控え室
律「しゃー! うぉー! らー! 亜qwせdrftgyふじこlp!!」
梓「こ、興奮冷めやらぬって感じですね」
澪「無理ない」
紬「私もまだ鳥肌立ってるわ」
唯「えへへ、凄かったね私達」
梓「はい!」
さわ子「百点……いいえ、点数なんかおこがましいわね」
和「言葉では言えないものがあったわ」
憂「お姉ちゃん、お疲れ様」
唯「まだだよ」
憂「え?」
唯「最後にまだ、一つだけあるんだ」
…
澪「皆、帰ったか?」
紬「まだみたいだけど……とりあえず外には出てもらったわ」
律「うっし! 最後の仕事といきますか! 梓、来い!」
梓「え、え、なんですか?」
唯「良いから良いから、おいで」
ステージ
律「梓、客席に行け」
梓「は、はい」
澪「コホン……では」
紬「これから、桜高軽音部の部長引継ぎ式を行います」
梓「引継ぎって……」
律「ま、とにかく聞いてくれ」
澪「私達の自慢の後輩」
紬「梓ちゃんの為だけに作った曲よ」
梓「え……」
唯「その名も『放課後ティータイム』!」
梓「!」
律「これがお前にしてやれる、最後のプレゼントだ」
澪「しっかり聴けよ」
紬「それじゃ」
律「1,2,3,4!」
唯「『放課後ティータイム』! たった一回のライブだよ!!」
♪♪♪
さわ子「始まったわね」
憂「知ってたんですか?」
さわ子「まぁ、予想の範囲内ってくらいかしら」
和「でも、一番のプレゼントだと思います」
さわ子「そうね……後は梓ちゃんがどう受け取るかだけ」
憂「大丈夫ですよ! なんたって梓ちゃんはお姉ちゃんの後輩なんですから!」フンス
さわ子「な、なんか唯ちゃんに似てきたわね……」
♪♪♪
♪♪♪
唯(あずにゃん……いつかまた一緒に演奏しようね)
♪♪♪
律(生意気で生意気の生意気な後輩だったけど、お前なら全部託せる)
♪♪♪
澪(先輩らしい事、あんまりしてやれなくてごめんな)
♪♪♪
紬(梓ちゃん、次はあなたが……)
♪♪♪
梓「……」
…
唯「……これで」
律「放課後ティータイムは、本当に解散だ」
澪「この曲は梓にあげる」
紬「大事にしてね」
梓「……」
唯「あずにゃん?」
梓「わかりました」
梓「先輩達の気持ち、確かに受け取りました」
梓「いつの日か……私は私のバンドで、放課後ティータイムを越えてみせます」
律「うん」
澪「さすがだな」
紬「それで良いのよ」
唯「あずにゃん!」
唯「忘れないでね……『放課後ティータイム』の事」
梓「忘れませんよ」
梓「忘れないけど……もう頼りません甘えません」
梓「だから……やっと言えます」
梓「唯先輩、律先輩、澪先輩、ムギ先輩! 卒業、おめでとうございます!」
梓「はい!」
さわ子「いつでも遊びに来なさい」
律「帰るぞー!」
澪「案外涙出ないもんだな」
紬「悔いが無いもの」
和「本当に皆、お疲れ様」
憂「うんうん!」
唯(こうして私達はそれぞれの形で『放課後ティータイム』を卒業したのでした)
律「一人でナレーションするなって」
…
律「そんじゃ、次はクラス会か」
澪「明後日とかすぐだな」
紬「まぁまぁ、部活とクラスは別物よ」
律「だな、じゃあ唯と和、明後日にな!」
唯「ばいばーい!」
和「ええ、また」
憂「……お姉ちゃん、私も先に帰るね」
唯「ふえ?」
憂「ご馳走作るから!」ダダダ
和(ほんと、よく出来た妹だわ)
和「……」
唯「……」
和「……憂ちゃん行ったわよ」
唯「うん」
和「……ずっと、気を張ってたんでしょ?」
唯「うん」
和「梓ちゃんや律達の前で弱音吐かないように、耐えてたんでしょ?」
唯「うん」
和「もう……いいよ」
唯「ふぇ、ふえぇ……うえぇぇ~ん!」
唯「そ、卒業したくないよ!」
和「うん」
唯「皆と離れるの……寂しいよ!」
和「うん」
唯「う、憂も……憂も、誰もいないんだよ!?」
和「うん」
唯「知らない人ばっかりで……皆がいないと、私……」
和「唯」
唯「うぅ……」
和「愚痴でも弱音でも、なんでも言いなさい」
唯「ごめん……ごめんね、和ちゃん……」
和「何言ってるのよ」
和「私がどれだけ唯の笑顔に救われたか……」
和「せめてもの、恩返しよ」
唯「うわぁぁ~ん!!」
平沢家
唯「ただいま」
憂「おかえり」
憂(やっぱり目が真っ赤……)
唯「憂、あのね?」
憂「?」
唯「憂が妹で良かった、憂のお姉ちゃんで良かった」
憂「……」
唯「それだけ……多分、今しか本気で言えないから」
憂「私も……お姉ちゃんの妹で良かった、お姉ちゃんが姉で良かった」
唯「えっへへ」
憂「ふふふ」
憂「ご飯……食べる?」
唯「おー!」
夜! 唯の部屋!
