和「うぅ……」フラフラ
唯「どうしたの和ちゃん?」
和「あんたのせいよ」
唯「何が!?」
――――
唯「黒歴史?」
和「えぇ……小学生のときの」
唯「なんかあったっけ?」
和「覚えてないの?」
唯「私の覚えてる限りだったら和ちゃんはずっとマトモだったと思うけど……」
和「覚えてないならいいわ、何でもない」
唯「ちょっと。気になるってば」
和「お願い、聞かなかったことにしてちょうだい」
唯「んー……よし」
唯「ういー、おいでー!」
憂「お姉ちゃん呼んだ?」ガチャッ
和「はやい」
唯「憂、小学生のときに和ちゃんがやってたハズかしいことって知ってる?」
憂「小学生のときの和ちゃん?」
和「覚えてないわよね、憂」
憂「なんだろう……恥ずかしいことなんて和ちゃんにはなかったと思うけど」
唯「だよねぇ。……もしかして和ちゃん、私たちに隠しごと?」
和「そんなことないわよ。というか、あれの原因はむしろ唯たちじゃない」
憂「私たちが原因だって」
唯「うーん。もうすこしヒントちょうだい」
和「誰がやるもんですか」
唯「ちぇっ。和ちゃんの黒歴史……」
憂「まぁ、あんまり探るようなことじゃないしね?」
唯「そうだねぇ……はあ、覚えておけばよかった」
和「けど、唯も憂もあんなの忘れてるなんて逆に尊敬するわ」
唯「和ちゃんだって忘れてたじゃん」
和「覚えてるけど記憶を封じてただけよ。さっきはちょっと外に出ちゃって……」
和「ってもういいのよ。この話はおしまい」
唯「和ちゃんだってほんとは当ててほしいんじゃないのー?」
和「無いから」
唯「ぶー」
憂「それにしても、小学生のときっていうとなんか懐かしいよね」
唯「そだねー。あの時は和ちゃんとよくちゅーしてたなぁ」
和「そうね……」
和「……」
和「ウウワアアアアアアッ! 覚えてんじゃねえかあああ!!」ガタゴト
唯「えっ、それなの!?」
和「……」ツップシ
憂「の、和ちゃん……」
和「唯も憂もキライ……」
唯「和ちゃん、どうか顔を上げて」
和「やだ」
唯「……そういえば、こんな時だったね」
憂「あ、そうだね」
和「え」
唯「和ちゃん、元気だして」んー
ちゅっ
和「!!!??!!」ドタバタ
憂「なんか和ちゃんカッコ悪い……」
和「なって、なって!」わたわた
唯「ちょっ、暴れないでよ和ちゃん……」
憂「お姉ちゃん、私が押さえる!」ガシッ
和「ほほほほっぺっぺ」
憂「和ちゃんもほっぺにちゅーされたぐらいでそんなに慌てないの!」
唯「そうそう、本番はこれからだよ!」
和「ちょっ、待っ……」
唯「んーっ」
ちゅ~~~……
憂「……」
憂「……」
憂「……」
ちゅ~~~~~……
憂「……」
憂「……」
憂「……」
憂「……」
ちゅぱっ
唯「ふぅ」
和「はぁっ……はぁ」クタッ
唯「んー……久しぶりの和ちゃんのくちびるの感触は……」
憂「どうだった?」
唯「ぷるぷるでおいしかった!」
憂「相変わらずってことだね」
唯「そういうことでした」
唯「憂もやる?」
憂「やる! 4年ぶりだね、和ちゃん」
和「ちょ、ちょっと……まって……」
唯「まだ抵抗しそうだからわたしが羽交い締めにしとくね」ガシッ
憂「ありがとう、お姉ちゃん」
和「わ、私の意志はどうなるのよ」
憂「だって和ちゃん、ちゅー大好きだったでしょ?」
和「だから黒歴史って言ってるんじゃない!」
唯「あれぇ、和ちゃん。私にはくちびるを許したのに憂はダメなの?」
和「唯だって許してないんだけど」
唯「ひどいなぁ、憂がかわいそうだなぁ……」
和「唯は人の話を聞かないわよね」
憂「和ちゃん……」
和「……泣きそうな顔したってだめよ、憂」
唯「やっちゃっていいよ、憂」
和「唯はちょっと私の話を聞いたらどうなの」
憂「うん、やっちゃうねお姉ちゃん!」
和「憂も」
唯「はい和ちゃん、かんねーん」グイ
和「つっ……もう、しょうがないから1回きりよ」
憂「えへへ、和ちゃんっ」ギュッ
和「……」
憂「んー」
ちゅっ
和「はい、おしま」ちゅっ
ちゅっちゅっ
憂「のどかちゃん……」
ちゅっ、ちぅ、ちゅっ
唯「憂のちゅーの仕方かわいいよねー」
和「いっかいだけって……んむっ」
唯「和ちゃん、憂は前からこうだったでしょ?」
和「……っ」
ちゅっちゅっちゅっ……
唯「和ちゃんぷるぷるしちゃってかわいい~♪」
唯「憂も気持ちよさそうだねー」
唯「和ちゃん、声出てるよ?」
数分後……
和「くちびるが痛いわ……」
憂「ごめんね、和ちゃん?」
