信代「聞いたっ!?みんなっ!こいつが歴代最高の王だった憂を殺したんだ!」
唯「違う!殺してない!事故だよ!」
信代「いいやお前が殺したも同然だよ!この悪党め!」ずいずい
唯「ち、違う!」アトズサリ
信代「なにが違うの?あの日あんたが峡谷にさえ行かなければ憂が死ぬことはなかった!そうだろ!?」ずいずい
唯「うっ…そ、それは…」アトズサリ
信代「王国のみんなが憂というかけがえのない光を失って悲しみに暮れた時も、あんたは1人逃げ出したんだ!」ずいずい
唯「そ、それは信y」がくんっ!
唯「!?」
梓「唯先輩っ!!」
信代に気おされ、唯が後ずさった先は岩の先端だった!
唯の下半身が宙に投げ出された!
唯は前足で岩につかまりぶら下がってる状態になった!
唯「うっ…」
信代「おや~?……はて……どこかで見た光景だね…」
唯「うっ…ううっ…」ガリガリ
(やばい…落ちる!)
信代「ああ!…思い出したよ…」
唯「うっ…くっ」ガリガリ
信代「憂が死ぬ時と全く同じ格好してるよ…あんた」にやり
唯「!」
信代「冥土の土産に良いこと教えてやるよ…唯」
唯「 」
すっ
信代は口元を唯の耳に近付け、そしてささやくように言った!
信代「 」ゴゴゴゴ
唯「 」
信代「 憂 を 殺 し た の は 私 だ よ 」
唯「 」
瞬間!唯の脳内にあの日の光景がフラッシュバックした!
憂がヌーの群れに吸い込まれて行くあの瞬間!
唯「うわああああああああああああああ」
唯「ああああああああああっ!!!」ぐいっ
信代「ぐえっ」どかっ
なんと!唯は前足のバネを使って一気に身を岩の上まで乗り出し、信代を押し倒し、信代の首を絞めたのだ!
唯「卑怯者っ!!!」
信代「ぐっ…」
唯「言え!もう一度!!」
信代「ふっ…ふふ…憂を殺したのは私さ…」
唯「違う!もっとみんなに聞こえるように言えぇーーーーーーっ!!!」
信代「私が憂を殺したぁっ!!!!!!」
和「 」ぷっつーん
梓「 」
ハイエナたち「がらあっ!」
ハイエナたちが一斉に唯に飛びかかった!
唯「!」
ライオンたち「おらぁ!」
ライオンたちもハイエナたちに飛びかかった!
ライオン対ハイエナの大乱闘となった!
憂の死の真相を知り、怒ったライオンは強かった!
ライオンたちはハイエナを次々と蹴散らしていった!
信代「くっ…今のうちに…」こそこそ
唯「信代っ!」だだっ
信代「ちっ」だだっ
唯は信代を追った!
そして!~~~~~~
~~~~~~
信代「……」ゴゴゴゴ
信代「……」ゴゴゴゴ
唯「……」ゴゴゴゴ
今まさに!唯と信代の王座をかけた決闘が始まろうとしていた!
~~~岩の上
唯「もう逃げられないよ…信代」ゴゴゴゴ
信代「ふ……ふふ…」
唯「……」ゴゴゴゴ
信代「……嬉しいよ…唯……」ぐぐぐ
唯「……」ぐぐぐ
二頭のライオンは後ろ足で立ち上がった!
熊が時折見せるような二足歩行の状態である!
信代「……あんたを私自らの手で殺せてさ!」ゴオオオオオオ
信代の身体から暗黒のオーラが真上に渦を巻きながらほとばしった!
信代の黒いたてがみがざわりと逆立った!
唯「ああああああっ!」だだっ
信代「らああああっ!」だだっ
2人の身体がほぼ同時に動いた!
信代「しゃあっ!」ひゅっ!ひゅっ!
信代の爪が立て続けに唯の顔面を襲う!
唯は、頭を沈めて信代の爪をかわす!
唯の茶色いたてがみをひきちぎって、すれすれに信代の爪がかすめていく!
信代「死ねオラァァアッ!!!!」
信代が吠え、強烈な右の爪を唯に向かって真っ直ぐ突き刺してきた!
唯「!」ぐっ
唯は、両掌を前に突き出し、ボールを受け取るキャッチャーのように、その右手を両掌に包み込んだ!
そのまま、信代の爪のスピードを殺さずに、横に流した!
自分の左に流れていく信代の右手を握ったまま、唯は両脚で地面を蹴り、跳躍した!
ごっごっ…!
