[虚無]

そこは霧に包まれた水辺だった!

唯「まるで三途の川だね、憂」
憂「うん、そうだね、お姉ちゃん」
唯「早くお迎え来ないかなー!可愛い天使がくるのかな?」
憂「う~ん・・どうなんだろうね」
唯「でもこれで・・またお父さんとお母さんと憂と私の4人で暮らせるね!」ニコッ
憂「・・うん・・そうだね」ニコッ

唯「早く天使ちゃん来ないかな~」

憂「・・・・」

憂「ねえ・・お姉ちゃん?」

唯「んー?」

憂「魔王を・・さわ子を倒すつもりだったの?」

唯「んー実はあんまり考えてなかったんだよねーへへ。憂を助けることしか頭に無くてさ、憂を助けたあとのことは・・・考えてなかった」てれっ
憂「ふふ、なんだかお姉ちゃんらしいね」

唯「えへへ、でも憂を助けたら・・みんなでさわちゃん懲らしめてたと思うよ。あの人結構酷いことしてるし」
憂「ふふっ」
唯「あーなんか思い出したら腹立ってきた!りっちゃんたちちゃんとやってるかな~?」
憂「心配?律さんたちのこと」
唯「ちょっとだけね」

憂「帰りたい? あの世界に」

唯「-----!」

唯「でも・・私は・・・死ん・・・・」 
憂「・・・・・」
唯「・・・憂?」
憂「・・・・・・」

憂は少しの間、黙り込んだ。だがほどなくして、彼女は表情を改めた。
まるで
なにかを
決心したかのように

憂「ねぇお姉ちゃん」
唯「・・なに?」

憂「私、いったいいくつの職業極めてると思う?」
唯「んー憂はなんでも出来るからねー、全部!」
憂「ふふっ」
唯「正解?」
憂「あのねお姉ちゃん、私、パラディンの職も極めてるんだけどね」
唯「へー!かっこいいねー!」
憂「パラディンの道を究めると、最後にどんな技を覚えるかしってる?」
唯「んーわかんない!なんか凄い技?」
憂「自己犠牲蘇生呪文」
唯「----!!」

その言葉を聴いて、唯はっとした。

憂「・・・」ニコッ
憂は微笑んだ・・ 
そして・・・
ゆっくりと・・
憂は立ち上がった

唯「憂!」 唯も立ち上がる!
唯「憂・・!駄目・・!」 唯は悟った!憂がしようとしていることを!

憂「自分の命を犠牲にして仲間を復活させる特殊な呪文なんだけど」
唯「憂!駄目だってば!」
カッ 唯「!?」
憂の身体が光を放ちだした!そしてゆっくりと・・憂は宙に浮いていく

唯「憂!」
唯は憂に抱きつこうとした!・・が、それは敵わなかった
もう・・・届かない
唯の手は、もう憂には届かない

憂「まぁここでは、命の代わりに魂自体を使うから・・私は完全に消滅するから・・」

唯「駄目!憂!やめて!」

憂「お別れだよ。お姉ちゃん」

唯「憂!やめてって言ってるじゃん!怒るよ!?憂!」ポロ・・ポロ・・
唯は涙を流していた
憂「あの世界には・・律さんたちには・・まだお姉ちゃんが必要だよ・・!だから・・泣かないで・・?お姉ちゃん」
唯「憂だって泣いてるじゃん!」
憂も泣いていた
唯「憂!嫌だよぉ・・!うっ・・ひっく・・天国ではちゃんと家事も手伝うから・・・だからまた一緒に暮らそうよぉ!憂と一緒が良いよぉ!うっ!うっ」
憂「ワガママ言わないで・・?お姉ちゃん」
唯「うっ・・うっ・・ひっく」
憂「それに私、天国なんて行けないよ・・!!お姉ちゃんに・・!!あんな事しちゃったんだもん・・!!」ポロっ・・ポロ
憂の大粒の涙が唯の頬を叩いた
唯「あんなの気にしてないよ!!!」
憂「・・・!」
憂「お姉ちゃん・・!!」
憂の目から滝のように涙が流れた