唯「憂、すっごい夢中になってたもんね」
憂「えへへ。久しぶりすぎて、つい」
和「……はぁ」
和「とりあえず、唯たちが私の黒歴史を黒歴史と認識してないことはよく分かったわ」ゴシゴシ
唯「いやいや、和ちゃんもでしょ?」
憂「私たちだけそんな、ねぇ」
和「……確かにちょっといい思い出なのは認めるけど」
和「でもそれは小学生の時だからで、今されたら困るわよ」
唯「どうして困るの?」
和「そりゃあだって……女の子同士なんだから」
唯「……聞いた?」
憂「うん、聞いた」
和「なによ」
唯「これは意識してますね、確実に」
憂「うん、友達との遊びのちゅーじゃなくて、恋人としてのちゅーだと見始めてるよ」
和「……いや、当たり前でしょ!? キスよ!?」
和「そもそもまず、友達との遊びのちゅーって何よ!?」
唯「そのまんまの意味だよね?」
憂「うん」
唯「ちゅーして笑い合ったり、けんかから仲直りしたり、落ち込んだ友達をなぐさめたり」
唯「私たちはそうやって、ちゅーに助けられてきたことがたくさんあったと思うよ?」
唯「そのことまで、和ちゃんは黒歴史だって言って忘れちゃうの?」
和「……」
和「すごくいいことを言ったわね、唯」
憂「うんうん」ナデナデ
和「でも……ごめんなさい」
唯「へ?」
和「私が小学生のとき、唯や憂としてきたキス……」
和「私がくやんでいるキスは、友達のキスでも、恋人のキスでもないつもりなのよ」
憂「……」ナデナデ
唯「……?」
唯「あ、わかった、ふうふ?」
和「なおさら違うわ」
唯「えー? じゃあわかんないやーっと」
和「わからなくていいわ。今度はクイズじゃないから」
和「唯と憂に、謝らなきゃいけないわ……」
憂「謝るって、どうして和ちゃんが?」
和「だって……」
和「あなたたちが私にくれたひとつひとつ大事な意味のあるキスを、」
和「その意味を私は……わかってなんていなかったんだもの」
和「私……きっと、ただキスが好きなだけだったの」
唯「和ちゃん……?」
和「ごめんなさい、軽蔑するわよね……こんな子、友達でいる資格ないわよね」
和「嫌ってちょうだい。それでもう、二度とキスなんてしちゃだめよ」
和「そしたら私は、今度こそ、変なことを……考えちゃうもの」ジワッ
和「ご、ごめんなさいっ……平気だから」ゴシゴシ
和「唯、憂、今日はちょっと帰るわ……」
憂「……」ガッシ
和「ちょっと……」
唯「……憂、二人でやるよ」
憂「うんっ」
和「え?」
ガバッ
ちゅう~~っちゅっちゅっ……
唯「んっ……」ぺろっ
憂「和ちゃん、泣かないで……」ちろちろ
和「ん、んっぅっ……」ぴくぴく
ぺろぺろ ぴちゅっ……
和「んっ、ふぅっ、っ!」
和(大好きな唯と憂に、くちびるなんて舐められて……)
唯「和ちゃん……」
憂「和ちゃんっ」
和(二人はこんなにも純粋で)
和(こんな汚い気持ち、抱いてしまうのは嫌なのに……流されるなんて、もってのほかなのに……)
和「ゆ……唯、憂っ……!」ぺろっ
唯「ん、のどかちゃ……」
憂「んーぅ……」
ぺろっ、れろ……
ぬりゅっちゅ、ぴちゃあっ
和(私と唯と憂の舌が重なって、抱き合って、絡まってるわ)
和(あったかくって、やわらかくて、おいしくって、……気持ちいいっ)
和「もっと、こっちに……」ぎゅっ
唯「あっ……うんっ」ぴとっ
憂「のどかちゃんっ、はぁっ、暑いよぉ」
和「憂、もっと舌出していいわよ」
憂「んっ……のどかちゃんも、もっとっ」
ぬちゅっ、くちゃ……
ちゅるる……
和「んっ……」こくっ
唯「ふへぇ……顔が私たちのよだれでいっぱいになっちゃった」
憂「ほんとだね。……お姉ちゃんにもちゅーしてあげる」ちゅっ
和「あ、わたしもっ」ちゅっ
唯「えへっ……二人とも、ぺろぺろして……」
和「……唯はだらしないわね」
憂「お姉ちゃん、次は私ね……?」
ぺろ、ちゅるっ……
――――
和「……」
唯「くかー」
憂「すぅ、すぅ……」
和「……」
和(『間違いが起きてしまった』……!)
和(ど、どどうしどうしたらいいのかしら……やっぱり責任を取るべきよね)
唯「うひひぇへ……」
憂「ふふ……」もぞっ
和(かといって二人ぶんの……)
和(いえ、これはやらなければいけないことだわ)
和(……だって)ツン
唯「ん……のどかちゃん」
憂「すー……」
和(二人は、こんな私を友達にも、恋人にもしてくれたんだもの)
和(ありがとう……)
ちゅう(終)
最終更新:2011年08月02日 22:00