にゃあ

キーンコーンカーン

純「ねえ梓。頼みがあるんだけど」

梓「何?」

純「あのさあ、猫をまた預かってほしいんだよね」

梓「ホントに!?」ガタン!

純「ほ、本当だけどどうしたの?」

梓「い、いや別に。嬉しいわけじゃないよ」

純「(わかりやす)」

憂「何の話してるのー?」

純「梓にまた猫を預かってほしいんだ」

憂「へー。あの猫ちゃんかあ。よかったね梓ちゃん」

梓「しょ、しょうがないから預かってあげるよ」

憂「(素直じゃないなあもう)」

純「あれ?嫌なら憂に預けるけど?」

梓「あ、その、預かりたいです//」

純「ふふ、ありがと」

梓「で、いつから?」

純「土日に家族で出かけるから、明日の朝からでいいかな?」

梓「うん。わかった」




放課後

梓「~♪♪」

唯「どうしたのあずにゃん?」

律「なんだかご機嫌だな」

梓「あ!すいません、何の話でしたっけ?」

澪「明日、土曜だけど練習しようって話だよ」

梓「あ……(土曜か)」

紬「どうしたの?」

梓「すいません、明日は予定があって」

律「えー。せっかくまじめに練習しようと思ったのに」

澪「急な話なんだからしょうがないだろ?梓、気にすることないからね?」


梓「すいません。ありがとうございます」

唯「あずにゃんの予定ってなんなの?」

梓「前にもあったんですけど、土日は友達の猫を預かることになったんです。
  両親は出かけるので私がつきっきりにならないと」

唯「ええー!いいなあ!」

律「さすが猫マスター梓だな」

梓「なんですかそれ」

唯「ねえ!明日練習しないであずにゃんちで猫と遊ぼうよ!」

律「おい」

澪「おい」

唯「えへへ、冗談です、はい」

澪「梓には悪いけど、明日は4人で練習だな」

唯「了解!」




翌日 朝 梓宅

純「じゃあ、この子よろしくね。明日の夜に引き取りに来ると思うから」

梓「うん。旅行楽しんできてね」

バタン

猫「スー…スー…」

梓「寝てる……ふふふ、可愛いなあ」

ナデナデ

猫「ふにゃあ……」

梓「あ、ごめん。起こしちゃった?」


猫「」グググ

梓「伸びしてる。可愛い」

猫「?」キョロキョロ?

梓「ここは私の家だよ」

猫「にゃ!」

タタッ!

梓「あ!どこ行くの!」

タタタ!

梓「見失った……」

猫「にゃ~」

梓「ああ!棚の上に!」

猫「にゃ」

梓「まだ小さいんだから!そんな高いところ上ったら危ないよ?」

猫「にゃあ……」ブルブル

梓「もしかして、降りられないの?」


梓「おろしてあげるからちょっと待ってね。何か踏み台を……」

猫「にゃ!」ピョン!

