──テレビの中(黄泉比良坂)

>以前テレビの中にきたときとは違う空間が広がっている
  床には紅いタイルが敷き詰められている。あたりはとても静かだ

>いつか見た夢の場所と同じだ…

憂「不思議なところですね…」

律「最終ダンジョンにしてはやけに地味だな」

紬「澪ちゃん、梓ちゃんはどこに?」

澪「あの坂の上から梓の気配を感じる」

唯「……っ」

>目の前には長く続く坂道がのびていた
  この上に梓がいる…

唯「あずにゃんきたよ!」

?「ようこそ。私は君たちを歓迎するよ」

>梓の隣に見知らぬ人物が佇んでいる…

律「…誰だ?」

?「私はイザナミ。この世界の創造主」

澪「創造主だって?どういうことだ…」

イザナミ
 「言葉通りだよ。私はこの世界の神とも言える存在」

梓「……」

律「おまえなんてお呼びじゃない。私たちはそこの梓に用があってきたんだ」

イザナミ
 「くく、まだ気付かないのかい?」

紬「……なにが言いたいの」

イザナミ
 「梓を現実世界にやり、力を与えるよう仕向けたのは全て私の指示だということさ」

憂「どうしてそんなことを!?」

イザナミ
 「人間の望みを知るために、そして叶えるために」

イザナミ
 「アメノサギリとて私の身体から生まれたもの」

律「つまりはあんたが本当の黒幕ってことだな」

イザナミ
 「そうさ。抑圧された人間の心を解放するため、霧で世界を覆い尽くしたが…」

イザナミ
 「君たちはアメノサギリを退けた。人間の可能性を示したのだ」

イザナミ
 「仕舞いには私の元までたどり着くという予想外の働きを見せた。全くもって素晴らしい」

紬「なら梓ちゃんを返して!」

イザナミ
 「残念ながらそれはできない。アズサは私の身体の一部だからね」

唯「そんな…」

イザナミ
 「アズサはいい仕事をしてくれた。しかし君に力を与えたのは予想外だったが…」

唯「…?」

イザナミ
 「私が指示したのは二人の人間だけだったはずだ。どうして彼女に、唯に力を与えた?」

梓「…申し訳ありません」

イザナミ
 「人間のいる環境に長く置きすぎたか…。まあいい、私の中に還るがいい」

>梓がイザナミの中へ消えてゆく…

梓「……せんぱ」

唯「あずにゃん!!」

イザナミ
 「さて、君たちはこれからどうする?」

律「決まってるさ!梓を取り返す!」

イザナミ
 「無理だと言ったろう。アズサは私の一部なのだ。万が一私を倒したとしてもアズサは戻らない」

イザナミ
 「私が死ねばアズサも死ぬ」

澪「なんだって!?」

イザナミ
 「さあどうする?それでも私に挑むというのか。神であるこの私に」

唯「決まってるよ…」

憂「お姉ちゃん?」

唯「あなたがいたら、町はまた霧の海に沈むかもしれない」

イザナミ
 「そうしないという保障はできないね」

唯「ならここであなたを倒す!」

澪「か、神だかなんだか知らないけど、これ以上好きにはさせない!」

律「おう!澪の言う通りだぜ!」

唯「それに、あずにゃんは私に言ったんだ……」

唯「真実を探し出してって…助けてって…」

紬「なら迷う必要はないわ!」

唯「うん!あなたを倒して町を!あずにゃんを救う!」

唯「あずにゃん、今助けるから!!」

イザナミ
 「それが君たちの答えというわけか……」

イザナミ
 「いいだろう、今までの働きに敬意を評して全力で叩き潰してあげよう」

イザナミ
 「神の力、死もって思い知れ!!」カッ




澪「なんて力だ…計り知れない…」

律「でも諦めない、だろ?」

澪「と、当然だ!今言おうとしてたんだ!」

伊邪那美大神
 「くるがいい。今一度、人間の可能性の力を見せてみろ」

憂「何度だって見せてあげます!」

紬「私たちは絶対に諦めないんだからー!」

>コノハナサクヤとタケミカヅチの魔法が伊邪那美大神を襲う!

伊邪那美大神
 「…今のが全力だとでも言うのか?」

澪「全くきいてない!」

律「なら直接ぶっ叩く!相棒!」

唯「りょーかーい!」

律「くらえっ!」

唯「せーいっ!」

>ジライヤとイザナギの攻撃!

律「ぐっ!堅い!」

澪「直接攻撃もきかないなんて…」

唯「もーいっちょー!」

>イザナギの攻撃!
  しかし、伊邪那美大神にダメージを与えられない!

伊邪那美大神
 「……この程度か。弱い、弱すぎるぞ人間!」

>伊邪那美大神のなぎ払い!

紬「唯ちゃん危ない!」

憂「おねーちゃーん!」

>紬と憂は唯をかばった!

紬「きゃああ!」

憂「ひゃうっ!」

>二人は気絶してしまった…

唯「憂、ムギちゃん!」

伊邪那美大神
 「自分の心配をしたらどうだ!?」

>伊邪那美大神のなぎ払い!

唯「…!?」

律「唯ー!」

澪「うわああ!」

>律と澪は唯をかばった!
 二人は気絶してしまった…

唯「そんな…りっちゃんと澪ちゃんまで…」

伊邪那美大神
 「神に挑んだ己の愚かさを悔やむがいい」

>伊邪那美大神の攻撃!

