部室!
菫「1、2、3、4……今日は奥田さんが来れないからコレで良しっと」
バタン!
純「おぉ!スミーレ!」バッ
菫「あ、おはようございます」
純「君の美しさはまるで月の夜湖に浮かぶ白鳥の様!」
菫「……はい?」
梓「菫、おはよー」
菫「お、おはようございます」
梓「ふぅ」ストン
菫「お茶お淹れしますね」
梓「うん。ありがと」
純「そう!その姿に僕は!って二人して無視!?」ガーン
梓「あ、純居たんだ」
純「教室からここまで一緒に来たじゃん!スルーの仕方が斜め上過ぎるよ!?」
菫「あはは……純先輩もどうぞ」カチャカチャ
純「ありがと。折角スミーレに愛の告白をしようとしたのにスルーだもんなぁ」ズズー
菫「あ、愛!?」
梓「菫も純の冗談に付き合わなくて良いよ。面倒臭いでしょ」フーフー
純「何だとー!そんな事ないよね?スミーレ」
菫「はい!えぇーと、ありがとうございます?」
純「スミーレってば可愛いなぁもう!」ナデナデ
菫「そ、そんな事ないですよ」テレテレ
梓「は~いはい」フーフー
菫「あ、そういえば憂先輩は?」
純「そうだった言うの忘れてた。今日は来れないんだ」
梓「唯先輩と用事が有るんだって」
菫「そうなんですか……」
梓「もしかして、憂の分も用意しちゃった?」
菫「はい。でも」
純「じゃあ憂の分も私も~らい」
菫「そんな、無理していただかなくても」
純「お茶の一杯位なんて事ないよ」
梓「どうせ飲むなって言ったって何杯もおかわりするんだから、純は」フーフー
純「それに私、スミーレのお茶なら何ガロンでもイケるよ?」ゴクゴク
菫「あ、ありがとうございます」
梓「いや、ガロン単位でお茶しないでよ」
純「え~良いじゃん。スミーレおかわり!」
菫「はい、ただいま」
梓「早っ」
純「私はあずにゃんと違って猫舌じゃにゃいからにゃ~」
梓「なっ!私だって飲めるもん!」ゴクゴク
純「あぁもう、そんな飲み方したら」
梓「熱っ!?」ガタン
純「ほら言わんこっちゃない」ヤレヤレ
菫「大丈夫ですか?」
純「だ~いじょぶだいじょぶ」
梓「う~」フーフー
純「我が愛しのスミーレが折角淹れてくれてるんだから、もっと味わって飲んでよ」ズズー
梓「がぶ飲みしてる奴に言われたくない」ズズー
菫「あの、良ければクッキーもどうぞ」スッ
純「おっ、気が利くねぇ。流石私の嫁、偉い!」
梓「遂に嫁扱いしちゃってるよ……」
菫「そんな、恐縮です。お口に合えば良いのですが……」
梓「菫も否定しなよ。純が調子に乗っちゃうから」
純「こんな可愛い子に薦められたモノが美味しくない訳がない。よーし、それじゃあ」
梓「『憂の分もも~らい』とか言って二枚取りしたりしないでよ」ヒョイパク
純「ちっ、バレてたか。ならば仕方ない!……普通に取ろう」ヒョイパク
梓「そうしなよ。ん、美味しいよコレ」モグモグ
純「ホントだ、美味しい美味しい」モグモグ
菫「良かった……」ホッ
梓「そんなに?こんなに美味しいのに」モグモグ
菫「はい。まぁ……」
純「いやいや、全然美味しいよコレ。何てお店の?」ヒョイパク
菫「いえ、それは私が」
純「え?」
梓「もしかして、菫の手作り?」モグモグ
菫「……はい」オズオズ
純「マジで!?」ガタン
菫「は、はい……」
純「へ~、は~、ほ~、ふ~ん……」マジマジ
梓「そうなんだ」マジマジ
菫「あの……お気に召しませんでしたか?」
梓「いやいや、違うよ。ねぇ?」
純「うん。正直こんなに美味しいクッキーが手作りだったとは思わなくて」ヒョイパク
梓「そ。素直に驚いちゃった」
菫「え~っと……ありがとうございます」テレテレ
純「照れちゃってか~わい~」ツンツン
菫「やっ、やめて下さいよ~」
純「よ~し、じゃじゃじゃじゃじゃあ!」
梓「じゃあが多いって」
純「そんなスミーレ嬢に感謝を込めて、……お茶を淹れよう」
菫「へ?いや、先輩のお手を煩わせる訳には」
