昼休みにて
純「あ~あ眠い……」
梓「授業中ずっと寝てたくせになに言ってんのさ」
純「寝る子は育つって言うじゃん!」
梓「意味わかんないよ」
憂「みんなご飯にしよ!」
純「イエーイ一日で一番幸せな時間だ!」
梓「もうお昼か」
純「まいうー」
梓「古っ!すごい古いよそのギャグ」
純「だってしょうがないじゃんホントにまいうーなんだから」ムシャムシャ
憂「純ちゃん口にごはん粒が付いてるよ」
純「おっとこれは失敬」パクッ
梓「もっと上品に食べればさ、女の子っぽくさ」
純「別に女子高なんだし良いじゃん、気にしない気にしない」
憂「ふふふ」
梓「そうだ純、部活のこと考えてくれた?」
純「軽音部のこと?まぁうん……」パクパク
梓「高校生になったんだから部活ぐらいやらなきゃダメだよ、毎日ダラダラ過ごしててもしょうがないよ」
純「まぁたしかにね……(イカ天まいうー)」ムシャムシャ
梓「いい純?このままだと確実に将来はニートだよ」
純「部活してないだけでニートかよ!そんなんだったら国民の半分が無職じゃん」
梓「実際最近はニートが多いじゃん」
憂「だから純ちゃんも軽音部に入ったほうが良いと思うよ」
純「うう……」
梓「純はベースの腕だってなかなかなんだしこれを生かさないのはもったいないよ!」
憂「そうだよ純ちゃん、宝の持ち腐れってやつだよ」
純「宝ってほどのもんじゃないけどねぇ……(はぁめんどくさい……)」モグモグ
梓「ちゃんとベース持ってきた?」
純「うん……」
梓「じゃあ今日行こ!きっとみんな喜んでくれるハズだよ」
純「でもなぁ……」
憂「わたしのお姉ちゃんもいるし安心して純ちゃん」
純「そう?(それは少し心配だよ……)」
純「でもあれでしょ?軽音部ってまともに機能してないとか聞いたけど……
なんか練習してないで飲食ばっかりしてるとか……」
梓「うっ!そ、そんなことないよ!そんな又聞きの噂を信じちゃダメだよ!」
純「ふ~ん」
憂「とにかく今日の放課後に実際行ってみてその目で確かめれば良いよ純ちゃん」
梓「そうそう!本当はちゃんとしてる部活だって見せつけてやるです!」フンスッ!
純「ハァ……」
放課後にて
純「ハァ……」
梓「そんな暗い顔しないでよ」
純「だっていつもならこの時間はソッコーで家に帰って、部屋で『相棒』の再放送見てるハズなのに……」
憂「お母さんに頼んで録画してもらったら良いよ純ちゃん」
純「だってお母さんが韓国ドラマを録ってるから無理だもん」ブー
梓「ほらシャキッとして!もう着いたよ!」
純「うおっ!ここが噂の軽音部の部室か!まがまがしいオーラが漂っとる……!」
梓「(バカみたい)……ほら入るよ」ガチャン
梓「こんにちはですみなさん」
唯「おっはーあずにゃん」
純(憂のお姉ちゃんだ)
紬「こんにちは~」
純(カチューシャの人が田井中さんでパツキンが琴吹さんだったよね)
唯「おお憂と純ちゃんもいるよ!いらっしゃい!」
憂「お邪魔するねお姉ちゃん」
純「こ、こんにちは……」
唯「ほら座って座って!」
梓「あれ澪先輩はどうしたんですか?」
律「今日は掃除当番ばから遅れてくるってさ」
梓「そうですか」
純「……」
梓「あ忘れてた、みなさんこの子が昨日話した新入部員の純です!」
純「いやまだ入るとは言ってな……」
唯「やったぁ純ちゃーん!」ダキィ!