梓「あ、危ない!」


ご っ つ ん こ☆






猫「(うーん……)」

猫「(気を失ってたのか……あ、猫ちゃん大丈夫かな?)」

梓「……」

猫「(あれ?私が倒れてる……?)」

梓「……にゃ?」

梓「にゃあ」ペロペロ

猫「(どういうこと?私が目の前にいる……)」

梓「にゃー」

猫「(もしかして、幽体離脱!?いや、でもちゃんと体の感覚あるし……ん?)」

猫「(何この手!肉球があってまるで猫みたい……まさか)」

猫「(鏡見に行かなきゃ!)」




猫「(……嘘でしょ、私、猫になっちゃった)」


梓「にゃーにゃー」

猫「(私があーなってるってことは、心が入れ替わっちゃったってことか)」

猫「にゃ、にゃあ」

猫「(だめだ、言葉は話せない……)」

梓「にゃ」クシクシ

猫「(親もいないし、どうしよう…)」

猫「(そうだ!学校に行けば先輩たちが練習してるはず!)」

猫「にゃあ!にゃあ!(学校行くよ!)」

梓「にゃあ♪」

猫「(通じた、のかな?)」



道路

トコトコ

猫「(ドアの鍵閉められなかったけど、今はしょうがない、それにしても)」

梓「♪」トコトコ

猫「(ついてきてくれるのはいいんだけど、四足歩行で歩かれると目立つなあ)」


 通行人娘「ねーママー。あの人四つん這いで猫さん追いかけてるよー!」

 通行人母「シッ!見ちゃいけません!」


猫「(うう、人々の視線が辛い……)」

梓「?」

トコトコ



音楽室

ジャーン♪

澪「いい感じだったな」

唯「でもあずにゃんがいないと寂しいよー」

紬「お茶、淹れたわよ?」

律「よっしゃー!休憩だ!」

澪「やれやれ」

カリカリ……

唯「あれ?なんか変な音がする」

澪「ゆ、唯。そういうのやめようよ」

カリカリ……

律「本当だ。ドアから聞こえるな」

澪「ひぃ!」


律「とにかく開けてみようぜ」

澪「ま、待って!」

ガチャ

猫「にゃあ!(律先輩!)」

律「ありゃ、猫だ」

澪「……猫?」

唯「あー!この子あずにゃん2号だよ!あずにゃんが今日預かってるはずなんだけどなあ」

梓「にゃー」

唯「あ、あずにゃん!」


律「どうしたんだよ梓。四つん這いになって」

澪「しかもなんで私服なんだ?」

梓「にゃ~」スリスリ

唯「あ、あずにゃんかわいい//」ナデナデ

律「いきなり猫のまねなんて梓らしくないな」

猫「にゃー!にゃ、にゃあ!(違うんです!私が梓なんです!)」

紬「元気な猫ちゃんねえ」

唯「あずにゃんもあずにゃん2号も可愛いなあ」

梓「にゃ~♪」



澪「梓、唯に付き合ってやることないんだぞ?」

梓「にゃー」ピト

律「あ、澪の脚にくっついた」

梓「にゃあ♪」スリスリ

澪「あ、ちょ……//」

唯「澪ちゃんいいなー」

猫「にゃあ!(澪先輩に何してんだ!)」フシャー!

律「あれ、猫が怒ってるぞ」

唯「怒っちゃだめだよ2号~」ダキッ

唯「いい子いい子♪」ナデナデ

猫「ふにゃあ……」トローン

律「おさまった!」


猫「にゃ!(はっ!つい!)」

梓「ふわー……」ゴロン

梓「すー、すー……」

唯「寝ちゃった……」

紬「床で寝たら汚いわよ?」

律「梓は一体何しに来たんだよ」

猫「にゃあ!にゃあ!(梓は私ですって!)」

唯「おーよしよし」ギュー

澪「……」ジー

唯「澪ちゃんもだっこする?」


澪「う、うん//」

唯「はい、どうぞ」

澪「よ、よしよし」ギュ

猫「にゃあ……(澪先輩のだっこ//)」

澪「かわいいなー」ナデナデ

律「澪のやつすっかりメロメロだな」

澪「う、うるさい!」

猫「(唯先輩の抱っこもいいけど、澪先輩に抱っこされてるとなんか安心する……)」

猫「(なんだか眠くなって来ちゃった……)」

猫「……すー、すー」



澪「あ、寝ちゃった」

紬「澪ちゃんの胸が気持ちいいのね♪」

律「しかしなあ、なんで梓はずっと猫のまねしてるんだろう」

唯「きっとサービスだよ!」

律「なんじゃそりゃ」

澪「でも、床でまるまって寝たりとかもうマネの域を超えてるような」

律「は!もしや!」

唯「どうしたのりっちゃん!」

律「猫と一緒にいたせいで、梓の本能が目覚めて猫化しちゃったとか!」

澪「んな馬鹿な」

紬「でも、そうでもないと梓ちゃんの行動がわからないわ」

唯「きっとそうだよ!あずにゃんは猫化しちゃったんだよ!」


澪「まあ、仮にそうだとしても、どうすれば猫化が治るんだ?」

唯「うーん。とりあえずあずにゃんは猫と離したほうがいいかも」

律「じゃあ誰かが猫の世話しないとな」

澪「!」ウズウズ

紬「梓ちゃんはどうするの?」

律「確か梓の両親も土日は家にいないんだよな。じゃあ梓も誰かが引き取らないといけないわけだ」

唯「はいはい!私がもらう!」

律「もらうってお前……」

唯「ちゃんと自分で世話するからあ!」ウルウル

律「ペットをねだる小学生か!」


紬「でも、猫ちゃんはともかく梓ちゃんはどうやって連れてかえるの?」

律「確かに、一人で抱いて帰るのはきついよな」

唯「憂が買い物で近くに来てるはずだから呼んでみるよ」

カチャ プルルルル

唯「あ、もしもし憂?ちょっと頼みがあって学校に来てほしいんだけど」

カチャ

唯「すぐ来るって!」

律「さすが憂ちゃんだな」

梓「ふにゃあ……」

唯「あ、起きた」


梓「にゃー」ペロペロ

唯「あはは!くすぐったいよーあずにゃん」

律「すごい光景だな……」

紬「どんとこいです」

ガチャ!

憂「お姉ちゃん!どうしたの!?」

梓「にゃあー」ペロペロ

唯「くすぐったいってばーもうやめてよー//」

憂「……」


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最終更新:2010年01月15日 04:15