……梓の部屋
唯「あずにゃん。この変なのなに?」
梓「え?」
唯「この黄色いのだよ」
梓「ああ、抱き枕です。最近買ったんですよ」
唯「へー。あずにゃんも一人ぼっちの夜は寂しいんだねえ」
梓「ちっ、ちがいますよ。そんなんじゃありませんっ」
梓「この前たまたまネットで買い物してたら偶然その人形のページにたどりついたんです」
唯「ふーん。なかなか不思議な形してるねえ」
梓「そうなんですよ。その子の目を見てたらなんか引きづりこまれるような感覚になって」
梓「気づいたら注文してて、私の部屋にいたんです」
唯「そうだねえ。この死んだ魚のような目」
梓「申し訳程度の髪の毛と何故かくわえてる魚の骨」
唯「なんで背中に「アク」って書いてあんの?」
梓「この気味の悪い首飾りも一緒についてたんです」
唯「……たしかに何か引き寄せられるねえ」
梓「はい。不思議な子なんです」
唯「名前はあるの?」
梓「いえ、まだありません」
唯「そうなの?もったいないねえ」
梓「でも、なんか少しだけ出かかってるんです」
唯「へえ、どんなの?」
梓「さ……さの……なんとか」
唯「さの、だけ?」
梓「はい、なんか「さの」がピッタリな気がするんですけど、その次が思い浮かばなくて」
唯「じゃあ、一緒に「さの」くんの名前の続き考えてこうよ」
梓「なんですかそれ……」
……
唯「ところであずにゃん」
梓「なんですか?」
唯「私さ、こないだりっちゃんたちとおっぱいの話してたんだよね」
梓「また関係ない話になりましたね」
唯「まあ、気にしない気にしない」
唯「それでさ、どうしたらおっぱい大きくなるの?って澪ちゃんにずっと質問してたら」
唯「澪ちゃんに「昼間から下ネタばっかり話すな!」って怒られたからさ」
唯「私、思わず言っちゃったんだよね」
唯「どこが下ネタなの!?おっぱいは上にあるじゃん!」
唯「……ってね」
梓「……」
唯「あずにゃん?」
梓「唯先輩……そういうのはあんまり……」
唯「あれ?引いてる?」
梓「ドン引きですよ……男子中学生じゃあるまい……」
梓「そうですか……唯先輩そういうこと言われる方だったんですか……」
唯「……色々といいたい事あるけどさあ」
唯「おっぱいはね、ある意味魔法の言葉なんだよ?」
梓「はあ……どこがですか」
唯「例えばだよ」
梓「例えば?」
唯「ひとり」
梓「ひとり?」
唯「夜、うちに帰るときに」
梓「夜、うちに帰るときに?」
唯「もう夜道、街灯もチカチカと点滅してるときだよ」
梓「はあ……」
唯「誰かついてきてるんじゃないか……」
唯「振り返って誰もいなくて「よかった……」ってなるんだよ」
唯「そんな夜道だよ?」
梓「そんな夜道ですか」
唯「まあなんか……すごく……こわいなあ……」
唯「なんか、お化けとか出たらやだなぁ……」
唯「って時に」
唯「おっぱい♪おっぱい♪おっぱい♪おっぱい♪」
唯「って心の中で言ってご覧?」
唯「そんな事、馬鹿馬鹿しくなるよ!?」
オッパイ
オッパイ
オッパイ
オッパイ
唯「色んなことが、怖いとかって気持ちがどっか飛んでっちゃうよ!?」
オッパイ
オッパイ
オッパイ
オッパイ
唯「あれ?あずにゃんスルー?」
梓「唯先輩、私今泣きそうです」
梓「歌ってるときの唯先輩が本気で嬉しそうで私泣きそうで……ぶふっ」
唯「何!?今笑った!?」
梓「きっとさのですよ」
唯「さの?さのなの!?」
唯「ちょっと待ってよ。それは一体何に対する笑いなの?」
唯「それによっては、私が今すぐ帰るか帰らないか私が決めても良いんだよ?」
梓「大丈夫ですよ、多分唯先輩の話が面白かったんですよ」
唯「おお、そっか」
梓「それよりさのの名前の続き考えましょうよ」
唯「そうだね」
梓「「さの」は譲れませんよ」
唯「うーん……さの、さの……」
唯「……さのにゃん?」
梓「またずいぶん意外性の無い……」
唯「だってあずにゃんのさのなんだよ?じゃあ、さのにゃんしか無いでしょ」
梓「何ですかそれ……まあいいですけど」
さのにゃん『おう!俺がさのにゃんだ!よろしくな!』
梓「えっ」
唯「ふふっ声は私があててあげるよ!」
さのにゃん『にゃーんつってな!』
梓「ふふっ。変なの」
さのにゃん『おお!お前があずにゃんか!今日からお前は俺の嫁だ!』
