『園長が最後に出した、ポケモンはカイリューだー。さあ、これに対して、ゆいがどう戦うのかは見物だー』

「中野選手も次のポケモンを」

「はい。さあ、頑張りましょう、ゆい先輩」

「うん!私、頑張るよ。ここまで、頑張ってくれた、皆のためにも」

『泣いても、笑っても、最後の戦いが今、始まります』

梓  ガルーラ ひん死 プテラ ひん死 サンダース ひん死 ハクリュー ひん死 ハッサム ひん死 ゆい

園長 ケンタロス ひん死 ジュゴンひん死 サンダース ひん死 カイロス ひん死 カイリキー ひん死 カイリュー

「さあ、サッサと決めるよ」

「させるな、カイリュー、しんそくだ」

カイリューはものすごい速さでゆい先輩に迫ってきます。

「ゆい先輩、お得意の回避を見せてください!」

「別に得意ってわけじゃないんだよねー。疲れるし」

と言いつつも、ゆい先輩は横にダイブし、その攻撃をかわします。

「さて、あらためて、 ゆいちゃん真拳究極奥義『ゆいちゃん☆めんこ』」

そんな声とともに、大きいカードがフィールドに落ちてきます。

「この奥義は表にしたカードの能力を一定時間使うことが出来るんだよ」

「カイリュー、サッサと潰すんだ。ドラゴンダイブ!!」

カイリューは私にも感じるくらいの殺気を放ちながら、ゆい先輩に突っ込んできます。

「ひゃー、怖いよー。早くしなきゃ」

ゆい先輩はパンッと地面にめんこを叩きつけ、一枚のカードを表にします。そのカードには『秋山 澪』と書かれていました。

「きた、澪ちゃんだ」

嬉しそうにゆい先輩は言うと、いきなり、耳を手を当て、しゃがみ始めました。

「な、何をしてるんですか、ゆい先輩」

「ミエナイキコエナイミエナイキコエナイミエナイキコエナイ」

ゆい先輩はそんな風にしゃがんで呟いています。そんな中でも、カイリューは突っ込んできます。

『おっと、カイリューに向かって何かが飛んでくるぞー』

実況の声を聞いて、そっちの方を見ると、『ミエナイキコエナイ』の文字がカイリューに迫ってきます。

「リュー!?」

カイリューの体に『ミエナイキコエナイ』の文字が叩き込まれます。

「リュー」

カイリューのみぞおちにそのうちの1つが命中し、膝をつきます。

「今だ!」

ゆい先輩はいつの間にか、メイド服に服装を変えています。

「いっくよ~。『萌え萌えキュン』」

と言いながら、手をハート型にし、そこから、ビームのようなものが出て、カイリューに直撃します。

「リューーーーー」


「さあ、次だよ~」

ゆい先輩はパンッと地面にめんこを叩きつけ、一枚のカードを表にします。そのカードには『田井中 律』と書かれていました。

「次はりっちゃんだ」

「このままじゃ、まずい。カイリュー、一旦距離を……」

「させないよ!くらえ、デコフラッシュ!」

ゆい先輩はおでこをカイリューに向けます。

「リューー」

カイリューは目を押さえて、よろめきます。

「チャンスだね。くらえ、カチューシャブーメラン!」

ゆい先輩はカチューシャをブーメランのようにカイリューに向けて投げつけます。そして、そのカチューシャはカイリューの足や体を切り裂きます。

『ここまで、カイリューを寄せ付けないゆいー。なんていう強さだー』


「さあ、次だよ~」

ゆい先輩はパンッと地面にめんこを叩きつけ、一枚のカードを表にします。そのカードには『琴吹 紬』と書かれていました。

「さてと。まずは……」

ゆい先輩は自分の(いつの間にそうなったのかは分かりませんが)眉毛をとって、カイリューに向かって、飛ばします。

「さあ、いくよ。沢庵ブーメラン」

黄色の眉毛(?)はカイリューの体を引き裂いていきます。そして、ある程度のダメージを与え、ゆい先輩の手元に戻って来ます。そして、それをゆい先輩は口に放り込みます。

「うまい!」

「って、何を食べてるんですか」

「あずにゃんも食べる?」

「遠慮しておきます」

「さて、まだまだ、いくよ」

ゆい先輩はカイリューの後ろに回り、尻尾を掴みます。

「しゃらんらしゃらんら」

そう言いながら、カイリューを投げ飛ばします。

「な、なんていう強さだ」

「あのカイリュー相手に」

「あんな小さい女の子みたいなポケモンが」

会場がざわめきます。私自身が観客でも、そう感じるでしょうが。

「まだまだ、私の攻撃は終わらないよ」

「もう、これ以上、好きにさせるのはまずい。カイリュー、げきりんじゃ」

カイリューはあばれまくって、攻撃を仕掛けに来ます。


「さあ、次だよ~」

ゆい先輩はパンッと地面にめんこを叩きつけ、一枚のカードを表にします。そのカードには『中野 梓』と書かれていました。

「きた、あずにゃんだ」

「ものすごく今更ですけど、どうして、めんこの能力がポケモンではなく、澪先輩達なんですかね?」

「まあ、細かいことは気にしない」

「リュー」

そんなことを話している間にカイリューは突っ込んできます。

「さあ、いくよ」

ゆい先輩はどこからか、取り出した、ネコミミを頭につけます。そして

「ミャー」

と、最初に出会って、私がさせられたように猫の鳴き真似をします。

「リュー」

カイリューは目をハートマークにし、息を荒げます。……不本意ではありますが、気持ちは分かります。

「今だ、ネコパンチ!」

ゆい先輩はカイリューのおなかに拳を叩き込み、フィールドの外まで、飛ばします。

「さて……いよいよ最後だよ」

ゆい先輩はギターを構えます。

「今までの技のもう1つの効果……技を発動していく度にエネルギーが溜まっていく。それを使うことで、強力なビームを発射できる。くら
え、ゆいちゃん真拳究極奥義『ゆいちゃん☆レーザー』」