唯(無事卒業出来たし)
唯(最後のライブもやった)
唯(あずにゃんにバトンも渡したし……和ちゃんに甘えて、憂にお礼も言った)
唯(もうやる事は……)
唯(……)
唯「いけないいけない! 大事な事を忘れてた!」
ガチャガチャ
唯「ギー太、三年間ありがとう」
唯「これからもよろしくね、私のギー太」
チュ
二週間後
唯「では、行ってまいります!」
律「おう! ビッグになってこい!」
澪「迷子になるなよ」
紬「体には気をつけてね」
梓「自慢の先輩になってきて下さい!」
和「友達より母の心境だわ」
憂「お姉ちゃん……私、頑張るよ」
唯「あずにゃん、憂をよろしくね!」
梓「はい!」
唯「時間だ……じゃ、アディオス!」
…
律「行っちまったな」
澪「最後まで元気な奴だった」
紬「唯ちゃんらしくて良いと思うわ」
梓「ほんとですね」
ピリリリリ
和「着信?」
憂「あ、私です」
唯『うーいー! 新しいお家の住所忘れたー!』
憂「……財布にメモ入れといたよ」
律「ダメだこりゃ……」
そして、新学期
律「澪~! 待ってくれー!」
澪「早くしろよ! あの教授、遅刻に厳しいんだからな!」
律「なぜ大学とはこれほど遠く、一時間目が早いのだろう」ブツブツ
澪「文句言ってないで走れ!」
律「はいよ!」
澪「ったく、大学生になっても変わらない奴だな」
律「なんだと! 成長したりっちゃんを見せてやるぜ!」ダダダ
澪「足の速さの話じゃない」
…
教授「で、相対性理論が~」ペラペラ
女生徒「ねぇねぇムギちゃん、意味解る?」
紬「さっぱり」
女生徒「抜け出して遊びに行かない?」
紬「良いかも」
女生徒「あら、乗ってくるって意外。ムギちゃんて真面目だから」
紬「ふふふ、何事も経験って、高校の友達に教わったの」
教授「そこ! 私語は慎みなさい!」
紬「あらあらまぁまぁ」
…
和「あら憂ちゃん」
憂「あ、和さん。帰りですか?」
和「逆。今からバイトよ」
憂「大変ですね」
和「大学院に行くのは良いけど、学費は自分で半分出せ……って」
和「だから今から貯めとかないとね」
憂「頑張って下さい!」
和「うん。ところで唯は元気なの?」
憂「最近は電話やメールも減りました」
和「そう、当初は憂ちゃんに泣き言言ってばかりだったものね」
憂「あはは」
憂「私、料理の専門学校に行こうかなと思うんです。お姉ちゃんとは違う、私だけの夢」
和「憂ちゃんなら出来るわ、きっと」
憂「はい!」フンス
…
梓「さぁ、練習だよ!」
後輩1「はい!」
後輩2「その後はティータイムですね!?」
梓「それは曲が完璧になってから!」
後輩2「がーん!」
さわ子「すっかり鬼部長ね……」
梓「先生もしっかり指導して下さい! また衣装ばっかり増やして!」
さわ子「はーい」
梓「さぁ、いくよ! 目指すは史上最高の軽音部!」
後輩1,2「はい! 梓部長!」
…
学生1「だるー」
学生2「めんどくせー」
学生3「練習したくねー」
学生4「……」
学生1「どうしたん?」
学生4「俺、ちょっと練習するわ」
学生2「マジで!? なんで!?」
学生4「あんな楽しそうなの見てたらさ……グダグダ言ってる方が面倒になった」
♪♪♪
唯「けいおん、大好きー!!」
♪♪♪
おしまい!
最終更新:2010年01月17日 00:14