丘の上

律「ふう、ついたな」

紬「確かこのあたりで反応したわ」

和「つけてみるわ」

カチ ザーザー ザー コチラ

律「!! 聞こえた!」

紬「もうちょっと聞き取れるようにできない?」

和「ちょっとまってて」 カチ カチ

ザーザー ザ、コチラハ、ザザー、オウトウセヨ!

律「はっきりしてきたぞ!」



コチらは、オーシャニック518便捜索隊、生存者はこの通信を聞いたら応答せよ
こちらは、オーシャニック518便捜索隊、生存者はこの通信を聞いたら応答せよ
こちらは、オーシャニック518便捜索隊、生存者はこの通信を聞いたら応答せよ



律「よっしゃあああ!捜索隊だ!」

和「同じ音声を機械的にずっと流してるみたいね」

紬「それより早く返信を!」

和「ええ、こちらはオーシャニック518便の生存者です!助けてください!」

ザザー・・・ピーーーー

律「どうしたんだ・・・」

和「たぶん、自動的の音声を送り続けて
  応答が来たら人につながるようにプログラムされてるんだわ」


ザザザザ・・・ピーーー

律「まだかな・・・」

さわ子「その無線に出ちゃダメ!!!」

律・紬・和「!!!!」

さわ子「奴らからの更新を受信したという報告を受けてきたけど・・・
    あなたたちも受信したのね」

律「お前・・・!どこから湧いてきた!」

和「やつらって・・・誰のこと?」

紬「なんで出ちゃダメなの?」


さわ子「奴らは危険な敵だからよ・・・」

律「だから奴らって誰なんだよ!」

さわ子「説明してもいいけど・・・さきにその無線を渡してちょうだい」

律「ふざけるな!そんなことして私たちに何の得・・・が」

さわ子「お願い」

さわ子は銃を構え3人に向けた

律「おいおいおい・・・冗談だろ」

紬「本物なの・・・?」

さわ子「本物よ」


和「二人とも・・・従った方がいいわ・・・」

さわ子「無線機を渡してくれたら、すべてを説明する。約束するわ」

律「あんたなんかを信じれると思ってるのかよ・・・」

さわ子「お願い・・・撃たせないで」

紬「りっちゃん・・・」

律「・・・わかったよ!勝手にしろ」

さわ子「ありがとう。これは預かっておくわ」

和「これで、すべて教えてくれるんですよね?」

さわ子「ええ、ついてきて。」


さわ子「着いたわ。ここよ」

律「・・・これは」

和「地面にハッチが・・・」

紬「森の中にこんなものが・・・」

さわ子がハッチを開けると、地下まで梯子が伸びていた

さわ子「さあ、入って」

さわ子が梯子を下りていく

律「ここまで来たらいくしかないな。私が先頭で降りるよ 
  二人とも、戻ってもいいからな」

和「何言ってるのよ」

紬「私も入るわ」


ガタンガタン

律「薄暗いな・・・中は」

さわ子「3人とも降りてきたわね。こっちよ。」

ガチャン

和「これは・・・」

4人が入った部屋の中ではコンピューターや計器のようなものが大量に動いていた

紬「すごい・・・」

律「なんなんだよここ・・・」

さわ子「ここは島の重要施設のひとつよ・・・。」


さわ子「この施設の役割は島の磁場の制御。」

律「なに?どういうこと?」

さわ子「んー。どこから説明したものかしらね・・・。まずはこの島が特別であるってことを
    理解してほしいの」

和「どう特別なんですか?」

さわ子「この島の内部には・・・超強大な磁場が渦巻いてるの。」

律「またよくわからないことを・・・」

さわ子「あなたたちの中で墜落の時に怪我をした人はいる?
    異常に早く怪我が回復したはずよ」

紬「私の足・・・!」

さわ子「詳しくは私もわからないんだけど、島の強力な磁場が
    人間の血行を良くして人体の機能が島にいるときだけ高くなるらしいわ」

紬「・・・」

さわ子「そしてこの島の磁場は、数週間に一回大規模な爆発のようなものを起こす。
    一瞬だけ一気に磁場が増大するの」

さわ子「計算によると、その瞬間の磁場は島を自ら破壊し、
    地球規模で影響を残すほど強力。」

さわ子「この施設は、磁場が増大するその瞬間、それを超える力で磁場を押さえつけているの。」

律「よくわかんないけど・・・この施設が地球を守ってるって言いたいのか?」

さわ子「簡単にいえばそうね」


律「ばかばかしい・・・」

