しあわせびっくり箱!
ガラッ
憂「……あ、梓ちゃん」
梓「おはよ、憂」
憂「おはよ~」
梓「今日は遅かったね」
憂「おねえちゃんがなかなか起きてくれなくて……」
梓「ああ……寒くなってきたしね」
憂「うん~、まあ寝ぼけてるおねえちゃんも可愛いからいいんだけどね」
梓「そ、そう」
憂「そういえば、先輩方に聞いてくれた?」
梓「明日の話でしょ?大丈夫だって」
憂「そっか、良かった~
おねえちゃんもきっと喜ぶよ」
梓「みんな楽しみにしてたよ
律先輩なんて度肝を抜くようなプレゼントを用意するって張り切っちゃって……」
憂「あ」
梓「?」
憂「プレゼントまだ決めてないんだった……」
梓「まだ?誕生日明日だよ?」
憂「うーん、いいプレゼントが思いつかなくて……」
梓「まさか憂が唯先輩へのプレゼントで悩むなんて……」
憂「普通のプレゼントでもいいんだけど、
どうせならおねえちゃんをすっごく喜ばせてあげたいな~って」
梓「それで前日まで決められなかったわけね」
憂「うん……梓ちゃん、なにかいいアイデアないかな?」
梓「唯先輩のことをわたしに聞かないでよ」
憂「うう……」
梓「唯先輩のことは憂が一番わかってるでしょ?」
憂「えへへ、まあね」
梓「……とにかく、そんな憂にしか出来ないプレゼントをすればいいんじゃない?」
憂「わたしにしか出来ない?」
梓「うん、唯先輩のことを一番良くわかってる憂にしか」
憂「うーん……良くわかんないけど、今日一日考えてみるよ!
ありがとう、梓ちゃん」
梓「どういたしまして」
憂「ちなみに、梓ちゃんは何をあげるの?」
梓「秘密」
憂「えー」
梓「明日のお楽しみ、ね?」
――――――――
―――――
梓「さて、放課後になったわけですが」
梓「憂、プレゼント決まった?」
憂「えへへ、とってもいいの思いついちゃった~」
梓「何をあげるの?」
憂「梓ちゃんは教えてくれなかったのに、わたしには聞くんだ?」
梓「うっ……ごめん」
憂「ふふ、冗談だよ」
梓「も、もう……それで、何を?」
憂「わたしね、おねえちゃんが欲しい物をあげることにしたの」
梓「うんうん」
憂「えへー」
梓「えへーって……で、つまり何をあげるの?」
憂「え?だから、おねえちゃんが欲しい物」
梓「いや、えっと……それって何?」
憂「うーん……それはおねえちゃんに聞いてみないとね」
梓「唯先輩に欲しい物を聞いて買いにいくの?」
憂「それだと一般的なプレゼントの仕方じゃない」
梓「頭がごちゃごちゃになってきた……」
憂「さてと、早く帰ってプレゼントの用意しなきゃ!」
梓「全然意味がわからなかったよ……」
憂「梓ちゃん、ありがとうね」
梓「え?」
憂「プレゼント、梓ちゃんのおかげで閃いたから」
梓「そ、そう、役に立てたなら良かった」
憂「えへへ、それじゃあまた明日!」
梓「うん、ばいばい」
――――――――
―――――
憂「えっと、これをこうして……んしょ……」
ガチャ
唯「ただいまー」
憂「あ、おねえちゃんおかえりー」
唯「ん?……おお!なに、その綺麗な箱?!」
憂「ふふっ、秘密だよ~」
唯「えー?気になる気になる~」
憂「あとで教えてあげるね?」
唯「ぶーぶー」
憂「ふふ……さ、着替えてご飯食べよ?」
――――――――
―――――
唯「……ねえ、うい」
憂「なあに?」
唯「さっきの箱、あれってなんなの?」
憂「……」
唯「あとで教えてくれるって言ったじゃん!そろそろ教えてよ~」
憂「……」
唯「このままじゃ気になって眠れないよ~」
憂「ごー」
唯「?」
憂「よん」
唯「う、うい?どしたの?」
