【人に信じてもらえない話】
唯「ひとに信じてもらえない話。うーん、なんかスゴイこととかー……」
和「待って待って唯!なに次のテーマ行っちゃってるの、普通に」
唯「だってテーマ変わっちゃったし……」
和「中途半端じゃない!」
唯「でもテーマ変わったもん」
和「ええー……融通利かないわねあなた。
ここでやめると私すっごくもやもやするんだけど。
若干じゃなくてすっごく……」
唯「まあ私と姫子ちゃんの話はまた今度オフのときにでもってことで!」
和「ええー……うん、そうね、まあ……うん。」
唯「和ちゃん、なにかある? 信じてもらえない話って」
和「あっ、それね。私ね、ある。そういうの」
唯「なになに? 幽霊見たとか?」
和「幽霊は見ないわよ」
唯「おばけ」
和「同じです」
唯「じゃあお化けでも幽霊でもないって、なに? うーん」
和「あなたの中でスゴイことっておばけしかないの?」
唯「スゴイじゃん、幽霊」
和「すごいけれども」
唯「ぜったいびっくりする自信あるよ。
自分でも信じられないし、自分で自分の目が」
和「そりゃ私だってびっくりするわよ。でももっと他にもあるでしょ、有名人に会ったとか」
唯「え? 誰か会ったの?」
和「有名人って……考えてみれば貴方も有名人だったけど」
唯「あはは、まあね!」
和「あとでサインちょうだい」
唯「えっ、昔あげなかった?」
和「色紙じゃなくて、役所でちゃんとした用紙貰ってくるから」
唯「あー、うん。そのサインわかった。しないから」
和「だいじょうぶ。ちゃんとする」
唯「よく分かんないけど」
和「それで私の信じて貰えない話ね」
唯「うん」
和「UFO見た」
唯「……うん?」
和「信じないでしょ」
唯「いや……っというか、あの……それ幽霊やおばけと違うかな!?
たいして変わらなくない!?」
和「ぜんぜん違うわよ。UFOは空を飛んでるのよ」
唯「いや、そうだけど。やっぱ、そっち系の話かっていうか、えっ?UFO?」
和「信じてないわね」
唯「ほんとに見たの? 焼きそばじゃなくて?」
和「そのUFOじゃないから」
唯「わかった。和ちゃんのこと信じるよ」
和「そう? 信じて貰っちゃったらテーマに反しちゃわないかしら」
唯「でも一応信じないと話聞けないし」
和「まあ、そうね。信じていただきましょう」
唯「…それで……どういう状況で? いつ?」
和「二週間くらい前かしらね」
唯「けっこう最近だね」
和「その日、実家に帰ってたのよ。ちょっと下の弟のこととかでお母さんと話があってね」
唯「うん。みんな元気してる?」
和「お陰さまで。それで用事が終わって、『泊って行けば』なんて言われたんだけど、
次の日も予定あったからすぐに家出たのよ。それが六時くらい、夕方の。
で、久々に帰って来たじゃない? ちょっとなつかしいなーって思って、
どこか変わってる場所ないかなってあちこち歩いたのよ、軽い散歩したのね」
唯「うん。それで?」
和「あの、小学校の裏手の公園あるでしょ? その近くの自動販売機がたくさん置いてある酒屋さん、わかる」
唯「ああ、うんうん。昔からあるよね。よく遊んだとこだ」
和「その前さしかかったあたりで、ちょっと喉が渇いたから、
ちょうどいいと思って自動販売機でお茶でも買おうと思ったのよ」
唯「うん。……UFOは?」
和「まあまだこれからよ。段取りというものがあるからね。じっくり聞いて」
唯「はーい。それでそれで?」
和「うん、で、自動販売機の前に立って、10円玉を5枚と、100円玉1枚取り出して、
合わせて150円のお茶を買おうと思ったわけね。おーいお茶。私これ好きだから」
唯「いや、お茶はどれでもいいんだけど」
和「そしたらいたのよ、UFO」
唯「いきなり!?」
和「そう。」
唯「……うん。えっ?」
和「それで『あっUFOだー』って見上げてたの」
唯「余裕だねー!かなり余裕あるねー」
和「あっ、実際はもっと
『ああああああああああ!UFOだー!!』くらいの気持ちでいたのだけれど」
唯「ああ、うんうん」
和「で、そうやって驚いてたらいきなりピピピピピ!って音が聴こえたの」
唯「それなに?」
和「そしたら自動販売機の『数字が揃ったらもう一本!』て機械あるじゃない?なんかそういう機械、
あれが当たってたの。『あー、UFOがジュースおごってくれたのかな』って思って、
お茶とついでにファンタも手に入れて家に帰った……っていう話なんだけど」
唯「それでおしまいかよ!」
和「信じない?」
唯「信じないっていうか、UFOのとこをもっとちゃんと話してよ!
場所の説明と飲み物の話でほぼ終わっちゃったじゃん!