さわ子「この増大の周期と規模は、今の磁場を観測することであらかじめ予想ができる。
    観測してるのはこことは別の施設だけどね。」

さわ子「そして最近、過去に例を見ない規模の磁場の増大が予想されたの。
    この施設の力で抑えても、ほんの僅かだけ磁場が放出されてしまう」

さわ子「僅かといっても、十分強力な磁場よ。
    例えば、近くを飛んでいる飛行機の計器を狂わせて墜落させるくらい・・・」

律・紬・和「・・・まさか」

さわ子「そう。あなたたちの飛行機は島の磁場のせいで墜落したのよ」


さわ子「増大の日とあなたたちの修学旅行の日が同じだとわかり、
    私たちはそれを島の意思と判断して準備を行ったわ」

さわ子「パイロットや乗務員はすべて我々の息がかかった者にし、墜落の時脱出させた。
    海に落ちた生徒を救出する準備も整えた。私は島に来た生徒の中に潜入するために
    待機し、飛行機の墜落を確認したらそこに向かった・・・」

さわ子「飛行機が2つにわかれて墜落することは予想外だったから、
    もう片方には向かえなかったけどね」

さわ子「どうやら私が行ったのとは逆の墜落現場の方が人がだいぶ多いと知って、
    和ちゃんたちの側の観察は早めに終了して私は片方に向かうということになったの」

和「だから生徒をさらったんですか?・・・というか観察って?」


さわ子「先に言っておくけど、さらった子たち、私たちは保護と言いたいんだけど、
    その子たちは全員無事に送り返したわ。前後の記憶は多少失ってるけどね。」

さわ子「観察というのは、単刀直入に言うと・・・
    私たちの新しい仲間にすべき人物を見極めること」

律「・・・!」

さわ子「墜落した子たちの観察で、数人に絞るって決めていた。人数的には後部側からは
    一人選べれば十分。つまりあなたを選んだのよ・・・和ちゃん」

和「そんな・・・私が」

さわ子「本当は後部には和ちゃんだけ残すつもりだった。ただ澪ちゃんが
    和ちゃんから離れなかったから二人残ったの。」


さわ子「そのあと私は前部のほうに合流して同じように潜入するつもりだった。
    まさかあなたと澪ちゃんが合流してるとは思わなかった」

和「ちょっと待って・・・!まだ肝心なことを聞いてない!
  あなた達の正体と”奴ら”っていうのが誰なのか!」

さわ子「私たちは・・・島の守護者よ。代々、あなた達の桜高を含め
    いくつかの学校の出身者によって構成されているの。」

さわ子「通常は、生徒の在学中にその生徒の適性を見極め、年に何人かスカウトする。
    今回は島の意思によって適性の見極め方が違うけどね」


さわ子「そして奴らは・・・島の力を悪用しようとする者たち」

律「悪用って・・・どうするんだよ」

さわ子「この島の強大な磁場は、ものすごいエネルギーを秘めている。
    軍事利用すれば莫大な力と金が手に入るわ・・・」

和「そうやって島を狙ってるのが”奴ら”で、あの無線の相手なんですか」

さわ子「そうよ。」

紬「その人たちは一体誰なんですか?」

さわ子「紬ちゃん。辛いと思うけどしっかり聞いて」

紬「え・・・?」

さわ子「奴らというのは”琴吹グループ”。島を狙っているのは紬ちゃん、あなたのお父さんよ」



……

唯「澪ちゃん・・・遅いね・・・和ちゃん達」

澪「・・・うん」

唯「無線、つながったのかなあ?」

澪「わからないよ。でも・・・遅すぎる気がするな」

唯「そうだね~ちょっと心配だね」

澪「もう少したったら丘に行ってみるか」

唯「澪ちゃん!森の中平気なの?」

澪「いや・・・こわいけど、それよりも大切なことがあるだろ」

唯「澪ちゃん・・・あれ」

澪「どうした?唯」

唯「ほら、遠くの海・・・あれ船じゃない?」

澪「・・・!本当だ!遠いけどあれは船だ!」

唯「お~い!お~い!」

澪「お、おーい!」

さわ子「・・・大変だわ!奴らの船が近くまで来ているという連絡が!」

紬「・・・そんな・・・お父様が・・・そんな・・・」

律「ムギ、落ち着け、な?」

さわ子「やつらは島の情報を絶対に外部に漏らす気はないはず!
    私たちもあなた達も皆殺しにされてしまうわ!
    く、一回の交信ですぐに場所を捜し出すとは・・・やつらの技術をなめてたわ」

