――3番道路

唯「トレーナー戦も結構なれてきたねー、ねぇリュー太~!」

唯が傍らのミニリュウに話しかけた

彼女らの後ろには勝負にまけたむしとり少年や短パン小僧の姿がある

唯「ふぅ……」

一息つくと、後ろから懐かしい少女の声がした

「唯センパーーーイ」

小さめな背、ツインテールにした黒の長い髪

その少女は――

唯「あずにゃん!!」

梓「ハァ……ハァ……やっと追いつきました」

唯「わぁい、あずにゃ~~~ん!!」

息をきらす少女に、唯は抱きついた

梓「ちょ、唯先輩やめてください///」

唯「ははは、この照れちゃって~、かわいいなぁあずにゃんは~。でも、どうしてここに?」

梓「あっ、はいそうでした」

そういって梓は自分のカバンから、箱をとりだした

梓「これ、唯先輩もっていってください」

唯「これは……ランニングシューズ!!」

梓「はい、本当はマサラを出たとき渡そうとおもってたんですけど……その……渡しそびれちゃって」

感極まった唯はもう一度梓に抱きつき

唯「あずにゃ~~~ん、チューー――」

梓「ちょ、えっ、やめてください!!」バシン

あたりに快音が響いた

唯「あずにゃんのいけずぅ~~」

そういった唯の頬は赤い

梓「と、とにかくがんばってくださいっ!!」

唯「でも、それだけのためにわざわざこんなところまでありがとうね!」

そう元気よく微笑んだ唯に梓は言葉を続けた

梓「実は……それだけってわけじゃないんです」


――おつきみやま

時刻はすでに日が沈もうとしている時間帯

洞窟の仄かな光の中、声がする

唯「へぇ~、じゃぁ、あずにゃんはピッピのその集会みたいなのをみたかったんだ」

そういった唯の靴は先ほど梓にもらった新品のランニングシューズにかわっていた

梓「はい、そうなんです。どうやら満月の晩しか見れないらしくて」

唯「わかるよー、ピッピかわいいもんね~」

うんうん、と頷いた唯はどこかうれしそうだ

梓「それにしても……奥に進むにつれどんどん暗くなってきましたねー」

唯「そだねー、あ、そうだ!」

そういって、一つのボールをとりだし

唯「でてきて、ヒー太!!」ボンッ

ヒトカゲ「カゲーっ!」

暗かった洞窟内にひときわ明るいところができる

梓「唯先輩!こんなところで急に明かりをつけたら……」

唯「えっ?」

――バサバサバサバサ

羽音が聞こえる

羽音が何十にも重なり、大きな音を演出する

音はだんだんと大きくなっていく


そこには

梓「っ、ほら!!ズバットの群れがぁああ」

唯「うわああああ、ヒー太戻って!あずにゃん逃げるよ」

ヒトカゲをモンスターボールに戻し

梓の手を引き、走り出そうとし

その時

――カチリッ

なにかのスイッチの入る音がする

唯「……えっ?」

唯のランニングシューズのスイッチがなにかの拍子に作動した

そして、そのまま普段の2倍以上のスピードで走り出す

梓「きゃあああああああ、唯先輩速いですーーーーー!!」

唯「いやあああああ、止まり方がわかんないよおおおお」

そして、二人は闇の中に消えてき

――ドシン

闇の中から大きな音が響いた

唯「あいたたた、えっと……どうやらどこかの穴に落ちちゃったみたいだね……」

唯が頭をさすりながら、周りを見渡した

唯「あずにゃん、大丈夫?」

唯の上にかぶさっている梓に話しかける

梓「いっつ、なんとか……大丈夫みたいです」

起き上がりながら、梓も唯に返事をした

唯「…………」

梓「唯先輩?」

沈黙し、どこかを見続ける唯に梓は呼びかけた

唯「あずにゃん……あれ!あれ!」

唯が指差したほうを見てみると、そこには

梓「ピッピ……!!」

なにの石を持ちながら、奥のほうへ歩いていくピッピの列があった

唯「かわいいね~~、よーし、ちょっとついていってみよう」

静かにそういうと、いわばに隠れつつ、ゆっくりとピッピの後をつけていく

そして、少し拓けた場所にでた。