憂「ごめんね・・ありがとう・・!!お姉ちゃん!」
唯「だから早く・・!!降りてきてよ・・!うっ!」

憂が放ってる光が、強くなった。
それはメガザルを唱える者が最期に放つ光。
虚無には存在しないはずの、生命の光だった。

憂「お姉ちゃん・・!律さんたちが待ってるよ・・!!さわ子を・・倒して!世界を・・!!救って!!」
唯「憂っ!」

憂「もうこんなところ・・来ちゃ駄目だよ・・?」
憂の光はどんどん強まり、いまや虚無全てを照らすのかとさえおもわれた

憂「さようならお姉ちゃん・・!!私、お姉ちゃんの妹に生まれて・・本当に良かった!」

唯「憂いいいいいいいいい!!!」

憂「お姉ちゃん、大好きっ!」ニコッ

光が、弾けた


[ゾーマ城]

さわ子「ふう・・ちょっとやりすぎたかしら・・土ぼこりで周りが見えないわ」
ゴゴゴゴ・・・
さわ子「さてと・・上の世界でも侵略し」
さわ子「!」ざわっ クルッ
さわ子は只ならぬ気配を感じ後ろを振り向いた!!
午後ゴゴゴゴゴ・・・
ゆっくりと土埃が晴れていく

さわ子「・・・!!」
(まさか・・!!)

土埃が・・・晴れた


さわ子「まさかッ!そんなッ!なぜッ!」 

唯が立っていた! その足元で! 律たちが唯を見上げていた!

律「唯ッ!!!」

唯の目は前髪で隠れて見えなかった!
さわ子「唯・・!どうして・・!!」ギリッ

唯「憂が・・・助けてくれた・・・」

唯「あなたがマダンテを放った瞬間、私は起きて・・すぐにマジックバリアを張った」
よく見ると、唯を中心にバリアが張られていた!律たちを囲うように!

さわ子(マダンテを弾くバリアですって・・!?)

唯「・・・・」
律「ゆ・・唯・・」
唯「みんなは・・このバリアの中に入ってて」

律「!」
唯「私が・・・」す・・
唯がバリアの外へ出た!
唯「ケリをつける・・!!!」ギラッ

唯の全身から凄まじいオーラがほとばしる!

唯「さわ子・・あなたは超えてはならない一線を越えた・・」
バチッ・・バチバチ・・!!
ギー太にオーラが込められていく!
唯「あなたを倒す」
バチッ・・バチバチバチバチ!
ギー太に尋常じゃない量のオーラが込められ火花を散らし放電しはじめた!

さわ子「上等じゃない・・!!」
さわ子は再び魔力を溜め始めた!
今度は・・!!自らの生命力を魔力に変換して!!

さわ子「今度は私の命も削るわ!さっきとは桁違いの威力よ!」
さわ子も本気だった!

唯「」ダダッ
唯が走り出した!
唯「はあああああああああああ!!!」
キラリッ
雄たけびをあげながら走る唯の目から!光る雫が落ちた!
さわ子「そんな泣きながらの攻撃が!!通用するかあああああ!!」
さわ子は全身全霊をかけたマダンテを放った!

唯「」タンッ
唯がギー太を振り上げながら跳躍した!


唯「----」
(憂・・!)

ーーーーーー

『そう、ホワイトクリスマスっていうんだってぇー』

『お姉ちゃんご飯できたよー!』

『アイスはご飯食べてからー!』

『もー、お姉ちゃんったらー!』

『ありがとう!このマフラー大切にするね!』

『お姉ちゃん!』
『お姉ちゃん・・!』
『お姉ちゃん』

『お姉ちゃん、大好きっ!』

ーーーーーー

唯(憂!)
そして唯は! ギー太を! 振り下ろした!」 

唯「ユーアンドアイ!!!!!!」


唯の攻撃がさわ子に届いた瞬間、さわ子の存在は完全になくなった!
それは!!
斬撃でありながら衝撃波でありながら爆発」でありながら・・光であった!

