問だけど…これはつまり…）
梓「律…私、もうダメ…」
律「うん、わかった。下、触るね」スッ…
梓「あぁん！」ビクン!
紬（喧嘩はしてるふりであって、部室から出るための口実だったのね…）
紬（もっと見ていたいけど、ばれたらまずいし、とりあえず今はこの場を去りましょう…）ザッ…
……
紬「正直、もっと早く気付けたはずだわ」ガクッ
紬「最初の喧嘩の時…せめて二回目の喧嘩の時には気づくべきだった」ブツブツ
紬「…完全に盲点だったわ。りっちゃんと梓ちゃんは普段いがみ合ってるから、そういうのとは無縁だと勝手に思い込んでた…」ブツブツ
紬「人の裏にはなにがあるか分からないってことね…これじゃ百合ラーとして失格だわ」ハァ…
紬「…後悔ばかりしてても仕方ない…これからはあの2人の行動に注意しておかないと！」
ガチャン
唯「あ、ムギちゃんおかえり～」
澪「律達はいた？」
紬「ええ」
唯「大丈夫そうなの？」
紬「ええ、大丈夫。むしろ心配する必要自体なかったみたい」
澪「え？」
紬「うふふふふ…」ポワポワ
唯「ムギちゃん…なんか怖いよ…」
澪「何があったんだ…」
……
その頃！
梓「ハァ…ハァ…」
律「大丈夫？立てるか？」
梓「ハァ…少し…休ませて…」
律「わかった」
律「…怪しまれてないかな」
梓「えっ？」
律「いや、さすがに三回も同じパターンで部室抜け出して、怪しまれないかな、って」
梓「あぁ…」
律「そろそろ何か別の方法考えないとな」
梓「そうだね…」
律「困ったなあ、梓ん家行く時に限って親が家にいるんだもんなぁ。全くどうなってんだよ。」
梓「親の都合にケチつけても仕方ないよ。それにそれは律の家も一緒じゃん」
律「そりゃそうだけどさ…学校でこんなコソコソすんのも何だかな…」
梓「いっそのこと、みんなにばらしちゃう？」
律「…ごめん、まだ勇気ない」
梓「ヘタレめ」
律「なっ！？」
梓「普段強気のくせに変なとこでヘタレてるから、こないだ後輩の私に上をとられたんでしょ」
律「いや、その時は本当に疲れてて…」
梓「あの時の律、可愛かったなぁ」
律「うぅ…///」
梓「あ、ごめん。困らせるつもりはなかったんだけど…」
律「いいよ。さて、そろそろ戻るか。」
梓「いや、もうちょっと」
律「そうか…」
律「なんか梓、変わったよな」
梓「えっ？」
律「付き合う前は毎日『練習しろ！』ってうるさかったのに、今はその梓が部活すっぽかして『もうちょっと』なんてさ」
梓「うん…だって」
律「ん？」
梓「律に…嫌われたくないから」
律「私が梓を？なんで？」
梓「律、あんまり年下の私にあれこれ指図されるの嫌なのかな、って思って」
律「…」
梓「だから、律と2人でいるときはあんまり練習の話はしないほうがいいのかな、って」
律「…ばーか」
梓「えっ？」
律「ちょっとは素直になったかと思えば、しょーもないとこで悩むとこは今も一緒だな」
梓「しょーもないって…」
律「付き合う時に言っただろ？私達は互いに対等！言いたいことがあったら正面からはっきり言う！」
律「だから、梓が私に何を言おうと、それが梓の本気の言葉なら、私はそれを正面から受け止めてやるよ」
梓「律…」
律「さて、ぼちぼち下校時刻だし、帰ろうぜ」スッ
梓「だね」スクッ
律「あ、あと」
梓「何？」
律「えと、一応聞くけど、今までの喧嘩は本当にフリなんだよな？」
梓「…当たり前じゃん。律はちょっとだらしないとこあるけど、いつも私のこと気にかけてくれて、いざというときに頼りになる、私が大好きな自慢の恋人だよ」
律「…うん、ありがとう。私も大好きだよ、梓」
チュッ
……
数日後！
センセー、サヨウナラー
唯「あぁ～、やっと終わったぁ～」グテ
澪「今から部活なのに大丈夫なのか？」
唯「歩けな～い、ムギちゃんおぶってぇ～」ヨロヨロ
紬「あらあら♪」
律「…ごめん、今日ちょっと友達に手伝ってほしいことがあるって言われててさ、部活遅れるわ」ガタッ
澪「そうか」
紬「うふふ、喧嘩作戦の次は用事作戦かしら？」
律「えっ」
唯・澪「作戦？」
紬「～♪」ニコニコ
律「…ちょっとムギこっち来い」グイッ
紬「あら、どうやらりっちゃんが私と話したいことがあるみたいだから、唯ちゃん達先に行っててくれる？」
唯「うんわかった～。じゃあ澪ちゃんにおぶってもらう～」ガシッ
澪「自分で歩きなさい」ペシッ
唯「ぶー」パッ
……
律「…いつからだ？」
紬「ほんとに最近よ？りっちゃんが三回目に梓ちゃんと喧嘩（のフリ）した時に探しに行ったらたまたま…」
律「来るなって言ったのに…」
紬「あんな言い方じゃかえって心配になっちゃうわよ」
律「それもそうか…」
律「…なぁ」
紬「なに？」
律「私と梓のこと、誰にもばらすなよ」
紬「ふふっ、分かってるわよ」
律「絶対だぞ。絶対だからな」
紬「あらあら？私ってそんなに信用ないのかしら？」
律「いや…まあでも、正直ばれたのがムギでよかったよ」
紬「りっちゃんと梓ちゃんってのはちょっと意外だったけど…私はいいと思うわ」
律「ムギ…」
紬「ていうか…」
律「ん？」
紬「是非とも私の目の届くところで思う存分いちゃついてくだされば！」ガシッ
律「お…おぅ…」
梓「ホームルーム終わったらすぐ来るって言ったのに、律ったらどこにいｒ…」
梓「り、律！？」
律「あ、ようあずｓ 梓「何でムギ先輩の手握ってるの！？」
律「えっ、あっ！ちがっ、これはムギが！」パッ
梓「ちょっと前にあんなに私に『大好き』って言っといて、もう浮気！？最低だよ律！」
律「だから誤解だって！ていうかお前自分で何言ってんのか分かってるのか！？」
梓「えっ…あ…」
律「…///」
紬「～♪」ニコニコ
梓「ぁ…ぃ…いやあああぁぁああぁ！！！///」ダダダッ
律「あ、待てよ梓あぁぁぁ！！」ダッ
紬「うふふ♪」
おわり！
こういうの普段あんまり書かないのですが、SSっていざ書いてみると案外難しいですね…。
ちなみに『喧嘩作戦』を略して『けんさく』です。わかりづらいタイトルでごめんなさい。
ここまで読んでいただいてありがとうございました。
最終更新：2011年04月28日 22:32