天井には大きな穴があり月の光りが洞窟内を照らしている

梓「これがピッピ達の儀式……」

月の光りの当たる中央に大きな岩を置き、それを囲むように踊るピッピたちがいた。

唯「きれい……」

梓「すごいです……」

二人が息を呑んだ

――カツカツカツ

神聖な場所に足音が響く

唯「なに……?」

梓「どうやら向こう側にも誰かきたようですね」

ヒソヒソと話していると、声が聞こえた

どうやら儀式場をはさんだ向こう側にいるものが発した声らしい

???「なんだってんだ……以前にここでミュウの目撃があったっていうからわざわざ足を運んでやったというのに、クソッ!ピッピしかいねぇじゃねぇか!!」

妙にイライラしている男の声。

――カツカツカツ

今度は離れていく足音がその場に残った。

唯「なんだったんだろう……」

梓「さぁ……?なにか探していたみたいですけど……」

「あっ、見てください!!唯先輩」

梓がなにかに気付き、ピッピたちを指差した

唯「あれは……」

そこにはピッピたちが光りに包まれていく光景があった

唯はその光りを見て思い出す。先日見た光りだ

唯「あれは……進化だよ!あずにゃん」

そう言い、見とれていると

ピッピたちが姿を変えた。

唯は図鑑を出す


No.36 ピクシー
ようせいの なかまで 
めったに ひとまえに でてこない。
けはいを かんじて すぐ にげてしまうようだ。


唯「あちゃー、私達がここにいるのばれちゃったかも知れないね」

次々とピッピから進化したピクシーは背中の翼に月の光りを集め、

キラキラと光りの粉を振りまきながら、天井へ浮かんで逃げていく

梓「とっても、すごかったです!!」

ピクシーたちが姿を消した後も梓と唯はまだその場に座り込んでいた

唯「本当に綺麗だったね。あずにゃん」

二人で感想を言い合い、立ち上がろうとしたとき

気付いた

梓「あれっ……まだ一匹のこっている……」

唯「ほんとだ。今まで中央の岩の陰に隠れて見えなかったから気付かなかったけど……どうしたんだろう」

そこには、石を持ったままのピッピの姿があった

梓「進化……できなかったんでしょうか……」

そう言った時、ピッピの体に異変がおきた

――ぐにゃり

唯「なにあれ……進化……じゃないよね?」

そのまま隠れて見続けていると、ピッピの姿が変化した

進化ではなく

それは

梓「変身……していた!?」

唯「でも、変身できるポケモンなんてメタモンしかしらないよ!あのポケモンはメタモンとはぜんぜん形もちがうし」

慌てて、図鑑を出し情報をみようとするが

唯「でない……!情報が……のってない!?」

???「ミュウウウウウ」

オロオロしているうちに、謎のポケモンは一度鳴き、天井の穴へと飛んでいってしまった


――4番道路

おつきみやまを出た時には、すでに満月は一番高いところへと登っていた

梓「ありがとうございました。唯先輩」

ツインテールを揺らしながらペコリと頭が下げられた

唯「へっ、わたしは何もしてないよ?」

梓「いえっ!唯先輩がいなければあの儀式上にたどりつくこともできませんでしたし、それに一人でおつきみやまに行こうなんて勇気もなかったんです。」

「だから、ありがとうございました」

唯「いやぁ、そういわれると照れますなぁ」

自分の後頭部をさすりながら、にやけながら言う

梓「それにしても……さっきのポケモンはなんだったんでしょうか」

唯「うーん、わかんないなぁ……」

頭をひねり、唯が答える

そして、でも、と繋げると

唯「つきの石が手に入ったのはラッキーだったかも♪」

唯の手には、謎のポケモンが持っていた石が握られていた

梓「もう、唯先輩ったら」




「VSピッピ」〆




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最終更新:2011年06月12日 01:21