Ch.060 懐かしい場所
「ただいま」
「おかえり」
久しぶりの我が家へ帰るとお母さんが出迎えてくれた。
「もうすぐご飯出来るから」
「うん、荷物置いてくるね」
二階へと上がる階段もやたら小奇麗な私の部屋も、懐かしいようないつも使っているような不思議な感じがする。
カレンダーを見るとちゃんと5月になっていて少し嬉しい。
ありがとうお母さん。
お母さん、お母さん、お母さん。よし。
今回はゴールデンウィークを利用しての帰省だけど年末やお盆よりもゆっくり出来るかな。
私は高校を卒業してから都会の大学へ進んだ。
今は大学の寮で暮らしている。
こうして地元に戻ってくるのは年に四回くらいだ。
やっぱり実家は落ち着くなあ。
お母さんとお父さんがいるから。
家事も少しは手伝うけど一人でやるよりずっと楽だし。
後は何と言っても久しぶりに律やみんなに会える事が楽しみでしょうがない。
確か律も帰って来てるんだよな。
みんなと会うのは明後日だから明日一日は暇なんだよな。
家にいてのんびりするのもいいけど久々の地元だし散歩でもしようか。
ここ数年まともに地元を歩いてないし丁度いいかも。
行きたい所を考えているとお母さんが呼びにきてくれた。
朝起きると自分の部屋の天井が見える。
まだ少しだけ昨日の不思議な感覚が残っていた。
カーテンと窓を開けると外は良く晴れていて絶好の散歩日和だった。
こんなにいい天気だけど暑すぎないしそよ風が吹いてる。この季節は散歩にもってこいだな。
朝食と出掛ける準備を済ますと早速散歩に出掛けた。
いくつか行きたい場所を決めてそれを線で結ぶと大まかな散歩コースが出来上がる。
ちなみに最初の目的地は家からすぐ傍にある律の家だ。
外から眺めるだけだけど。
うん、帰ってきたって感じがするな。
地元を離れてたったの数年、それも年に何回か帰ってきてるはずなんだけど郷愁が……。
まあいいか。
それがあるから散歩してて楽しいんだし。
そんな事を考えていると河原に差し掛かった。
ここで昔よく律と遊んだなあ。
この先の公園でも遊んだし、そのまた先の駄菓子屋でも遊んだ。
駄菓子屋まで行ってみると看板が外されていた。どうやら閉店してしまったらしい。
最後に来たのは何年も前だったな。
一度離れてみるとよくわかる。
地元は思い出の場所だらけだ。
その場所に来れば何かしら思い出す事がある。
それが嬉しい。
良く知る地元だからこそ違いにも気付く。
それがちょっぴり寂しい。
次に目指したのは桜高だ。
元々古い学校だけど今でも現役らしい。
そういえば卒業してからは一度も中に入ってないな。今度みんなで訪問したいな。
さて、ここまで来たら後は商店街を通って帰ろうかと思っていたけど……。
私は桜校の先が気になっていた。
地元にいた時は殆ど向こうへ行ったことが無い。
だから気になる。
うーん……。
どうせ今日は暇だしちょっと探検してみようかな。
何だかわくわくするし。
私の散歩は探検へとグレードアップした。
最初の方は昔マラソン大会で走った記憶のある道だった。
それから暫く歩くと隣町に差し掛かる。
今だと道を歩いてても大体どこだかわかるもんな。
小学生の頃だったら新しい場所に目を輝かせていたかもしれない。
……いや、私一人だったら怖くてここまで来れなかっただろうな。
昔の自分を思い出してちょっと情けなくなる。
あ、律が一緒なら大丈夫そうだ。
……いや、どんどん先を行く律に不安を感じるかもしれない。
どの道駄目じゃないか。
ここは今だから来ることが出来る場所かもな。
はじめて来たのに懐かしい。
こんなおかしな感覚が味わえるのは地元ならではかもしれない。
県を越えて生活しているお陰で私の中の『地元』は範囲が広がったらしい。
そろそろ方向転換しようかな。
あんまり真直ぐ進み過ぎると帰りが大変だ。
あ。
このラーメン屋はうちの近くにもあったな。
昔家族で食べに行った記憶がある。
その系列店みたい。
懐かしいけど一人で入る勇気はないです。
カフェとかだったら一人で入れるけど思い出のカフェなんてないしなあ。
あれ。
この中華料理店見たことあるかも……?
