「ドン」

「バナ」

2匹が壁まで、吹き飛ばされてくる。

「所詮はこの程度だろうな」

「くそっ。まだ、終わりじゃない。来い、ニョロボン、サワムラー」

「来て、カポエラー、ギャラドス」

2人は感情的にミュウツープロトタイプに向かっていく。だが、2人にも分かっているだろう。あいつには勝てないことを。

「……ブツブツ」

「おい。どうした、ゆい」

さっきまで、梓の傷を舐めていた、ゆいの様子がおかしい。周りには黒いオーラのようなものが溢れている。

「ギャラ」

ミュウツープロトタイプはギャラドスをサイコキネシスで持ち上げ、吹き飛ばす。

「ブツブツ」

ゆいが黒いオーラを強くし、何かを呟いている。その声は大きくなり、私の耳にも届いた。


「あいつが悪いんだ。あいつさえいなければ、あずにゃんは……。絶対に許せない。殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる」


その言葉とともに、黒いオーラは強くなり、突然、立ち上がり、ミュウツープロトタイプを指差す。

ビューン

さっき、律やレアコイルを狙った、ミュウツープロトタイプのレーザーよりもすごい勢いのレーザーがミュウツープロトタイプに向かって発射される。

「……む」

バリアーを張って、その攻撃を受けるも、ミュウツープロトタイプはその攻撃の威力の高さから、ジリジリと後ろに押されています。

「くっ」

ミュウツープロトタイプは空いている手で自分もレーザーをあて、爆発させた。

「効いたのか!?」

「……やるじゃないか、ゆい。それがお前の力か」

ミュウツープロトタイプは無傷で立っている。

「そ、そんな、あれだけの威力で……」

ムギの落胆する声。それはそうだろう、それだけの威力の攻撃を防がれたんだから。



管理室

『なんなのよ、今の攻撃は!!』

『データにはないぞ』

『落ち着きなよ』

慌てふためく、和達にローブの女は言う。

『ケーキがまずくなるよ』

ケーキをほうばるローブの女。

『……そもそも、あの子の技はあずにゃん分っていう、未知のエネルギーで発動するんだよ』

ローブの女は語り出した。

『本来は、あずにゃんに良いところを見せたい、褒められたい、なでてもらいたい、守りたい、そんな思いで、技を出すから、強力だけど、ほんわかというか、奇天烈というか、そんな技になる。リミッターもかかる』

ローブの女は一旦、紅茶を飲む。

『でも、今の彼女は憎悪や後悔、悔しさ、悲しみ、そんな負の感情に支配されている。そして、リミッターが外れることになる』

『……どうして、そんなことをあなたが……』

和の当然の疑問に答えずにローブの女は続ける。

『でも、一旦リミッターが外れたら、自分の力に操られたかのように、エネルギーが無くなるまで、暴走する。今の彼女はそんな感じ』

周りの和達は息を飲む。ローブの女は再び、画面の映像を集中的に見始める。

「……だ、駄目で……す」

「おい、梓。しゃべるな」

「行くぞ、ゆい。私達もフォローするからな」

律はゆいに言う。

「……」

ゆいは律の言葉に答えずに、律に手を向ける。

ビューン

その攻撃は律をかすめ、壁に激突する。

「な、な、何をするんだ、ゆい」

「……うるさいよ」

「……え?」

「そもそも、りっちゃんがこんなところに入ろうって、言ったから、こんなことになるんだよ」

「なっ!お、お前だって、入ろうって……」

「りっちゃんがうわさを確かめようとか言ったから、こうなったんだよ」

「ひ、ひどいわ、ゆいちゃん」

「そうだぞ、ゆい」

「うるさいな。そもそも、あの時、澪ちゃんに会ったのがいけなかったんだ」

「なっ!」

「あの時、会ってなかったら、こんなことにはならなかったんだ。ううん、そもそも、りっちゃん達が存在してるのがいけないんだ。待ってて、あいつを殺した後、君達も殺してあげるからね」

