翌日
純「昨日、うちの親マジ喧嘩してさ、びびったよ」
憂「喧嘩かー、うちの両親じゃ見た事ないなー」
梓「憂の両親って、未だにラブラブしてるバカップルなんだよね」
憂「恥ずかしながらそうだね。ペアルックとかしちゃってるし」
純「うわぁ……」
梓「林家ペー、パー夫妻か」
憂「あはは……きっついよね」
純「まあ平和なのは何よりじゃん」
憂「でも喧嘩する程、仲が良いとも言うよ」
純「うん、ありがとう憂」
……
梓「ねえ憂って、本当に軽音部入る気ない?」
憂「出し抜けにどうしたの梓ちゃん」
梓「だってあれだけギター弾けるのに、勿体無いなって」
純「えっ、憂ってギター弾けたの? かっこいい!」
憂「た、大した事無いよ」
梓「それがね、唯先輩に教えられる位の腕前」
純「すごいじゃん!」
憂「違うよ。お姉ちゃんは説明書読まないタイプってだけで――」
梓「でも憂が実践して教えてるのは、確かでしょ」
憂「はあ……でもそれと上手さは、関係無いと言うか」
純「お姉さんもギター持つとかっこいいよね」
梓「唯先輩が本気を出したら、そりゃあすごいよ」
憂「でしょ、梓ちゃん」ニコニコ
純「ていうか梓って、秋山先輩に憧れてたんじゃ?」
梓「そ、それは置いといて! とにかく一年が私だけって状況がさ」
純「結局仲間が欲しいだけじゃない」
梓「そうよ、悪い?」
憂「あはは、誘ってくれるのは嬉しいんだけど」
梓「えー、いいじゃない! 入ってよういー!」
純(こいつもしや、憂まで狙い始めたんじゃ)
憂「ほら私の両親、ほとんど海外だから」
梓「やだやだー!」
純(そうだ。私のサードアイがそう告げている)
梓「憂が入ってくれないと、将来的に軽音部の存続がやばいんだよ!」
純(山中先生の言う通り、猫は悪魔の生き物なのかも)
憂「多分、大丈夫だって」
純(秋山先輩にお姉さんに、今度は憂。こいつ手当たり次第じゃないの)
梓「憂のいじわる! 人でなし!」
純「こら梓、いい加減にしな! 無理強いは良くないよ!」
梓「じゃあ純が入って」
純「はい?」
梓「ベースとかやれそう。雰囲気的に」
純「や、やらないわよー!」(わ、私までターゲット!?)
梓「入部すれば、もれなくムギ先輩のティータイムにあずかれるよ」
純「無理! 私みたいな普通人には向かない!」
梓「なによ純! 私が普通じゃないとでも言うの!?」
憂「まあまあ梓ちゃん、純ちゃんも」
純「べ、別に喧嘩してる訳じゃないし」
梓「あの、私がちょっとしつこすぎた。ごめん……」
純「いいって、梓の気持ちも分かるよ」
憂「誘ってくれたのは嬉しかったよ、梓ちゃん」
梓「ふ、ふん! 急に優しくするのはやめて!」カァッ
憂「梓ちゃん……」(抱き締めていいかな)
純(かわいい――いやっ、騙されるな! 私には憂だけよ!)
