律「そしたらカロンのじいちゃんが出てきてさ!」
澪「あの世の法律に触れるけど……」
紬「私たちをお舟に乗せて……!」
梓「学校まで送ってくれたんです!」
澪「凄いスピードでな……おえっ」
律「来る途中速度超過で捕まって
免停じゃあああ!って叫んでたな」
律「そうだ!それよりこれ!!!」
澪「そうそう!」
唯「……楽器……?」
紬「私たちが堕とあれた魔界の最深部に
置いてあったの!!!」
梓「なんででしょうね?でもむったんが見つかって良かった!」
律「そしてほら!!!」
唯「……ぎ、ギー太…!?」
澪「あまりに学校の中が変わってたもんで迷ってな」
律「偶然入った教室が私達の教室で、和の机に立て掛けて
あったんだ!!」
唯「そっか……よかった…(でも…なんで……?)」
梓「大丈夫ですか!?唯先輩!!っしょっと!!」
唯「へへへ……やられちゃった……いたっ!」
―――まとめて殺されにきたか―――
―――物好きな奴らだ―――
唯(でも…なんで和ちゃんの席に…?)
唯(和ちゃん……ギー太……)
……あなた達の演奏が聴けなくなるのは少し残念ね……
唯(!!!!)
唯「歌だ……」
梓「唯……先輩?」
唯「みんな、歌だよ!歌を歌おう!!」
律「お前…頭を……」
唯「和ちゃんはきっと、私達の歌が聴きたかったはず!」
唯「君が…そばに…いるだ~けで…」
澪「!!みんな…楽器だ!!早く!!!」
唯「いつも…勇気…もら~ってた~」
―――気でも触れたか……ぐ!?---
……いつまででも……一緒にいたい……
………この気持ちを伝えたいよ!……
―――体が……動かん!?―――
律「なんか…苦しんでる!?」
澪「今がチャンスだ!!」
その時だった
気絶していたはずの憂が
音もなく唯達の前に出た…
唯「う……い!?」
憂「お姉ちゃん……ゴメン……」
憂「私…思い出したの……」
唯「え?」
憂「みんな…一回死んだとき…」
憂「私だけ…生き返らなかった」
澪「何だって!?」
梓「だから……憂のガーディアンは……」
―――そう、私の僕だった者だ―――
ド……ク……ン
唯「!!!!」
―――ご苦労だった、人間よ―――
―――休息を許そう――――――
律「へ……」
澪「うわわわわわわ!」
憂の体から何かが抜け出てくる……
六枚の羽根を持った堕天使の王
―――我はルシファーなり―――
その瞬間憂の体は糸が切れた操り人形のように
その場に崩れた
―――感謝しよう…人間の子よ…―――
―――サタンと私はもともと表裏一体―――
―――サタンは私の中の悪で―――
―――私はサタンの中の善なのだ―――
―――私がサタンを下し取り込めば―――
―――秩序を保つ善なる神となり―――
―――もしその逆ならば―――
―――サタンは世を混沌に陥れる神となろう―――
唯「……ふざけるなあああああああ!!!」
澪「唯!?」
唯「神様だったら憂を助けて!!憂を返してえええええ!!」
唯「憂がいなきゃ……私何も……」
―――ぐっ…唯―――
ガバっ!!
―――サタン!!貴様……何を!!―――
身動きを封じられたサタン
……のはずが
その場にいた全員が目を疑った
サタンがルシファーを羽交い絞めにしているのだ
―――唯!…みんな!!―――
―――あそこにある剣を!!―――
―――サタンがルシファーにとどめを刺すはずだった物よ!!―――
―――あれで…ルシファーの心臓を!!―――
澪「それじゃ和も……」
唯「やだ!!!一緒に帰るんだよ!!和ちゃんも!!」
―――それじゃ何も変わらないわよ……唯―――
唯「和……ちゃん」
―――時に人は道を選ばなければいけないことがある―――
―――例えそれが正解でも……間違いでも…―――
―――道は続いてく…それが人間よ―――
―――唯、前を向いて!!!―――
―――私はもうこの姿じゃどのみち元の世界には帰れない―――
唯「う…う……和ちゃあああん」
―――さあ!早く!私が私でいれるうちに!!―――
唯「ぐすっ……わかった…」
唯「和ちゃん……じゃあ約束して?」
―――なに?―――
唯「生まれ変わっても……」
唯「何回生まれ変わってもずっとずーっと幼馴染でいよ~ね!」
―――……約束する―――
―――私はあなたが心配だから―――
―――来世でもきっと探しに行くわ―――
唯「うん!!……ありがとお!」
