梓「ゆーいせーんぱいっ!」

唯「んー?」ジャカジャカ

梓「大好きです!」

唯「そうなんだ」ジャカジャカ

梓「……もう、もっと言うことがあるじゃないですか!」

唯「あー……大大好きー」

梓「……」


梓「大好き!」

唯「大大好きー」

梓「大好き!!」

唯「大大好きー」

梓「大好き!!!」

唯「大大好きー」

梓「……」


梓「そんなんじゃダメです!」

唯「何が?」

梓「何が、じゃないです! 全然気持ちがこもってないです!」

唯「そんなことないよー」

梓「そんなことあります! だいたい今日抱きついてもくれてないじゃないですか!」

唯「それはあずにゃんが抱きつかないでってうるさいからだよ」

梓「ま、まあ確かによく言ってましたけどっ! それはそういうことじゃなくて……」

唯「じゃなくて?」

梓「……な、なんでもないです!」

唯「まあよくわかんないけど私練習するから」ジャカジャカ

梓「うー……」


梓「唯先輩!」

唯「んー?」

梓「あ、あの……」

唯「どうしたの?」

梓「だ、抱きついても……いいんですよ?」

唯「?」

梓「今日は特別に抱きついても嫌がらないし、なんなら、そ、それ以上でも!」

梓(……何言ってんの私!)

唯「……今日はいいや」

梓「え……?」

唯「今日はそういう気分じゃないし、別に抱きつかなくてもいいかなー、って」

梓「……」

梓「え、えーっと……」

唯「今日は何か練習がはかどるぜ」ジャカジャカ

梓「唯先輩!」

唯「んー?」

梓「だ、抱きついて……くれません、か?」

唯「どうしたのあずにゃん、今日変だよ?」

梓「……確かに今日の私はなんか変です、だからちょっと抱きついてもらって普段の感じを思い出させてください」

唯「えー、意味分からないよー」

梓「すみません……で、でもお願いします!」

唯「もー、仕方ないなー」

梓「……」ドキドキ

唯「はい、ぎゅー」ダラー

梓「……」

唯「これでいいよね、じゃあ私練習に戻るから」

梓「これじゃもたれかかっただけじゃないですか! ちゃんとしてください!」ガー

唯「……もー、注文が多いよー」

梓「あ……すみません」

唯「いいよ、私も流石にテキトーすぎだったし」

梓(自覚はあったんだ……)

唯「じゃああずにゃんぎゅー」ギュー

梓「……///」

梓(やっぱりいつもの唯先輩だ……)ホワー

唯「これでいい?」

梓「は、はい、ありがとうございます!」

唯「大げさだなぁ」

梓「そ、そうですか?」

唯「うん、だって抱きついただけじゃん」

梓「あ、あの……どうして今日はそんなに冷たいというか冷めてるというか……」

唯「そんなに冷たいかな?」

梓「……はい、冷たいと思います」

唯「私はそんなつもりないんだけどなー」

梓(自覚なし、なのかな?)

