女子大学、校門前広場
律「よっとっ!」ヒョイッ
唯「ほいっ!」ピョンッ!
紬「えいっ!」スタッ!
澪「…………っ」
律「みおー、なーに緊張してんだよ~」
澪「だって…この門超えたら…私、大学生なんだろ?」
律「今更何を当たり前の事…」
澪「な…なんか緊張するんだよ!」
律「あのなぁ~…」
唯「澪ちゃんっ! ファイトだよ!」
紬「そうよ! 怖がってたら前には進めないわっ!」
律「ったく…あのライブん時はノリノリだったくせに…」カタッ…
唯「りっちゃん、ケータイなんか取り出してどうかしたの?」
律「ああ、唯とムギも見てみる? へへっ…こっそりケータイで動画取っておいたんだ、澪のヘドバン動画」
律「ご覧頂こう! あの引っ込み思案な
秋山澪が、ヘビメタに頭をブンブン振ってノってる超貴重な映像であるっ!」
唯「あー、私見たい見たい!」
紬「わぁ…あの大人しい澪ちゃんがこんなにノリノリに…♪」
澪「ちょっ…! 律!」
律「へへへっ、あ、そこのお姉さんも見てみますー? これ、私の幼馴染なんですけどぉ♪」
澪「りーつーー……いいかげんに…しろっ!」
――ゴチンッ!
律「…痛たた……もー…澪手加減してよぉ~」
澪「まったく…今日から大学生なんだから、もう少し常識ってやつを……あ…」
唯「…澪ちゃん、門超えてるねぇ…」
紬「……おめでとう澪ちゃん、晴れて大学生よ♪」
澪「は…ハメられたぁぁぁ!!!」
―――――――――
律「これで、全員揃ったな…」
唯「うん…そうだね!」
紬「新しい生活が、始まるのね…」
澪「ああ…どんな大学生活になるんだろうな…」
律「みんな、私達の目標、覚えてるよな?」
唯「うんっ!」
紬「もちろんよ!」
澪「忘れるわけがない…」
唯「私達が出会ってから…変わってないよ」
律「ああ、目指せ武道館!!!!」
紬「あの大きな玉ねぎの下での…ライブ…」
澪「できるさ…私達なら…必ずできるさ……!」
唯「放課後ティータイム…やっるぞーーっ!!」
一同「おーーーーっっ!!」
唯「…うふふ…あはははっ……」
唯(…みんなとなら…歩んで行ける…)
―――どんなことがあろうと…輝きを守っていける…
私達には…大好きな仲間がいるから…大切な人達が、すぐ傍にいてくれるから…!
私…みんなが大好き! めちゃめちゃ大好き…!
だから歌うよ、私…
愛を込めて歌うよ…みんな…大好きを…ありがとう……!
―――平沢唯…今日も、愛を込めて歌っています!
―――
――
―
某所女子高、教室
ガラッ…
さわ子「失礼します」
生徒「わ、あの先生美人…」
生徒「新任の先生なんだって…何でも遠くから来たらしいよ…」
生徒「彼氏とか、やっぱいるのかな?」
さわ子「えー…みなさん初めまして、本日よりここの学校で、音楽の担当と、みなさんの担任をさせていただきます、
山中さわ子です」
生徒「音楽の先生なんだ…」
生徒「キレイだし…軽音部の顧問になってくれないかなぁ~」
生徒「ちょっとっ、軽音部はもう顧問いるじゃない、そこは部員の多い吹奏楽部にしてよぉ~」
生徒「え~、私合唱部に入ってほしいな~~」
さわ子「…みなさーん、私語は謹んで下さいねー?」
生徒「はーいっ」
さわ子「うん、皆さんありがとうございます」
生徒「じゃあ、私から先生に一つ質問がありますっ!」
さわ子「あら、何かしら?」
生徒「先生は、どんな音楽が好きなんですか?」
さわ子「……好きな音楽…ですか…そうですねぇ…」
さわ子「好きな音楽は…クラシックとか洋楽とか、普通の音楽が好きですけど…一番はやっぱり…」
生徒「一番は……?」
さわ子「―――ヘビメタですっ♪」
―――
――
―
風がそよぐ…
窓際からは桜が舞い、新たな舞台が私を受け入れてくれる…
みんなに見送られて、私…山中さわ子は、教師として、新たなステージに上がることが出来た…
新たな舞台を前に、戸惑いが無いと言えばそれは嘘になる…
でも、不安に怯える事なんて絶対にない…私には、みんながいてくれるから…
みんなの応援がある限り…私が好きな事を続けていられる限りは、どれだけの月日が流れようと…
私の中の輝きは…決して消えたりはしないのだから…
唯ちゃん…りっちゃん…梓ちゃん…紀美…みんな…輝いていよう、いつまでも…いつまでも……!
私達は輝ける…永遠に…輝き続けていられる…!
誰にでもなく、私は言う…
―――輝け…! 乙女達!!!
―――軽音楽(けいおんがく)。
『軽い音楽』と書き、その内容は主にジャズやダンス音楽など、気軽に楽しめる音楽の事を指す。
演奏する世代は様々で、近年では若年層によるバンド活動も多数あり、若者の音楽への関心を寄せる大きなコンテンツとして全世界で人気を博している。
―――そして、音楽には人の様々な思いが込められる。
友情、夢、努力、達成、絶望、後悔…様々な思いを、人は音楽に込めては歌い、音楽を通じて、人は様々な思いを抱き、輝いて行く。
音のある全ての場所で… 音を奏でる全てのステージで…
彼女達は、今日も輝き続けている……
おわり。
最終更新:2011年05月27日 04:10