四番隊 総合救護詰所
花太郎「よし、これで負傷者の応急処置は完了だ」
花太郎「それにしても・・・ここにブルーレイがあるのに隊長達みんないなくなっちゃっていいのかなあ」
石田「その心配は正しいよ。もう手遅れだけどね」
花太郎「なっ・・・!」
茶渡「ブルーレイは返してもらったぞ」
花太郎「あなた方は・・・一護さんはおとりだったと言うんですか!?」
石田「ブルーレイも手に入れたことだし、僕たちも黒崎に合流しよう」
ドゴォ
花太郎「ぐはっ」
バタッ
―――
山本「黒崎一護。此度の件、もはや許すわけにはいかぬ」
一護「なんだと?ブルーレイを盗んでおいて何様だよ」
ルキア「一護!ブルーレイの件は私が謝っても良い!だからおとなしく剣を納めてくれ!」
浮竹「ああ、君たちは我々の恩人でもある。まだ死者は出ていないし、投降すれば悪いようにはしない」
一護「降参なんてするわけねえだろうが!さっさとブルーレイを・・・」
ルキア「?」
一護「いや、もうブルーレイはこっちのもんになったみたいだな」ニヤリ
ルキア「馬鹿な!チャドと石田の霊圧が近づいてきているだと!?さっきまで消えていたのにいつの間に・・・」
フッ
石田「やあ黒崎。まだ生きてるみたいだね」
茶渡「ブルーレイは手に入れたぞ」
一護「よし、じゃあ帰るとするか」
山本「待てい!このまま帰すわけにはいかぬ!」
一護「なんなんだよ、ったく。こっちだってもう争いたくねえんだ」
山本「そのブルーレイは、護廷十三隊の希望なのじゃ!
隊士達は仕事を終え、けいおんを観て好きなキャラを愛でる」
一護「・・・」
山本「そうすることで、明日への活力が湧き、さらに仕事に精進するのじゃ。
ブルーレイを護廷十三隊に広めることができれば、さらに効果は高まる!
取り返すためにここまで来たお主たちもわかるであろう。けいおんとそのブルーレイには測り知れぬ力が宿っているのじゃ!」
浮竹「元柳斎先生・・・」
更木「じじい・・・」
山本「この通りじゃ!!」
ルキア「なっ!!総隊長殿が!頭を下げた!?」
山本「お主らも頭を下げい!護廷十三隊の最大の礼儀を持ってブルーレイを返してもらうのじゃ!」
浮竹「あの元柳斎先生が・・・これがけいおんの・・・
秋山澪の影響だと言うのか!」
卯ノ花「私からもお願いします。黒崎さん」スッ
ルキア「卯ノ花隊長・・・わ、わたしからも頼む!一護。確かに私にも非はあったかもしれぬ」
浮竹「俺からも頼む。ほら、更木も」
更木「チッ!しらけちまったぜ。しょうがねえな。頭下げりゃいいんだろ?」
石田「隊長達が一斉に僕たちに頭を下げてるなんて。こんな光景二度とお目にかかれないだろうね」
茶渡「どうする?一護」
一護「・・・」
一護「隙だらけだ。山本総隊長」
ズバアッ!
山本「!?ぐはっ・・・!なん・・・じゃと・・・」
ドサッ
卯ノ花「総隊長!きゃぁあ!」
ザクッ・・・!
石田「すまんなあ卯ノ花隊長」ニヤリ
更木「てめっ・・・ぐぁああ!」
ザシュッ!