純「まぁまぁ座って座って」ズズイ
菫「はぁ」ストン
純「えっと、コレでいいんだよね?」
菫「はい。そうですけど……」
純「で、ミルクがこれで……これが……これはなんだ?」カチャカチャ
菫「あの、やっぱり自分で」
純「い~の!スミーレはゆっくりしてて」カチャカチャ
菫「はい。……大丈夫でしょうか?」
梓「菫がお茶淹れるの良く見てるし、大丈夫だよ」
菫「だと良いんですが……」
梓「……多分」
菫「多分!?」
純「こら!私の嫁を不安がらせないの!」
梓「純がそんな事し出すから不安なんだよ」
純「お待たせ致しました菫お嬢様」カチャカチャ
菫「お嬢様……そう呼ばれるのって何だか新鮮です」
純「こちら、ダージリンのオータムナルで御座います」スッ
梓「何それ?」
純「さぁ?」
梓「さぁ?って……」
菫「今日はアッサムのファーストフラッシュですよ?」
純「へぇ、そうなんだ。じゃあソレでございます」カチャカチャ
梓「適当過ぎでしょ」ハァ
純「自分でも言ってて訳分かんないもん」
菫「あはは……専門用語なんてそんなモノですよね」
純「そうそう。『オータムナルって……何?』って思いながら読んでた」
梓「また漫画?」
純「え?あぁうん。執事喫茶の」
菫「執事喫茶?」
純「メイド喫茶の男性版のお店」
菫「はぁ~、そんなの有るんですか」
純「なんかお店によっちゃ完全予約制とかも有るらしいよ?行った事無いけど」
菫「へぇ~」
梓「ドラマの題材にもなったりしてたからそれなりに有名なんじゃないかな?」
菫「ほぉ~」
純「まぁそんな所行く位ならココでスミーレにメイド服着せてお茶入れて貰った方が良いしね」
梓「いや、部室なんだから練習しに来てよ」ハァ
純「手にそんな物持ちながら言われても~」ニヤニヤ
梓「にゃっ!?……ティータイムも大事だから良いの!メリハリつけようって話!」
純「は~いはい。取り敢えずスミーレ、飲んでみてよ」ズィ
菫「はい!」カチャカチャ
梓「横に菫が淹れたのも置いとくね」ズィ
純「なんでよ」
梓「口直しが必要だろうし」
純「なにをー!絶対美味しいって!絶対何処の紅茶より美味しいと思うもん」
梓「何その自信」
菫「まぁまぁ……、ではいただきます」カチャカチャ
純「グイッと行っちゃって!」
菫「ん、……美味しい」
梓「え?ホントに?」
純「ほら!ほら!どうよ梓!」
梓「菫もズバッと言っちゃって良いんだよ?」
菫「いえ、お世辞とかじゃなくて本当に」
純「見たか私の実力!」
梓「信じられないなぁ」
純「むぅ。そこまで言うなら梓にも淹れてあげるよ」カチャカチャ
梓「え~、まぁじゃあ」
純「よ~し見てろ~、目にもの見せてやる」カチャカチャ
梓「なんか怖いな」
菫「美味しいですから、そんな不安がらずに。……あ、出来たみたいですよ」
純「……あずにゃんですね?」
梓「……まぁそうですけど」
純「おめぇはただのお湯」
スパーン!
純「……ちょっとした冗談じゃない」ヒリヒリ
梓「ホントにお湯じゃん」
純「こうやって一回カップを温めてるの。冷たいカップに淹れると温度差で風味が飛んじゃうんだから」ザー
梓「へ~、そうなんだ」
純「まぁ今思い付いた事言ってみただけなんだけど」カチャカチャ
梓「口からデマカセか!」
純「……あずにゃんですね?」
梓「いや、その下りはもう良いから」
純「ちぇ~。はいどうぞ」カチャカチャ
梓「はいどうも……菫震えてるよ?」
純「どしたの?」
菫「いえ……、お二人が突然漫才を始めたものですから……」プルプル
梓「純が勝手にやってるだけだよ」フーフー
純「梓だって乗ってるくせに」
梓「乗ってない」フーフー
純「寂しいねぇ~。ままま、グィッと」
梓「まだ熱いよ……」チビチビ
純「どうよ?」
梓「ホントだ。普通に美味しい」
純「おいしい?うまい?」
梓「うん、うまい」
純「うまい!テーレッテレー!」
スパーン!
