梓「こんにちはー。あれ、皆さん早いですね」

律「きた、AB!」

梓「は?」

紬「今ね、血液型についてみんなで話してたところなの」

唯「それで今ABが熱いと」

澪「なんか違うぞ」

梓「はぁ……血液型」

唯「あずにゃんもやっぱり興味ある?」

梓「いえ、全然」

律「きっぱりなのな」

梓「そもそも日本人は血液型にうるさすぎなんですよ」

澪「でも梓がABだなんて知らなかったなぁ。そんな感じしなかったし」

梓「まぁ、よく言われます。A型じゃないんだーとか」

梓「ABって、そこまで珍しいですか?」

「うん」

梓「ふぅん……」

唯「そういえばさっきのメールなんだったの?」

梓「あ、その……暇だったのでついつい……えへへ」

律「暇であんな突拍子もないこと聞くかぁ?」

梓「え、ないですか? そういうこと」

紬「ないわねぇ」

澪「珍しいな、梓」

梓「珍しい禁止ー!」

唯「はい、あずにゃん先生! あずにゃんは変人ですか?」

梓「へ?」

澪「こ、こら唯!」

紬「梓ちゃんは常識人よねー」

律「あ、でも何かにハマるとすごかったな。ほら、いつだったかの通販」

梓「え、あれって変でした……?」

唯「あずにゃんは凝り性?」

梓「……言われてみればそうかもしれないし、違うかもしれない」

律「あと梓ってハイテンション時とローテンション時の差が激しいよな。波がすげぇの」

梓「えー……」

唯「よっ、変人!」

梓「だから血液型とかの話って嫌なんです……」

梓「だいたい何ですか! いきなり血液型の話なんかして!」

梓「辿りつくのはいつも同じ結論です! 議論の無駄!」

律「そこまで真面目なトークは交わしてないんだけど」

唯「ゆるゆるガールズトークだよ。あずにゃん!」

紬「でもこういう話って私なんか好きかも」

唯「なんか楽しいよねぇ~。あるあるって!」

紬「他の血液型の人の話も聞けるし、自分のこと客観的に見てくれるもんね」

澪「そういう見方があったか、この話……」

唯「みんなは自分の血に偏見持ちすぎだよー」

律「でもなんかイメージがね、もうダメな方にこびりついちゃってるから」

梓「ですよね」

梓「いやでも、嫌いってわけではないんだけどなぁ」

澪「な」



平沢家

唯「和ちゃんはAだったよね」

和「A? ……ああ、血液型」

唯「なんかそれっぽいよ~。眼鏡のフレームも赤いし」

和「意味分かんないわよ。唯だってすごくOって感じ」

唯「どこらへんが?」

和「えっと……おー! って」

唯「おー?」

和「……」

唯「じゃあ憂もそんな感じ?」

和「ごめんなさい」

憂「どうしたの、急にそんな話して」

唯「昨日学校でみんなと話してたんだけどそれの延長戦ー」

和「ふぅん。好きな人いるわよね、血液型ごとの相性とか性格」

憂「あ、占いとかもあるよ。今日はAの人はいい事があるでしょう~」

憂「和ちゃん。はい、これ」

和「なにそれ?」

憂「えへへっ、和ちゃんのために作った手作りクッキー♪」

和「私のために?」

唯「ずーるーいー!」

憂「お姉ちゃんのために作ったのもあるから大丈夫だよー」

唯「きゃー! 憂ってばステキ!」

和「唯も憂もO型だけど、こう何か分けるものがあるわよねぇ」

憂「そうかな?」

和「だって憂ってばとてもしっかりしてるし、マメだし。ね?」

憂「そうかなぁ……」

唯「でも憂ダラダラしてないじゃん」

憂「するよ?」

唯「どうやって?」

憂「えっと、何もしたくないときは……こう、あの大きい亀のぬいぐるみ抱っこして」

和「ちょっとやってみてくれない?」

憂「えっと……抱っこして」ギュッ

唯「んでんで?」

憂「ご、ごろーん……」ゴロゴロ

憂「……って、ベッドの上で……その……ぅ……」

和「O型だわ、やっぱり」

唯「そういや知ってた? あずにゃんってABなんだよ! かっくいー!」

和「へー、珍しいわね。あんまり見かけたことなかったわ」

