紬の別荘
律「そうか。ムツゴロウさんは王国で馬を何頭か飼ってるんだ」
澪「馬が警備員になってるんだね」
律「ムツゴロウさんの所までたどり着くにはどうしても動物達の前を通り抜けなきゃいけないんだろう」
唯「ムギちゃんなら動物に勝てない?」
紬「ちょっと無理かな…たとえ勝てたとしても、そんなことしたくないわ」
澪「動物に罪は無いからな」
律「全部ムツゴロウさんが悪いんだ」
唯「とにかく侵入する方法を考えよう」
紬「馬が追いかけてきたら誰かが囮になって逃げて、残った人がムツゴロウさんの部屋に行くっていうのはどう?」
律「馬が一頭だけとは限らないんだよなぁ」
紬「他にも出てきたらまた別の人が囮になって……」
澪「それをやるには人数が足りなすぎるよ」
唯「4人で出来ることってかなり限られてるよね」
憂「8人だよ、お姉ちゃん!」
唯「憂!?」
澪「それに、和。さわ子先生も」
律「佐々木さんまで」
純「鈴木です」
紬「みんな、どうしてここが?」
さわ子「ふ……梓ちゃんを助けたい気持ちはみんな一緒よ」
純「梓には色々世話になってますからね」
和「私にも一言相談してくれて良かったのに」
憂「ごめんねお姉ちゃん。こっそり付いてきちゃった」
唯「ありがとう、憂」
さわ子「さーて、もう一度ムツゴロウ王国に乗り込むわよ!」
和「さっきムギが言ってた、誰かが囮になるって作戦がいいんじゃないですか?」
さわ子「そうねー。でもせっかく8人もいるんだから、もっと面白いこと出来そうじゃない?」
憂「あえて正面から行ってみるとか」
律「危険だけど、やってみる価値はありそうだな」
唯「3人で正面衝突して逃げ回る。2人でさっきの森から侵入、見つかったら逃げ回る」
律「逃げてばっかりだな」
唯「その隙にまた別口から3が侵入してムツゴロウさんの部屋に突入!」
唯「っていうのはどうかな?」
澪「それなら行けそうな気がするぞ」
和「まず3チームを作らないと」
律「和と並木さんが森から」
純「鈴木です」
律「私とムギとさわちゃんで正面衝突」
律「唯と澪憂ちゃんはムツゴロウさんの部屋を探す本命部隊だ」
唯「それでいいよ」
紬「私も」
律「みんな異存は無いな?じゃあ、行こう」
こうしてアズニャーン・バンガード(鋼鉄の8人)とムツゴロウ動物王国(アニマル・エンパイア)との最終決戦が始まった
ムツゴロウ動物王国・王国正面入り口
さわ子「流石に緊張してきたわね」
紬「もし馬が追いかけてきたら必死で逃げ回りましょう」
律「と言っても脚力でも持久力でも人間が馬に勝てるわけ無いからな」
さわ子「精々時間稼ぎにしかならないわね」
紬「私たちは捨て石!捨て駒ッ!!」
律「さあ、突入だー!」
ムツゴロウ動物王国・王国裏口
和「大丈夫?柏木さん」
純「鈴木です。結構体力には自信ありますよ」
和「でも何が出てくるか分からないわよ」
純「ですね…ムツゴロウさんならライオン飼っててもおかしくありませんし。覚悟の上ですよ」
和「それなら良かった。行くわよ鈴木さん」
純「はい!」
ムツゴロウさんの部屋
「入口と裏口の方が少し騒がしいですね。またお客さんでしょうか」
「でも私の馬くんからは逃げられないですよー」
梓「……」
「よーしよしよし、あずにゃん可愛いね~」
梓「……」
「ずっとお友達でいようね~よーしよしよし」
唯「よし、潜入成功!」
澪「律たちの方も和たちの方も突入したころだろう」
憂「まずはムツゴロウさんの部屋のある建物の入り口を探しましょう」
唯「了解!」
澪「慎重にな、唯」
唯「分かってるよ」
律「馬が来たぞー!」
さわ子「逃げるわよ!」
紬「先生、もっと速く走って!」
さわ子「ロングスカートだから難しいのよ!」
律「なんでそんな格好で来たんだよ!」