さっきから、冷淡にしゃべってるゆいの目は死んでるかのように光がない。冷たい、氷のような目。

「そっか。この世界はあずにゃんを傷つけたんだ。もう、この世界もいらないや」

「お、おい、しっかりしろよ、ゆい」

「……わかっただろう。こんな形でも、ポケモンなんだ。その中には強大な力が宿っている。人はそれを見たら、どうする?恐怖するか、その力を利用するか、支配するか、駆除していくか、と考えるのではないか?少なくとも、共存していこうとは考えないだろう。お前達も、ゆいの力を見て、恐怖してるのではないか?」

「そ、そんなことないわ。ゆいちゃんは私達の……」

「足が震えてるぞ」

「うるさいよ。やらなきゃいけないことが多いんだから、君はサッサと倒すよ」

ゆいは手をミュウツープロトタイプに向け

……ることができなかった。向けようとする、ゆいの手を血だらけの両手で掴んだからだ。

「……だ、駄目です。こ……んな……ことを…しちゃ駄目………です」

「……」

「そ……んな顔をしないで……ください。……いつもの……周りを……笑顔にする…ゆい…先輩に戻って……ください」

「……」

「じゃないと……嫌いに……なっちゃいます」

「……あずにゃん」

ゆいの瞳に光が戻ってきたような気がした。

「私のこと……は気に……しないで。……いつもの………よ…く…わからない……技でサッサと……倒してください」

「……もういいよ。分かった。これ以上、しゃべっちゃ駄目だよ。……澪ちゃん、あずにゃんを頼むね」

「あ、ああ」

私は梓に向かっていった。

「大丈夫か、梓」

「……は…い」

「いくよ、ギー太。D・Dモード」

ゆいの持つギターになにかを装着する部分が出てきた。私はゆいの技をよく見たことはないが、一体何が起こるんだ。

「頑張ろうね、『あずにゃんと恋人』デッキ。……さあ、ミュウツープロトタイプ、決闘(デュエル)だ!決着をつけよう!!」

ゆいはフンスと気合を入れ、ギターにカードを装着した。……っておい。

「ゆい、カードなんかで何をする気だよ」

「ん?決闘(デュエル)だよ。カードで戦うの」

「は?そんなふざけたこと、あいつが許すはず……」

「いいだろう。その決闘(デュエル)、受けてたつ」

ミュウツープロトタイプは自分の手から、なにか、ディスクみたいなものを出し、カードみたいなのを装着した。……って、おいおい。

「お前もそれでいいのか!」

「何を言っている。……このまま、戦っても、私が勝つのは確定だろう。相手にも勝つ手段を与えた方が面白いだろう。……それに、決闘者(デュエリスト)の挑戦は受けてやらなくては失礼というものだ」

