カレーのちシュガー!
部室
ガチャ
律「みんなー!」
梓「あ、律先輩来ました」
澪「遅いぞ律、何やってたんだ?」
律「いやー、ちょっとこれ見てくれよ!」
紬「・・・チラシ?」
唯「『駅前にカレー屋オープン セール実施中』・・・だって」
律「なー、今からみんなで行ってみないか?」
唯「いいねぇ!おいしそうだよ~」
紬「行ってみたいわぁ~」
梓「い、今からですか?練習はどうするんですか!」
律「どーせいっつも練習してないだろー?梓はカレー食べたくないのか?」
梓「う・・・・・・た、食べたい・・・です・・・けど・・・」
律「じゃー決まりー!早速行こうぜー!カレーが嫌いな日本人はいない!」
澪「・・・」
律「どうした?澪、早く行こうぜ」
澪「え・・・ま、待ってくれよ律~」
・・・・・・
・・・・
・・
唯「混んでるね~」
律「桜高の生徒多いなー。学校中がカレーブームだな」
梓「値段も手ごろですし、学生をターゲットにしたお店みたいですね」
紬「・・・澪ちゃん?何か元気ないけどどうしたの?」
澪「あ、あぁ、別にそんなことないよ。大丈夫」
澪(うぅ~、実は私、辛いのダメなんだよな~・・・どうしよう)
紬「あっ、もうすぐで入れそうよ!」
唯「楽しみだねぇ、澪ちゃん」
澪「う、うん・・・」
律「よし、じゃあ何にしようか・・・ってもちろんカレーだよな」
澪(甘口にしよう・・・)
唯「あれ?ここのカレーって、辛さ選べないんだね」
紬「本格派なのかしらね」
梓「あ、机にスパイスは置いてありますよ。より辛くは出来るみたいです」
澪(な、なんだってー!)
律「店員さんすいませーん。カレー5つ、お願いします」
・・・・・・
・・・・
・・
律「キター!」
唯「いいにおいだよ~」
紬「美味しそうね~」
梓「・・・ゴクリ」
澪(見た目は辛そうじゃない・・・福神漬けもあるし、良かった)
律「じゃー食べようぜ!」
唯「おー!」
モグモグモグ・・・
澪「あ・・・美味しい・・・」
澪(マイルドな味のカレーなら美味しく食べられるぞ)
律「・・・うーん」
律「スパイス入れちゃえ」
梓「あ、律先輩も思いました?少し辛さが足りないですよね」
紬「そうね。もうちょっと辛くてもいいかもね」
澪「私はこれくらいがいいかな・・・唯もそう思うだろ?」
唯「うーん・・・・・・・・・りっちゃん、私にもスパイス貸して~」
澪(ガーン)
澪「ゆ、唯は甘いのが好きで、辛いのダメなんじゃなかったっけ?」
唯「ふっふっふ、実は憂の作ったエビチリが美味しくて、それから辛いのが食べれるようになりました!」
律「おぉー!やったな唯!大人への階段を一歩のぼったな!」
唯「カレーも甘口から中辛になりました!」フンス
梓「まだ甘口だったんですか・・・」
澪(ガガーーン)
紬「・・・澪ちゃん、どうしたの?泣いてるけど」
澪「いや・・・大丈夫・・・ホントに大丈夫・・・」ポロポロ
翌日
澪「はぁ・・・」
澪(まさか唯まで辛いのを克服してるなんて・・・)
澪(高校生にもなって、甘口しか食べられないのは、恥ずかしいよなぁ・・・)
紬「・・・澪ちゃん?」
澪「あ・・・ムギ・・・おはよう・・・」
紬「・・・澪ちゃん、大丈夫?昨日から元気が無いみたいだけど・・・」
澪(・・・ムギなら、私の悩みを真剣に聞いてくれそうだな・・・)
澪「ムギ・・・ちょっと、相談があるんだ」
・・・・・・
・・・・
・・
紬「えっ!?辛いものを克服したい?」
澪「うん・・・実はカレーも甘口しか食べられなくて・・・」
紬「うーん・・・」
澪「ご、ごめんな。いきなりこんなこと言われても困るよな」
紬「・・・ここはあえて、甘いものをたくさん食べるのはどうかしら?」
澪「え?」
紬「もう甘いものなんて食べたくない!って思うくらい甘いものを食べれば、辛いものが美味しく感じられるかも・・・」
澪「・・・・・・それだ!ムギ!」
澪「その方法なら辛いものを食べずに辛さを克服できるよ!ありがとうムギ!」
紬「澪ちゃんファイトよ!」
澪「早速今日から甘いものを食べてみるよ!ムギに相談してよかった!」
紬「澪ちゃんの役に立てたのなら嬉しいわ♪」
澪(他のみんなにばれる前に絶対克服してみせるぞ!)
・・・・・・
・・・・
・・
部室
紬「今日のお菓子はケーキよ~」
唯「あ!このお店のショートケーキ、すっごく甘くておいしいんだよね~」
澪(甘い!?)
律「じゃあ唯はショートケーキな。私は・・・」
澪「律、待った。ショートケーキは私のだ」
律「あれ?澪はチョコじゃないの?」
澪「いいや、私はショートケーキを食べる。唯、譲ってくれ」
唯「べ・・・別にいいよ。じゃあ私ブルーベリーにしよ~」
唯(目が怖い・・・)
澪「甘い・・・」
梓「澪先輩が唯先輩と被るなんて珍しいですね」
紬「そ、そうかしら~?」
澪「き、気のせいじゃ、ないか?」
澪(そうだな、今度から部室のお菓子も一番甘いのを食べよう!)
