「ふう~、やっと着きました」
「やっとだね、あずにゃん」
「やっとだね、じゃありませんよ。ゆい先輩のせいじゃないですか」
「そうだっけ?」
「とぼけないで下さいよ。あれはたしか・・・・・・・・」
~回想~
「この道をまっすぐですね」
「チッチッチ、こっちの方が近いんだよ、あずにゃん」
「え、でも、地図によれば、こっちだって」
「私はポケモンなんだよ、野生の勘を信じなさい」
「仕方がありませんね。じゃあ、こっちの道で」
~回想終了~
「で、結局、迷って、ようやく、ついたんじゃないですか」
「そうだったね」
「うう~、お風呂入りたい。一週間も入ってないんですから」
「あずにゃん、汚いよ~」
「誰のせいですか」
「えへへ~」
「ほめてませんよ」
「そんなことよりも、一緒にお風呂入ろうね、あずにゃん」
「まったく、のんきですね、ゆい先輩は。・・・・・・・・・・さて、まずはポケモンセンターっと」
幸いにもすぐに見つかりました。早く、回復させて、ホテルか何かで、シャワーでも浴びたい。
「こんにちは、こちら、ポケモンセンターです」
「この子の回復をお願いします」
「はい、お預かりします。随分変わったポケモンですね」
「ええ、まあ」
「あら、随分汚れてますね。シャワーも使えますがどうしますか?」
「え、そうなんですか?」
最近のポケモンセンターは便利ですね。
「じゃあ、ゆい先輩を預けてる間に浴びてこようかな」
「え~、駄目だよ、約束してたじゃん。一緒におふろ入ろうって」
「回復する時に洗ってもらえばいいじゃないですか。出来ますよね?」
「はい、出来ますよ」
「じゃあ、それで」
「ぶ~ぶ~。あずにゃんの嘘つき。約束したのに。ぐすん」
「分かりましたよ。回復するまで待ってます」
「本当?わ~い、ありがとう、あずにゃん」
「じゃあ、お願いします」
「はい。少々お待ち下さい。出来ましたら、お呼びしますので、この番号札をお持ち下さい」
番号札を持ち、そこらへんにある、いすに座ります。早く、シャワー浴びたい
「あら、梓ちゃん」
「ん?ムギ先輩!!久しぶりですね」
「久しぶりっていっても、まだ、1週間よ」
「そうなんですけど、とっても、長く感じたので」
「そうなの?で、何匹くらいポケモンをゲットできたの?」
「それが……」
~回想~
「あそこにポッポがいますよ」
「ほんとだね」
「じゃあ、ゆい先輩。歌って眠らせてください」
「ん? どうして?」
「ゲットするからですよ。当たり前じゃないですか」
「え~。ゲットしなくてもいいよ~。だって、あずにゃんには私がいれば十分だもん」
「何、訳分かんないこと言ってるんですか。いいから、早くしてくださいよ」
「分かったから、怒らないでよ。でも、無駄だと思うよ」
「どうしてです?」
「だって、あずにゃんが大きい声出すから、逃げちゃったよ」
「あ・・・・・・」
「コラッ」
「あ、コラッタが現れました。さあ、ゆい先輩、出番ですよ……ってあれ」
「わ~ん。怖いよ~」
ピョコピョコ
「って、逃げないで下さいよ!」
~回想終了~
「という訳で、まだ、1匹も」
「そ、そう。そういえば、今、トキワジムにはジムリーダーがいないから、行っても意味ないわよ」
「そうなんですか。ありがとうございます」
「いいのよ~。じゃあ、また、いつか会いましょうね」
「はいっ」
その後、私の番号が呼ばれ、ゆい先輩を引き取り、シャワー室へ。お風呂に入りたいけど、
無料だから、我侭言ってられませんよね。
「わ~い、あずにゃん、早く行こうよ~」
「はいはい」
私は、シャワー室に入り、シャワーを浴びます。ふう~、生き返りますね。
「あずにゃん、髪の毛洗ってよ~」
「はいはい、今やりますよ」
私はゆい先輩を洗いながら、考える。この先、どうしよう。早く、何かポケモンをゲットして、
ゆい先輩を預けた方がいいのかな?でも、ゆい先輩も弱いわけではないんだよね。
この前の戦いを見ても、きっと、とっても強いんだろうし。本当にどうしようかな?
