梓純「は?」
憂「あずにゃんに会いたくて憂の振りしてきちゃったー!」ダキッ
純「もーいい加減にしなよ憂ー」
梓「いや……待って純……」
梓「唯先輩ならやりかねないっ!!」
純「ええっ!?まさか本当にっ!?」
さわ子「おはよう憂ちゃん」
梓「まぁ、そんな訳無いか……」
さわ子「今日も唯ちゃんの真似してるのね?」
憂「何言ってるのさわちゃん、私唯だよ?」
純「え?それじゃ本当に唯先輩!?」
梓「そんな……おっぱい鑑定士とまで呼ばれたさわ子先生が見間違えるなんて……」
さわ子「勝手に変な異名付けないでくれる?おかしいわね、どっからどうみても憂ちゃんだと思うんだけど……」
憂「やだなぁ、さわちゃん。その年でもう耄碌したの?」
さわ子「」ボカッ
純「さ、さわ子先生落ち着いて!!相手は憂ですよ!!」
さわ子「あ、あら、ごめんなさい。つい反射的に……」
憂「うぅ……さわちゃん。ひどいよぅ……」
梓「でも、いくら変装してても憂がこんな事言うとは思えないけど……さわ子先生本当にこれ憂なんですか?」
さわ子「私の目に狂いは無いわ!」
憂「さわちゃん、やっぱ年なんじゃ……」
さわ子「…………!!」
純「先生落ち着いてーーー!!!」
梓「もう憂、おふざけはそこまででいいから……」
純「そうだよ。これ以上やるとさわ子先生が自分を抑えきれなくなるよ」
憂「もうみんなしつこいなぁ。私は本当に唯なのに……」
梓「ういぃ……」
純「あ、もしかして唯先輩の胸がおっきくなったんじゃ!だからさわ子先生でも判別できないのかも……!」
梓「あ、それはあるかも!」
さわ子「いやいや、いくら唯ちゃんでも一、二ヶ月でそんな急激なバストアップはしないわよ。それに私だって胸だけで判断してるわけじゃないし」
梓「それじゃ一体どうして……」
さわ子「なんかややこしくなってきたけど、私そろそろ職員会議だから行くわね」
梓「え、そんなさわ子先生ーー!!」
純「無責任な人だなぁ……」
梓「あ、それ、純には言われたくないと思う」
純「ほほぅ……あー、やっぱ軽音部入るのやめよっかなー?」
梓「すいませんでした」
純「焼きそばパンとコーヒー牛乳ね」
梓「足元見てぇ……」
憂「私はメロンパンとイチゴミルクがいいなぁ」
梓「唯先輩は関係ないでしょ!」
憂「冗談だよ、あずにゃーん!いくら私でも後輩におごらせたりしないよぉ!」ギュウ
梓「まったくもう」
純「梓……あんた……」
梓「はっ……!!」
――――
憂「ぐーぐー……」
純「憂授業終わったよ?」
憂「うーん……後五分ー……」
梓「いつもの憂なら居眠りなんてしないのに……」
純「ねぇ、やっぱこれ本物の唯先輩なんじゃない?」
梓「私もそう思えてきたよ……」
純「唯先輩に電話でもかけてみたら?それではっきりするでしょ」
梓「そうだね。そうしてみる」
prrrrrrr
唯『もしもし、あずにゃん!?』
梓「出た!!」
純「嘘っ!?じゃあやっぱりこれは……」
梓「もしもし唯先輩!?」
梓「あ……いえ、別に用って事は無いんですけど……」
梓「唯先輩のほうはどうなんですか?私たちがいなくても大丈夫なんですか?」
梓「もう、あんまりみなさんに迷惑かけちゃ駄目ですよ?」
梓「そうですか……大学でも軽音部に……」
梓「新しい友達……へぇ……」
梓「焼きもちなんかじゃないもん!」
梓「あ、はい。それじゃまた……」
純「…………」
梓「うん、決まり!やっぱりこれは憂だよ、間違いない!」テカテカ
純「……梓、私常々思ってたんだけど、あんたも相当重症だよね」
梓「?何のこと?」
純「自覚症状が無いってところがまた……」
梓「だ、だから何のこと!?」
純「いやいや、いいのいいの気にしないで」
梓「……なんかむかつく」
純「じゃあ、憂はどうしてこんな事に……」
梓「私たちをからかってるにしてもやりすぎだしね」
純「そもそも憂はそういう事をするような子じゃないし……」
梓「純、これはあくまで私の予想なんだけどね」
純「お、何か心当たりあんの?」
梓「うん、憂ってさ唯先輩の事大好きでしょ?」
純「うん……」(あんたも人の事言えないと思うけど……)
梓「その唯先輩が寮に入ってしまった。修学旅行なんかの比じゃない。
これからは唯先輩に会える日のほうが少ないんだよ。これはきっと憂にとっては耐え難いことだと思う」
純「そりゃあねぇ……」
梓「表面上は平気そうに見せたって内心はすごく辛かったはず。そしてとうとうその寂しさは臨界点を超えてしまった。
そこで憂は自分自身が唯先輩になりきることによって自分の心をごまかしてるんだよ」
純「つまり、今憂は一種の自己暗示にかかってるって事?」
梓「そういう事!」