純「ひぃ!」
律「君が噂の徳永さんか!我が軽音部は君を歓迎する!」
純「ど、どうもです……あと鈴木です……」
紬「こちらをどうぞ~」サッ
純「(お、チーズケーキ)どうも」パクッ
純「ん!これは美味しい!」
紬「ふふふ~」ニコニコ
純(くそお梓め、こんな美味しいものを毎日食べてるのか!贅沢三昧じゃないかけしからん!)モグモグ
律「鈴木さんはなんか楽器とかやってるの?」
純「ベ、ベースです」
唯「ほう澪ちゃんとおんなじですなぁ!」
紬「澪ちゃんきっと喜ぶわぁ」
律「ダブルベースかぁ、なかなか斬新だな!」
純「はぁ、ところでその澪先輩とはどういう人なんですか?」
律「なんですて!澪のことを知らないだって!?」
純「え、あ、ああはい……すいません……」
唯「純ちゃん新歓ライブ見に来なかったの?」
純「すいません、その日はサッカー見に行ってたんで」
憂「純ちゃんベルマーレのファンだからね」
唯「とにかく澪ちゃんはすごいんだよ!校内にファンクラブだってあるんだよ!」
純「ファンクラブがあるんですか!?ホントですかそれ」
紬「ホントよ~、週3で澪ちゃんについて語り合うそうよ~」
純「そうなんですか(なんかうそ臭いなぁ……)」
律「実はうちの部活はそのファンクラブの会員費やグッズによって成り立ってるんだよ
澪オタに澪の所持品や秘密情報やマル秘写真やらを売ってるのさ、その売上金で買ったのがこの高級ケーキよ」スッ
純「そ、そうだったんですか!?」
梓「嘘だよ純!律先輩そんな適当な嘘をベラベラ喋らないでください!純が信じちゃうじゃないですか!」
律「冗談冗談、ちょいとしたユーモアだって」
純(なんか適当だなこの部活……やっぱり辞めようか……)
ガチャン
澪「みんなごめん掃除が長引いて遅れてしまったよ」
純「!!」
唯「遅いよ澪ちゃ~ん」
紬「さっそく紅茶を用意するね」ガタッ
澪「ありがとなムギ」
純「……」プルプルッ
憂「あれどうしたの純ちゃん?」
純(な、なんて可愛い人なんだ!長い黒髪に切れ長の目!わたしのもろタイプじゃん!)
澪「今日も暑かったなぁ」
純(これ以上可愛い人なんてこの世にいないぐらい可愛い!ファンクラブが出来るのもうなずけるし!)
梓「お~い純~」
純(これは予想外のヒット!これは来た甲斐があったな!)
澪「ところで律?この1年生は誰?」
律「ああそうだったな、この子は今日から我が軽音部に加わる
鈴木純ちゃんだ!」
純「ど、どうも澪先輩!わたしの名前は鈴木純です!ど、どうかよろしくおねぎゃいしましゅ!」
梓(噛んだ……)
純「ハァハァ……」
澪「げ、元気な子だな。私は
秋山澪。パートはベース。よろしくな」
純「よ、よろしくお願いします!実はわたしもベースなんですよ!」
澪「そうなのか!」
純「そうなんです!わたし新歓ライブの澪先輩に憧れてベースを始めたんですよ!」
澪「へぇ、なんだか気恥ずかしいな///」
律「なぁ憂ちゃん?あいつ湘南ベルマーレの試合見に行ってたんだったよなぁ……」ヒソヒソ
憂「はい、サガン相手に0-3で負けたって嘆いてましたよ……」ヒソヒソ
純「澪先輩に教えを乞うために軽音部に入部しました!だから徹底的に指導してください!」
澪「そ、そんな指導出来るほど私だってベース上手くないし……」オロオロ
梓(澪先輩困ってる……)
紬「シャランラ~」
純「ぜはさっそく練習しましょうみなさん!」
唯「ほうやる気まんまんだねぇ純ちゃん!」
梓「さっきまでとは大違い……」
純「澪先輩早く指導してください!お願いします!」
澪「う、うん……」
律「よかったですねぇ可愛い後輩が出来て。顔がにやけてますよぉ澪しゃん」
澪「に、にやけてない!」
紬(みんな楽しそうで良かった!)