さわ子「せっかく遠出するならちょっとでもオシャレしてきたかったの!」
紬「なんでもいいから速く~」
和「何してるの鈴木さん?早く逃げなさい」
純「大丈夫。相手が動物でもきっと心を通わすことができるはず……」
和「相手は馬よ。何言ってるの!?」
純「こんばんは、お馬さん。私は純」
バクッ
和「食われたっ」
純「うわああ自慢のモコモコがああああ」
――――――
憂「あ、ここ入口じゃないですか?」
澪「うん、きっとそうだよ!」
唯「入ろう入ろう」
澪「お邪魔しまーす」
唯「言わなくていいんだよ」
澪「分かってるよ」
ムツゴロウの部屋
「あずにゃんを盗みに来た悪者たちはみんな馬くんたちに懲らしめてもらわないとねー」
コンコン
「どなた?」
石川さん「僕です。石川です」
「石川さんでしたか、今開けますよ」
石川さん「畑さん、実は監視カメラに女の子が3人映ってて…」
梓「…!」
「そんなバカな?カメラのあるのはこの建物内だけでしょ?」
石川さん「だから誰かが入って来てるってことですよ」
「……正面と裏口のお客さんは陽動だったのか」
石川さん「どうします畑さん?」
「ライオンちゃんを手配してください。後は石川さんに任せます」
石川さん「分かりました」
「はいあずにゃんよーしよしよしよし」
梓「……」
――――――
純「もう走れません…」
和「そうね、ここまでみたいね」
純「憂たち大丈夫でしょうか?」
和「きっと何とかしてくれるわ」
純「馬って結構凶暴ですよね」
和「5回は蹴られたわ」
さわ子「あー、もう!服も髪もボロボロじゃない!」
律「よく頑張ったな私たち」
紬「そうね、馬どころか牛やキタキツネまで出てきたものね」
律「キタキツネは怖くなかったな」
さわ子「可愛かったわよね」
――――――
唯「ムツゴロウさんの部屋はここかな?」
ガチャッ
石川さん「待ってたよ、侵入者のみなさん」
澪「だ、誰だ?」
石川さん「僕は石川。王国のナンバー2だ」
憂「お願いします石川さん。私たちの友達を返してほしくてやって来たんです」
石川さん「そうか…君たちあずにゃんの友達か。でもあずにゃんは畑さんの友達でもあるんだよ」
唯「畑さんって?」
澪「ムツゴロウさんのことだよ」
憂「違います!梓ちゃんはムツゴロウさんの友達じゃありません!」
唯「そうだよ。勝手にさらっておいて!」
石川さん「……大人しく帰らないのなら、このライオンちゃんに噛み付かせる」
ライオンちゃん「グルルル」
澪「ひぃっ」 ガクガクブルブル
唯「や、やだよ!帰らないよ!」
憂「梓ちゃんを返してもらうまで帰りません」
石川さん「本当に噛み付かせる!」
唯「でも帰らない!」
憂「絶対帰らない!」
澪「わ、私だって帰らない…!」 ガクガク
石川さん「…………」
石川さん「これ、畑さんの部屋の鍵だよ。持って行って」
唯「へ?」
澪「どうして?貴方は……」
石川さん「そうだよ。僕は畑さんの味方だよ。でもね、君たちにも頑張ってほしいから」
憂「石川さん……」
石川さん「畑さんの部屋はそこの階段を上がってすぐだ。会っておいで」
唯「ありがとう石川さん」
――――――
「よ~しよしよしよし。遊びましょうねーあずにゃん」
梓「私を助けに来てくれた人たちに酷いことしないで!」
「石川さんなら上手くやってくれてるでしょう…ふふふ」
梓「酷い!」
「酷いのはあの人たちの方ですよ。遊びましょうね~あずにゃん」
ガチャ
唯「そこまでだよムツゴロウさん!」
梓「唯先輩!」
澪「梓、大丈夫だった?」
梓「澪先輩!」
憂「もう安心だからね梓ちゃん」
梓「憂!」
ムツゴロウさん「どうしてここまで来れたんです?石川さんとライオンちゃんを仕向けたんですけどねえ」
