「猫……?」
唯「にゃにゃにゃ!」ガサガサ
律「どうだ、唯?」
唯「にゃ……」
紬「届かないみたいね……」
澪(傍から見たら猫に話しかける怪しい集団だな……)
「あ、あの……」
律「よし唯、離脱して中から押し出せ!」
紬「りっちゃん頭いー!」
唯「にゃいにゃいにゃー!」
澪「あはは、なんでもないですから、別に……」
「は、はぁ……」
唯「離脱!」
唯「じゃあ内側からもってっちゃうよー」
唯「自販機の中に入るとか不思議な感じ」
唯「これかな?」
唯「つんつん」チャリチャリ
律「お、動いてる動いてる」
「ひぃ! なんか500円が気持ち悪い動き方してる!」
澪「えーっと、あー、これはマジック的なそういうのでして……」ワタワタ
律「とれたー!」
紬「やった♪」
唯「100%私のおかげだけどねー」
律「はいどうぞ」
「あ、ありがとうございました!」ピュー
律「行っちゃった」
紬「あのひと、ジュースは買わなくてよかったのかしら?」
澪「間違いなく怪しい人だと思われてたな」
律「そうだ、唯ー」
紬「猫ちゃんがいない!」
澪「唯が離れてる間に逃げちゃったのか!?」
律(唯)「私は大丈夫だよー」
律「うわぁ! びっくりするから急にはやめろ!」
律(唯)「でも急事前に知らせる方法がないよー」
澪「確かに、唯の声も聞こえないもんな」
律「じゃあ……ほらあそこにカラスいるからさっさと憑いてこい」
律(唯)「えー、カラスはなんかヤダなー」
律「わがまま言うな!」
紬「結局良い事しても戻らなかったわね」
唯「カー!」
律「カラスなら喋れるんじゃないのか?」
唯「あー、あー、ちょっとかってがちがくてー」
澪(腕にカラスとまってるとかかっこ良くていいなぁ)
律「どうした、澪?」
澪「な、なんでもない!」
紬「次はどうしようか?」
律「もうちょっとぶらぶらしようぜー」
唯「そうだね、別のカラダも見つかるかもしれないし、もうちょっとぶらぶらしますカー」
律「そこまで言ったら普通にしゃべれ!」
紬「公園とか事件ありそうな匂いがするわ!」
律「事件ったってガキの喧嘩とかだろ……」
澪「最近治安が悪いところだと公園が一番危ないんだって」
紬「最近だと子供も少ないらしいしね」
唯「私は食べ物の匂いがするよ!」バサバサッ
澪「唯、そっちはゴミ箱だ!」
律「本能に流されてんじゃねーか!」
唯「えへへー」
紬「でもお腹減ってきちゃったわね」
律「確かに」
澪「何か食べようか?」
唯「私はなんでもいいよー」
律「そういえば唯の食欲は体からきてるものなのか、魂からきてるものなのか……」
唯「私の心はいつだって空腹だよ?」
律「そういうことじゃなくて!」
紬「でも体の空腹だけ感じるんだったらお腹へったら体変えればいいわね」
澪「そうしたら太らない……!?」
律「いや、本体が餓死するだろ……」
澪「あ、そういえば唯の体……」
紬「わ、忘れてたわけじゃなくて、すぐに終わると思ってたから……」
唯「大丈夫でしょー」
律「うっわ、心配して損した」
律「チョコパン買ってきたぞー」
紬「ありがとー♪」
澪「ごめんな、一人で買いに行かせて」
唯「じゃんけんで負けたんだから仕方ないよー」
律「カラスだから買い物行けないってじゃんけんすらしなかったお前が言うな!」
唯「えへへー」
律「だいたいカラスだったらもっと野菜とか食ってろ」
唯「私だってパンが食べたいよー」
律「結局何もなかったなー」パクパク
澪「そうそう事件なんてないよね」モグモグ
紬「ごめんね、唯ちゃん」
唯「ううん、私は全然大丈夫だから」
澪「でも、こうやって何も事件ないのが一番幸せなんだろうな……」
律「おばあちゃんくさいぞ」
澪「ええっ!?」ガーン
唯「うん……今日久々にみんなでいろいろやって楽しかった」
唯「今日は最高に幸せで、楽しかったよ!」
唯「みんな、今日はありが──
──
─
唯「私、体あるよね?」サワサワ
唯「うん、やっぱり」
律「唯!」
唯「りっちゃんおはよー」
澪「良かった、もとに戻ってる……」
紬「心配したのよ」
律「澪なんて『唯が成仏しちゃったー!』ってうるさかったんだからなー」
澪「捏造するな!」ポカッ
律「……ってー」
紬「りっちゃんなんて泣きながら唯ちゃんの名前叫んで歩いてたのよ♪」
律「な、そ、そんなわけねーし!」
唯「あはは、みんな心配してくれてありがとうね」
紬「でも結局今回は何がきっかけで戻れたのかしら?」
唯「実は私、ちょっとだけ気づいてたんだ、私が幽体離脱幽したかった理由、体離脱できた理由、戻れた理由」
律「本当か!?」
紬「本当!?」キラキラ
唯「りっちゃんとムギちゃんの言葉の意味の違いもね……」
澪「で、どういうことだったんだ?」
唯「私が元に戻る条件、最高に楽しんだ時って言ったでしょ?」
紬「ええ」
唯「私、今まで大学生活が楽しくなかったんだと思う」
律「え? なんか唯だったらてきとーに楽しんでそうだったけど……」
唯「私ね、大学生ってもっとすごいものだと思ってたんだと思う」
唯「高校以上にいろいろ楽しいことがあって、高校以上に音楽もできて……」
唯「でも思った以上に忙しくて、楽しんでるヒマがなかった」
唯「結局みんな一緒だし、あずにゃんと憂と和ちゃんが近くにいないくらいで」
律「……」
唯「その気持ちが多分、幽体離脱を成功させたんだと思う」
紬「そうだったんだ……」
唯「でもね、気づいたんだ」
唯「私は幸せすぎて楽しいのに、楽しいと感じてないだけだったんだ、って」
唯「みんなと一緒に、こうして居られるだけでも十分楽しいんだ、って!」
澪「……」ジーン
唯「あ、そういえば言うのが途中だったね」
律澪紬「?」
唯「みんな、今日は……」グー
唯「……」
律「プププ……」
澪「……っ」プルプル
紬「あらあら♪」
唯「もー! 空気読んでよー!」
こうして私の不思議な体験と、ちょっと遅めの五月病は終わりました
それ以来、自分の意思で幽体離脱することも、勝手に幽体離脱しちゃうこともなくなりました
ちょっと惜しい気持ちです
でも、もう幽体離脱なんてしなくたって、私の体でだって楽しめるんだから平気です!
唯「じゃんけんひとり負け!?」
律「今度はお前が買ってこい、って神様のお告げだよー」
澪「私はなんでもいいよ」
紬「唯ちゃんはお金あげるから高いの買ってきてもいいわよ♪」
律「優しいお母さんか!」
紬「えへへ♪」
唯「……」
唯「いってきまーす!」
おわり
最終更新:2011年05月31日 01:36