茶渡「更木。だから貴様はおごりが過ぎるのだ」
浮竹「元柳斎殿!卯ノ花!更木!お前ら一体どういうつもりだ!!」
ルキア「違う・・・一護たちならいくら怒っていても無防備の者を切ることなどありはしない。
こいつら・・・まさか・・・!」
日番谷「うき・・・たけ・・・!!はあ、はあ」
浮竹「日番谷隊長!無事だったのか、一体これは・・・」
日番谷「奴らは・・・黒崎達は本物じゃねえ!!」
一護「なんだ。生きてるじゃないか」
石田「すんません。はよブルーレイ盗りたかったんで、手え抜きました」
一護「しかしまあ、もう正体を隠す必要はないみたいだな」
浮竹「正体!?どういうことだ!」
一護「まだわからないのか?浮竹」
一護「砕けろ『鏡花水月』」
藍染「やあ諸君。久しぶりだね」
市丸「といっても、ほとんどみんな倒れてますやん」
東仙「任務は完了しました。帰りましょう。虚圏へ」
ルキア「一護が藍染で・・・石田が市丸で・・・チャドが東仙だった・・・だと!?」
日番谷「戦っていたら突然、あいつらが市丸と東仙に変わりやがって、俺と狛村はやられちまったんだ」
藍染「さすがに、ギンと要でも隊長2人に正体を隠しながら戦うのは無理だろうからね。
一時的に君たちの完全催眠を解除したんだよ」
ルキア「だから、あのときチャドと石田の霊圧が消えたのか・・・」
浮竹「藍染・・・!いつからだ!いつから一護君に化けてここに侵入した!」
藍染「いつから?では逆に問おう。いつから私が黒崎一護だと錯覚していた?」
浮竹「・・・!」
ルキア「会話がまるで噛み合っていない」
浮竹「最初から・・・侵入してきたのはお前らだったということか」
藍染「その通りだ。我々はけいおん!という作品の噂、それの秘める可能性を知り、現世を調査した」
藍染「だが現世に来た時にはすでに、朽木ルキアによってブルーレイが持ち去られていた」
藍染「だからこうして黒崎一護とその仲間に化けて、ブルーレイを手に入れにきたというわけだ」
ルキア「一護たちは!本物の一護たちは無事なのか!」
藍染「今頃浦原商店で、どうやって尸魂界に来るか悩んでいるだろうな。我々が断界を封じたのでね」
浮竹「そうまでしてブルーレイをなぜ求める・・・!」
藍染「十刃をまとめるためさ。彼らは画像ではなく、映像としてけいおんを見たいと心から願っている」
藍染「ブルーレイを手に入れれば、十刃の力は飛躍的に伸びるだろう」
ルキア「だったら・・・こんなことをせずとも現世で市販のブルーレイを買えばよいではないか」
藍染「市販・・・?」
ルキア「まさか知らぬのか?現世ではブルーレイは大量生産されて販売されている。そのブルーレイは現世では稀少でも何でもない」
藍染「なん・・・だと・・・」
浮竹「ぬかったな藍染!」
藍染「おごりが過ぎるぞ浮竹。このようなミスなど誰にでもある」
藍染「今のが私の最後のミスだ」
卯ノ花「縛道の七十七 『天挺空羅』」
卯ノ花「今までの会話はすべて瀞霊廷全域に放映されています。貴方のミスも」
藍染「ギィィイン!」
市丸「すんません。ちょっと斬り方が浅かったみたいや」
ザザッ
砕蜂「そこまでだ!藍染!」
藍染「!?」
涅「お前たちの通ってきた黒腔は封じさせてもらったヨ」
浮竹「諦めろ。二度も我々から逃げられると思うな」
藍染「どうやら君たちは、何もわかっていないようだ」
藍染「君たちがけいおんを求める理由はなんだ?」
ルキア「・・・?」
藍染「せいぜい、キャラが好きだから、曲が好きだから・・・その程度だろう」
藍染「だが私は違う。私の目的は」
藍染「新たなる、『けいおん』の創成」
ズズズズズズ
日番谷「なん・・・だと・・・・?」
浮竹「馬鹿な!けいおんは漫画家やテレビ局やアニメ会社が頑張って作った作品なんだ!