澪「ちょっとベース見せてくれないか?」
純「はいどうぞ!」
澪「なかなか良いベースだな。けっこう高かったんじゃないか?」
純「いやぁわからないですねぇ。雑誌の懸賞で当てたんで」
澪「そ、そうなんだ」
梓(なんかノリが軽いなぁ……)
純「ビリーシーンモデルですよビリーシーン!」
澪「へぇ……(知らないなぁ……)」
純「ニコニコ」
澪「じゃあちょっと弾いてみてくれないか?どの程度が見てみたいから」
純「イエッサ!」ボロロ~ン
数分後
純「ど、どうですか澪先輩……」
澪「う~ん……」
純「ドキドキ」
澪「あんまり上手くないなぁ……」
純「バッサリだぁ!!」
澪「なんというか難しい曲に挑戦しすぎじゃないかな」
純「そ、そうですか?」
澪「うん。最初はあまり背伸びしないで簡単な曲から挑戦したほうが良いよ」
純「はい……」シュン
澪「あ、そうだちょっと手貸して」ヒョイ
純(あ!澪先輩がわたしの手を!)ドキィッ!
澪「もっと指を柔らかく使ったほうが良いよ。普段から動かしたりしてさ」プニプニ
純「あ……(澪先輩の手ェ柔らかい……ぷにぷにしてる……)」ドキドキ
澪「まぁ練習してればおのずと柔らかくなるけどね」サワサワ
純(指と指が触れ合うだけで体がっ……)ビリビリ
澪「ん?どうした純。すごい汗だぞ」
純「い、いやなんでも無いです!ちょっとばかし緊張しちゃいましてね!えへへ」
唯(純ちゃん楽しそうだなぁ)
律(なんで鈴木さん顔が真っ赤なんだろう……)
紬(眼福眼福~♪)
下校中にて
純「ハァ疲れた……」
憂「お疲れ様~」
梓「そこまで緊張しなくても良いと思うけどなぁ」
純「ちょっと肩に力が入っちゃったね。ハハハ……」
憂「それにしてもお姉ちゃん今日も可愛かったなぁ。ギター弾いてるお姉ちゃんは世界一の可愛さだね!」
梓「憂は練習中ずっと唯先輩のこと見てたね」
憂「だって可愛いんだもん!」
純「澪先輩のほうがぜったい可愛い……」ボソッ
憂「純ちゃんなにか言った?」
純「いやなんにも」
純(実際澪先輩より可愛い人なんて居るのかなぁ……だったら色々とまずい……)
梓「そうだ純。唯先輩には気をつけたほうが良いよ」
純「え?なんで?」
梓「唯先輩には抱きつき癖があるんだよ」
純「抱きつき癖!?なにそれ?」
梓「なにかにつけて抱きついてくるの。一日中抱きついてくることだってあるんだよ」
憂「あずにゃ~んってね」
梓「憂やめてよ……そっくりなんだからドキッとするよ……」
憂「えへへ~」
純「……」
ぽわぽわぽわぽわ~
澪『純にゃ~ん!』ガシッ
純『ちょ澪先輩なにするんですか!』
澪『純にゃん分の補給だよ。良いじゃないか減るもんじゃなしに』
純『は、恥ずかしいから話してくださいよ!』
澪『ヤダよ。後輩なんだから大人しく先輩の言う事を聞け!』ギュギュギュ
純『ううう///』
澪『それとも純にゃんより純わんのほうが良いか?もしくは純モーか?』ギュギュギュ
純『純にゃんで良いですよもう///』
純「ワルクナイネ エヘヘ」ニヤニヤ
憂「純ちゃんニヤニヤしてる……どうしたんだろ……」
梓「気持ち悪い」
子犬「ワンワンワン!!ワンワンワン!!」
純「うわぁなんだなんだなんだ!」
梓「ちょっと驚きすぎ!ただの子犬の遠吠えだよ」
純「なんだ犬か……」ホッ
憂「可愛い犬だねぇ」
梓「あんなにびっくりする人はじめて見たよ……」
純(ハァ……子犬の遠吠えさえ劇的に聴こえてしまうよ……)
純「これも澪先輩のせいだよ!わたしに魔法をかけて心を奪ったからだ!なんという大物だよまったく……」ブツブツ
梓(今度は独り言……どうしたんだろ純。家族と上手くいってなくて情緒不安定気味なのかな……)
純の部屋
純「……」ボロンボロンボローン
純「……」
純「ハァもういいや」バタッ
純(もうなんか集中できない。ずっと澪先輩のことを考えちゃう……)
純「……」
純(澪先輩の指綺麗だったなぁ。指と指が触れあうだけでビリビリ痺れちゃったよ……)
純(やっぱわたし澪先輩のことが大好きなんだろうな。いわゆる一目ぼれってやつですなぁ)
純「……」
純(ってそれじゃわたしレズじゃん!そうなのか!?そうなのかい純!)
