…
和「……集計できたわ」
有効票 39
ロミオとジュリエット……21
ストリートファイターⅡV……1
レジェンド・オブ・チュンリー……3
ブッダ……1
シティハンター……1
ベルサイユの薔薇……10
桃太郎……1
白い巨塔……1
和「なにこれ……」
ウメハラ「シティハンターが一票なんだ。意外」
紬「ストリートファイターⅡVが落ちちゃった……」しょぼん
和「投票結果により、ロミオとジュリエットに決定します。というか、決定しないとまずい」
…
梓「あ、澪先輩。こんにちは! これから部活ですね!」
澪「――」
梓「どうしたんですか? 律先輩、澪先輩が――」
律「……」
梓「律先輩まで、ムギ先輩――」
紬「♪~」フンフンフーン♪
梓「一体何があったんだろう。唯先輩、なにかあったんですか?」
唯「澪ちゃんがクラスの出し物でロミオ、りっちゃんがジュリエットをやることになったんだ
よ~」
梓「ムギ先輩は?」
唯「ムギちゃんは脚本だよ」
ウメハラ「……」
唯「ちなみに、ウメちゃん先生も出演予定です!」フンス
梓「マジですか」
梓「なんの役で出るんですか!?」
唯「駄目だよ! あずにゃんはお客さんなんだから!」
梓「……唯先輩は?」
唯「木Gだよ!」
梓「A、B、C、D、E、F、G……。木って、そんなに要りますか?」
唯「わかってない! わかってないよあずにゃんは! 神は細部に宿るんだよ!」
梓「ちょっと違う気がします」
紬「それじゃあ、私は脚本の打ち合わせに行ってくるわね」しゃらんらしゃらんら~
ウメハラ「……」
梓「ウメハラ先生?」
ウメハラ「……劇なんてやったことないんだけど」
律「――」
澪「――」
梓「ライブ、大丈夫なのかな……」
――それから・教室――
律「おぉ、ロミオ。あなたは、どうして、ロミオ、なの」
澪「……なん……だい?」
紬「カット! 澪ちゃんりっちゃん、恥ずかしがらないで!」
律「こんな歯の浮いた台詞言えるか! そんなに家が面倒なら家出でもなんでもすれば
いいだろ!」ムキー!
澪「……は、恥ずかしい」
唯「りっちゃんも澪ちゃんも、恥ずかしさなんて捨てればいいんだよ!」フンス
律「木Gのお前に言われたくない」
ウメハラ「……」
姫子「先生、台本覚えました?」
ウメハラ「いや、殆どは覚えてない。でも自分のところくらいならなんとか」
姫子「ムギー! 梅原先生、台本覚えたってー!」
紬「本当!? それじゃあ、先生もこっちに来てください!」
ウメハラ「!?」
信代「せんせー! こっちこっち!」
ウメハラ「ちょっと待って」
紬「もう十分待ちました! さあ!」
律「ウメちゃん、往生際が悪いぞー」
ウメハラ「……まずい」
いちご「先生、あそこのダンボール。中身が入ってて重いんですけど」
ウメハラ「わかった。取ってくる」
澪「逃げた!」
風子「あ、ごめん」ゴツン
ちか「いたっ」
アキヨ「だ、大丈夫?」
ちか「大丈夫大丈夫。でも、教室で裏方と役者が同時にっていうのは大変だね」
エリ「だねー。結構危ないよ。せめて練習する場所が他にあれば……」
律「ウメちゃーん!」
ウメハラ「あ。それなら心当たりが」
――その夜・西横浜のある廃墟――
ウメハラ「――そうわけだから。よろしく」
KSK「わけがわからん」
ウメハラ「いやだから、明日うちの生徒が演劇の練習にここ使うことにしたから」
KSK「また壁をピンクにしろってか?」
ウメハラ「前回もそうだったんだけど、誰もそんなこと頼んでないよね」
KSK「あれを元通りにするのに2カ月かかったんだぞ!」
ウメハラ「かかりすぎでしょ。店の汚さも元通りだし」
KSK「それは関係ないだろ。なんにせよ、さすがに明日は無理だ」
ウメハラ「ときど」
ときど「アイアイサー」
KSK「申し訳ない」
ウメハラ「それじゃあ、よろしく」
ドア「バタン」
KSK「勝手言いやがって……ときどマゴ! 手伝ってくれ!」
マゴ「呼びだしたかと思ったらまたそれかよ!」
ときど「僕らも忙しいんですよねー」
マゴ「そうなんだよ! 御用なんだよ!」