純「なるほどねぇ……さすが唯先輩依存患者、同類の気持ちはよく分かるのね」
梓「なっ……!?私はそんなんじゃないもん!」
純「はいはい」
純「で、憂を正気に戻すにはどうすればいいの?」
梓「それは……分からない……」
純「だめじゃん」
憂「うーん……」
純「あ、憂……起きた?」
憂「ふあぁ……おはよう、あずにゃん純ちゃん」
梓「ねぇ憂、お願い正気に戻ってよ」
憂「あはは、あずにゃんまだ疑ってるの?大体憂だったら居眠りなんかしないよー」
純「あちゃー……これは本格的に病気だわ」
梓「憂、現実から逃げちゃ駄目。唯先輩はもういないんだよ!?悲しいのは私も分かる……。
でも、そんな事をしたって何もならないよ!現実から目を背けないで!!憂がそんなんじゃ唯先輩も悲しむよ!!」
純「あ、梓……?ちょっと大袈裟じゃない?今生の別れでもあるまいし……」
憂「もう……あずにゃんもしつこいなー……。そんなことよりさ、あずにゃん今日家に泊まりに来ない?」
梓「え……?」
唯「今日丁度、憂が家空けててねー。一人じゃ寂しいしー……」
梓「いいよ……」
唯「やったー!!」
純「え、梓?」
梓「憂がこんな事になったのは寂しさが原因のはず……。私がそれを解消してあげればもしかしたら……」
純「そう、上手く行くかなー……」
梓「うん、明日にはきっといつもの憂の姿を見せてあげるよ!」
純「はぁ……頼もしいことで……」
―――――
憂「とういうことで、ようこそ。あずにゃん!」
梓「おじゃましまーす……」
憂「まーゆっくりしていきたまえー」
梓「ねぇ、憂……」
憂「うーん、あずにゃんまだ私が憂だと思ってるんだね……。でも、タメ口のあずにゃんってのも結構いいかも……」
梓「憂のご両親とかっていないの」
憂「あぁ、そうだねー……やっぱりお母さん達は全然帰ってこないよ」
梓「そう……」(こんな広い家にずっと一人で……そりゃあ、寂しいよね……)
――――
憂「あずにゃーん、お風呂沸いたよー」
梓「あ、先に入ってていいよ」
憂「えー、一緒に入ろうよー。あずにゃーん」スリスリ
梓「ニャッ!だ、ダメだよ!」
憂「ちぇー、あずにゃんのいけずー……」
梓「ダメなものはダメなの!」
梓(今の憂と一緒に入ったら何されるか分かったもんじゃないし……)
梓(それにどうせだったら本物の唯先輩と……って違くて……)
梓(でも、今一緒に入っちゃえば擬似的とはいえ……唯先輩と……って、あぁもう何考えてるの私!煩悩退散!煩悩退散!)
憂「あずにゃん、どうしたの?顔真っ赤だよ?」
梓「な、なんでもない!何でもないから!」
憂「変なあずにゃん」
梓「そ、そういえば、夕ご飯はどうするの?」
憂「あー……私、料理できないし……出前でもとろっか?」
梓「そんな……お金がもったいないよ。家に何か無いの?ちょっと冷蔵庫とか見てもいい?」
憂「どうぞどうぞ」
梓「あっ、何だ。結構材料あるじゃん。さすが憂。私が適当に何か作ってるから憂はお風呂入ってて」
憂「おおっ、あずにゃんの手料理!分かった、楽しみにしてるね!」
――――
憂「おおっ、これがあずにゃんの手料理!」
梓「憂と比べたら全然下手だけど……」
憂「そんなことないよ!すっごく美味しそう!いただきまーす!」
梓「ど、どうかな?」
憂「美味しー!!あずにゃん天才!!」
梓「そ、そんな大袈裟な……お世辞なんかいいよ……」
憂「え、何で?そんなことないのに」
梓「だ、だって憂と比べたら到底適わないし……大体料理覚えたのだってつい最近だし……」
憂「へぇー、何で突然料理覚えようと思ったの?」
梓「そ、それは唯先輩が一人暮らしするって勘違いしてて……私も何か唯先輩のお手伝い出来たらいいなって……」
憂「それじゃ、私のために料理覚えたの!?」
梓「結局全部無駄になっちゃったけど……」
憂「あずにゃん……ううん……無駄なんかじゃないよ?だって、今こうしてあずにゃんの料理食べられてるんだから」
梓「唯先輩……」
梓(唯先輩……?いや、違う。これは憂だ……憂なのに……)
憂「えへへー、あーずにゃん」ダキッ
梓「ニャ!?」
憂「いい子いい子」ナデナデ
梓(あったかい……この感じ久しぶりだな。でもこれは唯先輩じゃなくて……あぁ、なんかもうどうでもいいや……)
梓「ふにゃあ……ゆいせんぱいぃ……」
憂「あずにゃーん♪」スリスリ
――――
純「おはよっ!梓、首尾はどうだった?」
梓「え、何のこと?」
純「へ……?」
憂「あーずにゃん!」ダキッ
梓「もう唯先輩やめてください!人前ですよ!」
憂「よいではないか、よいではないか」
梓「ニャアアア!!」
純「………………」
純「ミイラ取りがミイラになったーーー!!!」
最終更新:2011年04月30日 23:12