唯「みんな……」
律「ああ!」
澪「うん!」
紬「ええ!」
梓「はい!」
唯「和ちゃん!!!」
全員「ま た ね !!!」
唯「うわああああああああああああああ」
―――
――――
―――――
短いようで長い戦いを終えた唯達は
憂の遺体を囲むように座っていた…
唯「憂……終わったよ?」
唯「元の世界に……帰ろ?」
唯「お腹空いたよ憂!憂のハンバーグが食べたいよ!」
唯「お願いだから……目覚ましてっっっ」
律「ゆ……!」
澪「…………」
澪は無言で律に首を横に振る
唯「キミの~胸に~届く~かな~」
唯「今は~自信~ないけ~れど~」
律たちは胸がはち切れそうだった
唯の歌声は
今までで一番
透き通った
今までに聴いたことのない
悲しい…天使のような歌声だった……
笑わないで
どうか聴いて
思いを歌に込めたから
ありったけの「ありがとう」
歌に乗せて届けたい
この気持ちはずっとずっと忘れないよ
―――思いよ 届け!―――
ピク……
全員「!!!!!」
ピク……ピク……
澪「嘘……!」
梓「こんなことって!!」
憂「う………」
(いっつもいっつも私が言ってもらってばかりだから)
(今度は私の番なんだ)
憂「ん……お姉…ちゃん??私……?」
唯「うーーいっ!!」
唯「お か え り !」
…………
……………
あれから学校は元に戻った
何事もなかったかのように
ただ…和ちゃんの存在は
私達以外の人達から消えていた
最初から…存在していなかったように
でも……私達は、忘れない…
和ちゃんと…過ごした日々を
和ちゃんの…ぬくもりを
和ちゃんの…最後の優しさを
………
…………
カロン「なーんじゃ、またお前さんは人間界ばっかり覗いて……」
カロン「その池から人間界を覗くのは構わんが」
カロン「落ちても拾いに行ってやらんからな!!」
カロン「………あの娘じゃな?」
ヒーホー君「…………」
カロン「まさか人間なんぞに興味が湧いたんじゃなかろうな?」
ヒーホー君「ち・違うホー!!」
ヒーホー君「僕はもう立派な一人前の悪魔だホー!!」
カロン「じゃ、鬼ごっこするか!」
ヒーホー君「するホー!するホー!!わーい!!……あっ」
カロン「ほれ、まだ子供じゃないか」
ヒーホー君「………」
カロン「するのかしないのかどっちじゃ?」
ヒーホー君「するホー…でもじいちゃん仕事…」
カロン「わし免停中だから暇なんじゃよ……」
カロン「ほれ!行くぞ!!1・2・3・4」
ヒーホー君「あー!!ずるいホー!!」
ヒーホー君(唯ちゃん……さようなら……)
カロン「お前さん…泣い……」
ポチャっ!
カロン「あーーー!!人間界に涙落としたな!!」
カロン「今日の会議で天気は晴れって言ってたのに!」
カロン「わし知ーらない!!知ーーーらない!!」
ヒーホー君「ヒーホー!ヒーーーーホーーーー!!!」
………
…………・
唯「あわわ……憂マフラーどこだっけ!?ん~……あった!」」
憂「お姉ちゃんそれストッキング!もう、落ち着いて!」
唯「憂、行こっ!」
憂「お姉ちゃんそんな走ったら転b」
唯「うわぁ~いっぱい降ってるよ憂~!」
唯(雪…か……)
唯(和ちゃん……私ね……?)
唯(入学式の時、この道を走ったんだ
何かしなきゃって思いながら
何をすればいいんだろう?って思いながら。
このまま、大人になっちゃうのかなって思いながら。)
唯(ねぇ……和ちゃん……
心配しなくていいよ。
もう…迷わないで歩ける
例えその選択が間違っていたとしても
私に勇気を与えてくれる
信じる力を与えてくれる
大切な場所があるから!!
大切な、大切な、大切な場所が…!)
……ホー
ヒー……ホー………
唯「え?」
憂「え?どうしたの?お姉ちゃん?」
唯「……ううん、なんでもないよ~ほいっ」 ファサッ
憂「お姉ちゃん……?マフラー……」
唯「えへへ、あったかあったかだよ憂♪」
唯(………ありがとうね………)
平穏な日常… 平穏な毎日… 青春という名の時間は
無常にも流れていく…。
もしも…そんな平和な時間が壊されたとしたら…?
もしも…あなたの通っている学校が
別の世界に投げ込まれたとしたら…?
これは学校が突然魔界に迷い込み
現実の世界に戻るために戦った、とある少女達の物語…。
唯「けいおん転生!」憂「もしも?」 完
最終更新:2011年06月26日 02:31