──通学路(下校中) 放課後 雨

>梓に誘われたので一緒に帰ることにした
 梓と一緒に帰るのは久しぶりだ

梓「もう長いこと部活してませんね」

唯「そだねー。家で練習してるけど、みんなと合わせないと気分がのらないよ」

梓「唯先輩は家でだらけきってるのかと思いました」

唯「あずにゃん最近私冷たーい」

梓「そうですか?」

唯「そーだよー」スリスリ

梓「ゆ、唯先輩!?」

唯「あずにゃん分補給ちゅー」スリスリ

梓「だめです!」バッ

唯「はうっ!?」

梓「油断も隙もありません…」

唯「けんちんぼー」

梓「…唯先輩は相変らず能天気ですよね」

唯「えー?」

梓「連続殺人事件のことで世間は大騒ぎですよ」


梓「唯先輩は関心ないんですか?」

唯「あるよー。怖いと思うし、犯人が早く捕まって安心して学校行きたいもん」

梓「……」

唯「それにあずにゃんやけいおん部のみんなが狙われちゃうかもでしょ?怖いよ」

梓「…自分の心配だけでいいんです」

唯「え?」

梓「なんでもありません」

梓「唯先輩」

唯「なーに?」

梓「もし私が連続殺人事件の犯人だったら、どうしますか?」

唯「冗談でもそういうことは考えたくないな…」

梓「現実は冷酷なものなのです」

唯「……」

梓「どうします?」

唯「メッ…かな…?」

梓「どういう意味ですか?」

唯「いけないことなんだぞって怒るよ」

梓「……」

唯「殺人は絶対によくないことだけど、きっとなにか理由があると思うの」

唯「理由を聞いて、受け止めて、それから怒るかな~」

梓「甘い考えだと思います」

唯「あはは、私あんまり頭よくないからね」

梓「でも唯先輩らしいですね」

唯「んー、それ褒めてるのかなあ?」

梓「呆れてるんです」

唯「ええ!?」

梓「だけど安心しました」

唯「今日のあずにゃんなんだか難しーよー?」

梓「気にしないでください」

唯「ぶ~」

>梓と一緒に下校した…


──平沢家 深夜 霧

雨は止み、辺りに霧が立ち込めている…

唯「わっ…すごい霧だね…」

憂「ここまで濃い霧は初めてかも」

唯「なんだかテレビの中みたい」

憂「そうだね…」

>早めに休むことにした


──通学路(登校中) 朝 霧

唯「霧晴れてないね…」

憂「この時間帯ならいつも晴れてるはずなのに」

唯「眼鏡かけたら見えるようになるかなー?」

憂「どうだろう」

唯「ジュワッ!」

>眼鏡をかけてみた

唯「むむ!?かけたほうがはっきりと見えるよ!」

憂「うそ!?」

唯「憂も眼鏡かけてみなよ~」

憂「……ほんとだ」

唯「どういうことなのかなあ?」

憂「テレビの中の霧が、現実に流れ出てるのかもしれない」

唯「ええ!?」


──学校(教室) 午前 霧

>今朝の憂との会話をみんなに話した…

律「……」

澪「どうしてテレビの中の霧が現実に?」

紬「テレビの中で何か起こってるのかもしれない」

唯「これは調査する必要があるね!」

律「その前にちょっといいか?」

澪「どうしたんだ律?」

律「これを見てほしいんだ」ドサッ

>ボロボロになったリュックだ
 何処かで見た気がする…

澪「このリュックがどうしたんだよ?」

唯「あ!このリュックってもしかして!」

律「そう、こないだのリュックだよ」

紬「…間違いないわ。ここに私の名前が書いてあるもの」

澪「でもリュックは影から逃げるのに使ったはずだろ。どうして律が持ってるんだ?」

律「朝起きたらテレビの映りが悪くてさ、お父さんがアンテナを調べてみたらこれがひっかかってたんだ」

紬「それってまるで……」

律「連続殺人事件の被害者と同じような見つかり方だろ?」

澪「やっぱりテレビの世界が関係してるのか…」

律「間違いないと思う。被害者たちはテレビの中に入れられたんだ」

紬「そこで影に殺されて、テレビの中から出てくるのね」

律「犯人はテレビの世界を凶器として殺人を行ってる」

紬「警察が捕まえられないわけね…」

唯「実はさわちゃんから聞いたんだけど……」

>今までさわ子先生に聞いた話をみんなにした…

澪「学校の中に犯人がいるかもしれないだって!?」

紬「でもそう考えるのが一番自然よね」

律「つまりこの学校にあるテレビから、中に入れたってことだよな」

澪「学校の中の誰かが犯人なのか」

