澪の家

澪母「ちょ、ちょっと!こんな時間にどこ行くの!」

澪「い、いや…その…ちょっとコンビニに!」

澪母「?…もう深夜よ?」

澪「ちょ、ちょっとお腹減っちゃったから…」

澪母「もう、仕方ないわね…気を付けてね?」

澪「うん、うん!じゃあ行ってくる!」

バタン

タッタッタッ

澪(あぁ~もう!いったいどこに行っちゃったんだよバカ律!)


~~回想

中学時代

澪「………」

律「………」

澪(…机が滅茶苦茶に落書きされてる…)

澪(…本当に飽きない連中だな…)

澪「………」シュン


「クスクス…」

澪「……!!……」ビクッ

「見てよー、秋山さんマジで泣きそうになってるよー?」ヒソヒソ

「あはは、笑えるよねー…いつもは調子乗ってるのに」ヒソヒソ

澪「…………」

澪(見えない…聞こえない…見えない…聞こえない…)

澪(ミエナイキコエナイ…)

澪(ミエナイキコエナイミエナイキコエナイミエナイキコエナイ…!!)

ブルブル

ガタンッ!!

「「!?」」

律「ったく、朝からうるさいな…少しは静かにしろよ?」ギロッ

「「………」」

律「澪、ボサーッと立ってないで机さっさと換えちまおうぜ?」

澪「え、えっ?…」

律「ほら、いいからいいから…」ニカッ

澪「………」


-----

澪(あの後、授業中なのにずっと私の机に書かれた落書きを
消してたせいで…先生に怒られてたりしたな…)

澪(いつもいつも…律は私の事助けてくれた…)

澪「だから…だから…」

澪(私だって…私だって…)

澪「私だってお前の事助けたいんだっ!!」

タッタッタッ


音楽室

律「はぁ~…何だか声出す気力もなくなってきたな…」

律「母さん…父さん…聡…澪…」

律「ほんとに心配してるだろうな…」

律「………」


----

澪「はぁっ…はぁっ…」

澪(ダメだ…コンビにも、ゲームセンターも、楽器店も…)

澪(律が寄りそうなとこを全部回ってみたけど…どこにも居ない!)

澪「どこに行ったんだよ…バカ律!!」

澪(ダメだ…諦めちゃダメだ…もう一回…もう一回思い出せ…)

澪(えっと…昼休みに律と会ってから…それから…どうしたんだっけ…)

澪(確か、ムギが放課後に部活はやらないって言って…それから…)


澪「……!!」


澪「そういえば…私が音楽室に行った時に鍵が開いてた…」

澪「ま、まさか…!!」



音楽室

律(どうしようかな…これから…)

律(多分…皆学校には居ないよな…)

律「はぁ~…お腹減ったな…」


律(ひょっとして…ずっとこのままロッカーに月曜になるまで閉じ込め
られたままなのかな…)


律「………」ポロポロッ



校門

澪「はぁっ…はっ…まさか…律のやつ…!!」

澪(私達を脅かそうとしてロッカーかどこかに隠れてたんじゃ…!!)

澪「っ……バカ律っ!!…」


タッタッタッ

澪「ダメだ…やっぱり玄関には鍵が掛かってる…」

澪「どこか…鍵の掛かってない場所はないのか…?」



回想

~~中学時代

澪「………」

澪(はぁ…いつも帰る時はすぐに来てくれるのに…)

澪(遅いな…バカ律…)


律「お待たせーっ!!悪い悪いっ!!」

澪「り、律!…べ、別にお前の事を待ってなんか…って、どうしたんだ
それ!?」

律「え?あ、あぁ…お前をイジめてた連中と話をつけようと思ってさ!」

澪「う、腕から血が…血が…」フラッ

律「お、おい!大丈夫か!?…」ガシッ

律「いや~…いきなり話してる途中でカッター振り回してきたんだもん、
焦ったよ」

澪「そ、それで腕にケガを!?」

律「まぁな…でも、相手も反省したみたいだし…」

澪「………」

律「終わりよければ全て良しってやつだよ!よかったな、澪!」

澪「……カ……つ……」

律「…ほへ?」

澪「…このバカ律っ!!」ダキッ

律「う、うわっ…な、何だよ…?////」

澪「何で…何で…そんなに無茶してまで私の事を…」グスっ

律「………」

澪「ぐすっ…ひっく…」


律「…ずっと、澪と一緒に居たいからだよ…」ボソッ

澪「…えっ?…」

律「…に、二度も言わないからな!…////」プイッ


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廊下

ガラッ

澪「どうにか鍵の開いてた窓が見つかった…」

澪「………」

シーーーーーン


澪(やっぱり夜中の学校って不気味だな…」ガタガタ

澪「って、そんな事いってる場合じゃない!…待ってろ律!」

タッタッタッ


スタッスタッスタッ


澪(うぅ~…やっぱり怖い!!)トボトボ



音楽室

律「………」

律「…ヤバい……何だか…目を開けてるのも辛くなってきた…」

律「…明日になれば…誰か…来るよな?」

律「………」

律(…暗い…狭い…)

律「こんな時に颯爽と白馬の王子様が!…来てくれるわけないよな…」

律「ハ、ハハ…ハ……ハ……」

律「………」グデッ


澪「白馬の王子様じゃなくて悪かったな…」


律「え?……澪?…」

澪「やっと見つけた…」

律「………」

律「あ、あはは…変だな…私、いよいよおかしくなちゃったのか?」

澪「せっかく来たのに随分ないい様だな…」

律「こんなとこに澪が…来てくれるわけない…」

澪「失礼な奴だな…」フフッ

律「…そう思ってたのに……」

澪「ちょっと待ってろ…」

ググッ

澪「…扉が開かない…多分、立て付けが悪かったんだな…」

律「………」

澪「こ、このっ!!」

ググッ

律「……ぐすっ……ひっく……」

澪「…!?…ど、どうした!?どこか痛いのか!?」

律「…な、何でも…ない……ただ…澪の声、聞いた途端…」グスッ

澪「………」

律「…ひっく……み、見るなよ……ぐすっ…」

澪「安心しろ…見えないから…」

律「……うん……」


澪(…律、絶対に助けてやるからな…!!)


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数時間後

ガチャン!!

澪「や、やっと開いた…!」

澪「大丈夫か、律?…」

律「…う、うん…」

澪「よかった…立てる?」

律「だ、大丈夫だよ…一人で立てるから…」フラッ

澪「あ、危ないぞ?無理しなくていいから…ほら、肩に掴まって」

律「…悪い…」

スタッスタッスタッ

律「あのさ…澪…」

澪「ん?…」

律「ごめん…色々とさ…」

澪「…気にしなくていいよ、お前だって色々と今まで助けて
くれたしさ…」


律「………」

澪「律?…」

律「ごめん!何か歩く気力もなくなちった!…」

澪「え、えっ?…大丈夫なのか?」

律「…だからさ、澪がお姫様抱っこしてよ!」

律(なんちゃって…)

澪「………」

律(あ、あれ?…さすがに怒らせちゃったかな…?)

澪「…し、仕方ないな…////」

律「へ?…」

澪「歩ける体力もないんだろ…なら、してやる…////」ダッコ

律「え、えっ!?い、今のは冗談だって!////」

澪「あ、暴れるなバカ律!ジッとしてろ!」

律「お、降ろせーっ!!////」ジタバタ

澪「だ、だから暴れるなって!!」


おわり






最終更新:2011年05月11日 22:02