左脚の方がわずかに速い!唯の左脚のつま先が、信代の顎にめり込んだ!
次の瞬間、わずかに遅れた右足の甲が、のけぞった信代の側頭部を強かに叩いていた!
双龍脚ーーーーーー左右の上段蹴りをほぼ同時に繰り出すという神業である!(参照・修羅の門)
唯が宙で両手を放すと、信代は地面に崩れ落ちた!
唯「フーッ!フーッ!」ゴゴゴゴ
信代「くっ…てめぇ…!!」ギロリ!
そう!唯は強かった!
なぜか?
唯は起伏の激しいジャングルを律澪と共に毎日駆け回っていたおかげで、しなやかで強靭な筋肉が発達していたのだ!
さらに一番の原因はジャングルに巣食う猛獣たちだった!
律澪を守るため黒ヒョウや虎やゴリラなどと幾度となく戦い、実践経験も充分に積んでいたのだ!
さらにさらに今!信代が憂の仇だと知った今!
唯は怒りでボルテージがあがり、力、攻撃性が普段と比較にならないほど上昇していたのである!
唯「ほら…立ちなよ…」ゴゴゴゴ
信代「ふふ…ふ…」すっく
じゃり…
信代は立ち上がる時に、左手にいくつかの小石を掴んだ!
信代「おらぁっ!」ぶんっ
その小石群を唯の顔面に向かって投げた!
唯の意識が小石に集中する!
信代「 」だだっ
信代の身体が唯に向かって疾った!
唯「ふんっ!」ばしっ
唯が右前足で小石群を弾いた!
信代「 」
唯「!」
小石は文字通りの布石!
すぐ眼の前に信代がいた!
信代「おらぁっ!」どかっ
信代のタックル!
唯が仰向けに押し倒された!
唯「ぐっ!」どしーん!
信代「死ねオラァ!」びゅっ
信代の左の爪が真下の唯の喉元に向かって疾る!
がこっ…!
信代「ぶっ…!」
しかし!唯のアッパーが信代のストレートより一瞬速く、信代の顎を貫いていた!
そう!唯は押し倒された状態にもかかわらず、下から攻撃を放ったのである!
信代「…ッ」
信代が仰け反った!
唯が立ち上がった!
唯「おおおおおおおおおお!」だだっ!
唯(憂っ!!!!!)
唯の全身全霊をかけた突進が、信代の身体にクリーンヒットした!
信代が吹っ飛んだ!
吹っ飛んだ先は…!岩の先端!足場がなかった!信代の身体が宙へ投げ出された!
信代「うおおおおおおおおおおおお!」
どしゃっ……
数十メートル先にあった地面に、信代の身体が激突した…!
唯「……信代……」
「唯先輩っ!」
唯「!」くるっ
梓「はぁっ!はぁっ!」
唯「あずにゃん…」
梓「ハイエナたちは…全員おっぱらいました!律先輩澪先輩ムギ先輩は無事です!あと純も!」
唯「そう…!よかった!」
梓「…信代は…」
唯「…勝ったよ…!あずにゃん!」ぱあああ
梓「唯先輩っ!」だだっ
唯「あずにゃん!」だきっ
~~岩の下
ゴゴゴゴ
信代「……」ピクッ…ピクッ
すた…すた…
姫子「あらあら…やられちまったか」
いちご「もう死にそうだね」
エリ「どうする…?」
姫子「一応持って帰ろう…もしかしたら一命を取り留めるかもしれない」
いちご「あ、よっこいせ」背中のせ
エリ「さあ、ライオンたちに見つからないうちに帰ろうよ」
姫子「ああ…」すたすた
姫子(待ってな……唯……いつになるかわかんねーけど…)
姫子「……」ゴゴゴゴ
姫子「いずれこの国をぶっ潰してやる…必ずね」にやり…
すたすたすた…
~~~~1年後~~~~~
王国はこの1年の間でもとの緑豊かな楽園の姿を取り戻していた!
唯「…」にこっ
王国をまとめるライオンの王、唯!
梓「…」にこっ
その妻、梓!
純「 」ばさっ、ばさっ…にこっ
唯の側近の鳥、純!
律「ふふっ」
澪「唯…!」
唯の右腕と左腕の律澪!
紬「…」にこっ
占い師でありながら唯の親友、マントヒヒの紬!
紬「…」すっ
赤ちゃんライオン「…?」
今日、唯と梓の間に待望の第一子が生まれた!
そしてその子の名はーーーーーーーーーー!!!!
『ケイオン キング』 完
最終更新:2011年05月23日 22:05