憂「本人は珍しがらないでーって嫌がってたけどね」

和「AB型といったら……変わり者とか天才肌?」

憂「そういう印象あるよね」

唯「それもあずにゃん嫌だって」

憂「梓ちゃん孤高って感じでかっこいい~」

和「AB型の人は可愛い人が多いって聞くけど」

唯「あずにゃんなら納得っす」

唯「あ、でも澪ちゃんも可愛いよ! Aだけど」

和「そこらへんは血液型あんまり関係ないわよね」

唯「憂も和ちゃんも可愛いよ!」

憂「じゃあお姉ちゃんも!」

和「はいはい、みんな可愛い可愛い」

唯「~♪」

憂「お姉ちゃんなにしてるの?」

唯「ちょいと実験ー」

和「実験?」

唯「りっちゃん、澪ちゃん、ムギちゃん、あずにゃんに、同じ内容のメール送ってどういう反応するかなって」

和「ああ! ていうかすごいわね……見事にみんな血液型バラバラ」

憂「ちょっと面白そう!」

唯「でしょでしょ~」

和「ちなみに何て内容?」

唯「生徒会にいくね!」

和「……面白いわね」

憂「和ちゃん?」

唯「お、きたきたー! ムギちゃんから!」

和「意外と早いわね。どんな内容?」

唯「えーっと、生徒会? どうかしたの、唯ちゃん。だって」

和「無難な感じね」

憂「普通はそういう反応なんじゃない?」

唯「次はりっちゃん! えっと、なになに……」

唯「じゃあ、私も生徒会いくぜ! だってさ~」

和「乗りいいというか訳もわからずって感じ?」

憂「でも二人とも違う反応……澪さんと梓ちゃんまだかな」

唯「澪ちゃん! 澪ちゃんからきました隊長!」

和「誰が隊長か。で?」

唯「というか電話がかかってきました!」

和「マメねぇ……出ないの?」

唯「あとで謝るからいいや。ごめんね、澪ちゃん。ブチッ」ブチッ

憂「み、澪さんちょっと可哀想」

和「あとは梓ちゃんだけだね」

唯「まだかなまだかなぁ~」

和「まぁ、気長に待てばいいじゃない」

唯「あ、また澪ちゃんから電話」

和「切れば?」

憂「す、素直に出て謝ったほうが早いよ?」

1時間後

唯「まだこなーい……」

和「メールに気づいてないんじゃない?」

3時間後

憂「和ちゃんご飯食べてく?」

和「あら、じゃあごちそうになるわ」

唯「わーい! 和ちゃんとごっはん!」

5時間後

憂「お風呂は?」

和「あ、じゃあせっかくだから」

唯「3人で一緒に入って洗いっこしようよ~」

7時間後

唯「あははっ、和ちゃんゲームへたっぴー」

和「おかしいわねぇ……」

憂「泊ってくー?」

――――

憂「お布団しいておいたよ」

唯「えー、大丈夫だよぉ。和ちゃんとベッドで一緒に寝ればいいんだから」

和「あんた、寝相あんまり良くないんだから。私が潰されるかもしれないのよ」

唯「またまたご冗談をー」

和「Oだけに大いびきもかくしね」

憂「……うん?」

唯「ま、またまたご冗談を……」

和「あれ?」

唯「じゃあ和ちゃんはAだけにええいびきかくよ!」

和「えー」

唯「和ちゃん……」

和「寝ましょう。もう遅いわ」



和「……」

唯「寝てないよねー?」

和「あんまりくっつかないで……あつい」

唯「だって和ちゃんいい匂いするんだもーん♪」

和「だからって……ていうか」

憂「すー、すー……」

和「どうして憂までここで」

唯「両手に花ですよ、社長」

和「やれやれ……」


―――――

和「唯、唯」ユサユサ

唯「ん、んー……?」

和「もう朝。そろそろ起きたら?」

唯「んー……」ピロリン♪ピロリン♪

和「メール、きたんじゃない?」

唯「むぐぅ、だれからー?」

和「さぁ? 広告メールとか? 開けてみたらいいじゃない」

唯「ん……ああ、あずにゃんだ」

和「梓ちゃん? 何て?」

唯「ん、ん~……えと、唯先輩……、生徒会にいっちゃ、嫌です……いかないで……だって」

和「どういうこと?」

唯「……さぁ?」



おわり



最終更新:2011年05月06日 22:23