「ジー」
「? どうしたんですか?」
ゆい先輩は私の問いかけにも答えず、手を伸ばしました。
「ぺタぺタ。モミモミ」
「なっ。ど、どこを触ってるんですか!」
「なんか、小さいね。博士の助手さんに入れてもらってた時は、皆、大きかったのに。あ、でも、とっても可愛いよ。
う~ん、癖になりそう」
「ど、ど、どこを揉んでるんですか!は、離してください」
まったく、ゆい先輩は、油断も隙もありません。しかも、気にしてることを言ってくるなんて。
「ねえ~、ねえ~、この後はどうするの?」
「そうですね、今から、ここを出ると時間もあれなので、とりあえず、トキワシティでお泊りですね」
「お泊り!」
「なので、これから……」
「遊びに行くんだね!」
「え、いや、違いま……」
「さっきね、ジョーイさんに美味しいケーキを食べられる店やたい焼きを食べられる店を教えてもらったの」
「たい焼き……」
「あずにゃん、たい焼き好きって、言ってたもんね。シャワー浴びたら、一緒に食べに行こう」
「そうですね~」
最近、甘いもの食べてなかったですし。……はっ。こんなんじゃ駄目です!!このまま、ずるずる
ゆい先輩のペースで、進んだら、バッジどころかポケモン1匹ゲットできないかもです。決めました。
早く、ポケモンをゲットして、この子を博士のところに戻しましょう。そのほうが、ゆい先輩ものんびり
できて、私もあらためてポケモンマスターへの旅に出発できます。でも……。
「あずにゃんとおやつだ~。楽しみだな~」
無邪気に私と一緒におやつを食べるのを楽しみにしてるゆい先輩を見てると、心が……。
い、いけない、駄目です。ちゃんと決心したんですから。でも、何かが心に引っかかる。この気持ちは何なんだろう。
「ねえ、あずにゃん」
「な、なんですか?」
「もう出ようよ。結構長い間入ってるし。早く、ケーキやたい焼き食べたいし」
「そ、そうですね」
「ん? へんなあずにゃん」
駄目です、私。ここは心を鬼にしないと。今からでも、他の先輩方に追いつくことも出来るはずです。
「ねえ~、ねえ~、あずにゃん。髪拭いて~」
「はいはい」
とりあえず、着替えて、ポケモンセンターを出ることに。
「さあ、ケーキとたい焼き、食べに行こうよ~」
「行きません。まずはフレンドリィショップに行きます」
「え~、さっきは行くって言ったじゃん。あずにゃんも乗り気だったし。大体、そこにはおいしいものなんかないよ」
「食べに行くんじゃありません!いいから行きますよ」
「まってよ~、あずにゃ~ん」
そんなこんなで、フレンドリィショップに。
「わ~、いっぱいあるね」
「なんでも、タマムシシティでは、もっと大きいショップがあるらしいですよ」
「そうなんだ~。楽しみだね、あずにゃん。着いたら、たくさんお買い物しようね」
「そ、そうですね」
屈託のない笑顔で私に言う、ゆい先輩を見ると、これから、私がしようとすることを考えると、心が痛みます。本当に私のやろうとすることって、正しいのかな?
「ところで何を買うの?」
「お金はそんなにありませんからね。とりあえず、モンスターボールを5つ買わないと」
「これを買ったら、食べに行くんだね」
「行きませんよ。これから、町のはずれの方で、ポケモンをゲットするんです」
「え~。あずにゃんのポケモンは私だけで十分だよ」
「いつも思うんですけど、どうして、そんなに自信があるんです?」
「え?自信って?特にはないけど」
「はい?強いから、1人で大丈夫って言ってるんじゃないんですか?」
「ううん。あずにゃんに可愛がってもらうのは私だけでいいかなって」
「そ、そうなんですか」
私の決断も間違ってないのかもしれない。
「さて、モンスターボールも買いましたし、行きますか」
「うう~、ケーキ食べたい~」
「我慢してください」
もう少ししたら、博士のところで、ゆっくりできますから。
「さて、ここら辺で探しますか」
私達は、トキワシティの外れに来ました。ここで、何かゲットできればいいんですが。
「とりあえず、どこにポケモンがいるんでしょうか」
辺りを見ても、ポケモンの気配がありません。日も落ちてきましたし、はやくしないと。
「もう少し、歩いてみますか。ポケモンが出たら、頼みますよ、ゆい先輩」
「え~、ポケモン使いが荒いよ、あずにゃん」
「なにを言ってるんですか」