そうだ、昔家族で食べに来た事がある店だ。確か車で来てたっけ。
そっか、こんなところにあったんだ。
子供の頃は車に乗って来た場所は別世界だったから、まさかこんなところにあるとは思わなかった。
もう味は殆ど忘れちゃってるけどこのお店の水餃子がすごく美味しかった記憶がある。
テイクアウトも出来たはず。
閉店さえしていなければ買って行ったのに。
もう食べられないのか……残念だな。
この道を行けば家に着ける。意外と楽しかった探検ももうすぐ終わり。
次帰って来た時もまたやろうかな。
そんな事を考えていると電話が鳴った。
律か。
「もしもし」
『澪暇?』
お帰りとか言えよ。いい感じにたそがれてたのに。
私もお帰りって言ってやらない。
でもまあ。
「暇って言うかどこか行きたい気分なんだけど」
『んじゃ出掛けよう! 準備出来たら家来てよ』
「今外なんだ。駅で待ち合わせにしないか」
『りょーかい! 着いたら連絡な』
「わかった」
少し寂しい気持ちが和らいだ。
ていうかこんな気持ちになるのはもうちょっと先でもいいかもしれない。
私はほんの少し律に感謝してから駅に向かって歩を進めた。
END
Ch.061 節制!
律「一人暮らしをしてて食費がこんなに掛かるものだとは思わなかった」
律「てか何で先月より2万円も増えてるんだよ!」
律「外食はそんなにしてないし……酒も大して飲んでない……」
律「ってことはそれだけ食べる量が増えたのか?」
律「でも自分でそんなに食べている記憶がない……」
律「やばくね、私」
律「溜息をつきながら私は……」
律「冷蔵庫から牛乳を取り出して飲んだ」
律「ゴクゴク……ん?」
律「この牛乳腐ってやがる!」
律「うげ、腹が……」
律「その後私は下痢が止まらず死んでしまった」
END
Ch.00B tea break II
律「はぁー」
梓「律先輩。今の話を聞いてちょっと話したい事を思いつきました」
律「そう? じゃあ次は梓な」
梓「わかりました。タイトルは」
梓「羽音」
律「やめろ」
梓「え?」
律「マジで澪が泣くぞ」
澪「ん?」
梓「あ、すいませんつい……」
唯「ふんっ、ふんっ」
紬「唯ちゃん筋トレ頑張ってるね」
唯「私が言い出しっぺなのにやらないわけにはいかないしね。それにいい感じに痛くなってきたよ~」
tea break
Ch.062 紬「布団は掛けられた」
紬「ここがお客様用のお部屋でーす」
律「この部屋もでかいなー」
澪「すごい……ん?」
梓「ムギ先輩」
紬「なあに?」
梓「この巨大な布団のようなものは何ですか?」
紬「布団よ~」
唯「おっきーい!」
紬「この布団でみんなと一緒に寝ようと思って」
律「これ布団なの? 10メートル×10メートルの布団とか聞いたこと無いぞ」
唯「じゃあ私はここ!」
律「私はこっちだ!」
梓「ここにします」
澪「……ここで」
紬「私はここ~」
唯
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□□□□□□□□□□
紬□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□律
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□□□□□□□□□□
澪□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□
梓
律「これって……喋れなくない?」
唯「りっちゃん何か言ったー!?」
律「いや別に」
唯「えー!? 聞こえなーい!」
律「なんでもないー!」
唯「そっかー!」
澪「これはおかしいだろう……」
紬「楽しくない?」
澪「えっ、いやあ、なんだか不思議な気分」
紬「そうよね~」
梓「なんだろう、ちょっとさみしい」
唯
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□□□□□□□□□□
紬□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□律
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□□□□□□□□□□
澪□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□
梓
律「それじゃあ!」
紬澪梓律唯「おやすみなさーい!」
律「……」
律(……なんちゃって)モゾモゾ
律(こんな布団で寝ることなんてほぼないからな。せっかくだから楽しもう)
律(さーて、とりあえず澪の所までもぐって行ってちょっかい出してこよ)
唯
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□□□□□□□□□□
紬□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□
□□□□□□□律□□
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□□□□□□□□□□
澪□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□
梓
律「……へへへ」
律(おっと、わくわくしすぎて声が出てしまった)
律(澪、今行くからな!)モゾモゾ
唯
□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□
紬□□□□□□□□□□