純(こんな気持ち澪先輩はもちろん梓や憂にも話しせるわけないよ……)
純「ああもう!だれにも言えねぇ!」クシャクシャ
数日後
純「相乗効果でヨクなろう♪同じベクトル持ったぼくら無敵♪」
梓「楽しそうだね純。鼻歌なんか歌っちゃって」
純「だって楽しい先輩方一緒に居れるしと美味しいお菓子は食べれるんだよ!夢のような日々じゃん!」
梓「わたしはもっと練習したいなぁ……」
ガチャン
唯「あ~ずにゃ~ん!!」ガシッ!
梓「ちょ唯先輩やめてくださいよぉ!」
純(抱きつき癖があるとか言ってたけど抱きつくのは梓にだけじゃん)
唯「今日のあずにゃん分補給~」
純(澪先輩にも同じことをやってほしいなぁ……)
律「それじゃあわたしは澪しゃん分補給~」
澪「させるか!」パチコン
純「しかしすっかり夏になりましたね」
唯「そうだよ~わたし夏はダメなんだよ~」グデェ
律「唯起きろ!寝たらダメだ!寝たら死ぬぞ!」
唯「隊長……う、憂のことはまかせたよ……」ガクッ
律「ゆいぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!」
梓「はいはいバカなことやってないで早く練習しましょ」
紬「うふふ」
純(仲良いなぁホントこの部活は)
澪「そうだみんな。合宿のことなんだけどさ」
純「合宿!?なんですかそれ?」
澪「そういえば純にはまだ言ってなかったな」
唯「軽音部では1年に1回遠出して合宿するんだよぉ」
純「そうなんですか」
律「そうなんだよ!人の少ない山奥に行ってな。そこであんなことやこんなことや……」
純「あんなことにこんなこと……」ゴクリッ
澪「嘘を教えるな嘘を!」
紬「わたしの家が所有してる別荘で合宿するの。海が綺麗よ~」
純「別荘!?そんなブルジョアなものを持ってるんですか!?」
律「だからな、ちゃんと水着とか日焼けクリームとかを用意しとけよ。海で泳ぐから」
澪「ちゃんと練習もするからな!」
純「……」
下校中
澪ノシ「また明日」
純ノシ「はい!」
律ノシ「知らない人に話しかけられてもついてっちゃだめだぞ梓~」
梓ノシ「子供じゃないんですから大丈夫ですよ!」
純「ああそれにしても合宿楽しみだなぁ。海水浴なんて小学校以来だよ!」
梓「遊びじゃなからね!ちゃんと練習もするよ!」
純「そういえば梓も合宿初めてなんだよね。ムギ先輩の別荘ってどんな感じなんだろう」
梓「う~ん想像できないなぁ。まぁそれは行ってからのお楽しみだね」
純「そうだね。ああ楽しみだなぁ」
純(澪先輩とあんなことやこんなことを……グフフ……)
最終更新:2011年06月29日 21:57