憂「さん」
憂「にー」
憂「いち」
憂「ぜろ!」
唯「え?な、なになに?」
憂「おねえちゃん、お誕生日おめでとう!」
唯「っ?!」
憂「えへへ……おねえちゃん、たった今11月27日になったよ!」
唯「あ……ほ、ほんとだ!やったー!誕生日!」
憂「そして、えと……はい、誕生日プレゼント!」
唯「これ、さっきの箱……誕生日プレゼントだったんだ……!」
憂「えへへ、うん、そうだよ」
唯「ふは~……キラキラピカピカして、すごく綺麗……
ね、開けてもいい?」
憂「もちろん!どうぞ~」
唯「やったー!なんだろな~なんだろな~」ゴソゴソ
憂「ふふ」
唯「あれ……?」
唯「うい、この箱からっぽだよ?」
憂「えへへ……実はその箱はただの箱じゃないんだ」
唯「え?」
憂「なんと!魔法の箱なんです!」
唯「魔法の箱?!」
憂「そう!ねっ、おねえちゃん、両手を合わせて目をつぶって?」
唯「え?う、うん」ギュ
憂「そして自分が欲しい物を声に出して、箱にお願いするの!」
唯「ほ、欲しい物?ん~……いきなり言われても~」
憂「なんでもいいんだよ~」
唯「じゃあ……えと……アイスが欲しいです!」
憂「ふふ、さっき食べたばっかりなのに」
唯「えへへ~、だって好きなんだもん」
憂「あ、もう目を開けても大丈夫だよ」
唯「ん」パチ
憂「箱、開けてみて?」
唯「どれどれ……おお!」
憂「ふふ」
唯「あ、あ、アイスがたくさん……しかもダッツさんだよ!……しゅ、しゅごい……!」
憂「夜遅いけど誕生日だから特別に食べてもいいよ!
あ、一個だけね?」
唯「ほんと?!やったー!」ゴソゴソ
憂「どう?すごいでしょ、この箱」
唯「すごすぎるよ!お願いした物が出てくるなんて……ほんとに魔法の箱だね!」
憂「えへへ、もっとお願いしてもいいんだよー?」
唯「ほ、ほんとに?!えっと、それじゃあ……」ギュ
憂「」ゴソ
唯「そうだ!寒くなってきたし、新しいマフラーと手ぶくろが欲しいです!お願いします!」パンパン
憂「おねえちゃん、もういいよ~」
唯「わくわく~」パチ
唯「おお……ほんとに入ってる!しかもこれ、可愛い~……」
憂「えへへ、喜んでくれたみたいで良かった」
唯「大満足だよ~、こんな素敵な箱……」
憂「わたしがいるときならいつでもつかっていいからね!」
唯「うん!ねえ、うい」
憂「なあに?」
唯「ういもつかいなよ、この箱!」
憂「え?」
唯「だって、ういも欲しい物あるでしょ?」
憂「ま、まあ……あるにはあるけど……」
唯「それじゃあ、一緒につかおうよ!」
憂「で、でもおねえちゃんにプレゼントしたんだし、おねえちゃんがつかってよ!」
唯「だめ!ういもつかって?」
憂「え、えと……」
唯「アイスも嬉しいけど、ういの喜ぶ顔も嬉しいもん!」
憂「おねえちゃん……」
唯「ね?」
憂「うん……わかった」
唯「さ、早く早く~」
憂「ん」ギュ
唯「それじゃあ、お願い事をどーぞ!」
憂「うん!……えと、わたしは」
憂「おねえちゃんが欲しいです!」
唯「え?」
憂「だから、おねえちゃんをください!」
唯「うい……えへっ」
憂「……」
唯「えへへ……うい、目を開けてもいいよ」
憂「うん……わっ!」
唯「」ギュッ
憂「ふふ……」
唯「新鮮なおねえちゃんです!どうぞ!」
憂「えへへ……はーい、いただきます」ギュッ
唯「……ういはずるいね」
憂「え?」
唯「人でもいいなら、わたしもういをお願いしてたのに」
憂「……おねえちゃん」
唯「さ、歯みがきして寝よっか?」
憂「……うん!」
おわり
最終更新:2011年05月25日 02:49