□□律□□□□□□□
□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□
澪□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□
梓
唯(んーまだ眠くない……)
唯(そうだっ)モゾモゾ
唯(あずにゃんにちょっかい出しに行こう)
律(確かこの辺だったよな)
律(あっ)
紬「ふえっ?」
律(これ澪の足だな。さてと、どうしてやろうかな)ニヤニヤ
紬(気のせいかな)
□□□□唯□□□□□
□□□□□□□□□□
紬律□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□
澪□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□
梓
律(真っ暗でよく見えないな……とりあえず)モニュ
紬「っ!?」
律(おお~流石みおっぱい。確かな弾力……うらやますぃ)
紬(えっ誰?)
律(……なんだかむかついてきた)モミモミモミモミ
紬「んっ……誰?」
律(あれっ!? この声はムギ?)
律(やべー間違えちゃった。ここは離脱するか。さらばムギ)
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□□□□唯□□□□□
紬□□□□□□□□□□
□律□□□□□□□□
□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□
澪□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□
梓
紬(……)ドキドキ
紬(……あれ? いなくなっちゃった。誰だったのかしら)
紬(まだ胸がドキドキしてる……よし、探しに行こう!)モゾモゾ
紬(こ、今度は私も……はふう)
□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□
紬□□□唯□□□□□
□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□
□律□□□□□□□□
□□□□□□□□□□
澪□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□
梓
唯(暗くてどこに向かってるのかよくわからないや)
唯(っていうかあずにゃんてどこで寝てたっけ?)
紬(まだ遠くへは行っていないはず)
紬(あ、布団の擦れる音がする……近い)
唯(えっと……もうすぐ反対側に出ると思うんだけどな)
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□□□□□□□□□□
□□紬□唯□□□□□
□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□
□律□□□□□□□□
澪□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□
梓
紬(いたっ!)
唯(……ん?)
紬(さっそく)ぎゅう~
唯「ふえっ!?」
紬(この声は唯ちゃん! 私の胸を揉んだのは唯ちゃんだったのね)
唯「んっ……だれっ……あっ」
唯(誰なのっ!?)
□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□
□□□□紬□□□□□
□□□□唯□□□□□
□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□
□律□□□□□□□□
澪□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□
梓
律(確かムギの隣が澪だったよな。うっひっひ)
唯「ちょ……待って」
紬(もうとまらなーい)モミモミモミモミ
唯「やっ……んぁ……」
□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□
□□□□維□□□□□
□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□
澪律□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□
梓
律(ここだな)
律(これより作戦を開始する)モミ
澪「ひっ!?」
律(あーこれだよこれ。今度こそ澪だ。私がみおっぱいを間違えるわけない)
澪「ちょっ、やめろお~!」
律(おお……なんという揉み心地)
澪「律か? 律なんだろ?」モゾモゾ
律(うお、潜って来た! しかしばれるの早いな……何故だ?)
澪「……怒るぞ」
律(やばい……澪の「怒るぞ」は既に怒っている証拠だ)
律(とりあえず正体がばれる前に逃げよう! 今なら証拠不十分で不起訴だぜぃ)
□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□
□□□□維□□□□□
□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□
津□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□
梓
唯(と……とにかく逃げよう。身の危険を感じる)
紬(……あっ唯ちゃんが逃げちゃう! どうして?)
最終更新:2011年07月22日 22:39