放課後
純「ういー、一緒に帰ろう」
憂「今日もジャズ研ないの?」
純「うん。たまには一緒にお茶しない?」
憂「そうだね。行こっか」
純「本当!?」ガタタッ
憂「そ、そこまでテンション上がらなくても」
純「い、いや普通よ、普通!」
憂「ふ~ん」
……
梓「もっと練習したかったです」
律「今日はムギが風邪で休んじゃったし、たまにはいいだろ」
唯「じゃ、ムギちゃんのお見舞い行こっかー?」
澪「いや、こんなの連れて行ったら、ムギも気疲れするよ」
律「何だとこのぉー!」
唯「例えるなら、隣の人が壁ガンガン蹴ってても、音楽止めない人だもんね」
律「えっ? そ、そこまで迷惑な奴じゃないよ!?」
澪「まあ、ほんのちょっと言い過ぎだぞ唯」
律「ほんのちょっと!?」
唯「でも、ムギちゃんいないと寂しいよね」
律「お菓子が無くってか~?」
唯「む~、私はりっちゃんとは違うんです!」
律「あはは! どうだかなー」
唯「バ~カバカバカ、バカりっちゃん!」
律「ほいほ~い、バカですよ~、ほげぇー!」グニー
唯「ふひゃっ! ちょ、りっちゃんその顔やめ――ひひ!」
梓「でも、いつも休んでるみたいなもんじゃないですか」
澪「まあムギが戻って来たら思いっきりやろうよ。な、梓」
梓「そんな事言って、ムギ先輩が戻って来ても病み上がりだからとか――」
唯「あずにゃんあずにゃん、りっちゃんの顔見て――ブホォ!」
梓「そういう理由つけてサボるんじゃないですか?」
律「ギックー!」
梓「何がギックーですか、バカじゃないですか」
律「こっ、後輩にまでバカと言われた!」ガーン
唯「あははは! ひぃー、腹痛いー!」
律「部長だぞ! 偉いんだぞー!」
梓「自分で偉いとか言う時点でナシです」
律「ナシって言われたー!」
唯「シャクシャクしてうまいんだー!」
澪「いい加減にしろお前ら」
梓「やってられねえです」
唯「まあまあ、あずにゃん機嫌直して!」ギュッ
澪「そんなんで直る訳が……」
梓「……」ポー
澪律「「直ってるー!!」」
梓「そっ、そこまで単純じゃないですー!」バタバタ
唯「む、手強い……澪ちゃんタッチ」
澪「へ?」
律「そうか! 梓が懐いている澪がやれば効果は二倍……いや三倍だ!」
梓(み、澪先輩が私を抱き締める!?)ドキドキ
澪「そんな事、急に言われても……」
梓「澪先輩……」
澪(うっ、梓かわいい)カァッ
唯「さあ澪ちゃん! やっちゃって!」
澪「でっ、出来るかっ!」
唯「えぇー」
澪「ふざけてないで帰るぞ!」(本当はやりたかったー!)
律「澪の意気地なしー」
澪「あ、梓だって迷惑だろ、こんなの」
梓「そうですか……」シュン
澪「うっ……」(くそ! どうして唯みたいに出来ない!)
唯「しょうがないあずにゃん、私で我慢だよー!」ガバッ
梓「べっ、別に唯先輩は、我慢とかそんなんじゃないです……」ポッ
澪「……」シュン
律「澪も少しは素直になったらいいのに」ツン
澪「くおっ! 律、横っ腹はやめろ!」
律「じゃあいつもの」モニモニ
澪「おーまーえーはぁー!」ギュウー
律「うへっ、苦しい! 死ぬって!」
唯「あはははは!」
梓「律先輩は懲りないですね」
どっかのカフェの店内
純「あれっ、あれ軽音部の人達じゃない?」
憂「あっ、本当だ。早引けしたのかな」
純「うわ、お姉さんが梓に抱きついてる」
憂「……」
純「梓楽しそうだねー、何か」
憂「う、うん。お姉ちゃんも軽音部は、すっごく楽しいって言ってるよ」
純「そっかあ、私も……」(いや言うまい)
憂(そういえば昨日から、お姉ちゃんとハグしてないな……)
純「ねえ憂、今日もつけてくれたんだマフラー」
憂「あ、うん。愛用させてもらってるよ」
純「へへ、嬉しいなあー。物を贈るっていいもんだね」
憂「純ちゃん、先輩には渡せたの?」
純「あ、いやまだ完成してなくて」
憂「何それ。ふふっ、純ちゃん無理せず、これ渡せば良かったんじゃない?」
純「いいよ。そんなに大事に使ってもらってるし、後悔はないよ」
憂「純ちゃん!」ガバッ
純「う、憂っ!?」
憂「えへへっ、ごめんつい」
純「あはは、つい、ね」ポー
憂「私って寂しがり屋なのかも」
純「そ、そうね」(ううう憂が私に抱きついて来るとか、現実が夢なの?)