それを楽しむだけでは飽き足らず、新たに創るだと!?」
藍染「そう言ったつもりだが?」
浮竹「地に堕ちたか・・・!藍染!」
藍染「おごりが過ぎるぞ浮竹。最初から誰も天に立ってなどいない。京アニも。TBSも。原作者すらも」
藍染「制作会社はテレビ局やスポンサーに縛られ、原作者は出版社や編集部に縛られる。
互いに足を引っ張り合い、真の意味でけいおんを自由に作れるものなどいないんだ」
藍染「だがその耐え難い天の座の空白も終わる。崩玉と、破面の軍団と、このブルーレイによって」
藍染「これからは 私が天に立つ。自由にけいおんを創る」
檜佐木「東仙隊長!」
狛村「東仙!」
東仙「狛村、檜佐木・・・!」
檜佐木「隊長!俺はわかってました!『怒りに任せた剣などなんの力も持たない』・・・
あれはまさしく隊長の言葉です!」
大前田「わかってても今まで気絶してちゃ意味ねえよな」
狛村「東仙!解せぬ!!正義の道を歩むのではないのか!貴公の正義は何処へ消えて失せた!」
東仙「私の眼には漫画も、アニメも映らない。聴こえるのは声優の声と、歌だけだ」
東仙「私は、けいおんの声優に会いたい。正義は常にそこにある」
狛村「東仙・・・!」
ザザッ
吉良「市丸隊長・・・」
乱菊「ギン、あんたどうしてけいおんなんか」
市丸「ごめんな、乱菊。ボク、やっぱりけいおんに出てくるような若い娘が好きや」
乱菊「・・・っ!!!」
市丸「それに巨乳もそこまで好きとちゃうねん」
市丸「イヅルは・・・まあええか」
吉良「・・・・っ!!!」
市丸「さいなら」
涅「待ちたまえヨ!私がお前たちの通ってきた黒腔を封じたと言ったじゃないかネ!」
浮竹「そうだ!もう逃げ場はないぞ!」
砕蜂「貴様らはここで終わりだ!ブルーレイは返してもらう!」
藍染「・・・あまり強い言葉を遣うなよ。弱く見えるぞ」
砕蜂「なんだと!」
涅「君と愚論を交わす気はないヨ。諦め給え」
藍染「愚論か・・・そうして軽んじるから、君は私の言葉を聞き誤る」
涅「何・・・?」
藍染「私がいつ 『我々の通ってきた黒腔で』 虚圏に帰ると言った?」
涅「なん・・・だと・・・?」
ザザザザ
リン『こちら技術開発局!!涅局長!瀞霊廷内に破面の成体反応あり!!』
涅「なんだって?反応は!?何色だネ!?」
リン『・・・紅色反応・・・!!十刃(エスパーダ)です!!』
涅「馬鹿な・・・場所は詳細な座標を教えたまえ!」
リン『それが・・・隊長達の居る、その場所ですっ・・・!』
ブンッ
ウルキオラ「お迎えにあがりました。藍染様」
日番谷「何者だ・・・っ!」
狛村「砕けた仮面に孔。破面か!!」
ウルキオラ「ここいつらが死神か。存外、間抜け面だな」
更木「あぁ!斬っていいんだよなこいつ!」
浮竹「待て更木、藍染達の確保が先だ!」
ウルキオラ「俺と戦わないことを選ぶのは賢明な判断だが・・・
藍染様達を確保だと?藍染様が何処にいるのか分かっているのか?」
砕蜂「何を言っている!さっきから藍染たちなら目の前に・・・」
シーン
砕蜂「いない・・・だと?」
ウルキオラ「藍染様の鏡花水月の能力は『完全催眠』
貴様らの目の前に映っていたとしても、実際にそこにいるとは限らん」
更木「だったらてめえだけでも・・・!」
ウルキオラ「ふんっ」
ブンッ
浮竹「速い!」
浮竹「くそっ!全員逃したか!」
涅「おい!さっさと奴らの居場所を捕捉するんだヨ!」
リン『はい、ほ、捕捉しました・・・!奴らは・・・隊長達の真上!上空です!』
日番谷「なっ!」
ガバッ
ゴゴゴゴゴゴ
狛村「空間が・・・裂けている」
ルキア「間に合わなかったか・・・」
藍染「さらばた。死神の諸君。君たちがけいおんに掛ける誇り、素晴らしかったよ」
藍染「私の創る『けいおん』を、楽しみにしていると良い」
ブンッ
ルキア「消えた・・・藍染達も、破面も・・・」
ルキア「こうして、瀞霊廷を巻き込んだ大事件の幕は閉じた。お前たちがここでウロチョロしている間にな」
一護「クソッ!よりによって俺達に変装するなんて!」
石田「全く。許せないね」
茶渡「ム・・・」
浦原「面倒な事になりましたねぇー。これからどうします?黒崎サン」
一護「決まってんだろ!!けいおんを取り返す!!」
石田「僕も行くよ」
茶渡「俺もだ」
浦原「そう言うと思いました。準備、してありますよ」
ルキア「やれやれ、分かりやすい奴らだ。私も行くぞ」
織姫「あ!私も行く!なんか違和感あるけど!」
一護「よし!行こうぜ皆!虚圏に!けいおんブルーレイを奪還に!」
「おォ!!」
おわり
ご愛読・保守ありがとうございました。次回作に御期待下さい。
最終更新:2011年07月07日 21:37