澪(やってやるぞ!絶対辛いものを克服してやるんだ!)
律「・・・心なしか、澪が何かに燃えてる気がする・・・」
秋山家
澪「ママ!うちに甘いものない?」
澪母「甘いもの?何で急に」
澪「いいから、何でもいいよ」
澪母「そうねぇ・・・あ、こないだの親戚の結婚式で余った、祝い砂糖の鯛があるけど、そんなのでもいいの?」
澪「それでいいよ!ありがとうママ!」
澪母「・・・突然変な子ねぇ」
澪「う・・・めちゃくちゃ甘い・・・」
澪「そりゃそうか。砂糖を食べてるのと変わらないからな」
澪「でももう甘いものを見たくないってくらい食べまくるぞ」
澪「他にも甘いものあるかな・・・」
澪「そうだ!色んな甘いものを一つにまとめて食べればいいんだ!」
澪「チョコを溶かして砂糖を振り掛ければ、たくさん甘いのが食べられるぞ」
澪「あと飲み物は出来るだけメイプルシロップを飲むようにしよう。他には・・・」
翌日
唯「澪ちゃん・・・・・・何、そのお弁当・・・」
澪「ん?これは砂糖ご飯にチョコをかけたやつだよ」
唯「さ、砂糖・・・ご飯・・・?」
澪「あとこれはみたらしとジャムの和え物だろ、これはロール水あめ、あとは・・・」
律「み、澪さーん?今はおやつじゃなくてお昼ご飯ですよー?つーかそれ食べ物?」
紬(澪ちゃん、頑張ってるのね!ファイト!)
唯「うぅ、なんだか教室中に甘い香りが・・・」
澪(甘いものっていくらでも食べられちゃうな)
数日後
澪「・・・太った」
澪「夕飯も食べられないくらい甘いもの食べたからな・・・」
澪「はぁ・・・」
澪「こんな生活続けてたら、ぶくぶくになっちゃうよ・・・」
澪「甘いもの・・・食べたくないなぁ・・・」
澪「ハッ」
澪「今、甘いものを食べたくないって思ったぞ!」
澪「もしかして、今なら辛いものも食べられるんじゃ・・・!」
澪「よーし、明日はみんなを誘ってカレー屋に行こう!」
翌日
澪「カレー屋に行こう」
律「え・・・?い、いきなり?」
澪「ああ。律、カレー屋へ行くぞ」
唯「澪ちゃんカレーにはまったんだねぇ」
紬(澪ちゃんついに辛いのを克服したのね・・・!)
律「でもさぁ、最近さすがに練習しなさすぎだし・・・」
澪「練習なんていいだろ。さぁみんなも行くぞ」
梓「み、澪先輩の口からそんな言葉が出るなんて・・・」
・・・・・・
・・・・
・・
律「てなわけでカレー屋に来ました」
唯「お昼食べたのに、ここに来たらまたお腹空いてきちゃった」
梓「・・・このカレーの香りは反則ですね」
紬「じゃあまたカレー5つでいいわね」
澪(前は地獄のように見えたこの風景が、今では嘘のようだぞ・・・!)
・・・・・・
・・・・
・・
律「うまそー!・・・っとスパイススパイス~」
澪「律、次貸してくれ」
律「ん?澪もスパイス使うの?」
澪「あぁ。もちろんだ。ここのカレーは甘すぎるからな」
紬(澪ちゃんすごいわ・・・!)
澪「よし、じゃあいただきます・・・」
モグモグモグ・・・
澪(・・・辛くない!)
律「おー、澪、結構スパイスかかってんじゃん。辛いの好きなのか」
澪「い、いやぁ、このくらい普通だよ」
唯「さっすが澪ちゃんはオトナのオンナだねぇ」
紬「澪ちゃんすごいわ!」
澪(ふふふ、ついに辛いものを克服したぞ!)
梓(何で澪先輩は誇らしげなんだろう・・・)
・・・・・・
・・・・
・・
律「いやー、うまかった」
梓「まだ日が暮れるまでは時間ありますね」
紬「あ、なら今日部室で食べる予定だったケーキがあるわよ」
唯「おー!甘いものは別腹だよ!」
澪(昨日は嫌になった甘いものだけど、今は食べたくなってきたな・・・)
澪「じゃあそこの公園で食べようか」
紬「はい、どうぞ」
唯「やったー!甘いショートケーキ!」
紬(澪ちゃんのために持ってきたのよ)
律「全部同じ種類かー。じゃあ一人一つだな」
梓「そうですね」
澪「じゃあ、いただきます」
モグモグモグ・・・
澪「・・・ん?」
澪「・・・・・・甘くない?」
唯「え?すっごく甘いよ~」
梓「これすごい甘いですね・・・さっきのカレーの後だから余計に」
律「甘いものは別腹って本当だなー」
澪「・・・というか、何の味もしない・・・」
紬「え?」
澪(もしかして・・・甘いものを食べ過ぎて、舌が馬鹿になっちゃった!?)
澪「う・・・うぅぅ・・・」
紬「・・・澪ちゃん?」
澪「うわあぁぁぁん!ムギぃぃぃぃ!」
紬「な、何!?どうしたの澪ちゃん!?」
澪「味覚を取り戻す方法を教えてくれー!!」
紬「え、えぇ!?」
律「・・・澪のやつ、いきなりムギに抱きついてどうしたんだ?」
梓「さぁ・・・」
唯「よっぽどケーキがおいしかったんだね~」
澪「うわーん!もう甘いものも辛いものも嫌いだー!!」
終わり
最終更新:2011年05月01日 22:50