ときど「多忙なんですよね」
KSK「いいからやるぞ! 壁をピンクにするぞ! そんでもって配信するぞ!」
マゴ「壁ピンクにする配信のどこがおもしれーんだよ!」
KSK「うるさいぞマゴ! いいから窓開けろ!」
ときど「……」ガラガラ
KSK「あ、そういえばあいつがこっち来てたな」ピッピッピ
電話の相手「あー、KSKさん? え? 今からVISION!? きついっすよー」
KSK「いいから来い! 俺のメンツがかかってるんだ!」
電話の相手「お前のメンツなんてもう存在しねーだろ! ピザでも食ってろピザでもォ!」
KSK「頼むよー」
電話の相手「しょーがねーなーてめーはよー。おい金デヴ! VISION行くぞ!」
KSK「ふう……。さすがの今井さんの人脈。これで視聴者数も貰ったな」
こくじん「うぃーす」
金デヴ「なんかすごいペンキ臭いんだけど」
マゴ「おお! こくじんに金デヴ!」
金デヴ「なにしてんの? 夜食でも作ってんの?」
マゴ「んなわけねぇだろ! ペッティングしてんだよ!」
ときど「ペイントね」
マゴ「いちいちいい気になって訂正してんじゃねえぞときどォ!」
KSK「こくじんと金デヴが来てくれましたー」
チャット欄「おおおおおおおおおお」
チャット欄「こくじんさんいわく、今回豪鬼に有利キャラいないから」
チャット欄「蝿消えとけ」
金デヴ「え? KSKさんはペンキ塗らないんですか?」
KSK「マゴとときどがどうしてもやりたいっていうからさー」
こくじん「嘘付くんじゃねえよ! ぶっとばすぞKSKちゃんよ~」
KSK「……二人もがんばって片付け手伝ってくれ。飯おごるから」
――中野宅――
梓「今日も唯先輩は可愛かったな~」
梓「澪先輩はかっこいいし、ムギ先輩は相変わらずエロいし」
梓「律先輩もイケメンだし、私って勝ち組だよね~」
梓「さてさて、今日もウメスレチェックしないと」
ウメスレ「裏顔きた!」
ウメスレ「今井謝罪」
病院勢「がまはよ謝罪」
梓「あ、顔きてたんだ。見ないと」
KSK『こくじん、そこの塗り甘くない?』
こくじん『こんなもんでいいんだよ! あーあ、自慢の一帳羅がピンクになっちまったぜ』
金デヴ『一帳羅って、こく兄Tシャツじゃないですか』
こくじん『みんな、買ってね!』
マゴ『宣伝してんじゃねえよ!』
梓「……またピンクにしてる」
金デヴ『そもそもなんでピンクなんすかぁ?』
KSK『女の子っていったらピンクだろ』
こくじん『ほんっと頭わりいなお前!』
KSK『え? ピンクじゃない? 女の子って言ったら』
こくじん『店内ピンクにしてどうすんだよ! なにがしてえんだよ!』
KSK『ヒーリング効果があるかと思って』
こくじん『ピンクにんなもんあるわけねえだろ! 馬鹿かお前は!』
チャット欄『連絡促しておきます』
チャット欄『誰でしょうか(笑)』
チャット欄『まじで蝿消えろよ……』
ときど『これ、配信する意味あるんですか?』
梓「本当だよね」
梓ママ「梓、早く寝なさいね」
梓「はーい。……今日の裏顔はいいかな」ブツン
梓「寝ちゃおうっと」
――次の日・土曜日――
ウメハラ「それじゃあ、全員揃ったね」
紬「はい。脚本と演出、それと役者は全員揃いました」
さわ子「あら? 大道具の子たちは?」
紬「大道具の人たちは学校のほうが道具があってやりやすいと思うので」
さわ子「なーる。じゃあ、車は一台で大丈夫だったわね」
澪「唯は?」
律「木とかは大道具手伝ってもらってる」
ちか「そのほうがいいよね」
春子「じゃあ、早いところ行こう。どこにあるんですか? その練習する場所」
ウメハラ「言ってなかったっけ? まあ、いいや。西横浜だよ」
律「またあそこか……」
ウメハラ「自由にできるからね」
澪「KSKさん……」
ウメハラ「自由にできるからね」
さわ子「それじゃあ、田井中さん、秋山さん、琴吹さん、近田さん、野島さん、中島さん、
佐野さんが行くってコトでいいのね」
ウメハラ「はい。それじゃあよろしくお願いします」
澪律紬春子ちか信代圭子「よろしくおねがいしまーす」
