………

和「そんなことってあるのね」

律「みたいだぞ」

和「ってことは、そこにいるショートカットムギの中には唯もいるわけね」

維(唯)「そういうことです!」

和「言われれば、唯に見えないこともないわね…」

維(唯)「でしょでしょ!」

律「さて、こうなった理由を考えていきたいんだけど…」

和「そんなの1つしかないじゃない」

律・澪・憂・維(唯)「?」

和「唯、昨日のえっちのとき、ムギと同時にイッたって言ってたわよね」

維(唯)「そうだよ~」

和「そのときに、唯とムギの精神が同調して、合体と同時に眠りについた…」

澪「そんなことってあるのか?」

和「分からないわ。ただ、唯の話が本当なら、それしか考えられないし…」

律「えっちしてるときは当然合体前だろうしなあ」

憂「ほかに何かなかった?」

維(唯)「ないな~。朝起きたら、ムギちゃんに合体してるって言われて…」

律「つまり、合体を解く手がかりはなしか…」

和「困ったわね…」

維(唯)「もういっそこのままでもいっかなぁ」

澪「いやダメだろ」

維(唯)「だって、これなら私が寝たいときにムギちゃんが頑張ってくれるし」

律「ムギ頼りかよ」

維(唯)「それに、ずっとムギちゃんと一緒にいられるしね!」

澪「なんでそんなに気楽なんだよ」

維(紬)「…あの」

律「お、ムギか?」

維(紬)「うん…私、ちょっと気になることがあって…」

澪「?」

維(紬)「関係ないことかもしれないし、見間違いかもしれないけど」

律「おう、なんだ言ってみ」

維(紬)「朝、起きたらね、窓の方に…」

律「ふむふむ」

維(紬)「青い火の玉が2つ浮かんでたのよ」

和「…」

憂「…」

澪「…」

律「え、なに?ここでまさかのホラー?」

澪「ひぃぃぃぃぃ火の玉ぁぁぁぁぁぁぁ!!!」ガクガク

律「落ち着け澪!見間違いかもしれないって言ってるじゃないか!」

憂「その火の玉って、そこの廊下に浮かんでるあれじゃないですか?」

律・澪・和・維(紬)「へっ?」

口「」フワフワ

維(紬)「そうそう、あんな感じ!確かに火の玉の中に『口』って漢字が浮かび上がってたわ!」

澪「」ブクブク

律「澪ぉぉぉぉぉ!!!!」

和「しかしあれは一体何なのかしら…」

憂「漢字の『口』にも一体何の意味が…」

維(唯)(…!)ピキーン

維(唯)「分かったよ!」

律「なにがだ?」

維(唯)「あの火の玉はたぶん、私の魂の半分なんだよ!」

律「はぁ?」

維(唯)「私とムギちゃんが半分ずつ合体して、余った半分があの火の玉なんだよ!」

律「そんな根拠もない話…」

和「…そうか!」

憂「なにが!?」

和「『唯』という漢字には『口』が入ってるわ…つまり、唯は合体するときに『口』と『隹』に分かれちゃったのよ!」

律「何言ってるんだお前!?大丈夫か!?」

和「大丈夫だ、問題ない」

憂「とにかくあれがお姉ちゃんの片割れなら、早く捕まえないと!」

維(唯)「そうだね!うぉぉぉ!!」

口「!」ピューン

律「速い!」

維(唯)「待てー!!」ダダダダ

口「~♪」ピューン

女1「そしたらさー、そこで中学の友達に会っちゃってー」

女2「えー、ホントにー?…って、うん?」

口「」ピューン

女1・女2「ぎゃぁぁぁ!!!火の玉ぁぁぁ!!!」

律「くそっ!(まずいな…早く捕まえないと学校中がパニックに…)」ダッ

律「恐らくムギの片割れも近くにいる!和と憂ちゃんはそっちを探してくれ!」

和「分かったわ!」

憂「私、梓ちゃんと純ちゃんを呼んできます!」

和「頼むわ!」

澪「」ブクブク

………
……

にねん!

純「でさー、その後お母さんにこっぴどく叱られてー」

梓「それは純が悪いよ」

純「えぇー、そうかなぁ?憂はどう思う?」

憂「私も純ちゃんがもっとしっかr ヒュン…

純「え…」

梓「憂が…消えた?」

ガララ

憂「梓ちゃん!純ちゃん!」

梓・純「うわっ!?」ビクッ

憂「実はかくかくしかじかな理由で火の玉を捕まえてほしいの!」

純「伝わんないよ!てか憂今消え…えっ!?」

梓「任せて!」

純「なんで分かったの!?」

憂「もう、純ちゃんは適応力無さすぎ!はやく火の玉を探して!」

純「いや、分かんないよ!てか火の玉って、なにが起きてるの!?」

憂「いいから早く!」

純「わ、分かったよ!」

………
……

律「待てコラー!!」ダダッ

口「」ピューン

維(唯)「ゼェ…ゼェ…速すぎだよ…ムギちゃんチェンジ…」

維(紬)「うっ!」

律「どうした?」

維(紬)「いや、急に変わったから、疲れがドンときただけ」

律「大丈夫かよ…それより早く捕まえねーと…もう何人にも見られちゃってる…」

維(紬)「りっちゃん!人間の武器は知恵よ!先回りして挟み撃ちにしましょ!」

律「分かった!じゃあムギは向こうの階段から!」

維(紬)「ええ!」ダッ

……

口「~♪」ユラユラ

「待てー!!」

口「!」

律「待ちやがれこのヤロー!」

口「」ピューン

律「ムギ!」

維(紬)「任せて!」バッ

口「!?」キキッ!