紬「そうなるわ…」

澪「そうなるわって…そんなこと信じられないよ!」

律「私だって信じたくないさ。だけど、少しでも可能性があるならちゃんと検証しよう」

澪「……律」

律「きつい結末かもしれないけど、目を逸らしちゃいけないと思うんだ」

澪「…そうだな。みんなでよく考えてみよう」

>放課後、憂も呼んで部室で話し合うことにした
  本当にこの学校の中に犯人がいるのだろうか…


──学校(部室) 放課後 霧

律「まずはこの学校の何処にテレビがあるのか確認しようぜ」

唯「そうだね」

紬「音楽室と視聴覚室、それと化学室に一台づつあったわ。どれも人が入るには十分な大きさよ」

唯「んーと、それから生徒会室と職員室だね」

憂「職員室のテレビは人が入るには小さすぎると思います」

澪「憂ちゃんの言う通りだ。あの大きさじゃ小さな子供でもないと入れない」

唯「生徒会室は人が入れそうな大きさだったけど、壊れて点かなかったよ?」

律「となると、生徒会室と職員室は除外かな」

紬「音楽室、視聴覚室、化学室の中のどれかってことね」

憂「生徒会長さんが行方不明なったのは放課後なんだよね、お姉ちゃん」

唯「うん。さわちゃんはそう刑事さんに聞いたって」

憂「3つの部屋は授業中以外は鍵がかかって入れません。それは放課後も例外じゃないはずです」

BGM:Speculation
    (http://www.youtube.com/watch?v=btok3ht7v5Q


律「鍵は職員室で保管してるんだっけ?」

憂「はい」

律「生徒には犯行が難しいな…」

唯「分かった!生徒会室なら鍵かかってないよ!」

紬「たしか生徒会室も鍵がかかってたと思うわ」

澪「それに生徒会室のテレビは壊れててつかないんだろ?」

唯「…そうでした」

紬「実はね、生徒でも鍵を持ち出しできるの」

律「そうなのか?」

紬「ええ。私一度音楽室に忘れ物をしちゃったことがあって、鍵を借りて取りに行ったことがあるから」

澪「なら生徒にも犯行は可能だったってことになるぞ」

紬「そうとも言い切れないわ」

唯「どーゆーこと?」

紬「鍵を借りる際に、氏名、学年、クラス、鍵を借りる理由を事細かに記録帖に書かされるの」

澪「それなら被害者が行方不明になった日の放課後に、鍵を持ち出した人が犯人なんじゃないか!?」

紬「そう思ってお昼休みに調べてみたわ。その日に授業以外で3部屋の鍵が持ち出された記録はなかった…」

憂「犯人は教員の誰かなんでしょうか」

律「今のところのその可能性が高い」

澪「…そんな」

律「あー!頭ん中ごちゃごちゃしてきたー!」

紬「…一息いれない?ケーキはないけど、買い置きのクッキーがあるから」

律「そーするか」

憂「ムギさん、私お手伝いします」

紬「ありがとう」

唯「……」

澪「唯?どうかしたのか?」

唯「あ、うん…。ちょっと気になることがあって」

澪「気になること?」

唯「なーにかひっかかるんだ。でもそれがなんなのか分からないの…」

唯「気分転換に外の空気吸ってくるよ」

澪「分かった。早めに戻ってきてね」

唯「りょーかーい」

>部室のドアを開けると目の前に梓が立っていた
  …いつからドアの前にいたのだろう

唯「あ、あずにゃん…」

梓「こんにちはです唯先輩」

律「梓だって?」

梓「どもです」

唯「どうしたのあずにゃん。今日部活はないんだよ?」

梓「憂が部室のほうへ行くのを見かけたので、気になって後を追いかけてきました」

律「……」

唯「そだ、よかったらこれから一緒にお茶どーかな?」

梓「…なんの集まりなんですか?部活動は禁止されていましたよね」

律「たまにはみんなで集まって話すのもいいんじゃないかって思ってな。梓も今呼びに行こうとしてたんだ」

梓「せっかくですが、お断りさせていただきます。これから用事がありますので」

律「そっか…」

梓「失礼します」

唯「あ、あずにゃん!」

>梓は帰ってしまった…

澪「…梓はなんだって?」

律「用事があるから帰るとさ」

紬「そう…」

憂「梓ちゃん、ドアの前で私たちの話を聞いていたんでしょうか」

唯「……」


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最終更新:2011年06月27日 00:49