唯「ひぃうっ!」

>唯は倒れた……

伊邪那美大神
 「人間の力などこんなものか…。やはり人間は霧の海へ沈むべきなのかもしれない…」

────

───

>身体に力が入らない…
 やはり神には勝てないのか…

>……

>……聞いたことのある声がする

 「もう…おしまいなんですか?」

  ……

 「助けるって大見得きったくせに、かっこ悪いですよ」

 「この町を救うんでしょ?立ち上がらないと、ここで全部おしまいです」

  ……

 「……私は作られた存在ですけど」

 「先輩が大好きでした。優しくて暖かい先輩が大好きです……」

 「立ち上がってください唯先輩。みんなのために…できれば…私のために…」

唯「……ぐっ」

>唯はゆっくりと立ち上がった…

伊邪那美大神
 「ここで立ち上がるか。諦めの悪さは評価しよう。だが往生際が悪いのも考えものだ!」

>神の雷が唯を襲う!

唯「ああっ!!」

>唯は食いしばった!

伊邪那美大神
 「なぜ倒れない?既に肉体は限界を超えているはず…!」

>神の雷が再び唯を襲う!

唯「…っっ!!」

伊邪那美大神
 「なぜだっ!?精神が肉体を凌駕したとでも言うのか……」

唯「心の力…だよ…」

伊邪那美大神
 「…なに?」

唯「私とみんなの…そして…あずにゃんとの絆の力だー!!」カッ

>唯のイザナギは伊邪那岐大神に転生した!

伊邪那美大神
 「こんな…こんなことが…!おまえの力は私が知る人間の範疇を超えている!!」

唯「あずにゃん…遅くなってごめんね…」

 「いいんです、唯先輩はちゃんときてくれましたから…」

伊邪那美大神
 「アズサ!おまえなのか!?この人間になにをした!!一体なにをしたのだ!!」

唯「うああああああ!!」

>真実を照らす光の刃が伊邪那美大神に降り注ぐ!

伊邪那美大神
 「馬鹿なぁああああああああああああああ!!」

>伊邪那美大神は光とともに消え去った…


梓「……唯先輩」ギュッ

唯「あずにゃん、私やったよ…」

梓「はい、ありがとうございます」

唯「……あずにゃんはこのまま消えちゃうの?」

梓「私はイザナミの一部ですから、そうなりますね」

唯「…やだ」ギュウ

唯「みんなとお茶して…練習して…ライブだって」

梓「……」

唯「これからだよぉ…これからなんだよ…ううっ…あずにゃん」

梓「唯先輩が私の心を解放してくれました」

唯「それだけじゃやだ!もっとあずにゃんと一緒にいたい!一緒に生きていたい!」

梓「……」

唯「このままお別れなんてやっぱり悲しいよ……」

梓「大丈夫です、きっとまた会えますよ」

唯「…ほんと?」

梓「唯先輩が信じている限り必ず」ニコッ

唯「信じるよ!私信じるから!」

梓「唯先輩……」

唯「あ、あずにゃん…?」

梓「さよなら…」

唯「あずにゃーん!!」

憂「…あれ…私は…」ムクッ

紬「目が覚めた?もう全部終わったわ」

憂「あ、梓ちゃんは?」

紬「……」

憂「そうですか…」

律「唯、梓は最後なんて言ってたんだ?」

唯「信じていれば…またあずにゃんに会えるって…」

澪「……梓」

唯「…ひっく!うぅ!あずにゃん、あずにゃん…!」

律「ゆ~い!」ギュッ

唯「…りっちゃん?」

律「今は思いっきり泣いていいよ。…思いっきり泣いて、泣いて、そして梓が帰ってくるのを信じよう」

唯「うん…うん…!」

澪「梓がそう言ったなら、きっと会えるよな。それまで私たちにできることをしよう」

紬「梓ちゃんがいつ帰ってきてもいいように、けいおん部を存続させないとね」

憂「わ、私けいおん部に入ります!それで部員もいっぱい勧誘して増やしちゃいます!」

律「そりゃ心強いな」

澪「ああ」

唯「みんな、ありがとう」

紬「唯ちゃんも頑張るのよ?」

唯「えへへ、そうだよね!」

澪「…帰ろう。私たちの部室に」

唯「うん!」




>そしていくつもの月日が流れ、唯たちが卒業するまで
  残り一週間をきろうとしていた……

憂「(意気込んでみたものの、結局入部してくれたのは純ちゃんだけ…)」

憂「(このままじゃけいおん部がなくなっちゃうよ~!)」

純「深刻な顔してどーしたの憂?けいおん部のこと?」

憂「うん…このままだと部員不足で廃部になっちゃう…」

純「来年になれば新入生も入ってくるし、なんとかなるでしょー」

憂「そうは言うけど…こんなときに梓ちゃんがいればな…」

純「梓?誰それ?」

憂「(そういえば梓ちゃんのことは、私たち以外みんな忘れちゃったんだっけ…)」

憂「……はぁ」

純「ため息多すぎー。あ!そうそう、実はビッグニュースがあるんだー」

憂「けいおん部に入ってくれる人がみつかったの!?」

純「いや、違うんだけど」

憂「……はぁ」

純「最後まで聞いてよ~。実はね……」

先生「席着いてー。SHRを始めますよー」ガラガラ

純「やば!先生きちゃった!」

先生「お早うございます皆さん。今日は皆さんに素敵なお知らせがあります」

憂「(私がなんとかして部員を確保しないと…)」ブツブツ

先生「今日からクラスに新しいお友達が増えます。さ、入ってきて」

 「は、はいです!」

>……懐かしい声がする

憂「……あ」

先生「自己紹介をお願い」

 「はい!今日からこのクラスのお世話になります!よよ、よろしくお願いします!」

先生「……な、名前は?」

 「す、すみません!」

 「私の名前は…………」




 お し ま い






最終更新:2011年06月27日 01:23