さわ子「任されました。みんな、車に乗ってちょうだい」
紬「澪ちゃん、りっちゃん、梅原先生。大丈夫ですか?」
ウメハラ「なにが?」
紬「演技のことです! 先生、結局一度も練習に参加してくれないから……」
ウメハラ「うーん。まあ、大丈夫だと思うんですけどね」
澪「私たちも大丈夫だ。なあ、律」
律「秘密特訓したからな。見つけたんだ! 必勝法!」
春子「へえ、期待してるよ」
信代「先生もがんばってくださいよ!!」バンバン
ウメハラ「ちょ、痛い。痛いから」
信代「がっはっはっは!」バンバン
ウメハラ「何か……丸いね」
――西横浜――
春子「……」
信代「……」
ちか「……え?」
圭子「ここ、ですか?」
ウメハラ「うん。ここ」
ちか「う、売られる……」ぶるぶる
圭子「なにこの黒い建物……」
律「大丈夫だよ! 私たちも一度ここに来たことあるけど、みんないい人だから!」
信代「だれかいるの!?」
澪「三人ほど」
ウメハラ「ちょっと馬鹿だけど、大丈夫だよ」
紬「馬鹿って……」
金デヴ「お! 梅原さん! いらっしゃい!」
律「知らない人だー!!」
金デヴ「あ、この子たちが例の生徒たち? どうぞどうぞ」
澪「あ、あの……」
金デヴ「なんか怖がられてるんですけど」
ウメハラ「そりゃあそうだろ」
金デヴ「ホントにここ、イメージわるいですよね」
ときど「おう、いらっしゃい」
紬「お邪魔します」
澪「またピンクになってる……」
春子「怪しい……」
KSK「ぐおー」ZZZ
マゴ「いらっしゃーい」
こくじん「おおお!!!! みんな可愛いなおい!!!!!」
澪「!?」びくぅ!
ウメハラ「こくじん、ちょっと静かにして」
こくじん「あっはっはっはっは!!!!」
紬「それじゃあ、早速練習を始めましょう」
マゴ「なになに? なにすんの?」
澪「演劇です。ロミオとジュリエット」
マゴ「すげええ! バンド以外にもそんなこともすんのかよ高校生!」
ときど「面白そうだね」
金デヴ「ロミオとジュリエットってどんなやつだっけ?」
マゴ「そんなことも知らねえのか!? お兄ちゃんのことが大好きな12人の妹たちの
物語だよ!」
こくじん「それシスタープリンセスじゃねえか!」
金デヴ「2D神だなぁ」
マゴ「うわあああああああ!!!!」
紬「シーン1いくよー。梅原先生も準備してー」
ウメハラ「……うん」
こくじん「ウメハラも出るのかよ!!」
KSK「え? なになに? ウメハラも劇やるの?」
紬「アクション!」
澪「ああジュリエット! キミはどうしてジュリエットなんだい?」
律「ああロミオ! あなたはどうしてロミオなの?」
圭子「出来てる……」
信代「澪が律の真似をして、律が澪の真似をしてるわけ?」
春子「ややこしい……」
金デヴ「けっこう上手じゃない?」
ときど「そうだね。……お、ウメさんの出番」
ウメハラ「おのれモンタギューそこに直れ」
こくじん「……」
マゴ「……」
KSK「ぶわっはっはっはっは! ウメハラお前下手すぎるだろ!!!!」
こくじん「誰だよこいつを神って言った奴は! 誰だよ! ぶっ殺してやるよ俺が!」
KSK「配信してやる! この模様を配信してやる!」
ウメハラ「ときどー」
KSK「……なんか、すいませんした。調子に乗って申し訳ない」
ときど「俺は自分を弱いとは言わない。なぜならば――」
KSK「やめてくれときど! 頼む!」
マゴ「数多の屍ー」
KSK「マゴおおおおおおおおお!!!」
紬「でも梅原先生。もう少し感情をこめてください」
ウメハラ「そう? けっこううまいと思うんだけど」
こくじん「自分でそう見えんのかよ! 棒読みしてるだけじゃねえか! そういう演目じゃ
ねえからこれ!」
ウメハラ「うーん」
澪「大丈夫ですよ梅原先生。練習すればなんとかなります」
ウメハラ「ありがとう」
金デヴ「本当に梅原さんが先生になってる」
マゴ「意外だよなぁ。結構坂についてるし」
律「板じゃない?」
マゴ「まじで? りっちゃんは国語の教師?」
最終更新:2011年05月26日 22:40