純「え?なんで叩かれたの?」ヒリヒリ
梓「なんか言わされたのがムカつく」フーフー
純「何それ理不尽」
菫「クフフ……」プルプル
梓「あぁもう必死でこらえてるよ」フーフー
純「普通に笑ってくれて良いのにねぇ」
梓「別に笑わせるためにやってるんじゃないから」チビチビ
菫「フフフ……ふぅ」
純「あずにゃんですね?」キリッ
菫「ウフッ!……」プルプル
梓「止めたげなって」ベシ
純「もう何でも笑ってくれそうだね」ヒョイパク
菫「はぁ~……」
梓「あずにゃんですね?」キリッ
純「ブフッ!」
菫「もう駄目……アハハハハハハ!」
純「自分で言うなよ!アハハハハハハ!」バタバタ
梓「言っといて何だけどちょっと恥ずかしい」ズズー
純「あ~アハハ……もう良いや。満足」フゥ
菫「お腹痛い……」ハァハァ
梓「っていうか何?今の」
純「梓まだ見てないの?伝説のローカル番組だよ。今新作やっててさ、再びマイブームなのよ」
梓「あぁ~、前に純が薦めてきた奴」
純「そうそう。本当はお湯じゃ無くて氷なんだけど」
梓「何だっけ?『天パが面白いから見てみて』とか言ってたっけ」
純「違う!いや合ってるけど違う!」
梓「まぁ天パだもんね」
純「よ~し、今アンタは全国二千万人の天パの人々を敵に回した」
梓「冗談だって。そんなに怒らないでよ、ゴメンって」
菫「二千万……そんなに居るんですか?」
純「いや、そこは勢いで出した数字なんだけど」
梓「そういえばムギ先輩も『雨の日は大変』って言ってたなぁ」
純「あの人のはくせっ毛でしょ?私の髪とじゃ比べ物にならないよ」
菫「でも私は純先輩の髪型も好きですよ?先輩らしくて」
純「うぇ……?」カァ
梓「何赤くなってんの」
純「ちょっとちょっとお聞きになりました奥さん!私の事好きですってよ!」ヒソヒソ
梓「誰が奥さんよ」
純「いやだってそんな、まだ心の準備が」ヒソヒソ
梓「あぁもう……。ねぇ菫、純の髪型可愛い?」
菫「え?はい、可愛らしいと思いますよ」
梓「だってさ」
純「そんな可愛いだなんて、スミーレには負けるよもう!」バンバン
梓「だから髪だって、ちょっ、痛い痛い!せめて机を叩いてよ」
純「机叩いたりしたらスミーレのお茶とクッキーが危ないでしょ」ヤレヤレ
梓「え?私クッキー以下?」
菫「そんな事無いですよ」
純「先輩のフォローも欠かさないスミーレマジ素敵」
菫「純先輩も素敵ですよ?」ニコ
純「ちょっ……ちょっと奥さん何なのあの子!?私を萌え殺す気!?」ヒソヒソバンバン
梓「だから誰が奥さんよ、って痛いって!」
純「いやもう何だろ、変な汗出て来た」フゥ
梓「はいはい。もうさっさと付き合っちゃいなよ面倒臭い」
純「はぁ!?ななな何言ってんのアンタ!」カァァ
梓「ねぇ菫」
菫「はい、何でしょう」
梓「純の事好き?」
菫「はい。いつも冗談で楽しませてくれますし、一緒にいて楽しいですよ」
純「ちょっと梓!菫も本人の前でそんな事言わない!」カァァ
菫「は、はい!」
梓「純?」ガシっ
純「なによ?」
梓「この際でしょ?聞いとこうよ」ヒソヒソ
純「何の話!?っていうか何も今聞く事ないじゃん!」ヒソヒソ
梓「じゃあ純が居ないタイミングで勝手に聞かれるのと今聞くのどっちが良い?」ヒソヒソ
純「何で梓が聞く前提なのよ!」ヒソヒソ
梓「話の流れで丁度良いじゃん。……知りたくないの?」ヒソヒソ
純「う……あ~……知りたい」
梓「よし!」
菫「あの、先輩?」
梓「あぁ、ゴメンね?純って褒められたりするの苦手だからさ」
菫「はぁ、そうなんですか」
純「うん、まぁ」カァァ
梓「折角だし、馴れるためにも色々言ってあげてよ」
菫「はい、わかりました」
梓「えと、何の話だったっけ?そうだ、純の事好きって話だったよね?」
純「え!?」
梓「なに?」
純「あ、あぁ……そうだったね。勘違いしちゃった」
梓「緊張しすぎだよ純。まぁ良いや、一緒にいて楽しい、だったよね?」
菫「そうですね。今日も嫁とか言われて驚きましたけど、いつもの冗談だし楽しもうって思って」
梓「え?」
純「へ?」
最終更新:2011年07月18日 02:19