唯「そんなことよりあずにゃんを返してもらうよ」
ムツゴロウさん「あずにゃんは私の友達です。返せません」
澪「なんで梓なんですか?友達なら王国の動物たちがいっぱいいるじゃないですか!」
ムツゴロウさん「違うんです」
ムツゴロウさん「…私は動物大好きムツゴロウだけどね、人間の友達がいないんです」
憂「こんなことしなくたって友達は作れます!」
ムツゴロウさん「簡単に言わないでください。ずっと動物とばかり触れ合ってたんです。そう簡単には…」
ムツゴロウさん「そこで、人間だけど殆ど猫のあずにゃんに友達になってもらおうと」
唯「くだらないよ」
ムツゴロウさん「えっ」
唯「くだらないよそんなの」
唯「あずにゃんは人間だよ。逆立ちしても動物とは違うんだよ」
憂「逆立ちしたらスカートめくれちゃう///」
澪「いやん」
唯「人間を、動物に見立てて友達になったって、人間と友達になったことにはならないよ」
ムツゴロウさん「……」
唯「確かにあずにゃんは人間か猫かって言われたら猫なのかもしれないけど」
梓「人間ですよ!」
唯「それにあずにゃんの方はムツゴロウさんと友達になるつもりは無いって」
ムツゴロウさん「だからこれから仲良く……」
唯「動物は愛情を持って可愛がってあげれば懐くよ」
唯「でもあずにゃんは……懐くね」
憂「……」
梓「唯先輩がどうしようもなく頼りない……」
澪「梓は私たちの大事な後輩なんだ」
憂「持ってかれちゃ困るんです」
ムツゴロウさん「分かりました。私が間違ってました。あずにゃんはお返しします」
唯「ありがとう」
ムツゴロウさん「それで、こんなことをしておいて言うのも申し訳ないですが…たまーにあずにゃんを王国に連れてきてくれませんか?」
ムツゴロウさん「一緒に遊びたいんです」
梓「それくらいなら別にいいですけど」
ムツゴロウさん「ありがとう。ありがとう」
ムツゴロウさん「これからは人間の友達を作って人間らしい付き合い方をしていく努力をするよ」
唯「頑張ってね!」
唯「……でも動物王国かぁ」 にやり
ガタンゴトン ガタンゴトン
純「あー、ハードな一日だったねー」
さわ子「きっと明日腰が死んでるわ……」
律「大人って面倒だね」
澪「梓、何かされなかった?」
梓「いえ、特に何も。あ、『よーしよしよしよし』はされました」
和「ムツゴロウさんお得意のアレね」
憂「お姉ちゃん、トランプやらない?」
唯「いいよー!今度は負けないよ」
翌日
部室
澪「次演奏する曲は『ママレモン・ピュアピュアハート・マジック』にしよう!」
律「ど、どんな歌詞?」
澪「ママママママママママレモン♪」
澪「ピュアピュアピュアピュアピュアハアー♪」
澪「子猫と子猫のっマッスルドッキング~♪」
律「もういいや」
さわ子(いつの間にか曲まで作ってる……)
翌日
部室
唯「あずにゃん!よーしよしよしよしよし」
梓「にゃあ!何するんですか先輩」
唯「あずにゃんは放課後動物王国の大事なマスコットなんだからもっとちょこんと座っててないと駄目だよー!」
梓「なんですかそれ!」
唯「そうだあずにゃん!今度サーカス始めようよ!猫の綱渡りとか猫の火の輪くぐりとかやろう!」
梓「絶対いやです!」
唯「入場料で大儲けしよう!」
あずにゃんのドキドキサーカス!
は、またいつか。
おまけ
律「ムギは?」
澪「さかなクンが持ってった」
紬「マンボウの真似」
さかなクンさん「ギョギョー!」
おわり
と言うか>>27以降全部おまけ
.>>27
H海道 S津町
律「やっと到着したなぁ」
紬「…ええ」
澪「…そうだなー」
唯「お腹いっぱい」 ゲプッ
律(マジで梓の救出どころじゃない状況…)
律「きっ今日はもう疲れたしどっかで休んでかない?」
最終更新:2011年05月04日 21:26