おーいお茶の値段とか完全に無駄だし!」
和「うーん」
唯「UFOは、その、どうしたの?」
和「飛んでった」
唯「ヒューンって?」
和「うん、こっちから……東の方から来て、西の方に」
唯「東から西ってそれ太陽じゃないの?」
和「違うわよ。太陽は別にあったし、ヒューンって飛ばないでしょ」
唯「いや、でも、出現シーンからもっとちゃんと話してよ。
いつ現れたとか、形とか」
和「いつの間にか居たから、よく分からないのよ、気が付いたら浮いてて……
あっ、でも形はちゃんと憶えてるわよ。まぶしいくらい光ってた」
唯「太陽じゃん」
和「オレンジ色だった」
唯「夕日」
和「ちがうもん」
唯「ちがうもん、て、キャラちがうよ和ちゃん!」
和「信じてないわね……やっぱり」
唯「うーん、だってあんまり話がわかんなかったというか」
和「そう?」
唯「UFOの部分がぜんぜん伝わってこない」
和「そうかしら……」
唯「うん、まあ、この話はまた今度することにしよう。オフのときにでも……」
和「えっ、どうして? なんなら今もっと話すわよ?」
唯「いやっ、ねっ、まあ、また、ねっ?」
和「信じてないのね……」
唯「あはは」
♪ピンポーン
和「あっ、鳴った」
唯「えっ、何も話してないよ、私さっきのテーマ!」
【そろそろお開きの時間です
二人におもしろおかしく締めてもらいましょう】
唯「あっ、もうそんな時間?」
和「そうみたいね……」
唯「いいのかな、私さっきのなんにも話さなかったけど」
和「仕方ないんじゃない? というか、ごめんなさい、私ばっかり喋っちゃって」
唯「いいよ。えっと、じゃあ、締めってことなんですけど……締め?」
和「これ難しいわね」
唯「こんな戸締りしといてね、みたいに気軽に言われても」
和「なんとかやってみましょう」
唯「えーっと、そういうわけで、そろそろお開きなわけですがー」
和「……」
唯「今までこうして二人でだらだらお喋りしてきたんですけど、
どうでした、皆さん? 楽しかった?」
和「唯、がんばって」
唯「がんばってじゃなくて和ちゃんも参加して!」
和「いえ、最後はオブザーバーで行こうって決めたから」
唯「オブザ……オブザーバー?」
和「そう。だからがんばってね、唯」
唯「オブザーバーわかんないけど、和ちゃんも手伝ってよ!」
和「けっこう疲れちゃったのよ、今までで……」
唯「私も疲れてるから! 最後まで一緒にやろう? コンビでしょ!」
和「そうね、人生の……」
唯「そういうわけでね、私たちのトークライブだったんですが」
和「ちょっと! 台詞を遮るんじゃないの!」
唯「どうだった、今日? ほんとにぐだぐだだったねー」
和「そうねえ……だけど、まあ、案外いつも通りやれたんじゃないかしら」
唯「そっかなー。そだね、そうかも。
こんな感じかもねー、私たちって」
和「そうそう。完全にぶっつけ本番だったけど、まあまあ、こんな感じというとこで」
唯「なんかハングリー精神が足りない感じではありますけども…」
和「ハングリーって意味わかってる?」
唯「おなかが空いてる」
和「すごいわ!唯!偉いわよ!」
唯「そんなにほめないでよー、このくらいで……みんなも拍手とかしないでよー!」
和「感動したわ。あとで撫でてあげる」
唯「いらない。予想外の出来事もあったねー、さわちゃんが遅刻したり」
和「半分以上過ぎてからいらしたからね。あはは、ようこそおいで下さいましたー」
唯「あはは」
和「どうぞゆっくりしてってください」
唯「もう終わるよ」
唯「いろいろあったわけだけど……」
和「でも、楽しかったわね」
唯「そだね。すっごい喋ったって感じだね!
和ちゃんとここまでじっくり喋るのひさしぶりかも知れないしね」
和「そういう点では貴重な機会だったわ。
またこういうことできるといいわね」
唯「うん、またみんな集まってね。次は会場のみんなにも舞台に上がってもらおうかー。
りっちゃん、どう? あずにゃんはー? ええー?」
和「実際どうなの? また次の計画とかあるの? 憂」
唯「え? あっ、まだ次の予定はないかー。そっか、一切ないかー。
まあまだね、先のことだもんね。うん」
和「できるといいわね、またいつかみんなの前で」
唯「そのときは純ちゃんが来てくれることを祈って」
和「来なかったわね」
唯「ざんねんだねー。さわちゃんも、次は遅刻しないように! 次は罰ゲームするかんね!」
和「あはは………………はぁー…」
唯「えっ、なに、急にためいき? どしたの、和ちゃん」
和「最後に一つだけ心残りがあるのよ」
唯「なになに」
和「心残りっていうか、気になってることなんだけどね」
唯「純ちゃん?」
和「鈴木さんじゃなくて、まああの子も気になるけど、そうじゃなくって。
最初に、憂がアナウンスしたじゃない?
あのとき、『お姉ちゃんがんばって』とは言ったのに、
私に向けての声援がなかった……」
唯「いまその話!?」
和「私なんてどうでもいいのかしらね……」
唯「そんなことないよ! ほら、憂も手を振ってるよ!
ねっ、憂? 和ちゃんもちゃんと応援してたよね! ほら、うなづいてる!」
和「でも唯のことしか言わなかったわ」
唯「いやいや、それはあれですって、つまりその」
和「なに?」
唯「『がんばってお姉ちゃん』の『お姉ちゃん』のなかには和ちゃんも含まれてたんだよ!」
和「えっ」
唯「ねっ、憂? そういうことだよね! ほらー!
もうずっと一緒にいるんだもん。和ちゃんも姉妹同然だよー」
和「そうだったの……ごめんね、憂、へんな疑いかけちゃって」
唯「これで心残りはないね!」
和「うん、きれいさっぱりよ。ありがとう、唯。それに憂」
唯「いやいやー」
和「これはあれよね、私と憂が姉妹ってことは、あれよね」
唯「なーに?」
和「つまり私と唯とが、そういう特別な関係に」
唯「やべっ……これ墓穴だった」
(暗転)
お し ま い
最終更新:2011年07月01日 21:36