律「さあ、追い詰めたぞ…」ジリジリ

維(紬)「観念なさい!」

口「…」

和「律、いた!?」

律「あぁ、今追い詰めた!」

口「!」ピューン

律「逃がすか!」ダッツ

口「」ピューン

律「えっ?(和に向かっていった?)」

和「え、きゃあ!!」

ドン!

維(紬)「え…嘘…?」

律「和が…消えた…?」

維(紬)「あ、りっちゃん!あれを見て!」

律「ん?」

禾「」フワフワ

口「」フワフワ

口「」フワフワ

律「火の玉が増えてる!?『口』が2つで、『禾』が1つ…」

維(紬)「恐らく、『和』が2つに分かれたんだわ…にしてもこれはまずいわね…」

律「どういうことだ?」

維(紬)「見て、りっちゃん。『口』が2つあるわ」

律「それがなんだっt…あぁっ!!」

維(紬)「そうよ…あれじゃ、どっちが唯ちゃんの『口』かが分からない!」

律「くそっ…厄介なことしてくれるぜ…」

口「」ニヤニヤ

律「くそっ、心なしか火の玉に笑われてるような気がする…」

口「」スーッ

律「ん?片方の『口』がもう片方に寄っていって…」

口「~!」

口「~!」

維(紬)「なにをしているのかしら?」

口「~!」

口「~!」

律「言い争っているようにも見えるな」

維(唯)「分かった!」

律「うおっ唯!急に出てきたな!?で、何が分かったんだ?」

維(唯)「たぶん、私の『口』が和ちゃんの『口』に怒られてるんだよ!」

律「うそ!?」

維(唯)「みんなに迷惑がかかってるとか、早く元の体に戻りなさいとか、そんなことを言っている気がするよ!」

律「呆れた…お前ら火の玉になっても同じかよ…」

禾「」スーッ

律「あっ、『禾』が2つの火の玉に向かった」

禾「!」メラメラ

口「!」メラメラ

口「~」シュン

律「おぉ、『禾』と片方の『口』が激しく燃え上がってるぞ」

維(唯)「反対にもう片方の火の玉の勢いが弱くなったね。たぶん怒られてへこんでるんだよ」

律「まああの火の玉からしたら和2人分だもんな…流石に同情するよ…」

口「…」スーッ

維(唯)「あっ、こっちに向かってきた」

口「」ピタッ

律「止まったな。いよいよ観念したのか」

維(唯)「…観念したはいいけどさ…」

律「ん?」

維(唯)「これ、触っても熱くないのかな?仮にも火の玉なんだし」

律「さあな」

口「!」ピトッ

維(唯)「うわぁ!…ってあれ、熱くない…」

律「みたいだな」

和「で、ここからどうすればいいのかしら」

律「おわっ和!?戻ったのか?」

和「ええ、お陰さまで」

律「どうやって戻ったんだ?」

和「戻りたいって願ったら戻れたわ」

律「あぁ、そう…」

維(唯)「で、この火の玉はどうすればいいの?」

律「和みたいに『戻りたい』って願えばいいんじゃないか?」

維(唯)「そっか、じゃあ、やってみるよ」

律「うん」

和「…」


維(唯)(お願い…戻ってきて…)

口「…」

維(唯)「…あれ?」

律「戻らないな…」

和「変ね…私のときはすんなりいったのに」

維(紬)「もしかして、戻りたくないんじゃないかしら?」

律「なに!?」

和「…」

律「なんか、わけありなのか…?」

維(唯)「私には心当たりはないけど…」

和「…さっき」

律・維(唯)「?」

和「この火の玉を説得してたとき、この子、言ってたのよ」

律「なんて?」

和「『私は消えなければならない。私は2人には邪魔だから、私は唯には戻らない』って」

律「はぁ…」

維(紬)「どういうことなんでしょう…」

和「分からないわ…でも」

律「?」

口「…」

和「どんな理由かは知らないけど、大丈夫よ」

口「…」

和「あなたも唯の一部でしょ?邪魔なんかじゃない。唯には、あなたが必要なのよ」

口「…」

和「唯はね、あなたが思ってるより、とっても強い子なの。だから、大丈夫」

維(唯)「和ちゃん…」

口「…」

和「ほら、早く行きなさい」

口「」コク

律「頷いた…のか?」

和「分からないわ…でも、伝わったと思う」

和「さあ唯、もう一回」

維(唯)「う、うん」

維(唯)(お願い、戻ってきて!)

口「」スッ

律「火の玉が…唯の中に…」

維(唯)「!」ピカァァァ

律「眩しっ!」

和「くっ…!」

ボン!


3
最終更新:2011年05月22日 21:21