「でも、仕方がないね。あずにゃんのためだもん。頑張るよ、私」
のんきにゆい先輩とお話してるけど、もうすぐ、お別れかと思うと寂しい。でも、私の勝手で、お別れすることになるんだから、私が寂しいなんて思っちゃいけないよね。自分勝手だな、私は。
もし、ゆい先輩が私とお別れって知ったらどうなるんだろう?寂しがってくれるのかな。でも、私の勝手で、別れちゃうんだから、きっと、私のことを嫌っちゃうよね。それは嫌だな。で、でも、このままだったら、私はポケモンマスターになれるかも分からないし。
そういえば、博士が出発する時、
『世の中にはたくさんのトレーナーがいるが、きっと、このゆいの力を引き出せるは梓君だけじゃ』
『どうしてですか?』
『それは教えることはできない。じゃが、いずれ、分かることじゃ』
って、言われたけど、そんな博士の言葉も裏切ることになってしまいます。う~ん、私はどうすればいいんでしょうか。
「ねえ、ねえ」
「なんですか。今ちょっと考え事を」
「あそこに何かいるよ」
「えっ!」
ゆい先輩が指差す方を見ると、ガサガサと音が鳴っています。
「な、何が出るんでしょうか」
「だ、大丈夫だよ。あずにゃんは私が守るよ」
「私の後ろに隠れて言わないで下さい」
ガサガサッ、ガサガサッ。
「出てきます」
「ハッサム」
「ハ、ハッサム!?」
まさか、こんなところで、見れるなんて。で、でも、こちらにはゆい先輩のみ。この場は逃げないと。
「おお、君はあの時のポケモンだ」
「し、知り合いですか?!」
「うん。そうだね、あれは、私が旅に出てた時、この子が傷ついて倒れてたんだ。だから、私が歌ってあげたんだ」
「歌?」
「私の歌には、ポケモンや人間さんを癒す力があるみたいなんだ。それで、この子を癒してあげて、
私の持ってたおにぎりとかをあげたんだ。
そしたら、自分の食べる分がなくなっちゃって、倒れちゃって、博士に拾われたんだ」
「何をやってるんですか、一体……」
まったく、自分の食べる分まで渡しちゃうなんて。
「でも、そのおかげで、あずにゃんに出会えたからよかったよね。こういうのって、情けは自分のためならずって言うんだっけ?」
「情けは人のためならずっていうんですよ」
「そうだっけ?」
「ハッサム」
「ん?私に何かようなのかな」
「ハッサム(私はあなたに助けられたおかげでこの命を散らせずにすむことができました。ぜひあなたに仕えさせていただきたい)」
「え~、でも、私はあずにゃんのポケモンだし」
「ハッサム(む、そこにいる、可愛い女の子のことですか?)」
「そうだよ~。いいでしょ~。私の自慢のトレーナーで、私の将来のお嫁さんなんだよ~」
「なにを言ってるんですか」
お嫁さんはともかく、自慢のトレーナーなんて、私はあなたを送り返そうとしてるのに。
「ハッサム(ならば、その女の子の元で、あなた様に恩を返したいのですが、大丈夫ですかな)」
「うん、いいよ~。あずにゃんもいいよね?」
「な、何がでしょう?」
「そっか、あずにゃんにはポケモン語がわからないんだっけ。この子が仲間になってくれるんだって。あずにゃんはいいかな?」
「も、もちろんですよ」
「じゃあ、モンスターボールを投げて」
「は、はい」
私はハッサムにボールを投げる。そして、すんなりとゲットすることができました。
「やった~、ポケモンゲットだ~」
「……」
「どうしたの、あずにゃん。嬉しくないの?」
「あ、そういうわけじゃないですよ。そろそろ、帰りましょうか。もう夕方ですし」
「そうだね」
私は再びトキワシティに向かいながら、考える。ハッサムがいれば、この先も楽になるだろう。
でも、ここで、ゆい先輩を博士に送り返したら、きっと、私はポケモンマスターになれない気がする。
それに何より、私はゆい先輩と旅を続けたいんだと思う。
「……ごめんなさい、ゆい先輩」
「何を謝ってるの、あずにゃん」
「いーえ。なんでもありません」
私はゆい先輩を抱き上げる。
「わ、急にどうしたの?今までは抱っこしてくれなかったのに」
「ねえ、ゆい先輩。美味しいたい焼きやケーキの店ってどこですか?」
「え?でも、もう夕食の時間だよ」
「明日の朝早くには出発しますし、それに、たまにはこんな夕食もいいんじゃないでしょうか?」
「……そうだね。あっちだよ、あずにゃん」
「はいっ」
以上です。
最終更新:2011年08月01日 03:11