ゆい先輩のギターから、強力なビームが発射されます。

「カイリュー、こちらも迎え撃つんじゃ。はかいこうせん!」

カイリューは強い光線をゆい先輩に向けて発射します。お互いの光線が激突し、膠着状態になります。

「このままじゃ、負けちゃう。ここは威力をあげようかな」

「待って下さい。まだ、威力があがるんですか?」

「まあ、厳しいけどね」

「なら、私が指示しますから、その時に威力をあげてください」

「分かった。あずにゃんを信じるよ」

「ありがとうございます」

ゆい先輩のビームとカイリューの光線の威力が拮抗しているのか、なかなか、状況は動きません。

(ただ、それでも……わずかな可能性かもしれませんがあります。チャンスが)

「リュー!?」

カイリューはいきなり、膝をつきました。

「ど、どうしたんじゃ、カイリュー」

「さっきまでのゆい先輩のダメージが蓄積した結果です。今です、ゆい先輩!!」

「任せて~」

ゆい先輩は残りの力をビームに込め、威力をあげます。そして、膝をついて、隙を見せた、カイリューにゆい先輩のビームは命中し、フィールドの外の壁まで飛ばされ、壁にめり込み、気絶しました。

「カイリュー戦闘不能。ゆいの勝ちです。よって、中野選手の勝利です」

梓  ガルーラ ひん死 プテラ ひん死 サンダース ひん死 ハクリュー ひん死 ハッサム ひん死 ゆい

園長 ケンタロス ひん死 ジュゴンひん死 サンダース ひん死 カイロス ひん死 カイリキー ひん死 カイリュー ひん死


『ついに長かった戦いにも終止符が打たれたー。勝ったのは中野選手だー』

「すごいですよー、梓ちゃん」

アンズさんが駆け寄ってきます。

「あずにゃ~ん、私頑張ったよ~」

ゆい先輩も駆け寄ってきます。

「やれやれ、クチバシティの時よりもはるかに強くなってるのう」

「あ、会長さん」

「まさか、あの園長が負けるなんてのう」

「知り合いなんですか?」

「まあのう」

会長さんは園長さんに近づいていきます。それに私達もついていきます。


「……まいった、まいった。まさか、ここまで、強いとはのう。まあ、約束じゃ。私は園長を辞めよう。会長よ、代わりの園長とやらは誰じゃ」

「……それはお前じゃよ」

「は?」

「お前が金にがめつかったのはサファリパークでの莫大な借金を返すためじゃろ」

「そ、そうだったんですか」

「……」

「私が全てはさすがに無理じゃが、援助をしてやる」

「……」

「どうしたんじゃ?」

「……無理じゃな」

「無理とな」

「借金を返すためとはいえ、ラプラス達にひどいことをしたのは事実じゃ」

「……じゃが、ラプラス達を逃がせば、それで……」

「他の理由もある。まあ、それは中野君のせいじゃな」

「わ、私ですか!?」

「ああ。私はお前さんと戦って、年甲斐もなく、また、お前さんに挑戦したくなったんじゃよ。これから、修行の旅じゃ」

「……まったく、お前さんは」

「中野君よ」

「は、はい!」

「ポケモンリーグで優勝するんじゃよ。そして、そのチャンピオンを最初に倒すのは私じゃからな」

「……楽しみに待ってます」


セキチクシティ・海岸

私とゆい先輩はラプラス達を連れ、海岸に来ました。

「さあ、もう2度と捕まっちゃ駄目だよ」

「ラプ」

「バイバ~イ」

ゆい先輩は小さい体を大きく揺らし、手を振ります。

「さて、どうしましょうかね。やっぱり普通に船でグレンタウンに行きますか」

「それが一番だけどね~」

「ラプ」

私達が一旦、その場を離れようとすると、ラプラスの鳴き声が聞こえてきました。

「どうしたんですか?」

「ラプラプ」

「あなた達のおかげで、たくさんの仲間達が救われました。その恩返しをさせて下さい、だって」

「でも、いいんですか、あなたは」

「ラプラプ」

「あなた達なら、優しくしてくれるでしょうから、大丈夫だって」

なんか、そう言われるのは照れ臭いですけどね。

「それじゃ、遠慮なく……」

私はラプラスにボールをぶつけ、ラプラスをゲットします。

「やったね、あずにゃん!」

「はい!これで、グレンタウンにいけますね!」

「今から、行くの?

「今からはさすがに……」

もう、夕方ですしね。

「梓ちゃーん」

「あ、アンズさんに会長さん」

「一緒に食事でもどうじゃ。今日のお祝いということで」

「え、えーと、どうしましょうか」

「私はいいよー」

「じゃあ、いいですよ」

「私もいいですかー」

「もちろんじゃ。まあ、あんまり高いものは勘弁じゃがな」

私達、4人は夕日を背にレストランに向かいました。



グレンタウン編② 「ラプラス争奪戦・後編」終了

※次スレへ



最終更新:2011年08月03日 04:30