ゾーマ城は一瞬で蒸発し、その光はどこまでもどこまでも続いた!!
まるで世界そのもを両断してしまうのかとさえ思われた! 
どこまでも続く光はアレフガルドの暗黒の雲と闇を取り払い・・やがて光がアレフガルド全体を覆うころ・・
最早アレフガルドの空に暗黒の雲はなく!!

太陽が!!!世界を照らしていた!!!

唯「・・・・・」
唯が澄み渡る青空を見上げた!!

唯「憂・・・!終わったよ・・!!」ツー
涙が静かに・・・・
頬を伝って・・落ちた


ラダトームに帰還した唯たちを、曽我部は泣きながら抱きしめた!
曽我部は何度も何度もお礼を言い、その日からラダトームは休むことなく祭り騒ぎだった!
誰もがこれ以上ないほどの笑顔で歌い、踊った!

そして!!
宴の最中!! 

唯たちは忽然と姿を消した!!
住人により捜索されたが!!
とうとう!!
誰1人として!!
唯たちを見た者は現れなかった!!




[エピローグ]

ーーーー世界一高い塔ーーー

唯「ふう~!着いた~!ここが頂上だね!」
律「疲れた~!しっかし!!」
澪「いくらなんでも高すぎるだろ、この塔」
梓「途中で雲突き抜けましたもんね」
ムギ「ちょうどいい足腰の鍛錬になったわね」

唯「さ~てと、ここにいるって聞いたんだけど・・」
律「お!あれか!?」

しんりゅう「zzz・・・」

澪「寝てるな・・」

唯「ねえ!あなたがしんりゅう?」

しんりゅう「」ぱちっ
「ん?」

しんりゅう「ほ~・・人間か・・よく登ってきたのう・・む!?」
唯「?」
しんりゅう「ほっほっ・・いつぞやの娘か・・」

唯「いつぞや?」

しんりゅう「ほれ」しゅうううう
しんりゅうが人間の姿になった!

唯「あっ!ナジミの塔のおじいちゃん!?」

しんりゅう「いかにも」
律「え・・・じゃあレーべにいた・・双子の・・」

しんりゅう「ん?あああれもワシじゃよ。ちょっとお主たちをからかったんじゃよ」
律(面白いじいさんだな)

唯「ねぇねぇしんりゅうのおじいちゃん」
しんりゅう「なんじゃ」
唯「おじいちゃんはどんな願いもかなえてくれるって聞いたんだけど」
しんりゅう「ほっほっ・・ああワシに出来ぬことなどない。ここは天界に近い。天国にいる者でもすぐに呼べるしそれに・・」
唯「----」

しんりゅう「完全に消滅してしまった魂も・・・復活させることもできるぞ?」

唯「・・・!!!」ぱああああ
律「良かったな!唯!」

しんりゅう「ただし」
唯「!」
しんりゅう「ワシに勝ったらの・・・話だがなぁ?」ニヤリ
唯「・・・!!!」
唯「」ニヤ
唯はギー太を構えた!
唯「みんな!準備はいい!?」
律「おう!」
澪「ああ!」
ムギ「どんとこいです!」
梓「やってやるです!」

唯「」すう・・バチッ・・・バチバチバチ!!!

澪「あの構えは!!」


律「うお!唯のやついきなり超必殺技出すつもりだぞ!?」
ムギ「いきなり勝負ありかも!」
梓「また唯先輩のあの技が見れるです!」
唯「はあああああああ!!!」
バチッバチバチバチ!
律「うひゃー相変わらずすげーオーラ!!」
しんりゅう「ほう・・」

唯「たああああああ!!!」
唯は雄たけびを上げながら走り!!

しんりゅう「面白いわ」にやり 
唯「ああああああ!!!」タンっ
そしてギー太を大きく振りかぶり跳躍した!

しんりゅう「来いっ!小娘ぇ!!!」

唯(待っててね・・!!!憂!!!!!)

そして最強の一撃を放った!

「ユーアンドアイ!!!!!!」

ーーーーーーーー!!!!!

けいおんクエスト~そして伝説へ~

おしまい











最終更新:2011年05月09日 22:58