――――
律「……」スースー
梓「そろそろチャイム鳴りますよ」
律「……」
梓「もう、仕方ないですね」
律「……」
梓「……」
梓(不真面目で怠け者で、口の悪い先輩)
梓(それでも私が惹かれたのは、時々優しい所があるから)
律「……」
梓「……」
梓(ぐうたらなようで案外頑張りやで、冷たいようで優しくて)
梓(気配りが利くようで、実は鈍感……)
梓(いつになったら私の気持ちに気づいてくれるのかな)
律「……」スヤスヤ
梓「……」ジー
律「……」
梓「りーつ」
律「……」
律「……」
梓(えへへ。普段は呼び捨てなんかできないもんね)
梓(ひざ枕と目覚まし係のお代です)
律「……」
梓(……)
梓(いつか、名前で呼び合えるような関係になりたいな)
梓(それにしても本当にいい天気)
梓(風通りがよくて、適度に涼しくて。私まで眠くなっちゃう)
梓(律先輩が授業サボってまで屋上にいたいってのも分かるな)
律「……」
梓「」ナデナデ
律「ん~……」
梓「くすくす」
梓(私も屋上が好きですよ)
梓(こうやって空を見ていたら、嫌なことがあってもどうでもよくなっちゃうし)
梓(このほわほわした穏やかな時間も大好きだし)
梓(それに……)チラッ
律「……」スースー
梓「……」
梓(……雲に一番近いから)
律「ん~~」
律「あれ、今何時だ」ムクリ
律「……六限入ってんじゃん」
律「梓、起こせって言った……」
梓「むにゃむにゃ」
律「……」
律「目覚まし時計が寝てどうすんだよ」
梓「……」スヤスヤ
律「たくっ、しゃあねえの」
梓「……」ゴロン
律「……」
律「無邪気に眠りやがって」
梓「……」
律「はぁ~、こりゃさわちゃんに大目玉食らうな」
さわ子「よく分かってるじゃない」
律「」
さわ子「こんな所で何してるのかしら?」
律「いつからいたんだよ」
さわ子「ついさっき。見回りにね」
律「ちっ……」
梓「……」スースー
さわ子「こんな可愛い子にひざ枕できて、いいご身分じゃない」
律「うっせーし」
さわ子「何よ、弁当箱出したまま」
律「昼飯食べてたんだよ」
さわ子「てことは昼休みからここにいる訳?」
律「まぁ」
さわ子「呆れた。こんな暑い日に」
律「日陰だから大丈夫だよ」
さわ子「授業はどうしたの?」
律「……」
さわ子「サボった訳ね」
律「……」プイッ
さわ子「あなた受験生でしょう」
律「受験するって決めてないし」
さわ子「じゃあ就職するの?」
律「さぁ」
さわ子「あのねぇ」
律「……」
さわ子「私はりっちゃんがどの道に行こうと応援してあげるけど」
律「……」
さわ子「まずはそれを決めてもらわないと、応援もできないじゃない」
律「……」
さわ子「とにかく、早く決めなさい」
律「分かってるよ」
さわ子「本当に分かってる?」
律「あーもう! 本当だって」
さわ子「……」
さわ子「そんなことでその子を養っていけるの?」
律「なっ!?」
さわ子「あら、図星だったかしら」
律「違うわい!」
さわ子「顔真っ赤になってるわよ」
律「ひ、日焼けだよ!」
さわ子「ふぅん」
律「大体、バンドメンバーで、しかも後輩に! んなことある訳ないだろ!」
さわ子「そんなに必死になっちゃ肯定してるようなものよ」
律「うぐっ」
梓「……」スヤスヤ
律「……誰にも言うなよ」
さわ子「そんな野暮なことしないわよ」
律「……」
さわ子「青春ね」
律「うっせ」
さわ子「伝えないの?」
律「女同士なんておかしいし」
さわ子「そんなの関係ないじゃない」
律「……」
さわ子「私は応援するわ。きっと、みんなも応援してくれるはず」
律「別にいいよ、そんなの」
さわ子「あらそうかしら」