さっきまでの、雰囲気はどうしたんだ。

「待ってくれ、ゆい」

「……あっ、りっちゃん。……ごめんね、さっきは、その……傷つけるようなこと言って……」

「ああ、とっても、傷ついたな」

「……」

「だから、罰として、私のカードも使ってくれ。いいな?」

「……りっちゃん」

「ゆいちゃん、私のカードも」

「……ムギちゃん。うん、分かったよ。一緒にミュウツーを倒そう」

律とムギは、カードを渡し、友情を誓い合っている。……うん、いい光景だな。……って、おいおいおい。

「律たちもか!カードで何をするんだ」

「澪ちゃん、あずにゃんをよろしくね!」

「いやだから、カードで何を……」

「いいだろう、かかって来い」

「無視するなーーー」

「「「「……」」」」

「こいつ空気読めない、みたいな眼で見るなーー」

「私が勝ったら、私の手先になって働いてもらう。さっきの力は惜しい。もし、お前達が勝ったら、そのツインテールの女の傷を治してやる。問題はあるまい」

「あなたの手先?」

「お前の力は強力だ。その力を存分に遣わせてもらう。

「……分かった。いいよ、あなたが勝ったら、あなたに協力するよ。チーム『ゆいあずと愉快な仲間達』の力を見せてあげよう」

「その名前はねーだろ」

「そう?いい名前だと思うんだけどな」

「どこがだよ」

「仕方ないわ、チーム『放課後ティータイム』ということにしましょう」

「なんだよ、その名前」

「おおいなる、宇宙の意思よ」

「はあ?」

「ともかく、チーム『放課後ティータイム』の結束の力で、ミュウツープロトタイプ!あなたを倒す」

「では、始めようか」

「「決闘(デュエル)」」


次回予告

ゆい「待っててね、あずにゃん。私がすぐに助けてあげるからね」

うい「梓ちゃんを助けるために、ミュウツーとのデュエルを始めるお姉ちゃん。しかし、ミュウツープロトタイプの猛攻の前に、苦戦を強いられるお姉ちゃん。その中で、新たなる力が……。梓ちゃんを救うために頑張って、お姉ちゃん。次回、ゆい戯王デュエルモンスターズ『ただ、愛する1人のために』デュエル☆スタンバイ」


タマムシシティ編④ 「過去×激闘×暴走」終了




管理室

『何なのよ、突然に』

『まったく、意味が分からないわ』

『だいたい、カードなんてどうして……』

和達はミュウツープロトタイプの突然の行動に慌てふためいてる。

『……フフフ。やっぱり、あの子はすごいな』

その中で、ローブの女だけは面白そうに画面を見ていた。

「「決闘(デュエル)」」

「先攻は私だよ。私のターン。カードドロー……まずは『あずにゃん』を召喚。攻撃表示」

あずにゃん(中野梓) 光属性 けいおん族 ☆2 攻500/守500

「そして、『平沢唯』を攻撃表示で特殊召喚。このカードはフィールド上にあずにゃんがいる時、手札から特殊召喚ができる」 

平沢唯 光属性 けいおん族 ☆2 攻500/守500 チューナー

「そして、手札から、魔法カード『思い出のネコミミ』発動!このカードはフィールド上に『あずにゃん』と『平沢唯』がいる時、デッキから、装備魔法『ネコミミ』を手札に加える。そして、『あずにゃん』に『ネコミミ』を装備。カードを1枚セット。ターンエンド。そして、このターンのエンドフェイズに『平沢唯』効果発動。私のターンのエンドフェイズにフィールドにあずにゃんという名がつくのカードがいる時、あずにゃん分の摂取で、このカードの攻撃力、守備力が500ボイントアップ」

平沢唯 光属性 けいおん族 ☆2 攻1000/守1000 チューナー

「さらに、フィールドにあずにゃんという名がつくのカードがいる時 あずにゃん分の摂取で、LP1000回復する」

ゆいLP4000→5000

ゆい     LP5000 手札2枚 墓地1枚 モンスターゾーン2枚 マジックトラップゾーン2枚
モンスター あずにゃん(中野梓) 光属性 けいおん族 ☆2 攻500/守500(ネコミミ装備)
        平沢唯 光属性 けいおん族 ☆2 攻1000/守1000 チューナー
マジックトラップゾーン リバースカード1枚 装備カード 1枚
ミュウツープロトタイプ(以下、P)  LP4000 手札5枚 墓地0枚 モンスターゾーン0枚 マジックトラップゾーン0枚

「よし!」

「まずまずの出だしね」

「なあ、2人とも、これってポケモンだよな。なんで、カードで遊んでるんだ」

「何を言ってるんだ。決闘(デュエル)は遊びじゃないぞ」

「そうよ、澪ちゃん。このゲームは闇のゲーム。このゲームで受けるダメージは実際のダメージになるのよ。つまり、このデュエルでダメージを受ければ受けるほど、ゆいちゃんにもダメージを受けるの。逆もまた然りよ」

「なるほど。……って、やっぱりおかしくないか」

「そんなことより、あいつのターンだぞ」

「一体、どんな戦術でくるのか」

「……また、スルーか」


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最終更新:2011年08月03日 03:47