和「あなたの話が本当だとしたら・・・私たちはどうすれば?」


さわ子「こうなったら・・・今すぐ浜辺のみんなをこのハッチの中に避難させるのよ!」



浜辺

唯「おーい!おーい!・・・あ!船からヘリコプターが出てきた!」

澪「私たちを助けにきてくれたんだ!おーい!」

ババババババババババババ

唯「おーい・・・ってあれ?上を通り過ぎて行っちゃったよ!?」


♯「1号機より本船・・・。現在島の上空。例の発信器の範囲内に入った模様」

♯「1号機、了解」


律「避難させるって・・・」

さわ子「早く浜辺に行くのよ!奴らに友達が殺されていいの?!」

紬「・・・・」

さわ子「だから急いで・・・」

ドウン!

さわ子「う・・・」

銃声とともにさわ子は床に倒れこむ。床はすぐに赤い血で染まった

紬「きゃあ!せ、先生!・・・え」

紬は先生の奥で銃を構える人物を見た

紬「うそ・・・さ、斎藤?」

そこにいるのは琴吹家の執事、斎藤だった

律「斎藤って・・・ムギん家の執事だよな・・・?」

和「じゃあ・・・やっぱり紬の父親が関わっているの?」

斎藤「紬お嬢様。御無事で何よりです」

紬「斎藤・・・あなたなぜここがわかったの・・・?」

斎藤「お嬢様のそのブローチ。修学旅行の前にお父様がプレゼントされたものですね。
   そこには発信機が入っているのです。」

紬「・・・!」

斎藤「といいましても受信できる範囲は狭いですけどね・・・おっとしゃべりすぎましたな。
   お嬢様、ヘリと船をご用意しております。帰りましょう」


紬「このあと・・・この島とみんなはどうなるの・・・?」

斎藤「それは・・・聞かない方がよろしいかと」

紬「この島にいる全員を助けて。」

斎藤「残念ですが、この島の存在は・・・誰にも知られてはならないのです」

紬「殺すっていうこと?」

斎藤「・・・」

斎藤「・・・いいでしょう。では、そちらの二人のご友人はご一緒にヘリで脱出しても
   かまいません」

紬「まあ。ありがとう。」

紬「でも、それだけじゃだめだわ。私は全員を助けたいの。」

斎藤「お嬢様・・・それ以上は私がどうにかできることではありません!」

紬「・・・そう」カチャ

律「・・・!おいムギ!」

紬は倒れているさわ子の懐から銃を取り出し自分に向けた

斎藤「お嬢様!何を!」

紬「あなたがどうにもできないなら、お父様に今すぐ会わせて!」

飛び立つヘリの中

斎藤「お嬢様、どうか銃を捨ててください・・・」

紬「いやよ。お父様が全員を助けると約束するまで
  絶対離さない。もし誰かを島に入れたりしたら自分を撃つわ」

律「無理すんなよ・・・ムギ。」

紬「一緒に来てくれてありがとう。りっちゃん。」

律「和はみんなに状況を伝えて念の為に避難させるって残ったけど、
  避難できるところがあればいいんだけど・・・ハッチの場所は割れてるし」

紬「みんなを信じましょ。それに私が成功すれば問題ないわ。ごめんねりっちゃん、
  付き合わせちゃって・・・本当は島に残りたかったでしょ?」

律「何いってんだって!一人で戦うのは心細いだろ?」

紬「ありがとう・・・私絶対成功させるから。」

ヘリが島を離れてゆく

澪「ヘリが今度は離れてく・・・!」
唯「おーい!おーい!」




唯「LOST!」第1シーズン おわり



最終更新:2010年01月21日 01:55