梓「うるせーです」
…………
唯「さのにゃんには家族はいないのかなあ?」
梓「いないんじゃないですか?ぬいぐるみですし」
さのにゃん『ま!あずにゃんは俺の嫁だけどな!つって!』
梓「黙れです」
唯「よし、私がさのにゃんに家族を作ってあげよう」
梓「はあ」
唯「あずにゃん、他になんかぬいぐるみないの?」
梓「ありますよ、ちょっと待っててください」
……
唯「よし、この中からさのにゃんの妹をつくってあげよう」
梓「妹ですか……」
唯「私とあずにゃんでつくる子供だねえ。ふふふぅ」
梓「……だまれです///」
唯「よし!じゃあこのたらこみたいなの!」
梓「ピンク色ですねえ」
唯「名前は……さのにゃんこ!」
梓「こ、つけただけじゃないですか」
さのにゃんこ『さのにゃんこでーす』
さのにゃんこ『ヨロシコちゃーん』
梓「……」
唯「……」
梓「次、行きましょ」
唯「そうだね、そうだよ。きっと恥ずかしがりやなんだよ」
唯「じゃあ……次はこの子!」バッ
梓「えっ……これは……」
唯「ペットだよ!ペット!」
梓「そ、そうですか……」
唯「名前は……アレだね!」
梓「まあ……アレですね」
アレ『やあ』
アレ『アレだよ』
アレ『アハッ』
アレ『好きなものは、お』
梓「ちょっ、ちょっと待ってください!唯先輩!」
アレ『唯先輩じゃないよ。アレだよ。アハッ!』
梓「だから、そのアハッてのをやめてくださいよ」
梓「なんかこのままじゃ……色々とヤバいです!」
梓「アレはもう撤収!私ちょっとトイレ行ってきますから!」
アレ『アレもついてくよ。アハッ!』
梓「だからやめろつってんでしょ!」
ガチャ バタン
唯「ふう……まったく真面目だなあ、あずにゃんは」
唯「アレくらい何さ……たかだかちょっと人気のあるネズミじゃん」
唯「ふう……」
ボテン
唯「……」
ゴロン
唯「……おい」
唯「お前だよ、さのにゃん」
ガシッ
唯「……お前、いつもあずにゃんに抱っこされて寝てんのかー?」
唯「んー?」
さのにゃん『』
唯「なんとかいえよー」ガシガシ
さのにゃん『』
唯「おまえホントはしゃべれんだろー」ガシガシ
さのにゃん『』
唯「うらやましいんだよー」
唯「私だってさーあずにゃんを抱っこして眠りたいよー」
唯「なにが、あずにゃんは俺の嫁!だよ。ふざけんじゃないよー」
唯「あずにゃんは私のもんだよー」
唯「大体あずにゃんたら何さー」
唯「私が遊びにきてるってのに……」
唯「ホントだったら私のおっぱいなんて既にばいんばいんだよー」
唯「あずにゃんへの気持ちで……はちきれそうだよ……」
唯「……///」
ギューッ
唯「……あずにゃあん……///」
唯「……なんか眠たくなってきた///」
唯「……おーきーにーいりーのさのーにゃんーだいてー♪」
唯「こーんやーはーおーやーすみー♪///……」
……
ガチャ
梓「ゆいせんぱい、お待たせ……」
唯「……くう」
梓「……寝てる」
唯「……」ギュッ
さのにゃん『』
梓「……ムッ」
梓「……もう、さのにゃん抱っこして」
梓「……」
梓「……さのにゃん苦しそうじゃないですか」
ガシッ ポイッ
唯「う……うぅん」
梓「……何か抱いてないと不安なんですか」
唯「あず……あずにゃあん……」
梓「……!」
唯「すき……すきい……」ムニムニ
梓「!……///」
梓「……もう///」
梓「うるさい……です」
モソモソ
唯「ふっ……ふゅう……」
ギューッ
梓「……唯先輩の抱き枕は、私でいいんです」
梓「……さのにゃんじゃ荷が重すぎです」
唯「んぅ……あずにゃあん……ちゅう……してよお……」ムニムニ
梓「……」
唯「……」
梓「この甘えんぼったら……ホントは起きてんじゃないですか?」
唯「むにーっ……あずにゃあん……だぁーいすきっ……」ギューッ
梓「……///」
梓「私も、だいすき」
チュッ
唯「んぅ……///」
ギューッ
梓「んにゃあ゛……///」
ギューッ
唯「んむぅ……///」
ギュギューッ
梓「うううぅっ……///」
ギュギュギューッ
唯「……」
唯「むう」
チュッ
唯「ふえっ///」
梓「……やっぱりおきてた」
ギューッ
さのにゃん『……』
お、わり だよん?
最終更新:2011年06月27日 21:37