唯「でも今日のあずにゃんはいつも以上にウザいねー」

梓「!?」

梓(自覚ありだ! しかもいつも以上、ってことはいつもウザいと思われてた!)ガーン

梓「ウザいって……いっつもそう思ってたんですか……?」

唯「あ、ゴメン……ついつい本音がでちゃった」

梓「そ、そんな! どうしてですか!」

唯「どうしてって言われても……」

梓「唯先輩は私のこと……嫌いなんですか?」

唯「そういうわけじゃないよー」

梓「じゃあどういうわけだっていうんですか! 嫌いじゃないって言うんなら証拠を見せてください!」

唯「証拠?」

梓「証拠です! 証拠が無いと信用できません!」

唯「……めんどく」

梓「……」

唯「なんでもないよー」

梓「……」

唯「で、証拠ってなに?」

梓「私の目を見て『大好き』って言ってください!」

唯「えー、なんでー」

梓「本当に大好きだったら目を見て言えるハズです!」

唯「まぁ、うん、分かったよ」

梓「じゃあ早速お願いします!」


唯「大好きー」→

梓「……なんで目を背けるんですか?」

唯「背けてないよー」←

梓「背けてます!」

唯「現実から目を背けてるのはあずにゃんだよー」→

梓「現実に背けてるじゃないですか!」

唯「絶対に負けないあっちむいてほい」

梓「そんなくだらない時だけ正面見ないでください!」

梓「今日の唯先輩、いじわるです……」

唯「いじわるしてるつもりはないんだけど」

梓「じゃあどうしてこういう態度をとるんですか!」

唯「んーっと……例えばさ、あずにゃんカレー好き?」

梓「はい、大好きです、ちなみに辛口はニガテです」

唯「そこまで聞いてないんだけど」

梓「すみません」

唯「まぁいいよ、それで今日のあずにゃんの晩御飯はカレーです」

梓「違います、今日はお寿司です」

唯「何かのお祝い?」

梓「いえ、別に」

唯「お祝いじゃないのにお寿司とは非常に贅沢だね」

梓「あ、といってもお惣菜のですけど……」

唯「……その話はおいといて……例え話だから、例えば晩御飯がカレーだった場合、ね」

梓「はい」

唯「はいあずにゃんはそれを食べました、感想は?」

梓「とてもおいしかったです、できればもうちょっとルー多めのほうが……」

唯「ストップ、意味のない妄想は禁止ー」

梓「……わかりました」

唯「じゃあ次に……その次の日の朝、カレーが出ました」

梓「……朝からカレーはちょっと重い気がします」

唯「そこは気付くべきところじゃないんだけどなー」

梓「そうなんですか?」

唯「まぁいいや、カレーパンってことにしておいてよ」

梓「それなら全然大丈夫ですね」

唯「続けるよ、で、お昼のお弁当もカレーでした、はいどう思う?」

梓「一晩寝かせてるから、昨日よりおいしいんだろうなー」


梓「あれ? 私変なこと言いました?」

唯「いや、あずにゃんの言ってることは間違ってはないと思うよ?」

梓「よかった、私空気読めてないかと思いました」

唯「いや、読めてないけどね?」

梓「それで次は?」

唯「晩御飯がカレーでした」

梓「ちょっと作りすぎちゃったんですかね」

唯「なかなか粘るね」

梓「?」

唯「じゃあその次の日も3食カレーでした」

梓「……さすがに飽きてきそうですね」

唯「はいそれ」

梓「……え?」

唯「私が言いたいのはソレだよ」

梓「どういうことです?」

唯「確かにさ、大好きって言われて嫌な気はしないよ」

唯「でもさ、毎日メールで大好きって言われて、会ったら会ったで私の抱擁を期待されちゃあ……」

梓「……」

唯「要するにそういうところがさ……ね」

梓「……」

梓「……ないで……」

唯「?」

梓「もう一日に何度もメールしないし、抱きついても文句言わないから……嫌いにならないでよぅ……」グスッ

唯「……」

梓「うあーーーーん!」

唯「……」

唯「……ぷっ」

梓「!?」グスッ

唯「あ、ごめん……これ、ドッキリだったんだ」

梓「はい!?」

唯「最近あずにゃん、大好きって言うばっかりで本当に大切に思われてるのかなぁ、って思って」

梓「……」

唯「だから別にあずにゃんのこと嫌いになった訳じゃないんだよー」ニコ

梓「……」

唯「あずにゃん?」

梓「唯先輩なんて大っきらいです!」

唯「えー!?」

梓「顔も見たくないです!」

唯「ねぇ、ウソでしょ!? ウソなんだよね!?」アセアセ

梓「……」プイッ

唯「試すようなことしてごめん!」

梓「……」

梓「……まぁ、嘘だったんですけど」グスン

唯「あずにゃん!」パァァ

梓「……抱きついても、いいですよ?」

唯「あずにゃんだーいすきっ!」ギュー


おわり



最終更新:2011年05月03日 21:36