憂「純ちゃんってかわいいよね」
純「うっ、憂はかっこいいよっ!」カァッ
憂「えへへっ、照れるよ~、照れるよね?」
純「う、うん……」(何この幸せ空間? ストップさせたいんだけど!)
平沢家
唯「ういー、ただいまっ!」
憂「おかえり~、ギー太」
唯「えっ? 憂、お姉ちゃんにおかえりは?」
憂「猫臭い」
唯「へっ?」
憂(ど、どうしてあんな事を……梓ちゃんに嫉妬?)スタスタ
唯「う、憂――待って!」ガバッ
憂「……」
唯「憂どうしたの憂? 私何かした?」
憂(ううっ、お姉ちゃんがかわいすぎるせいだよ!)カァー
唯「うい~?」
憂「えへへ」ニコッ
唯「!?」
憂「何でもないよっ! おかえりお姉ちゃん!」
唯「……変なういー」
憂(かわゆいは罪ですよ、お姉ちゃん!)
おしまい
後日談
純「くふっ、くふふふふ」
梓「純どうしたの? キモいよ」
純「いや、もしかしなくても私達は両思いなのかと」
梓「何が?」
純「私のサードアイがそう告げている」
梓(邪気眼だと……?)
憂「おはよー」
純「!!」ガタタッ
憂「純ちゃんおはよう。今コケた?」
純「あ、いっ、うん」カァー
梓「憂おはよう」
憂「梓ちゃんおはよう。ちょっといいかな?」
梓「お金なら貸さないよ」
憂「違うよー」ギュッ
梓「……へ?」
純「えぉ?」
梓「う、憂? 急に抱きついたりして……」
憂「だってお姉ちゃんばっかりずるいと思って」
梓「ええ?」
憂「それにこの間、梓ちゃんも私にやったじゃない」
梓「あはは――でもそろそろ離れて。周りの目が痛い」
純(物理的に痛い目に遭わせてやろうか)ギリッ
憂「えへへっ、全然普通の事だよ。昨日も純ちゃんともハグしたし」
梓「はい?」
純「なん……だと?」
憂「お姉ちゃんと梓ちゃんだって、いつもしてるでしょ?」
梓「ゆ、唯先輩のスキンシップはあんまり普通じゃないんじゃないかな」
純(普通……普通の事……)ズーン
憂「いいよ。私お姉ちゃんみたいになりたいんだもん」
梓「それは――」
純「ダメだよ!!」
憂「純ちゃん?」
純「憂は憂でなきゃ! お姉さんみたいな憂なんて見たくない!」
憂「純ちゃん……」
梓「私もどうかと思うよそれは」
憂「お、お姉ちゃんみたいにって言っても全部じゃなくて」
梓「いや、憂が唯先輩みたいに抱きついたら違和感ある」
憂「そんなどっかのプロ野球選手みたいな……」
梓「ダメだよ。故障者リスト入り間違いない」
純「何の話をしてるのよ!?」
憂「あ、野球ネタは純ちゃんダメだったね」
純「とにかく憂は憂で憂あっての憂なんだから!」
梓「純、考えまとめてから話そうね」
憂「き、気持ちは伝わったよ。確かに私も無理してたかも知れない」
梓「そうよ。憂には憂のいい所があるんだから」
純「そう! それそれ!」
憂「あ、ありがとう二人とも」
梓「っていうか完璧な憂が唯先輩の真似したら腹立つのよ!」
純「それよ!」
憂「ごめんなさい」
おわり
最終更新:2010年01月15日 01:23