律「……」チラッ
梓「……」スースー
律「梓にとっちゃ、私はただの先輩だから」
さわ子「……」
律「変なこと言って困らせたくない」
さわ子「そっか」
さわ子「りっちゃんはそれでいい訳?」
律「……」
さわ子「私には逃げてるだけに見えるんだけど」
律「さわちゃんには関係ないだろ」
さわ子「確かに私に口出しする権利なんてないわ」
律「……」
さわ子「ただ、軽音部の顧問として……あなたの担任として一つだけ言わせて」
律「?」
さわ子「どうして真面目な梓ちゃんが授業サボってまでここにいるのかしらね」
律「よっぽど屋上が好きなんじゃねーの」
さわ子「……」ハァ
律「何だよ」
さわ子「こりゃ筋金入りだわ」
律「何がだよっ」
梓「……」スースー
律「」ナデナデ
梓「ん~」
さわ子「可愛いわね」
律「……」
さわ子「私も」ソー
律「触んな」
さわ子「おーこわ」
律「……」
さわ子「ま、もっとちゃんと考えることね」
律「……」
さわ子「あなたは将来何になりたいのか。梓ちゃんとどうなりたいのか」
律「……」
さわ子「たくさん悩んで納得のいく結論を出しなさい……進路も恋愛も」ヨイショ
律「帰るの?」
さわ子「私は仕事があるの」
律「そっか、大変だ」
さわ子「ええ、誰かさんみたいな不良生徒のせいでね」
律「そりゃどうも」
さわ子「早く授業に戻りなさいよ」
律「……」
梓「……」スヤスヤ
さわ子「……期待はしないけど」
さわ子「あ、それから」
律「?」
さわ子「放課後、職員室に来るように」
律「へいへい」
さわ子「それじゃね、ご両人」
律「ちっ……」
律「……」
梓「……」スヤスヤ
律「なあ、梓」
梓「……」
律「どうしてお前は私につきまとうんだよ」
梓「……」
律「こっちの気も知らないでさ」
律「梓?」
梓「……」
律「」チョイチョイ
梓「……」スースー
律「ん。寝てるな」
梓「……」
律「好きだよ」
梓「……」
律「寝てるときなら言えるんだけどなぁ」
律「お前とどうなりたいかなんて、そんなもん決まってる」
梓「……」
律「でも……」
律「私はお前とこうしてるのが好きだから」
梓「……」
律「想いを伝えて、この時間がなくなるのが恐いんだ」
梓「……」
律「だから、この気持ちは胸に閉まっとく」
梓「……」
梓「……」ムニャ
律「たくっ、幸せそうに寝やがって」
梓「……」
律「わがままで腕白で」
律「明るくて笑顔が絶えなくて」
律「……ホントお前は可愛い後輩だよ」
梓「……」
律「卒業するまででいいからさ」
律「こうやって、側にいてくれ」
梓「……」
梓「……リーツ」
律「」ビクッ
梓「ムニャムニャ」
律「寝言かよ」
梓「……スキ」
律「!?」ギクゥ
梓「……」
律「」ドキドキ
律「すーっ、はーっ」
梓「……」スヤスヤ
律「ふーっ」
梓「……」
律「何言ってんだこいつは」
梓「……」
律「……」ジー
梓「……」スヤスヤ
律「……」
『どうして真面目な梓ちゃんが授業サボってまでここにいるのかしらね』
律「……」
律「そんなの、ありえねーし」
律「……」
梓「……」
律「雲の流れが速いなぁ」
梓「……」
律「……」
律「放課後までには起きてくれよ」
梓「……」
律「まぁ、ずっとこうしてるのもいいけどさ」
梓「……」
律「……」ナデナデ
梓「……」
梓(……律先輩)
End
以上です
書きたかったのはへたれりっちゃんと一途で健気なあずにゃんでした
本当はもう少し短くまとめるつもりだったのですが……
次はもっとアホっぽい二人でコメディ系のssをやれたらなと思いつつ
ここまでお読みいただきありがとうございました
最終更新:2011年07月23日 01:41